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伊和三山その2、白倉山



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平成15年6月21日(土)  メンバー 私だけ

白倉山 しらくらやま 841.7m

2万5千分の1、地形図「山崎(平成14年12月発行)」と「安積」を参照すること。

※平成15年10月1日追記※
白倉山は841.7m三角点ピークではなく、この山行中11時21分に出合った植林の中の大岩が相当すると思われます。神戸新聞総合出版センター刊、須磨岡輯著「はりまハイキング」に記載の地図によると、大岩付近が白倉山となっています。


白倉山は行者堂から

今回は一宮町の伊和三山の一つ、白倉山に登ってきた。伊和神社を中心として西の高畑山、北の花咲山、東の白倉山の三山で伊和三山と呼ばれている。高畑山は今年の5月に登り、花咲山は頂上まで林道が登っていて誰でも登ることが出来る。

WEB上では一宮町と安富町との町界尾根を北に進み白倉山頂上に達した記録が「山であそぼっ」「Mountain&Cycling」にあるが、一宮町から登った記録は発見できなかった。まったく無名な山ではないので、何か登りにくい訳でもあるのだろうか。

さらにWEBを調べてみると白倉山の西の中腹にある行者堂、延命水の記事が出てきた。地形図を見ると行者堂から続く林道の終点近くに、白倉山西側の750mほどのピークへと続く尾根と交わっている地点がある。標高は380mほどの地点なので、頂上までは残り460mほど。地形図を10日ほどにらみつけていたら、自己暗示にかかってしまったのか、そこから登れるような気がしてきた。

国道29号線で、山崎町の市街地を抜け揖保川に沿い北上する。一宮町伊和神社の手前で右に入る。曲がり角は分かりにくく一度は通り過ぎ伊和神社まで行ってしまったが、「チェシャーホーム はりま自立の家」の案内看板を目印にすればいいだろう。

道路を西に直進し岡城川に架かる橋の手前で左に曲がり、次の橋を渡る。ここにも「はりま自立の家」の案内看板がある。

岡城川を渡り山の間に入っていくと、左手に「自立の家」の建物がある。さらに山の中へ右に左に曲がりながら舗装道路を登っていくと、「伊和瀧ノ内公園」の石碑が現れ、続く道の両側には小ぶりな歌碑が並んでいる。

9:21
「伊和瀧の内行者堂」すぐ下の駐車場に到着。行者堂は駐車場とは反対側の道の右側にある。地形図の寺院印の建物は道の左側にあるように見えるが、これは奥の院かもしれない。

行者堂
簡素なお堂だ

行者堂の入口には延命水の水汲み場がある。時間が早いせいか誰も来ていない。延命水を飲んでみたが限りなく無味で、ただの水といった感じだ。成分分析表が掲示されていたが、水道法による水質検査項目とはちがい、一般細菌や大腸菌の検査がないのが少し心配だ。

延命水
落ち口は上下2ヶ所ある

伊和清水延命水分析結果報告

 依頼者 新日鐵広畑製鐵所 秋本
 採取日 平成4年11月23日
 分析日 平成4年11月27日
 分析社名 大同化学工業所技術研究 分析課

分析項目及び結果

  分析項目 分析結果及び内容
 1 PH 6.8 1酸性←7→アルカリ10
 2 全硬度 72ppm
 3 Ca硬度 10ppm
 4 アルカリ度 
 5 蒸発残渣 70mg/l
 6 塩素イオン 5ppm 混ざりけがないミネラルウォーター
 7 硫酸根 2ppm
 8 鉄イオン 0ppm
 9 NH4+イオン 0ppm
 10 P分ppm 0.1ppm
 11 Mg硬度td> 16ppm
 12 外観 透明 沈殿物及び浮遊物なし

『コメント』

  1. 中性で飲料水に最適。
  2. 混ざりの少ないミネラルウォーター
  3. カルシューム・マグネシウム含有し健康に最適(天然のナチュラルさ)

付近の案内図があり、奥の院や滝、きりぎし不動尊、遺跡経塚などがあるようだ。帰ってきたあと時間があるようなら行ってみようと思う。


登山口探し

9:42
準備を整え登山開始。川に橋が架かり「木漏日の道」と名前が付けられた歩道が対岸に延びている。奥の院への参道のようだ。参道には入らず林道を登る。

道路の舗装は行者堂の上で途切れるが、その上も普通車で普通に走れるような良い道が続いている。林道「滝ノ内線」だ。

9:46
道が右に曲がるところの「奥の院」への分岐に着いた。立派な石の道標「奥の院参道入口」がある。今回はこのまま林道を登っていく。

9:51
また分岐があるが、分岐道は草に覆われあまりはっきりしない。ここにも立派な石の道標「きりぎし不動尊参道入口」があり、解説板もある。古代のタイムカプセルがあったようだが、今回はパス。

瀧ノ内経塚

この経塚は、平安時代末から鎌倉時代初め(12〜13世紀)に築造されたものと思われます。
当時の人々が経文を書写し、貴重器である中国渡来の磁器などをそなえ、弥勒仏の功徳にあずかろうとした情念のほどがしのばれます。
(経塚とは、釈迦入滅ののち再び民衆を救済してくれる弥勒仏が現れる56億7千万年後の世まで教典や仏具を保存しようとする一種のタイムカプセルで藤原道長が寛弘4年(1007年)に奈良県金峯山に納めたものが著名です。)

埋蔵遺物

外容器(須恵器甕)1点・銅製経筒(蓋筒)1点・鉄製刀子5口・中国製青土師器片若干

一宮町教育委員会

林道瀧の内線
普通車でも通れる

9:54
閉じることがないであろうゲートを過ぎてさらに登っていくと地形図の実線道の分岐地点に着いた。ここから尾根を東に登っていくと送電線のある一宮町と安富町の町界尾根に行けそうだ。分岐を右に少し行くが尾根に登れる道はなく、スズメバチが行く手に現れ慌てて引き返す。

分岐まで戻り尾根先端の向こう側に回ると、道の脇の斜面に尾根に向け短い木の梯子が掛けてある。確認はしなかったが、尾根には切り開きがあり町界尾根まで行くことが出来るかなと思う。今回の計画は直接頂上を目指すことにしているので、この梯子もパス。

10:08
地形図で点線で囲まれている広場に着いた。広場の西の端には木製の展望台がある。展望台とは名ばかりで、少々低く地面に立っているのとそんなに変わりないが、麓のはりま自立の家、伊和神社、その向こうには廃鉄塔が残る黒尾山が見える。ここまでは車で楽に登れ広場は駐車場になっている。


展望台から西を見る
中央が伊和神社の社業

10:19
景色を堪能し(実は今回の山行の中で唯一の展望地がここだった)、林道をさらに進む。道端の水溜りの上の枝にモリアオガエルの卵が産み付けられている。

10:28
道が広場状になっている林業基地を過ぎると、道は狭くなり路面も荒れてきた。車で入れるのは林業基地までだろう。

狭くなった林道を登っていくと、次第に下りになり林道終点の手前で尾根に登れそうな取り付きらしきものがあったが、とり合えず林道終点まで行ってみる。

10:48
林道は地形図の通りの地点で終点になっている。完全に行き止まりでどこにも行けそうにない。

10:52
終点から少し手前の尾根への取り付け地点に戻り、尾根に登ってみる。植林の尾根に道も切り開きもないが、うっすらとした踏み跡がある。地面には下草がなく、スギの落ち葉が積もっている。あまりすべらなそうな土の斜面なので、登ることが出来そうだ。

林道から尾根への取り付き
表示は何もない


植林の尾根を登る

植林の尾根の途切れ途切れの踏み跡をたどっていくが、境界杭やテープの目印などはまったくない。初めはかなり急な登りが続く。尾根の中央付近には溝があり、昔に伐採した木を運び下ろした跡なのだろうか。

尾根は真っ直ぐなので、下山時に迷う事はないと思うが、溝以外にはこれといった特徴のない植林が続くので時々振り返り、逆方向の景色を頭に叩き込んでおく。

小さなマムシ模様の蛇(マムシそのものだ!)が、行く手に現れた。大きく迂回し事なきを得る。

植林の中の急な登り
結構きつい

11:21
尾根の真ん中に巨大な岩が現れた。下から見ると上からのしかかるようにオーバーハングしていて、岩の下に入るのが怖いくらいだ。大岩は細いスギの木にもたれかかっているように見える。しかし、スギの木は傾いていないので偶然そこに生えて岩を支えているように見えるだけだろう。

大岩を左に巻き岩の上に出たが、下がないことを知っているので端まで行くことが出来なかった。上から尾根を下ってくると自然に大岩の端まで行くことが出来るが、下りてから岩を見上げぎょっとするだろう。この大岩が白倉山の岩座なのだろうか。

植林の中なので離れると見えないし、近づくと全体が見えないし、いい写真が撮れなかった。

植林の中の大岩
写真写りが悪いな

11:42
傾斜が少し緩やかになってきた。地形図を見るとこの上はまた急になるようだ。

歩きやすいが、踏み跡は薄い
どの辺かよく分からない


人工物現る

11:59
さらに登っていくと境界石が現れた。「一ノ宮」と彫られた立派なもので、この山に入って初めての人工物だ。境界石のすぐ上にはケヤキの大きな木が残してある。

境界石と国土調査のプラ杭
これで一安心

境界杭や境界石が現れたので、ここからはそれらをたどって行けば良いので気分的には楽になってきた。

12:28
左から来た尾根と合流した。標高は580mほどか。合流してきた尾根にはまったく踏み跡がない。尾根の分岐地点には境界杭があり、上面には方向を示す線が書かれているので何とかなるとは思うが、下りてきた場合はここから迷うかもしれない。しかしここを歩くような人なら余計な心配は不要かなと思う。

12:31
木の間に針金が張ってある。なんだろうなと思いながら進むと地面に網が落ちている。鹿除けネットの残骸だ。このネットの残骸は結局頂上近くまで続いていて、よい道案内役をしてくれる。網がほとんど落ちていて自由に通れるので登るのには邪魔にはならない。

12:48
緩やかになってきて、白倉山西の750mほどのピークに着いた。途中で何度も引き返そうと思ったがようやくここまでくることが出来た。植林の隙間から伊和神社の社業を見ることができ、白倉山山中の唯一のビューポイントだ。

白倉山西のピークから見えた伊和神社
見えたのはここだけ

12:51
ピークの東端に行くと「H13.1.29 コタニ」と書かれたハイカーが付けたようなテープがある。ここからはテープもあるし、境界杭もあるし、おまけに鹿除けネットの残骸も続いているし、白倉山頂上までは目をつぶっても行けそうだ。

13:11
東に30mほど下り、鞍部に着いた。ここから120mほど登り返せば白倉山頂上だ。

最後の急坂を登ると頂上までは緩やかな登りなる。いつのまにか踏み跡ははっきりとした道になった。左側から雑木林が近づいてきたが最後まで植林の中を行く。よって展望はほとんどなかった。黙々と登るだけで、あまり面白くはなかったが、誰も登ったことがないところを行くのが好きな人にはこたえられないだろう。気温は25度ほど、それほど暑くはないが、風の通らない植林の中は歩いていると汗をかいてくる。

13:22
林道から登り始め約2時間半、白倉山頂上に到着。ここも展望がまったくない植林の中で、ぽつんと三等三角点標石<点名:伊和>があるだけで、山名のプレートもなく思いっきり寂しい山頂だ。三角点以外には、測量に使ったのか木の棒と薄いベニヤ板、朽ち果てた紅白棒のかけらがあるだけだ。ただ頂上から南東方向にへはっきりとした道が続いている。

白倉山頂上
植林の中の頂上だ

三角点の近くに1ヶ所だけ、植林の中に日の光が差し込んでいるところがあり、そこにシートを広げ昼食を取る。暗い植林を眺めながら食べるコンビニ弁当のまずいこと、まずいこと。今まで食べた昼食のうちで最悪の部類に入るものだ。


下山は北の岡城川へ

13:53
再度白倉山に登ることはないことを確信しつつ、下山開始。

13:58
はっきりとした道を戻っていくと、登るときには気がつかなかったが、道は北側にそれて下っていく。少し下りてみると、道は九十九に付けられていて、路肩はスギの丸太で補強してあり、プラ板杭も九十九の曲がり角ごとに打たれている。

登ってきた経路を引き返すつもりだったが、計画を変更し北に下ることにする。頂上近くがこれだけしっかりした道ならば、岡城川沿いの林道に下りるまで楽勝だろう。ただひとつ不安な点は、登ってきた経路には薄かったものの踏み跡があったが、なぜか北に下りる道は非常にいい道なのに、最近人が通ったような形跡がまったく感じられないことだ。

白倉山頂上から北に下山中
道があると歩きやすい

上から3分の1ほどは植林の斜面に付けられた九十九の道で、折り返し地点にはプラ板杭があり行き過ぎることはない。路面は土なので道を見失う心配はないが、一部日当たりの良いケ所は背丈ほどの草が茂っている。これも無理やり突っ切れば何とかなる。

日当りがいい草の茂みを抜ける
足元には道がある

下山路の中間では谷の東側の、石ばかりの道を行く。道はあるが踏み跡がまったくない。私がここを登ったならば、本当にここを登ればいいのだろうか、道に迷ったのだろうか心配するようなところだ。時々プラ板杭があるだけで、テープもないしごみもまったく落ちていない、誰も通っていない道だ。

下山路下部も、谷の東側を下りていくが緩やかになり路面も土になり、道もはっきりしてほっと一安心。植林を透かして岡城川の北側の植林が近づいてくる。

14:50
川音が目前に聞こえて岡城川の岸に到着。頂上から1時間。狭い川の向こうに林道「東市場線」が見えているが、最近降った雨のためか水量が増えていて、靴を履いたままでは渡渉できない。

靴を脱ぎ、靴下を脱ぎ、ズボンの裾を上げ、渡渉する。水深はふくらはぎの下部程度、幅は3mほどで危険はなかった。しかし、大雨が降った後ならば渡渉は困難になるだろう。そのような時は下流側に行くと、林道の橋に出ることが出来る。だめなら、白倉山頂上まで戻るしかないだろう。

岡城川の流れが行く手を遮る
狭く浅く危険はない

岡城川の渡渉地点の林道には国土調査の頭の赤いプラ杭と、同じく国土調査の頭の黄色い少し大きいプラ杭があり、川側の路肩に車を止められそうなスペースがある。下流の岡城二号橋から徒歩5分ほど上流の地点だ。白倉山登山口などの表示はない。

登山口からいきなり渡渉しなければならず、林道から登山路を確認するのが不可能で、表示もまったくないとなれば、ここから白倉山に登ろうと考える人はいないだろし、ここが登山口だと知りえることもないだろう。

安富町側から登った人が、この下山路に気が付いても下りた後に登山口まで戻らなければならないことを考えたら、この道を下りないだろう。これが下山路にまったく踏み跡がなかった原因だろう。

林道のこの地点から右に渡渉する
分かんないだろうな

伊和に下る林道は簡易舗装がしてあり、車でも気軽に入ってくることが出来き、これからの季節水遊びに最適な川だろう。

岡城川に沿って緩い下りの舗装林道をテクテクと歩き、車で登った自立の家からの上りをのんびりと戻る。

16:20
林道歩き約1時間で行者堂に戻ると、延命水をポリタンクに汲んでいる人たちの車が4台ほど止まっている。持っていった水を全て飲み干し喉が渇いていたので、延命水をペットボトルに汲み飲んでみたがまったくの無味なので、水を飲んでいるような感じがなく不思議な喉越しだ。この延命水に比べたら、売られている「南アルプスの天然水」などはまるで味つき水のような気がする。

16:44
充分休憩し、車を出す。山崎から姫路までは土曜日の午後らしく少し込んでいた。

今回の白倉山は登りも下りも植林の中で、展望もなくはっきり言って面白くはない山だったが、1回は登ってみてもいいかもしれない。登る途中に見た大岩だけは一見の価値があるかもしれない。しかし暗い植林の中にあり、岩の上に行っても展望があるわけでもなし困ったものである。

帰宅後左足の靴下が血に染まっているのを発見。お腹がいっぱいになったヒルも転げ出てきた。うわーっ。



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