鉄塔巡視路を巡り、黒尾山へ(2)
スポンサード リンク
平成15年5月5日(月) メンバー 私だけ
黒尾山 | くろおさん | 1,024.7m |
南から黒尾山へ
2万5千分の1、地形図「山崎」「安積」を参照すること。
黒尾山頂上の南を横切る送電線が近年完成し、昨年(平成14年3月)は西からの送電線巡視路を巡り黒尾山に登ることができた。今日は南からの送電線巡視路を使い黒尾山に登ってみることにした。
私が持っている平成9年版「安積」には載っていないが、山崎町母栖にある関西電力山崎実験センターの北から、黒尾山の南を斜めに横切っている送電線「山崎智頭線」だ。
平成14年12月版の地形図「山崎」に載っている送電線「山崎智頭線」は与位集落の北で高尾川の横を行く林道と交わっている。その辺で巡視路の入口を見つけ、黒尾山の南に延びる尾根の858mのピークに登り、尾根を辿り黒尾山の頂上まで行こうという計画だ。かなりの距離があるが何とかなるだろう。
与位の洞門を抜け高尾林道へ
姫路から国道29号線を北上し安富・山崎を通過する。五十波を過ぎ、田井と杉ケ瀬の間に掛かる井ケ瀬橋を渡らずに与位に向け左折する。狭い道を行くと「与位の洞門」がある。揖保川岸の大岩を穿って作られたトンネルだ。
山崎町指定文化財
<名勝>与位の洞門
所在地 山崎町与位1番地の1
所有者 山崎町与位生産森林組合
指定年月日 昭和60年2月14日この洞門をくり抜いた乢(がけのこと、歩危)とその東にあった田井の船渡し付近は奇景として有名であったが、宍粟奥地へ向う交通の難所でもあった。
大正12年刊行の「宍粟郡誌」に、「田井より与位にいたる途、揖保川の清流山脚を洗う所にニ個の巨巖あり。其の形頗る奇なり。巖頭には老松枝を伸べて空に翻り、断崖十尋、羊歯岩松の類これに叢生し、下段は碧潭に臨みて倒映を添えたりしが、今は隧道を穿ちて奇いよいよ加われり。」と説明されている。
対岸から見ると、今も川に面した岩端には桟橋を差した四角い穴が残っている。しかし桟橋は荒天の度に落ちるので、明治36年頃に村民が2年がかりで隧道を掘った。
その後、昭和初年には荷車が通れるように広げられ。さらに昭和43年に大型自動車が通行できるように改修され現在に至っている。
与位を抜け高尾川沿いの林道高尾線に入る。与位の北には2本の送電線がある。1本目の送電線の巡視路は林道に入り少し行くと西に入るものがあった。その先の林道にゲートがあるが閉められることはなさそうな感じだ。
2番目の目的の送電線との交差地点に着いた。東側は水の流れていない高尾川の対岸に巡視路入口があり、西側には「火の用心10」の巡視路道標があり、簡易舗装の道が山の中に入っている。
ここから登ってもいいが、舗装された林道はさらに北に延びている。奥はどうなっているか探索に行くことにする。林道はその先で地道になるが、普通車でも問題なく走ることができる。
高畑山北西の峠に行く道が高尾川に架かる橋を渡って分岐している。林道の本線は西に向きを変えさらに奥に向っている。
林道の横には林業用のものか、非常に細かい地名が記載された道標が続いている。
「ロクロ谷」、「カザハナ」、「タカ畑」、「ナメラ」、「一ノ谷」、「シモツ」、「ニコク谷」、「ウルシ畑」、「ホソイラ」、「イラ谷」、「トヨガ谷」、「長畑」、「深沢」、「ハルガイソ」、「コヅマ谷」、「奈ノ谷」、「下ワラビ尾」、「イノコ山」、「ワラビ尾」、「大ガ谷」、「クソブ・シデガイソ千畳屋敷」、「タコンバタ」、「ウソ谷」、「向イジロベ」、「ジロベ」、「滝谷」、「古谷」、「ホート畑」、「小口無」、「クチナシ」、「奥ナメラ」、「大谷」、「スリデ」
どうやら全ての地形に名前が付けられているようだ。
8:07
林道の舗装が途切れ地道になってから1.9kmの、道が最後に北西に曲がる地点、「コヤノヒナ」・「ツチ岳」・「カタハ」の道標がある広場に着いた。車を10台以上止められる広さがある。おそらく送電線鉄塔工事の際に広げられたのだろう。林道は高尾川に注ぐ支流に架かる橋を渡りさらに奥に続いている。
道の左側には「火の用心14、15」の送電線巡視路の道標があった。前回登った時に、黒尾山から南に延びる尾根にある鉄塔の番号は16で東に行くと番号が小さくなることを確認している。見上げると2基の鉄塔が見え、奥に見える1基は位置からして16のようだ。手前の巡視路入口よりも、ここの方が良さそうに思えるので、ここから登ることにする。
植林の谷を登る
8:20
用意を整え登山開始。天気は快晴、風は弱く、暑くなりそうだ。保安林の地図付き看板があり、現在地点がはっきり分かった。
黒尾山から南に延びる尾根上の870mのピークから東に延びる尾根に15の鉄塔があり、その南側の谷を登っていく。地形図「安積」の550と記載された等高線の北の谷だ。
谷の南側は植林、北側は雑木林になっている。巡視路は南側の植林の中に付けられている。ときたま出てくるプラ階段で巡視路を歩いているのが分かるが、道標やテープ類は全く無い。
8:28
谷に注ぐ支流に簡易橋が掛かっている。さすが関西電力の送電線巡視路、重量制限150kgの立派な鉄製の簡易橋だ。
8:44
炭焼窯跡を過ぎて14と15の分岐に着いたが、14に行く道は不鮮明で、どこにあるのかよく分からない。15への道は2番目の簡易橋で渓流を渡り谷の右側に続いている。
谷を左下に見ながら少しずつ渓流から離れていく。川音が小さくなると道は雑木林の中を逆戻りし始め、おまけに下り始めた。迷ったかなと思ったが、巡視路のプラ階段が現れたので一安心。「火の用心」の道標も立っていた。
今度は植林の斜面を九十九に登り始めた。どうやら尾根に向かっているようだ。石が崩れていて道はかなり荒れている。落ち葉が積もりはっきりしない所もあるが、九十九の折り返しを通り過ぎないように注意していけば問題はないと思う。しかし、もし関電が手入しなくなったらこの道は数年で使えなくなるだろう。
15送電線鉄塔から16へ
9:24
鉄塔を大きく囲んでいる鹿除けネットの開閉部を抜け尾根の上にある15送電線鉄塔に着いた。今まで展望が全く無かったが、ここからは黒尾山頂上の電波塔が見え、頂上から東に延びる尾根が谷向うに見える。