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笠形山に階段は何段あるのだろうか



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平成16年5月23日(日)  メンバー 私だけ

笠形山 かさがたやま 939.4m

2万5千分の1地形図「粟賀町」を参照すること。


19回目の笠形山、今回の目的は

笠形山への主な登山口は、西は神崎町グリーンエコー笠形のおうねん平、北は神崎町と加美町の境の高坂峠、東は八千代町大屋から西に入る林道終点、そして南は市川町の笠形神社の4ケ所がある。

この2年ほど笠形山に登ってなく、笠形神社からは3年間登っていない。久方ぶりに笠形山に登ろうと思い立ったが、普通に登っても面白くない。そこで思いついたのが、笠形神社から笠の丸への約500段と言い伝えられてきた階段の本当の段数を数えることだ。


天罰が落ちる?

姫路から国道312号線で市川沿いに北上し、福崎町の中心部を抜け「落合橋」の信号を右折し岡部川沿いに北東に県道を行く。

途中までは比較的狭い道が続くが、リフレッシュパーク市川への分岐を過ぎると広い道になる。舟坂トンネルの開通に合わせて拡幅されたのだろうか。

舟坂トンネル入口近くの笠形山登山口案内標識に従い左に橋を渡り寺家の集落の中に入っていく。道路右側に笠形山登山者用駐車場の案内があり数台の車が止まり登山準備をしている人達がいる。3年前にはこの駐車場はなかったような気がする。

その駐車場は素通りし、舟坂峠へと続く道から左に入り大鳥居のある駐車場へ向う。大鳥居駐車場には登山者の車は止まっていないようだ。そこには次のような大きな概念図付きの案内板が立っている。

自然と歴史探さく 県立自然公園 霊峰笠形山

古くから播磨富士の名で知られている笠形山は、海抜939mの雄大で秀麗な姿を横たえた山頂のながめはすばらしく、北は但馬・丹波の連山を、南は瀬戸内海を一望に遠くは四国、和歌山の一端をみることができる。
山麓には、笠形神社並びに笠形寺があり、1400年前法道仙人が創建したと伝えられている。現在も建物の一部が残存し、本尊聖観音像、五百羅漢など貴重な文化財が内蔵されている。また、境内には数百年を経た杉や桧が生い茂り、かって国宝姫路城の心柱は、この笠形神社境内から供出されたものである。
また珍しい植物や昆虫類も豊富でコヤスノキの北限地、世界的珍種セッピコテンナンショウが分布する。夏にはヒメキマダラヒカゲが飛びかい相当高地に来た錯覚を起こさせる。
行修験者の苦行の跡と見られる洞窟、奇岩があり渓流は、滝をなし岡部川となり、ホタルが飛び、秋には松茸と四季の変化に富んで自然を心ゆくまでたのしめる。

《仙人滝コース》
バス終点より、道標に従って左手へ渓流に沿って杉・桧の美しい人工林や自然林のなかをさかのぼり僧屋敷跡手前の谷を上ると、落差35mの仙人滝があり、滝見台からの眺めは壮快である。ここより西へと尾根を横切り、急坂にかかると、左に蓬莱岩の奇岩があり突出した岩の上は、たたみ三畳ほどの広さがある。蓬莱岩を眺めながら尾根に出ると、大きなササの原になっており、鹿ケ原である。この辺りで鹿の遊ぶ姿が見られるので名付けられた。ツツジやウツ木、熊笹の群落を進むと、左前方に山頂を見つつ、笠の丸に着き、神社コースと合流する。

寺家 40分1.5km 仙人滝 30分1km 蓬莱岩
40分1km 鹿ケ原 15分0.5km 笠の丸 30分1km 頂上

《神社コース》
現在点より参道を直行し、県指定天然記念物のコウヤマキと笠形寺の傍を通り、中腹の神社までやや急坂を登れば、大杉に囲まれた笠形神社がある。ここからは姫路城の心柱が切り出された。途中休み堂に水場がある。神社の裏から谷に入ると道は二分する。右が近道、左は尾根を通り仙人岩を経て、笠の丸で仙人滝コースと合流、雨量観測所を北へ越えると、前記近道と合流し、頂上へと。山頂は東播随一の展望である。

寺家 10分0.5km 大鳥居 20分1km 休み堂
40分1km 笠形神社 30分1km 笠の丸 30分1km 頂上

市川町 市川町青年団

3年前にはなかった「グリーンエイト協会」の案内板も立っている。

愛してネ笠形山 守ってネ千ケ峰
笠形山登山道 笠形神社まで約60分 笠形神社コース
笠形山千ケ峰グリーンエイト協会 市川町・加美町・神崎町・八千代町

この大鳥居駐車場も素通りし、狭い舗装林道をさらに奥に入って行く。笠形寺の左を抜けると狭い道はさらに狭くなり勾配も急になり、車輪幅だけがコンクリート舗装された道となる。

離合場所もなく、もし対向車に出会ってしまったら、どうしたらいいのだろうか。登るにしても下るにしても、急な九十九折れをバックで行くのは首が痛くなりそうだ。

8:43
日頃の行いがよかったのか対向車に会うこともなく、林道終点の車が1台も止まっていない広場に到着。詰めれば10台近くは停められる広さがあり、笠形神社まで歩いて15分くらいのところだ。

車の外に出ると、シューという音がする。何の音だろうと音源を探してみると左前輪付近から聞こえてくる。丸かったタイヤが次第につぶれてきて「ウワッ、パンクだ。なんてこった」。

ジャッキアップ中
平地でよかった

車など走ればよいと思っていて、どこに予備のタイヤとジャッキと工具があるかなど確認していない。どれか一つが無かったらJAFを呼ぶしかないだろう。

トランクを開け、祈るような気持ちで底板を上げると小さなテンパータイヤとジャッキ、工具一式が出てきて一安心。

9:21
30分ほどかけてタイヤ交換、および記念撮影終了。

帰りに近所のガソリンスタンドに寄りパンクを直してもらおうとしたが、タイヤ内側のひび割れからの漏れで修理は不能。おそらく過去に傷を付けたところに、ひどく急勾配の道を登ったため無理がかかりひび割れが貫通したのだろう。

無理やり林道の奥まで入ったので、天罰が落ちたのだろうか。いや、高速走行中にバーストすることに比べたら天恵のようなものだ。ありがたや、ありがたや、笠形神社のお導きだ。


笠形神社へ

9:22
タイヤ交換で汚れた手を、広場脇のチョロチョロの流れで洗って、気をとりなおし登山開始。ここに着いてから既に40分近く経っている。

林道終点広場の一段上にはキノコ型屋根付きの休憩施設があるが、まだ休むには早いので素通りする。「笠形神社まで約15分 市川町」の案内があり、幅広のかつては車も通れただろう道を登る。

植林の中を笠形神社へ登る道の脇には、自然愛護標語を書いた板が次々と現れる。いずれも古いもので白ペンキで塗られたブリキ板や木板は、「まだゴミにはなってないぞ」と朽ちるのを拒んでいるようだ。

道端の自然愛護標語板
そろそろ回収すべき時期だろう

笠形神社までにあった自然愛護標語板は下記の通り。

  1. 笠形山の自然を大切に 瀬加地区青少年育成会
  2. 来たときより美しく 瀬加地区青少年育成会
  3. 美しい笠形山の自然はみんなの宝
  4. 笠形山の自然を大切に
  5. 笠形山森を美しく
  6. 新緑に輝く笠形山の自然をよごさないで
  7. 笠形山はみんなの誇りゴミをなくして美しく!!

9:35
林道終点広場から13分、笠形神社に着いた。静かな杉林の中に拝殿、中宮、本殿が並び幽玄な雰囲気をかもし出している。

笠形神社中宮
寺家の人達が手入れしているのだろうか

市川町指定重要文化財 笠形神社 拝殿
五間四方 入母屋造 銅板葺

彫刻としては、向拝と木鼻の麒麟・松に鷹・雲に天人・雲に鳳凰など、とくに精妙華麗です。
笠形寺の本堂を明治初期に拝殿に転用しました。

市川町教育委員会

市川町指定重要文化財 笠形神社 中宮
三間二面 春日造 銅板葺

祭神は須佐男之大神、大年神、迩々芸命。
彫刻としては、向拝の雲と麒麟・木鼻の獅子・脇障子の龍と天人などが見事です。
彫刻師は中井権次橘正貞、久須真助正美、中井清次良正用です。

市川町教育委員会

本殿(西宮)
三間二間半、春日造、銅板葺

祭神は菅原道真、大奈牟知命、磐戸別大神。
彫刻としては、向拝の蟇股の龍、木鼻の獏、欄間の雪に鶴・桐に鳳凰、脇障子の獅子の雲と麒麟・木鼻の獅子の滝落しなどが目立っている。
彫刻師は丹波柏原町の久須善兵衛政精、中井丈五郎本忠、中井丈吉。

境内には杉の大木があり、かつて姫路城の昭和の大修理の際に桧の巨木がここから伐り出された。解説文には周4mとあり、直径にすると1.3mのひょろひょろの桧になってしまうが、そこは径4mの間違いだろう。

姫路城心柱跡

昭和34年国宝姫路城の大修理の時、天守閣の心柱とするため、笠形神社の御神木であった桧(長さ42m、周4m)がこの地より運ばれました。

御神木のスギの巨木

町指定天然記念物 笠形神社の大スギ

高さ50m、根回り9.5mを計り、播磨富士笠形山にふさわしい巨木である。
播磨地方にはこれ程までのスギはないと言われ、笠形神社の御神木になっています。
この付近から国宝姫路城の心柱が搬出されました。

パンクしたタイヤの交換に時間がかかったためか写真撮影中に、一番下の駐車場から出発した10人弱の団体に追いつかれてしまった。団体はここで休憩するようなので先に出発することにする。


笠の丸への階段を数える

9:47
本殿の裏から笠形山への登山道が始まっている。ここが私にとっては笠形山への実質的な登山口となる。

愛してネ笠形山 守ってネ千ケ峰
笠形山登山道 笠の丸まで約40分 笠形神社コース
笠形山千ケ峰グリーンエイト協会 市川町・加美町神崎町・八千代町

9:54
植林の急斜面を横切るように付けられた暗い道を行くと階段道が現れた。さっそく段数を数えなくては。1、2、3、……、19、20と、ここは20段だ。

9:57
浅い流れを渡ると暗い植林のなかから、いきなり南側が開けた明るいベンチが2個並ぶ休憩地に出る。そこでは下の15と16が草の中に横たわり、その自然愛護標語とはまったく反対の自己主張をしているようだ。

笠形神社からこの休憩地までにあった自然保護標識板。

  1. 美しい笠形山の 自然を守ろう
  2. 自然を大切に 瀬加地区青少年育成会
  3. 笠形山の自然を大切に! 瀬加地区青少年育成会
  4. 来たときよりも美しく 瀬加地区青少年育成会
  5. ごみを捨てるなごみの山より緑の山に 育成会
  6. 笠形山の自然を大切に! 瀬加地区青少年育成会
  7. 空き缶のない美しい笠形山 瀬加地区青少年育成会
  8. 美しい緑の自然をたいせつにして誇れる郷土にみんなでしよう
  9. ゴミを捨てるな環境破壊! 育成会

10:03
仙人岩・仙人滝への分岐点を通過。仙人岩・滝への道は植林の中へと延びている。市川町の道標の先には3段だけの階段があり、その上にグリーンエイト協会の道標がある。

愛してネ笠形山 守ってネ千ケ峰
笠形山登山道 笠の丸まで約15分 笠形神社コース
笠形山千ケ峰グリーンエイト協会 市川町・加美町神崎町・八千代町

10:04
さらに17段の階段を登ると、私がこのコースの中で一番好きな笹原の広がる景色が待っている。

もうすぐ本格的な階段が始まる
この辺りが麓から見える笹原だろう

10:08
気持ちのよい笹原の道は、笹原の中の階段になる。振り返ると霞んでいるが播州らしい山ばかりの景色が広がっている。

ここが最も長い階段だ
59、60、61、62、……

しかし階段嫌いな人が多いためか、脇の笹原へと道が広がっている。せっかく整備した階段を外して登るのは立派な自然破壊だろう。

歩幅が合わない、段差が大きすぎる、階段は嫌いだ、山に階段は似合わない、などと屁理屈をつけ笹を踏み潰すのは自然を愛する心が無い人の行いだろう。笠形山の階段を踏み外す人は、あの「夏がくれば思い出すはるかな尾瀬」でも木道を外して歩き回るのだろうか。

笹原の階段は、そのまま植林の中を登っていく。

10:15
179、180、181、182と、ようやく長い階段が終わったが、10mほど先からまた階段が始まっている。「この先、足もとにご注意!市川町青年団」の標識があり、植林の中で展望はない。

10:18
次ぎは96段で終わり、周囲は植林から自然林となる。次の階段が20mほど先に見える。

10:21
64段と少し短い階段が終った。笠形神社からここまでで6群、合計382段の階段があった。噂では500段というが本当だろうか。

ここも20mほど先に次の階段が見える。「岡部川の水源 市川町」の案内がある脇道を左に入ってみると、今までに何回もだまされたが今日は本当に水が滴っていた。

最後の階段かな
41、42、43、44、……

10:28
「……、128よっこいしょ、129どこいっしょ、130うんとこしょ、あれ笠の丸に着いたか。うーんあれにこれを足してうーん合計512段か」。階段の段数は噂どうりだった。

東屋、トイレ(利用できるかどうかは、中を覘いていないので不明)がある笠の丸に到着。文字の薄れた「笠の丸展望」図があり、昔は四周遮るものがない好展望地だったのだろうが、今は周囲の木が伸びてしまいほとんど見えない。笠の丸にある標識類は以下の通り。

  1. 愛してネ笠形山 守ってネ千ケ峰
    笠形山登山道 笠形神社まで約30分 笠形神社コース
    笠形山千ケ峰グリーンエイト協会 市川町・加美町神崎町・八千代町

  2. 愛してネ笠形山 守ってネ千ケ峰
    笠形山登山道 ほうらい岩まで約40分 仙人滝コース
    笠形山千ケ峰グリーンエイト協会 市川町・加美町神崎町・八千代町

  3. 頂上 仙人滝・鹿ケ原 笠形神社 市川町

  4. 官行造林地林小班名  宮西官行造林地1林班イ小班
    用途  その他(休憩所小屋敷)
    面積  63m3
    貸付の始期終期および期間  自 平成11年4月1日 至 平成16年3月31日
    借受人住所名称氏名  兵庫県神崎郡市川町西川辺165−3 市川町

  5. 笠形山20分 仙人滝80分 笠形神社30分  兵庫登山会

  6. たばこポイすて禁止

  7. 頂上まであと30分 市川町青年団

それからここまでの道端に半分放置されている自然愛護標語板は下記の通り。

  1. 笠形山の自然を大切に! 瀬加地区青少年育成会
  2. 緑に輝くゴミのない美しい山にしよう
  3. 美の宝庫笠形山の自然を守ろう
  4. ゴミはもって帰ろう 瀬加地区青少年育成会
  5. 空き缶やゴミは必ず持って帰ろう 瀬加地区青少年育成会
  6. ゴミは持って帰ろう 瀬加地区青少年育成会


笠形山頂上へ

10:38
写真を撮っていると賑やかな声が聞こえてきて、また団体に追いつかれてしまった。笠の丸からかろうじて見える笠形山の頂上目指し出発する。

笠の丸から笠形山頂上へ
展望はなく笠形山頂上も見えない

10:46
雑木に囲まれ展望のない道を鞍部まで下ると、神崎町の「グリーンエコー笠形」からの道と合流する。

  1. 愛してネ笠形山 守ってネ千ケ峰
    笠形山登山道 山頂まで約25分 グリーンエコー笠形コース
    笠形山千ケ峰グリーンエイト協会 市川町・加美町神崎町・八千代町

  2. 笠形山頂上 笠の丸展望台 神崎町 市川町

  3. 錆びた矢印型鉄板(文字は読めない)

  4. 神崎町 山頂 市川町

グリーンエコー笠形からの道が合流する鞍部
神崎町からの登りも楽しい道だ

11:02
林道終点から1時間40分、最後の急登の先は笠形山頂上だった。休憩所が二つあり、先客は10人ほど。

笠の丸から笠形山頂上までに横たわっていた自然愛護標語板は下記の2枚、林道終点からは合計24枚。瀬加地区青少年育成会の名誉を守るためにもそろそろ回収しなければいけない時期だろう。

  1. 笠形山の自然を大切に! 瀬加地区青少年育成会
  2. 空き缶やゴミは必ず持って帰ろう 瀬加地区青少年育成会

笠形山頂上には次から次ぎへとハイカーが現れ、多いときは30人ほどになった。人があまりに多く、笠形山頂上の事物を詳しく観察することができなかったが、他の山で目立つ「登頂記念プレート」類は目につかなかった。ゴミもなくおそらく定期的に登ってくる人が整理しているのだろうか。

ほぼ360度の展望が広がっているが、残念ながら霞んでいて遠望は利かない。しかし不思議なのは、みんな食べることや仲間とのお話に夢中で周囲の山々を見ようとしないことだ。

笠形山頂上
天気は曇り


トットコ下山

12:00
下山開始。

12:51
途中10人ほどのハイカーに出会い、林道終点広場に到着。写真も撮らず休憩も取らなかったので、登る時の半分しかかからなかった。

3年ぶりの笠形神社からの笠形山は、前回より「グリーンエイト協会」が立てたの道標が増えただけで、それ以外の変化を感じることはなかった。雪彦山や七種山、明神山のような変化だけはして欲しくないと切実に思う。



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