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歴史の山、姫路の峰相山・とんがり山



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平成17年1月9日(日)  メンバー 私だけ

峰相山 みねあいさん 239.7m
とんがり山 とんがりやま 256.7m

2万5千分の1地形図「龍野」を参照すること。
峰相山の標高239.7mは、姫路市役所公式ホームページによるものです。


3年ぶりの峰相山

3年前の同じ1月に、東の東洋大姫路高校野球部のグランドから峰相山・とんがり山・神岩までを往復している。今回は「はりま歴史の山ハイキング」(横山晴朗著、神戸新聞総合出版センター刊)のコース通りに北の「伊勢小学校」から登り始め、南の「稲荷大明神」へと下山した。

稜線に出るまでの薄暗い谷道には閉口したが、コースを逆に辿っていたら後味の悪い山行きとなっていただろう。峰相山・とんがり山コースは、この3年の間に見違えるように登山道はよくなり、マイナーからメジャーへと成長していた。

峰相山の表記には「峯相山」と「峰相山」が使われていて、今回のルートで見かけた道標類などでは8対8と拮抗している。どちらにするか迷ったが、YAHOOなどの検索結果では「峰」が大多数を占めているので「峰相山」と表記することにした。(ただし引用元が「峯」となっているのはそのまま)


伊勢小学校からの暗い谷道

10:05
「とんがり山」を東に見ながら国道29号線を北上、追分峠手前の下伊勢Y字交差点(信号あり)から右に県道413号線を2kmほど入ると右手に伊勢小学校がある。ここまで妻その1に送ってもらう。

校門前に姫路市長だった戸谷松司氏(大正10年6月30日〜平成11年6月26日)の書による「友情」の石碑が立っている。撮ってきた写真を見ると、汚れのためか友情にヒビが入っているように見える。固い友情も年月が経つとヒビがはいると言いたいのだろうか。

小学校の北側の道を入ると、すぐにフェンスがある。動物避けのもので出入りは自由なのだが、通ったあと反対側になったカンヌキ棒を掛けるのが難しい。カンヌキを外そうとすると小学校側が小扉になっているのを見つけ、大きくは開かないが通り抜けることができた。

左右に溜池があり、通路より低い右手の小さな溜池には氷が張っていて寒そうに感じる。

10:14
溜池奥から始まる、古い地形図では「山陽自然歩道」となっている破線道は、浅い小川のようにしか見えない。

旧山陽自然歩道入口

道の始まりは排水溝につながっているし、実際に少量の水が流れていてとても道には見えないが、ここが登山口に間違いなく、青タフロープの目印も付いている。凍っていて、上の写真を撮るとき危うくこけそうになった。

笹竹と雑木の茂る広い谷に、表土がきれいに消え去り滑らかな岩盤が現れてしまった道がしばらく続く。大雨の後は本当の川になってしまうだろう。

10:25
岩盤の道からV字型の溝道となり、ようやく平らな落ち葉が積もる普通の山道になると、道端に「…目犬止…」とあらかたの文字が消えている古い標柱が立っている。

この道は、かつては地形図にも記載されているように「山陽自然歩道」だった。しかし平成9年に「山陽自然歩道」が「近畿自然歩道」に発展的解消された際に取り残され、現在は公的な管理(案内標識、指導標識の設置や道の整備など)はなくなり、山陽自然歩道の標柱は残っているが普通の山道になってしまった。

北西方向を向いている谷は、快晴の昼間なのに木々がうっそうと茂り薄暗く、歩いていて楽しくない。中には樹木がトンネル状に茂っているところもあった。

すごく暗い谷道


明るい稜線の道へ

10:37
ゆるゆるの谷道を登ってきて、少し急な坂を登るとようやく明るい稜線に出た、と思った。しかし右に曲がるはずが、道は左にしかない。稜線から西に下る支尾根に着いただけのようだ。それでも暗い谷道から抜け出せ、景色も見えるようになり気分がよくなった。

支尾根の登りは、いきなりトラロープ(黄色が抜けてシマウマロープになっているが)が下がる急な岩場となる。

ようやく山登りらしくなってきた

10:48
連続2本のトラロープ登りをこなすと、そこが稜線だった。古い自然歩道の標柱には「(北)木漏日の森へ→」の追加木札と、黄色ビニールテープに「(北)←伊勢山90分 こもれびの森40分」とある。コンクリート擬木の少し新しい自然歩道の道標は「(南)峰相山1.3km (西)上伊勢0.9km」となっている。

南側の峰相山方向にはよい道が延び、北側の伊勢山方向にもぼちぼちの道が下っている。この伊勢山への道も歩きたいと思うがいつの日になるだろう。

伊勢山へも行ける稜線に出た

10:57
5分も(写真撮影の時間を含む)南に進むと、「自然歩道左直角曲がり」の標識の右手に展望の岩場があり、少し下った岩場の先端からは西側の山々が広がっている。風が吹き抜け気温は7度ほど。寒くはないが三脚が風でひっくり返りそうでのんびりと写真撮影ができない。

展望岩場

11:06
展望岩場から登った210mほどのピークからも、緑台へ下る踏み跡がある。「(北)←緑台 (南)峰相山系 とんがり山、亀岩→」の案内が立っている。緑台へは地形図の丸い平地(使われなくなった野球場とか)から下ることができる。

このピークを過ぎると東側が見え始めたが、なにやらあやしい雰囲気の塔が立っている。かの一部では有名な「太陽公園」で、中国の双塔寺の双塔を模した(もしかして原寸大?)もので、万里の長城まで造られている。

この稜線の道は左右を背の高い雑木に囲まれ、展望は今ひとつだが、冬は冷たい風を防ぎ、夏はギラギラと輝く太陽を遮ぎりるのに役に立っている。

太陽公園の双塔と万里の長城

11:23
建物の土台にしたような石がゴロゴロする削平地があり、そこから南側の道は格段によくなり、土盛をした道まで現れた。羽柴秀吉に焼かれる前の峰相山鶏足寺には大規模な寺院建築物があり数百の僧房も建っていた。山上の平地には余すところなく建物があったのだろう。

土盛された道を行く


三角点に寄道し峰相山へ

11:30
道脇の木に赤ビニールテープが巻かれなにやら書かれているが、かすれてしまい判読ができない。右手に分岐があり踏み跡が西へ延びている。地形図を見るとどうやら、ここから245.4m三角点へ行けそうだ。

多少籔っぽい踏み跡を5分も行くと三等三角点標石(点名:伊勢)があり、周囲は雑木に囲まれ展望は悪い。この周辺も明らかに人の手が加わった地形で、ここにも建物があったのだろう。

こんな踏み跡を行くと

二等三角点(点名:伊勢)

こんなところにまで記念プレートが下がっている。

245.4m
九十士・山歩会(加古川)
山名:峰相山
2003年12月22日
森昌平・高橋寿・大西泰治・芝田格

無名山 245m
H.16.12.18(土) 長谷川博

2枚ともにここが峰相山ではないことを認識しているが、前者の“標高と字消し線”と“年月日”の筆跡は全く違っていて、後から来た人が修正しているような感じがする。

11:49
稜線の道に戻り、5分も南に行くと「山陽自然歩道」の標柱が立ち、その下に「峰相山」の標識が落ちている。

その横に「自然歩道」の標柱が立ち、手作りの指導標が3枚「←木もれ日の森」「←伊勢山」「←上伊勢」と賑やかに付いている。

またその横には手作りのカラフルな指導標があり「(北)上伊勢 (南)長尾・太陽公園 (西)大黒岩、とんがり山、亀岩、神岩」と指し示している。

指導標群近くに「峰相山 240M 2000.12.17 神戸ツキワ登山会」の山名板が下がる平坦地がある。木彫り観音像を祀る祠が二つと石造五輪塔が数基ある。

峰相山の観音様

近くに、ここよりも高い244m標高点があるが、最高標高地点が頂上とは限らず、ここを「峰相山」としても間違いないだろう。登頂記念プレート2枚とビニールテープ記念書が1巻ある。

245.4m
九十士 山歩会 加古川
2003.12.22
大西泰治 森昌平 高橋寿

峰相山 244m
H.16.12.18(土) 長谷川博
(文太郎を偲ぶ会)

(黄色ビニールテープ)2003.9.15はれ
揖保川町 安達


大黒岩・とんがり山へ

12:01
祠の裏に下山路があるが、それを下りては「とんがり山」に行けなくなるので、指導標まで戻りとんがり山を目指すことにする。3年前は狭く両側から枝が出ている踏み跡だった記憶があるが、今は二人が並んで歩けそうな広い道になっている。

12:11
道から少しだけ離れて「大黒岩」がある。岩に登ったら展望が広がっているだろうが、神様の宿る岩に登る事などできない。というか前に登ろうとして成し得ず、3年間の身体の老化を思い清く諦め、大黒岩に抱きつくことにする。近くの陽だまりではミツバツツジが寒さに負けずに返り咲いている。

大黒岩

寒さに負けず返り咲き

緩い登り下りの尾根を南西に進み、とんがり山が近づいてくると広かった道も幾分狭くなり、シダの間を行く道になる。それでもコンビニのサンドイッチやおにぎりを食べながら気軽に歩ける道だ。

北東から見た双耳峰のとんがり山

12:46
四等三角点標石(点名:下伊勢)のある北側のピークに着いた。風を避けて夫婦のハイカーがのんびりとお昼を食べている。南はまだ青空が広がっているが、北は暗く雪が降っているように見える。

12:53
北峰の夫婦の話し声が聞こえるくらい近くの南峰「とんがり山」頂上に着いた。「とんがり山 258m」の山名板が下がり、登頂記念プレートが2枚吊るされている。

とんがり山
2003.12.22
(上記以外は消え去っているが九十士山歩会のものだろう)

とんがり山 258m
H.16.12.18(土) 長谷川博
(文太郎を偲ぶ会)

3年前はピークに「峰相山歩会ふれあいポスト」、西側の一段下に「西蛇ー台」、東側には「ハート岩」、「願かけ熊手」、「東方台」、「伝説の亀岩」と色々と案内板があったが、今は何一つ残っていない。峰相山歩会は発足と同時に終焉を迎えてしまったようだ。

写真を撮っているうちに北から雪雲が近づいてきて、粉雪が降り始めた。

峰相山歩会発見の亀岩

腰がひける西蛇ー台


神岩を通り下山

13:05
南側の「神岩」を目指し下る。北東側の緩やかさとは打って変わり、「とんがり山」の名前通りの恐ろしいまでの激斜面を両側に張られたトラロープにすがり下る。

とんがり山の激下り

13:15
激斜面を10分も下ると(写真撮影時間含む)緩やかになり神岩が現れた。大きな大きな岩で、小さな窪みに水が溜まっている。そばに説明板がある。

不思議伝説 “稲作の小泉”

古来より 小水たたえたり.香稲四本出生せり.
これを種とし諸国普及耕作すべし.....
この小水 年中枯れることなく今に至る.
これぞ神岩と言われる所以である。

三角の石が神岩の上に置いてある。持ち上げて放り投げられられそうな石だが、この石にもいわれがある。3年前に来た時には説明板があったが風で飛んでしまったようだ。石は3年前そのままで、説明は次のようなものだった。

清心の三角石<今はこの説明板はない>

人の心が三角石に伝わり さらに
神様へと伝わるなり。心清き人.軽く
なれと願わくば女子供なりとて.持ち
上がるものなり.これも神岩の所以である

私には重すぎて持ち上げられないのが分っているので、さわりもしなかった。

神岩から見た「とんがり山」

13:21
神岩で写真を撮っていたら、とんがり岩北峰で会った夫婦が神岩の巻き道を下って行く。私も後を追い下ることにする。

神岩からも急な下りがあるが、すぐに緩やかなシダの間を行く道になる。

13:33
緩やかなピークを一つ越えると、かすれた文字の「南展望台」木板が木に縛り付けられている。南側に見えているピークにあるだろう「南展望台」への登りは踏み跡もはっきりせず、ここから道は東へ下っている。

東側の斜面に真っすぐに付けられたシダの間を下る道は、思いのほか急でトラロープが連続するところもある。

もうすぐ麓だ

13:44
麓の道に着いた。行き止まりの地道の終点手前で、反対側に「宮ガ谷bP 管理者 小野力男 石倉生産森林組合 火気厳禁」の立札のある竹林だ。

13:47
車道に出るところには「ようこそようこそ峯相の里山へ」の屋根付き案内板が立ち、その横には登山口の案内板も立っている。

火気厳禁
峯相山登山口

(神岩・大黒岩コース)
神戸森林事務所
石倉生産森林組合

峰相山登山口

登山口近くの案内板(石倉峰相山寺連景図)

登山道の整備は石倉生産森林組合により行われているようで、ここ以外にも登山口があるのだろう。「峯相大池」(地形図では峰相山大池)横には森林組合によりハイカー用の駐車場が用意されていて、簡易トイレも設置されている。

14:03
国道29号線近くの「稲荷大明神」に到着。「はりま歴史の山ハイキング」のコースタイムは伊勢小学校からこの神社まで150分。実際にかかった時間は、お昼ご飯も歩きながら食べて休憩らしい休憩もしなかったのに238分。この差のほとんどは三脚使用の写真撮影45回と、通り過ぎてしまった撮影ポイントまで何回も戻ったことが原因だろう。

神社へ上る石段の横に「峯相山寺趾登山口指道標 彳是是北二十二丁 大正十三年一月建之」の石柱が立っている。

稲荷大明神

神社の拝殿に神岩の由来が書かれたものが二つかかっている。

稲根明神

此の神は昔、当山鎮守九座の一つで、古老の説に曰く「高嶽の上大盤の間に水たまりあり。崇神天皇の御字13年秋9月吉日、そこに香稲4本生ず。この事実を上奏したてまつる。御上この稲を種子として諸国に耕作を奨励す。」とあるにより諸国の稲作の起原として、勅命によりここに神殿を造り、稲根明神と号す。かくして播磨の国の国庁より勅使が立ち祭礼をおこなう。
しかして、この稲根明神は、天下撫育の本社として五穀豊饒の農耕民族の神様として祈念せられた。
今の社は天慶年中に、其地に神殿を移造し奉つったものなり。

稲根大明神

大市郷、峯相山の麓也。崇神天皇13年9月香稲四茎(かしねしけい)生ひ出たり。これを上奏し侍りければ、此稲を種として諸国に作るべしと命じ給ふ。但し此事国史に見えず。
されどもこれ空ごとゝも思はれず。初め国号の説にいひしごとく播は墾浜(はらはま)といふに随えば、悉く符説する事多し。揖保は稲穂なり。印南は稲目にて赤穂亦しかり。播州の米穀甚上品なる事、世に知る所之(日本紀)神代に見えたり。又(延喜式)粒(ついほ)と郡名にも書けり。

昭和55年1月吉日

ふと、国道側を見ると1時間に1本しかない姫路駅前行きのバスが通り過ぎてしまった。妻その1に迎えに来てもらうよう電話をする。

車の場合は、国道29号線の石倉の信号から北に曲がり、パステルグリーン?色に塗られた「いしくらはし」を渡り直進する。正面に神社の鳥居が見える変形五差路に出るので、斜め左に曲がり神社の向こう側の道を行くと、峰相大池脇の駐車場まで行くことができる。

石倉橋を渡って直進すると



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