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地獄鎌尾根から登る薬師峯



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平成16年5月3日(月)  メンバー 私だけ

薬師峯(七種薬師) やくしのみね(なぐさやくし) 616.2m

2万5千分の1地形図「前之庄」を参照すること。


四度目の薬師峯

今年の3月に東側の福崎町野外活動センターから七種薬師に登ったが、そのとき夢前町前之庄三枝草から地獄鎌尾根経由で登ってきた方から、道も道標も整備されていたとの情報を得て今日登ってみた。

前之庄三枝草、村田牧場北の明王池から東の尾根に登り、地獄鎌尾根へ。七種山から薬師峯へ続く稜線に乗り薬師峯頂上へ。南に尾根を辿り板坂峠へ下山し出発点に帰るという周回コースで行くことにする。

2年前の地獄鎌尾根は背を越すシダヤブのジャングルもあり通過が困難だったが、違う山に来たのかと思うほどの変化ぶりだった。


鶏さんと牛さん

8:47
夢前町前之庄三枝草の「村田牧場」手前の道路路肩に車を停める。牧場を過ぎ、さらに北の「明王池」まで車を入れることが出来そうだが、本日は周回コースを予定しているのであまり奥まで車を入れないことにする。(地形図にある北側が村田牧場で、東の板坂峠に行く途中にあるのは村上ポートリー)

来る途中で小雨にあい、天気予報も芳しくないので天候調査のためしばらく様子を見ることにする。

9:10
空は明るく雨が降るとしてもまだ先だろう。地獄鎌尾根さえ通過して薬師峯に着いた後なら、福崎町側にエスケープしても板坂峠を越えて比較的簡単に駐車場所まで戻れると思い込むことで、出発することにする。

古い錆びだらけの警告板がある。今日の行程中には松茸山の縄張タフロープを張った跡もなく問題はなさそうだ。ただ明王池の南側には西の尾根には入るなという警告板が立っていた。

三枝草消防分団管理山林内で、シキミ、サカキその他花木を許可なく伐採することを禁ずる。
また、松茸山契約期間中に許可なく入山することを禁ずる。

三枝草消防分団

道路から鶏さんが見える養鶏場の間の道は芳しい香りが漂い、「さあこれから薬師峯に登るぞ」という気持ちを十二分に萎えさせてくれる。養鶏場の先の126m標高点がある実線道の分岐点には、電柱に「薬師」と赤く塗った矢印板が架かっている。ここから二重線道を離れ実線道に入る。

鶏さんの次は牛さんが出迎えてくれる。牧場では狂牛病の次は鳥インフルエンザと大変なことだったろう。

牛さん
もうすぐ食べられてしまうのかな


地獄鎌尾根へ

9:27
林道を北に「明王池」まで行くと、堰堤左側の植林に「西尾根」の赤い道標があり、踏み跡が尾根へと登っている。今日の地獄鎌尾根へは、明王池の排水路に架かる橋を渡り堰堤を東に進む。車はこの堰堤まで乗り入れることが出来そうだ。

9:30
堰堤の東端に「地獄鎌尾根」と赤い道標が下がっていて、急な斜面に道が付けられている。

尾根までの急斜面を登る
うーん登りにくい道だな

常緑樹と落葉樹が半々ぐらいの下草の少ない雑木林の中に、ほぼ真っすぐに尾根を目をめがけ付けられた道で、急で登りがたい。それでも2年前のシダをかき分け下ったときと比べれば天国のような道で、人間の欲望にはきりがないのが実感できる。

9:54
喘ぎ喘ぎ、休み休みしながらようやく尾根まで着いた。尾根には南へも踏み跡が延びているが、下山時に入り込まないようトラロープが張ってある。赤い矢印道標が二つと、「村田牧場へ(明王池)300mあと10分」と書かれた板も下がっている。

尾根に到着

尾根には比較的いい道が付いている。2年前は北から下りてきて、行く手をシダヤブに塞がれて、早々に明王池側の斜面を無理やり下りたので、この付近は通っていない。地形図を見るとこの尾根を北に進むのは、登り基調のはずなのだが、下りも多くどんどん高度が下がっていくような錯覚にとらわれる。

背を越すシダの生える尾根の道
ここは一番悪いところです

雑木林の中に、それなりに幅のある快適な踏み跡以上の道が続いている。上の写真は最もシダが茂っているところで、そこにも明確な踏み跡が続き籔漕ぎにはならない。


いよいよ地獄鎌尾根だ

10:25
道は大岩に塞がれ「これより地嶽(原文のまま、草冠が余分)鎌尾根 ご安全に…お気を付けて! 2004・3/17」の木板が下がっている。

10:29
大岩を乗り越えていくと、恐ろしげな岩場がある。両側が切れ落ちていて、一歩踏み外せば天国まで(日頃の行いの悪い人は地獄まで)行くこと間違いなしの岩場で、巻き道はない。左手を見れば明神山が近くに見えたはずだがそんな余裕はなかった。

播州でも一、二位を争う岩場かもしれない
風があるときはザイルがほしい

2年前に下ったときは、この岩場の記憶がないので、ここよりも北側で尾根から下りてしまったのだろう。岩場は連続していなくて、その間は雑木林の普通の尾根を行くのだが、右側は数十メートルも切れ落ちた断崖になっている。

10:46
今度は45度ほどの傾斜の岩場が現れた。表面は大根おろし器のようで転んだら痛そうだが、グリップは抜群ですんなりと登っていける。

難所ではないが面白い
角度に操作は加えてない

傾斜が急なのでこの岩場もすぐに終わってしまうが、登り終えてて振り返ると結構高度感があり下りる方が怖そうだ。

ここから2箇所ほどの岩場をこなすと地獄鎌尾根も終わりで、右下の絶壁を覗き込める岩場もあるが怖くて端まで行くことは出来なかった。

11:16
「ここで地嶽鎌尾根終わり。無事通過おめでとう!(薬師峯まであと30分)」の木板が下がり、その上からは暗い雑木林になる。


十字峰から薬師峯へ

11:20
尾根が十字に交わる「十字峰」に着いた。ピークという感じは全くない暗い雑木林だ。

兵庫登山会が2002年3月に掛けた簡単な地図付きの木製案内板がある。さすがに兵庫登山会だけのことはあり、裏を見ると標示者の住所氏名まで記載されている。どこかの愛好会とは大違いだ。それ以外に赤い矢印の案内が二つ、合成樹脂製の赤い三角形のプレートが一つある。

明王池西側の尾根へは、ここから少し北に進んでから西へ曲がるようで、薬師峰へはここから東へ曲がり一旦下り登り返す。

薬師峰へは展望のない暗い尾根を行くが、一部木を伐り、登ってきた地獄鎌尾根が良く見えるようにしてある。

薬師峰への尾根から見た地獄鎌尾根
名前の通り恐ろしそうな尾根だ

11:41
薬師峰頂上に到着。頂上から一段下の夢前町側に山名の由来になっている薬師様が祀られた石祠がある。頂上からの展望はあまり良くないが、七種山・七種槍はよく見える。頂上周囲の木々を切り倒し展望を良くしようとしたら、薬師様のばちが当るのに違いない。

薬師様の石祠

七種槍が見える

暗い尾根道を歩いてきて、天候の行方がさらに心配になってきた。薬師峯頂上であまり長居はせずに、南の板坂峠を目指すことにする。

出発前に薬師峰頂上にあるプレート類の紹介をしておこう。

  1. 七種薬師 616m 自然を大切に…<兵庫・山と緑の会>2002・02(材質:木、合成樹脂板、カラー針金)
  2. 七種薬師 標高616.2m 兵庫登山会
    山頂からのすばらしい眺望は、あなたに対する大自然からのプレゼントです
    心の財産として大切にしましょうね!
    標示者 神戸市長田区3番町3丁目7  兵庫登山会 盧在植
    2002.3(材質:木、異型鉄筋、針金)
  3. 七種三山 七種薬指(原文のまま):616.2m 2002.9.7 大阪市 勝田(材質:パウチした紙、合成樹脂製結束バンド)
  4. 〜ご安全に…お気をつけて〜 薬師峯愛好会(七種三山のガイドマップ付き)(材質:パウチした紙、ベニヤ板、ビニールテープ、カラー針金)
  5. 七種薬師 616.2m 姫路徒歩会(材質:木、カラー針金)
  6. 九十士・山歩会(加古川市)薬師山 2003.4.9(合成樹脂板、銅線)
  7. 七種薬師山 登山ルート整備事業 15年3月23日 福崎町山の会(材質:木、カラー針金)
  8. 2004.3.7 雪 揖保川町 安達(材質:ビニールテープ)
  9. 七種薬師 登頂記念 H15年5月1日 姫路市広畑 川元彦三  渓しぐれ薬師巡りの岩登り つち未智彦(材質:木、紐)

以上の9枚で、山名は七種薬師4票、七種薬指1票、薬師峯1票、薬師山1票、七種薬師山1票と七種薬師が優勢だが意見は一致していない。私は福崎町から登ったら七種薬師、夢前町側から登ったら薬師峯としている。


下山は南へ尾根を辿る

11:48
下山開始。暗い雑木林の尾根を東に下っていく。

11:52
福崎町野外活動センターへの分岐点に着いた。「薬師峯愛好会」の派手な案内が2枚ある。

(西方向へ)
お薬師様が祀られ、眺望も素晴らしい!
七種薬師
自然を大切に…

薬師峯愛好会
(南方向へ)
そうびろ山(538m)を通り、約3km・90分
野外活動センターへ
(下山コース)
自然を大切に…
薬師峯愛好会

これ以外に黄色ビニールテープに東向きに「野外センターへ(近道)2.5km約1時間」、南向きに「そうびろ山 板坂縦走」と表記している。

12:04
448m標高点の鞍部近くには、尾根道を塞ぐ大きなヌタ場があり、底には泥水が溜まっている。

12:14
「薬師峯愛好会」の言う「中岳」490m+に着いた。ここから東へ538m標高点のあるピーク「そうびろ山」を経由し福崎町野外活動センターに下りることが出来る。

(東方向へ)
そうびろ山(538m)を通り
野外活動センターへ
(下山コース)
自然を大切に…
薬師峯愛好会

それから黄色ビニールテープ多数が木に巻かれ、「薬師山」、「板坂」、「三枝草」、「そうびろ山(センターへ)」、「薬師峯」、「03.3.22山行無事を祈る(尾川)」などと書かれ、淋しいピークも賑やかになっている。

中岳の南側にも大規模なヌタ場があり、滑り台も着いた猪のスパワールドになっている。中岳まではよく歩かれているが、それから南側にも明確な踏み跡が続いている。テープ類のマーキングも今日の全行程を通し隙間なく続いている。

大規模なヌタ場
暗視カメラを仕掛けたら面白そうだ

12:37
東向いの、七種山から七種槍へと南北に延びる尾根も同じだが、この尾根も南に行くに従い明るくなり岩場も出てくる。空も明るく雨はまだ降りそうもないので、ここで遅めの昼食をとることにする。

薬師峯がよく見える岩場
どうやら雨は大丈夫のようだ

12:52
昼食を済ませ、南に進む。三角点ピークも近いはずだ。


三角点ピークから暗い板坂峠に

13:12
397.3m三角点ピーク(点名:三谷奥)に着いた。「薬師峯愛好会」案内図の板坂集落に直接下る東の尾根には薄っすらと踏み跡があるだけで利用者は少ないようだ。西方向の板坂峠に下る尾根には明確な踏み跡が続いている。

13:17
三角点ピークから西に5分ほど進むと、赤や黄色のテープが木にたくさん巻かれている。WEBの薬師峯山行記録を見ると、ここからそのまま西に進んでコースを誤った例が数多く見られた。ここが今日の山行の中で最もルートを見失いやすいポイントだろう。

テープだけで文字は一つも書かれていない、奥ゆかしいマーキング地点から南に斜面を下っていく。しかし、本当にこのまま下っていいのかと思うほどの、ただの斜面で(踏み跡はあるが)まだテープのマーキングは続いているので間違いはないだろうなと思っているうちに、明確な尾根に乗ることが出来た。

シダが茂る明るい雑木の尾根には、かなり古いが大垣赤布(見ただけで誰がつけたか分るマーキングはこれだけだろう)が残り、南側の山裾には板坂峠の東にある溜池が見えだした。

板坂峠も近い尾根を行く
こんな道が好きだ

13:38
地形図にも記入されている展望の良い岩場から2分も行くと、テープやら三角形の赤色プレートがあり板坂峠への下り口が分る。

中ほどまでは雑木林の尾根に明確な踏み跡が続いているが、峠が近づくと踏み跡は植林の斜面に拡散し不明確になっていく。

13:48
板坂峠に着いた。非常に暗い植林の中の峠で石仏が三体祀られている。昔は人が大勢行き交う雑木林の明るい峠で、石仏の横の平坦地には峠の茶屋が建っていたのかも知れない。今は石仏の横に木が倒れ峠道を塞ぎ無残な姿を晒している。

板坂峠の石仏
暗い峠だ

板坂峠から西へ植林の中を下っていくと「村上ポートリー」という養鶏場があり、近代的なのか窓は一つもなく排気口にはフィルターも付き香りも少なめになっている。その養鶏場の道を挟んだ北側には「文政九戌年三月 ひたりなれあ(「あ」の字から下はモルタルの中)施主三枝草村」と彫られた石仏が祀られている。

その横には「火の用心」の関西電力送電線巡視路標識があり、北の359.0m三角点ピークの中腹にある鉄塔に延びているようだ。またその横には文字の薄れた金属製の「七種薬師」への道標もある。

14:25
板坂峠から30分少しで車を止めた村田牧場の南に帰着。出発してから約5時間、誰一人にも会うこともなく、静かな楽しい山行を楽しむことが出来た。



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