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古法華の善防山、笠松山



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平成16年2月15日(日)  メンバー 私と娘その1

善防山 ぜんぼうやま 251m
笠松山 かさまつやま 244.4m

2万5千分の1地形図「笠原」を参照すること。


加西市の古法華

記念碑
昭和の脚光 古法華山の沿革

当古法華山は、前方に善防山系背後に笠松山系等八葉の花びらに囲まれた蓮華台上に位置し、古しえより遠近の里人の信仰する風光明媚霊験あらたかなる霊場である。本尊石造浮彫如来三尊像は、今を去る約1300年前、奈良朝前期所謂白鳳時代の石造彫刻で、我国最古最優秀の石佛であり昭和36年6月その厨子屋蓋、彼の大和法隆寺の玉蟲厨子を想像する行基尊入母屋造り屋蓋と共に、国の重要文化財に指定され、奈良国立博物館に保管、広く国内外にその古色偉容を示していたが、今般地元八ケ町の信仰と愛着の熱意と、県、加西市の協力により、現地に収蔵庫の建築と石佛の修理を完了して10年振り待望の帰山なり報地を尊厳し、我々先祖代々地元民の信仰帰趣、偉大なる石佛として、子々孫々永く後世に遺すことになった。

   いにしえに聖人のいますあとなれば
    これぞまことの 法の花山

悠久こゝに1300年、佛日愈々輝きを増し法輪常に転じ、裴日とこしなえに朗らかに、四海安泰世界平和の三昧を同顕し、社会親善の神力を成就し家門繁栄交通安全、諸縁吉祥ならんことを。

維時 昭和46年辛亥年5月5日
石造浮彫如来収蔵庫建設落慶之日
古法華山管理 多聞十六世大忍隆沙門謹誌

今日も娘その1と加西市の善防山、笠松山に登ってきた。昨年の秋に西隣の藤の木山に登った時に東側に見え、気になっていた山だ。


善防山の東端から登るぞ

古法華寺を山々が取り囲み、それを横切り東西に車道が通っている。駐車場は西側のバスの終点近く、古法華寺のそば、東側の広めの直線道路が狭くなるところの、3ヶ所にある。お勧めは最後の駐車場で、それも東側から入ることを強く勧める。

10:27
古法華の東の駐車場に到着。20台以上止められる広めの駐車場には5台ほどしか止まっていない。駐車場から西へ狭い急な車道が古法華寺へ登っていて、その脇には「古法華自然公園 加西市」の石碑が建っている。

周囲には桜の木が多いのでその時期には賑わいそうだが今日はひっそりしている。駐車場には「古法華ハイキングコース案内図」がある。関西電力が寄贈した案内図で送電線でも通そうかという下心があったら困るな。

10:31
古法華自然公園に背を向け北東へ車道を歩き始める。娘その1は不可解な顔をしている。途中にハイキングコースの入口もあるがそこからは入らない。

突き当たりの善防中学校ではなにやら催し物を行っているようで、スピーカからは大きな音で音楽を鳴らしている。結局この音楽は山行中常に聞こえていた。

中学校を東に曲がると溜池(皿池)の中に島が浮かび木橋が架かっている。「加西市立 善防公苑」で敷地内にある善防公民館に大きな駐車場があり一般車も止めていいようだ。

公民館も過ぎ、道なりに進むと古法華の山々が離れていってしまう。娘その1はどこに行くのかと心配顔だ。

10:59
54mの標高点のある王子町交差点の先の、神姫バス「下里農協前」に着いた。バス停横に山へ向う地道があり、道標が建っていて「善防山登山口」と表示されている。古法華自然公園東駐車場から30分でようやく登山口に着いた。

「下里農協前」バス停横の登山口
今日は真赤な娘その1

地道は車が走れるほどの幅があるが、3分も行くと緩やかに登る狭い道になり、ようやく山登りらしくなってきた。ここで公民館駐車場から出発したハイカーに追い越されてしまった。

11:16
小学校からの道と合流し、中央がえぐれた道を登って行くと岩場が現れ低いが展望のよい地点に着いた。東には加西市の田園風景が広がり、西を見るとこれから登る善防山の岩尾根が頂上に向け延びているのがよく見える。

この岩場には3m四方ほどの穴があり、周りは自然石とモルタルで縁どられている。おそらく元日の御来光を待つ間の焚き火をする場所と思うが、穴の中は草が茂り最近は使われていないようだ。また穴の横にはコンクリート製の枡があり鉄蓋が載っている。これは防火のため残り火を集めて入れるものと思うが、開けて見たら中にはぎっしりとゴミが詰まっていた。

西には善防山の岩尾根が
先行する単独者が小さく見える
(縮小したら見えなくなってしまった)

急に見えた岩尾根は、登ってみても急だったが岩の摩擦が大きく比較的登りやすい。娘その1は四輪駆動で元気に登っていく。この岩尾根は登りに使うと気持ちよく(高所恐怖症だと少し辛いかも)登れるが、下るのは一歩踏み外したら麓まで転げ落ちそうで怖そうだ。この辺が今回のルートの一番目のお勧めポイントだ。

登りやすい岩尾根
まだまだ元気な娘その1


善防山頂上から吊橋へ

11:32
岩尾根は終わり、雑木の中を南に少し巻くと南からの道と合流する。合流点には不可解な道標がある。南に下る道には「牧場行き 難易度★★」とあり、頂上方向には「第二頂上行き★」、反頂上方向には「富士山行き★★」とある。最後の富士山はあの3776mの富士山のことだろうか。よく分からない道標だが、ここは「第二頂上」に向う。

11:44
第二頂上に到着。親切にも「第二頂上到着」と書かれた標識があり、「富士山牧場行き、第一頂上行き」の道標もある。牧場の名前が富士山なのだろうか、疑問は益々深まってきた。ここは雑木に囲まれ展望は悪い。北向きの「とんがり岩行き」の道標もあるが、ここは第一頂上に直行する。いきなり倒木が道を塞いでいるが乗り越えていく。

11:50
ほぼ平坦な雑木の中の道を行き、これまた雑木に囲まれ展望のない「善防山」頂上に到着。古法華から来た年配の夫婦が昼食中だった。

数枚の登頂プレートが下がり、見慣れた、両側が赤い兵庫登山会の山名表示板もある。前期赤松時代には山城があったという噂を聞く山で、攻め手を登りにくくするために敷き詰めた油を塗った竹の皮に、逆に火を点けられ落城したという話は本当のことなのだろうか。

善防山頂上の岩の上
うーん、何も見えないぞ

11:57
善防山頂上から少し西に行くと直径2mほどの丸い岩が行く手に現れる。この辺までは山道の両側は雑木が茂り展望はないが、丸岩に登ると一気に眺望が広がり、これから登る笠松山や周囲の山々が目に飛び込んでくる。

手掛かりのない丸岩なので登るのは苦労するが、登ってみる価値は十分ある。但し少し進めば同じ景色が見えるようになるのだが。丸岩から下りるのは飛び降りるのが一番簡単だ。ここが今回の2番目のお勧めポイントだ。

登るのが大変な丸岩
果たして娘その1は登れたのだろうか

丸岩の先は比較的眺望がよく正面に笠松山のピークを見ながら下って行く。右手からハイキング道が合流した先で尾根を行く道は急に狭くなる。そこからは吊橋に行く道が右側に分岐し下っている。直進しても面白そうだが、吊橋に行くことにする。尚この分岐には道標はない。

12:23
緩い登り下りの岩場の道を、眺望を楽しみながら行くと唐突に吊橋が目前に現れる(手前に吊橋が見えるポイントがあるが、良い山行をするためには、吊橋が目に入らないようにしなければならない)。

古法華を東西に横断する車道の上をまたいで架けられた高度感のある吊橋だが長さはあまりない。ここは下を激流が流れ、吊橋ももう少し危かしいものを想像しながら渡ると、あの「インディージョーンズ」の世界を体験できる??。吊橋の手前には下の車道に下りる道もある。

吊橋、名前は付いていないようだ
下を覗くと結構怖い、揺らされると更に怖くなる

吊橋の正面の岩場には鎖が下がっているが、岩のグリップはいいので無理に鎖を使う必要は無い。しかし、鎖があれば雪の日でも安心して登れるかな。

眺めもいいし、吊橋を渡る人たちも見下ろせるので、岩を登ったところで昼食にする。早速、幼い子どもを連れた三世代の家族がやってきてキャーキャー言いながらも吊橋を渡り岩場も登り、隣でお昼ごはんを食べだした。その次ぎはこれまた幼い子を連れた若い夫婦で、子どもたちが吊橋を怖がり結局渡れずに引き返していった。


展望抜群な笠松山へ

石切り場跡
石切り場跡を右から回り込み笠松山へ行く

古法華寺から北に入る車道の終点は駐車場になっていて、周囲は「長石(おさいし)」を切り出した跡の絶壁となっている。今でも外周部では長石の切り出しが続いている。

吊橋を渡った北側の岩場から道は二つに分かれ、片方は古法華寺にそのまま下る道。もう一方は過去と現在の石切り場の間に残された、狭い岩尾根を反時計回りに進み笠松山を目指す道で、この道を行く。眺望のいい道が続き飽きさせないが、真夏に歩くと灼熱の太陽・焼けた岩盤・岩からの照り返しで人間の干物ができそうなところだ。

13:00
狭い岩尾根を周ると俵を積んだような岩場に突き当たる。段差はあるが結構登りやすく、岩場を登りきると低木の間の平坦な道が笠松山手前まで続く。

石切り場北の岩場
石の俵を積んだように見える

13:14
古法華寺から道と合流し、目前の笠松山頂上の展望台から周囲を見渡す人や、岩場の道を登る人たちが見える。

頂上に展望台がある笠松山
とんがった山だ

13:21
ほとんど必要のない鎖場もある、岩盤の登山道を登り笠松山に到着。三等三角点標石(点名:法華山)があり、登頂プレートが5枚ほど下がっている。頂上は雑木に囲まれ、葉が落ちた今は周囲がある程度見えるが、夏場は展望の無い山になってしまうだろう。

しかしこの笠松山頂上には擬木で作られた展望台があり、登ると1年中360度の展望を楽しむことができる。笠松山は高い山ではないが周囲の山々も同じようなものなので、はるか彼方まで見通すことができる。

笠松山頂上の展望台
展望は実際に登ってお楽しみ下さい

13:34
登ってきた道以外に笠松山頂上からは2本の道が下っている。1本は北西の214m標高点に向うもので「熊野神社(権現堂)900m」の表示がある比較的緩やかな下りだ。もう1本は南側の200m程の東屋があるピークへ下る急な道で「大柳ダム方面800m」の表示がある。ここは迷わず登ってきた道を引き返すことにする。

13:40
頂上から東に下った分岐からは、「石彫アトリエ館」方向に南東に下る。岩場の道が古法華寺まで続いている。

もうすぐ古法華寺だ
一乗寺はここから発祥したようだがその面影は今はない

13:54
笠松山頂上から途中で道草を食うも20分で、「長石」で造られた七福神像の裏手に下山。

国指定重要文化財の「石造浮彫如来三尊像」が納められた鉄筋コンクリートの収蔵庫、古法華寺の小さめな本堂と石彫アトリエ館があり周囲には色々な石仏、磨崖仏がある。どの石仏も最近の作で、千年ぐらい後にここを訪れるとドラエモンの像が国宝に指定されてるかもしれない。

14:21
石仏を見た後、吊橋の下をくぐり急な舗装道路を下り東の駐車場に戻る。帰りは散策をする人もいる、古法華の中の狭い道をゆっくりと車を進める。西側の駐車場周辺には広場やキャンプ場もあり、多くの人たちが古法華自然公園で冬の一日を過ごしていた。



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