上笹古墳まほろばの森
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平成16年4月18日(日) メンバー 私だけ
2万5千分の1地形図「安志」を参照すること。
新宮町の森林公園
午前中の安富町と山崎町の境の禅師山廃寺跡に続き、午後からは新宮町の「上笹古墳まほろばの森」にやってきた。ここも禅師山廃寺跡と同じく凡太郎の山歩きで紹介されていて、田舎のおじさんのホームページ 生活環境保全林上笹古墳まほろばの森という長い名前のサイトでも紹介がなされている。
揖保川にかかる「香島橋」を渡り上笹集落をそのまま通り過ぎると、谷の入口に「上笹古墳まほろばの森」の案内板が立っている。
案内板付近には「ミニ武道館」の駐車場があるだけで「まほろばの森」来所者用のものはない。しかたがないので、道端の適当なところに車を停めて昼食をとる。
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上笹古墳まほろばの森
(上笹生活環境保全林 98HA)平成4年頃から大発生した松くい虫の被害により上笹周辺の山の松はほとんど枯れてしまいました。これを契機として、荒廃した森林の整備(手入れ)を進めながら、歩道や休憩施設をつくり、併せて治山ダムを設置することにより、住民の良好な生活環境を創出する治山事業を、平成7〜13年度にかけて実施しました。
上笹古墳群
林道沿いに10基程の古墳が分布しており、石室の様子を間近に見学できます。
地名の由来
播磨国風土記によれば、応神天皇の地方巡行の際、猿が笹の葉をかんでいたことにちなみ笹山と呼ばれるようになりました。実際に林内には笹が多く茂っています。
モデルコース
- 展望ハイキングコース 鹿印(90〜120分)
- 植物観察コース 鳥印(60〜90分)
- 散策コース 虫印(20〜30分)
四季の見どころ
春 町花であるヤマツツジを始め、ヤマザクラやマルバアオダモに花が咲き競います。
夏 木陰で散策をお楽しみください。どんぐりの森ではクワガタムシも見つかります。
秋 オレンジ色や黄色に輝く紅葉の美しさ。どんぐり拾いで遊びましょう。
冬 日当りの良い歩道を展望あずまやまで登れば、新宮町の町並みや瀬戸内海が望めます。※里山林は、燃料となる薪や、肥料となる落ち葉を採るために、古くから人々に利用されてきた林のことです。最近では人が林を利用しなくなったために林がやぶになり里山林が少なくなっているので、治山事業による森林整備により、かつての里山林の姿を再現しました。
事業主体:兵庫県
展望ハイキングコースを歩くぞ
地形図と案内板を見比べると、地形図の実線ループ状の道の9時から6時までの間は「あせびの道」と名前が付けられているが、関係者以外立入禁止の管理歩道となっている。それ以外に南東側の「やまざくらの道」も立入禁止になっている。どうやらまだ遊歩道の整備が続けられているようだ。
13:05
90〜120分かかる「展望ハイキングコース」に挑戦することにして、案内板前から出発する。案内図の「展望ハイキングコース」には「鹿」印が付けられている。おそらく分岐点の道標には、「鹿」印を使った明確なコース案内があることだろう。
13:06
川の右岸を行くと、いきなり分岐がある。
左:展望あずまや1200m、どんぐりの森500m 直進:古墳の森200m、憩いの森600m
ここから古墳の森を通り憩いの森へ進むのだが、「鹿」印も「鳥」印も「虫」印も付いていなく、コース案内図との整合性がとれていない困った道標だ。
初めて来た人には情報量豊富なコース案内図を完全に記憶出来るわけはなく「展望あずまや」「どんぐりの森」「古墳の森」「憩いの森」と言われてもどこがどこやら。ここを何年間にもわたり整備し全てを熟知した人に、はじめて来た利用者の感覚を理解するのは難しいだろうが、もう一工夫してより分りやすい道標にして欲しいものだ。
道標の先にこれから行く古墳の解説板がある。
上笹古墳群
上笹の山麓部には、十数基の古墳があります。町内には約150基の古墳があり、大半が6〜7世紀に築造されたものです。上笹古墳群も同時期に築造されたものと思われ、ほとんどが横穴式石室を内部主体としています。半分以上の石室が埋もれたり、壊れたりしていますが、開口しているものもいくつかあり、石室の長さが10mの7号墳は、町内では最大級の石室です。
古墳の石室からは、死者を葬る時に副葬された土師器や須恵器、死者が身につけていた金環や銀環などが今までに見つかっています。
古墳は地域の歴史を語る貴重な文化遺産です。我々の手で守り、つたえてゆきましょう。昭和61年3月1日 新宮町教育委員会
13:10
橋を渡り現役の炭焼窯の横を行くと「里山林」の解説板があり、周辺の落葉樹の新緑がすばらしい。地道の林道だが車はさらに奥まで入れそうだ。
里山林
この森は、戦後間もない頃までは、たき木やまきを採ったり、落ち葉を集めて田畑の肥料にしたりして、ふもとの人々に利用されていました。このように人々に利用されながら、多くの植物や動物が共存している林を「里山林」と呼んでいます。しかし、石油やガス等の化石燃料、化学肥料の普及にともない、この森もしだいに人々の手が加わらなくなり「やぶ」になってしまいました。
新宮町ではほとんど見られなくなった「里山林」をこの森で再現したところ、林の中がすっきり明るくなって町花の「やまつつじ」がたくさん咲くようになりました。事業主体:兵庫県(平成7〜13年度生活環境保全林整備事業)
里山林解説板の先に、左側の川に沿った平地に入る分岐がある。
左:古墳の森 直進:憩いの森400m
「古墳の森」は明るい雑木林の中に散策路が造られ点在する古墳を巡っていく。古墳自体は小規模なものだが、今の墓地に比べたら恐ろしく贅沢な墓であることは間違いない。私も死ぬ前に石室のある墓を造りその中で永久の眠りにつきたいものだが、かなわぬ願いだろう。
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古墳巡りを楽しんでいたが、林道の脇に解説板が立っているのが見える。ここの古墳の解説かと思って林道に戻り前に回ると、この「古墳の森」の木々の解説だった。
古墳の森
この森は、古墳時代にはカシやシイなどの常緑の「どんぐり」の木からなっていたと考えられています。
古墳時代の森を再現するため、当時生えていたと思われる木の「どんぐり」を新宮周辺の山から集めて苗木に育てて植えました。※常緑の「どんぐり」の木
アラカシ・シラカシ・ツブラジイ・アカガシ・ツクバネガシ・シリブカガシ
※落葉の「どんぐり」の木
アベマキ・コナラ・クリ事業主体:兵庫県(平成7〜13年度生活環境保全林整備事業)
右手に「つつじの道」の分岐があり、その先の南側344m標高点方向の幅の広い谷に、3段になった「床固工」が設けてある。「とこここう」と読むのだろうか。私は、どんなもので砂防ダムと呼んでいるが、治山の世界も奥が深そうだ。
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治山事業の床固工について
上笹の渓流は、昭和24年の水害では多くの土砂を流出させ、下流の水田に大きな被害を及ぼしました。 それ以降大きな災害は発生していませんが、この間に渓流は下や横に大きくえぐれ、大雨が降れば周囲の土砂や立木を巻き込んで大きな土石流を発生させる恐れがありました。
この渓流は、谷の出口が扇状地なので水があふれやす出やすい地形であるため、3基の床固工により流れを固定しています。また、土石流が発生した時には、床固工の落差によりエネルギーを弱める働きも備えています。
治山事業では、工事で木を切った跡地に樹木を植栽して、早く周辺の環境になじむようにしています。事業主体:兵庫県(平成7〜13年度生活環境保全林整備事業)
13:24
地形図に記載されている大規模な砂防ダムの横を過ぎて、さらに車の入れる林道は奥に延びている。その林道の終点が「憩いの森」で、駐車場・トイレ付き休憩所・地図付き案内板があり、この「上笹古墳まほろばの森」の中心施設となっている。
砂防ダム(谷止工)の横に獣除ネットが張ってあり、その一部が開閉でき階段道が続き砂防ダムを間近に見学できるようになっているようだが、残念ながら「きけん立入禁止」の表示があり一般公開はされていない。
木製獣害防止柵
苗木を鹿の食害から守るための柵です。
門の戸じまりは、入る時も出る時も、そのたびに確実に行ってください。兵庫県龍野農林振興事務所
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治山事業の谷止工について
上笹の渓流は、昭和24年の水害では多くの土砂を流出させ、下流の水田に大きな被害を及ぼしました。
それ以降大きな災害は発生していませんが、この間に渓流は下や横に大きくえぐれ、大雨が降れば周囲の土砂や立木を巻き込んで大きな土石流を発生させる恐れがありました。
この2基の谷止工は、渓流のえぐれをくい止めて周りの森林が荒れてしまわないようにする働きのほか、土石流が発生した時にはそのエネルギーを弱める働きがあります。
また、上笹周辺の山林では山火事がたびたび発生しているので、防火用水利としての働きも備えています。(止水栓のハンドルは休憩施設倉庫に保管しています) なお、この谷止工で使用している丸太は、腐った時点で交換できる新工法(交換型丸太型枠)によるものです。治山事業では、遅れている人工林の間伐を進めるために、さまざまな形で間伐材を利用する取組みも行っています。事業主体:兵庫県(平成7〜13年度生活環境保全林整備事業)
展望の道を行く
13:30
「憩いの森」から谷川にかかる木橋をわたり「展望あずまや1200m」を目指し「展望の道」を歩き始める。
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13:32
右手から「つつじの道」合流してきて、その先2分で「どんぐりの森1100m」へ行く「もみじの道」が左へ分岐している。またその先2分で「山頂1800m」へ行く「あせびの道」が右へ分岐している。しかし「あせびの道」入口には「危険につき関係者以外 立入禁止」の大きな警告板がかかり入れないようになっている。
ここは地形図のループ状になった実線道の分岐点で、立入禁止の道を行くと431.1m三角点のある山に行けるのだが、決まりを守る私は「展望あずまや1000m」へ行く「展望の道」を行くことにする。
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13:52
「展望の丘」に着いた。地形図の実線道の一番西端に当るところで「山頂1600m」へ行く「あせびの道」が分岐しているが、ここも立入禁止になっている。ここからは上笹集落、揖保川、その南の鶏籠山から的場山・亀山がよく見える。
13:56
尾根の上の「展望あずまや」に到着。あずまや自体が邪魔になるが、それでも遮るものがない大展望が広がっている。