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ぐるっと1周、水剣山



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平成16年3月28日(日)  メンバー 私だけ

水剣山 すいけんざん 872.0m

2万5千分の1地形図「山崎」を参照すること。(平成14年12月1日から後に発行されたもの)


憧れの水剣山

平成15年5月、南側から黒尾山に登ったとき、意外な近さに水剣山の吊尾根が見えた。それ以前から登りたかった山の一つだったが、どこから登ったらいいものか皆目見当がつかず憧れの山になっていた。

「兵庫の山々 山頂の岩石」の橋本さんがその年の2月に登ったのは知っていたが、登山口からの標高差650m・籔・エスケープルート不明などの不安要因に阻まれ計画を立てられないでいた。

しかし今を逃すと籔が繁茂し山行は困難を極めるのは明らか。天気予報も快晴の行楽日和になると伝えている。


大谷集落の奥から送電線巡視路を登る

長水山の北の麓に山々に囲まれた大谷の集落がある。そこから林道が水剣山頂上を目指すかのように北に延びている。林道は集落を離れると地道になるが、水道施設(大谷配水池)のすぐ奥に砂防ダムがあり、その脇に車を2台を止められるスペースがある。

9:10
砂防ダム脇に到着。ここからの行程は「兵庫の山々 山頂の岩石」をトレースするが、あえて逆回りにしてみた。つまり東側から登り西から下山することとした。

9:28
登山準備を終え行動を開始する。

9:33
左に渓流の流れる音を聞き、植林の中の林道を5分も登ると左側に「火の用心」の送電線巡視路標識が現れた。巡視路は渓流を渡り西側の山の中へ続いているようで、ここが下山予定地点となる。

そのすぐ先の右側にも「火の用心」標識があり、そこが登山口となる。「火の用心」標識以外は何もなく、植林の斜面へと薄い踏み跡が延びている。

水剣山の大谷東登山口
この植林を登るのかな

植林の中の送電線巡視路は落ち葉が積もり分りにくい部分もあるが、要所要所にはプラ階段があり目印代わりになっている。巡視路らしく勾配も緩やかで登りやすい道が続く。

9:51
道脇に黄色テープが現れ、巡視路を離れ真っすぐ上へ登るように誘導している。巡視路を進むと植林が折り重なるように倒れ進むことができない。戻って、テープの指示通りに登るとまた巡視路に出ることができた。この先、黄色テープは判断に迷うようなところに必ず現れ助けられた。

10:10
炭焼窯跡?を過ぎると周囲は雑木林となり、展望が開けてきて南側の長水山が見えてきた。400m標高点の北辺りか、まだ長水山頂上よりも標高は低そうだ。

10:14
2段重ねの「火の用心」標識が現れ、その先の岩が混じる急斜面の右側を巻いて巡視路は登っていく。急斜面の上は好展望地となっていて、長水山がよく見える。

一番目の展望地
何が見えるかは登ってみてからのお楽しみ

小さなスミレの花が咲く巡視路は登るに従って状態が良くなっていく。周囲は明るい雑木林、天気も良くいい気分だ。

良く整備された巡視路階段
振り返ると長水山が

10:46
開閉式の防獣ネットを通り、尾根に立つ平成9年建築の送電線鉄塔(播磨西線70)に着いた。南は長水山がほぼ同じ高さに見え、西から北には深い谷の向うに766mピークから水剣山の頂上までが見える。残念ながらここからは頂上東側の吊尾根は見えない。

送電線鉄塔から南の長水山が
誰か登っているのだろうな


次は808mピークの電波反射板だ

巡視路は808mピークにある反射板まで続いているようで、まだまだよい道が続く。しかし、登り斜面になると踏み跡は怪しくなり、尾根の幅も広く見通しが利かないが、とにかく北を向いて高い方に登っていけばいいので、気楽でルートハンティングも必要としない。

展望地はなく、単調な登りが続く
切り開きはある

11:50
登り始めてから2時間20分、送電線鉄塔から50分かけて、808mピークにある関西電力が平成11年に建築した「梯反射板」に着いた。反射板に登ったら抜群の展望だあろうが、それを見透かすようにネズミ返しが鉄骨に付けられている。こんなところに立つ反射板では珍しいことだ。

東側が良く開けているが、西の水剣山頂上方向は潅木で視界を遮られている。ピークには赤く塗られた「字奥山官林・界標第88号」と刻まれた石柱が立っているが吊尾根方向の見通しは利かない。

反射板からの展望


籔っぽい吊尾根から水剣山頂上へ

踏み跡を辿り北に進むと赤く塗られた境界石が埋まっている。けれども、左後を振り返ると頂上へ繋がる吊尾根が見えるではないか。吊尾根への取り付きを行き過ぎてしまった。

しかし境界石があるしっかりした切り開きは北東に続いていて、梯から北に延びる林道へ下れるかもしれない。

808mピークまで戻り吊尾根への取り付きを探すも分らない。地形図で方向を定め適当に下っていくと木々が伐られていて、それが踏み跡を隠すように倒されている。切り開きを作る途中なのか、それとも境界調査のためなのか、今のところは歩きにくい状態になっている。北側は植林、南側は雑木林の尾根は狭く境界石もあり真っすぐなので、かなり籔がかってはいるが迷うことはないだろう

808mピークから下りたところ
伐採された木々が踏み跡を隠している

12:34
吊尾根のほぼ真ん中あたりか、大岩が露出している好展望地に出た。南にはなじみになった長水山、西を見ると水剣山の頂上も近くに見えるが最後は激登りが待っていそうだ。ここで昼食にする。

この手前に平らなお食事ポイントが
岩尾根はここだけだった

12:52
昼食を終え、吊尾根を西に進む。東側半分より少し歩きやすい気がする。

頂上までの標高差100mほどの地点から、急な登りになる。赤く塗られた境界石が見える範囲に必ず1個はあり、少ないがテープの目印もあり、登りでも下りでも迷う心配はない。

水剣山頂上への最後の急登
この写真ではあまり急には見えないな

13:20
たどり着いたところには黄色のテープが長く張られている。逆回りに水剣山に登ったならば、この黄色長テープからの境界石を南東に下れば吊尾根に乗ることができる。

水剣山の頂上は地形図を見ると東西のピークと南の三角点ピークからなり、キツネの顔のように見える。右側の目が880m+、左側の目が870m+、口は872.0m三角点ピークになる。

13:25
一番高そうな右側の目に行ってみるが雑木の中で展望はない。ピークを越えて北に出ると木々が伐採され大展望が広がっていた。獣除ネットが張ってあるが開閉可能部分があり外に出ることができ、正面に黒尾山がその左にはまだ雪を被る氷ノ山・三室山・後山が遠望できる。

獣除ネットの行き先を見ると742m標高点を通る尾根から地形図の破線道の峠へ下れるような気がする。


水剣山頂上から北の大展望
この伐採地を見ると
ここまで簡単に登れるルートがあるような気がする

13:40
展望地から南西のピークに行くと、大きな赤い境界石がある。三角点標石はどこかなと探すも見当たらない。よく見ると境界石と見えたのが872.0m三等三角点標石だった。登頂記念プレートは一枚もなく展望もないピークだ。

左側の目は植林の中にあり行かなかった。しかし、そこにも大展望が待っていて快適な切り開きが759mピークへ延びていたのではないかと思えてならない。なぜ行かなかったのか悔やみきれない。


南の766mピークから送電線鉄塔へ

三角点ピークから南の激急下りにも点々と境界石があり、明確な尾根を下っていくので迷いようがない。雑木の尾根で踏み跡はないが切り開きはあり、登るのは大変だろうが下る分には快適だ。766mピークが行く手に見えるがグングン下っていき登り返すのが大変そうだ。

水剣山頂上から南への激下り
この写真もあまり急には見えないな

14:09
植林の中の700m+の鞍部に着いた。ここから766mピークの東側を巻いて行けば登り返さずに済みそうだが、とんでもない急斜面で実行できそうにない。また東側の谷底の破線道へは奈落に落ちるかのように見える激斜面が待ち構え、地形図には「がけ(土)」印もありショートカットなど出来そうにない。

14:25
疲れてきた足にこたえる、結構急な登り返しで766mピークに着いた。ここから南東に下る尾根に乗らなければいけないのだが境界石・切り開きはそのまま南に下っている。雑木が茂り南東の尾根方向は見通しが利かない。

しかし頼りになる黄色テープが南東の激斜面へ誘導している。地形図とコンパスで求めた下山方向とも完全に一致し間違いないだろう。

激斜面を下ると無事に目的の尾根の乗ることができた。この尾根には境界石はないが黄色テープが所々にあり、非常に明確な尾根で迷いようがない。しかしこのコースを今回と逆回りすると激登りが多く大変だろう。

14:39
尾根の西側が開けていて、眺めがいい状態が送電線鉄塔近くまで続く。日当りがよく、もうすぐ草が茂りイバラも繁茂しそうだが真夏でも通れないことはないと思う。東側は雑木が密集した林で通ることができなく、ここが夏場の核心部となるだろう。

西尾根も展望がよい
真夏に来てみたい気もする

15:08
580m+にある送電線鉄塔(播磨西線69)に着いた。この鉄塔の北側の獣除ネットは網目が切られていて、7ケ所ほどの結び目を解いた後くぐり抜け、また結び直すというめんどくさいもので、ネットの通過だけで10分ほどかかってしまった。

69番鉄塔に出た、後ろは水剣山頂上
ここも眺望がよい


送電線巡視路を下り、出発点へ

15:20
鉄塔から南に1分ほど行くと、「火の用心」標識があり送電線巡視路が東に分岐し下っていく。この巡視路を下れば、登り始めた地点に着くはずだ。

大きく九十九に付けられた巡視路は暗い植林の中を緩やかに下っていく。曲がり角や急坂にはプラ階段が設けられているが、落ち葉が厚く積もる初冬には道を見失うかもしれないので注意が必要だ。

送電線巡視路の下り
暗い雑木林を下る

15:50
尾根から巡視路を下ること30分、標高差約300mの長い下りは終わり渓流の音が聞こえてくる。

渓流の側を少し北に進むと渡渉地点の目印かビニール紐が木の間に張ってある。渓流の水量は少なく石伝いに簡単に渡れるが、豪雨の後などはどうだろうか。登り始める前にこの渓流に下りて、渡渉可能か判断してから登山を始めないと最後の最後になって泣きを見ることだろう。

最後の渓流の渡渉
もうすぐ終わりだ

16:00
登山開始から6時間30分、砂防提脇に止めた車に戻る。

一部藪もあるが、尾根への登り下りは送電線巡視路を使うことができ、展望もまずまずで(天気が良かったせいもあるが)快適な山行を楽しむことができた。 水剣山に登るだけなら北側の林道からより短時間で登れるルートがあると思うが、水剣山を楽しみたかったら今回のルートがお勧めだ。



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