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雪彦山、安富町から登り夢前町へ下る



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平成17年9月24日(土)  メンバー 私だけ

雪彦山大天井岳

2万5千分の1地形図「寺前」を参照すること。


雪彦山を山越えする

夢前町側から安富町側へ(または逆から)雪彦山を越えようと思うと、単独者は公共交通機関の神姫バスを利用するしかない。2年前の6月、夢前町側から登り、すでに帰りのバスの便がないことを知りながら安富町側に下りて、妻その1に迎えに来てもらったことがある。

今回は安富町側から登り夢前町側に下り、帰りも神姫バスを使うという完璧な計画を立てるため神姫バス時刻・運賃検索「のぞみNavi」でバスの時刻を調べてみた。

姫路駅前から、雪彦山の西の登山口「やすとみグリーンステーション鹿ケ壺」至近のバス停「関」へ行くのは1日3便と少なく、姫路駅前発8時30分・関着9時34分(料金1,200円)を利用するしかない。なお関から姫路駅前に帰るのは6時24分と9時39分だけ、山崎への便も7時8分と13時20分だけで、安富町側に下山するとバスの利用は不可能だ。

下山地の夢前町「板根」からは、雪彦山発15時7分・姫路駅前着16時13分(料金1,070円)の便があり、関でバスを降りてから5時間39分もあり、最短コースを歩けば余裕で雪彦山の山越えが出来そうだ。


鹿が壺から千畳平へ

9:32
姫路駅前から1時間、田園風景の中をバスは走り、安富町関に到着。乗客は多いときでも4人、終点の関まで乗ってきたのは私だけ。バスの運賃は1,200円だが、エコ定期券制度を活用し100円だけ支払う。

9:36
バス停から北へ3分も歩くと、「しそう森林王国」やすとみグリーンステーション鹿ケ壺の歓迎看板が立っている。しかし宍粟郡安富町だけは宍粟市には合併せずに、来年3月27日に姫路市と合併する。この先この森林王国は分割統治されるのだろうか。しそう森林王国の公式ホームページを見ても「現在ホームページのリニューアル作業を行っております。」だけでなにも分からない。

しそう森林王国

林田川にかかる吊橋風の装飾が施された「ふれあい橋」を渡り、鹿ケ壺キャンプへ場の道に入る。天気もよく快適な山登りが楽しめそうな一日だ。

ふれあい橋を渡る

キャンプ場では楽しい一夜を過ごした人たちのテントが十ほど張られているが、まだ寝ているのか姿が見えない。ソロキャンプをしたことはあるが、家族や仲間同士でのキャンプはどんなものだろか。

9:48
鹿ケ壺の入口に着いた。手すりなどもきれいになり、左岸側斜面の木々が見事に切られ、以前の暗かったイメージから一新している。

鹿ケ壺の始まり

ひょうご森林浴場 雪彦峰山県立自然公園
名勝 鹿ケ壺

林田川の源流鹿ケ壺は、雪彦峰山県立自然公園内にあり、滝の流れは20度から90度の階段状の急斜面を水が上流から運んだ石や砂とともに流れ落ち、階段面において旋回し、数十万年の長い歳月に岩盤、河床をえぐり、岩質は石英粗面岩のかたい岩質であるが削り磨いて、大小数十個の甌穴をつくり、これらの甌穴に鹿ケ壺、底無し等その形状にちなんで古くから名前が言い伝えられています。
最大の甌穴が鹿ケ壺であり、鹿が寝ている姿に似ており、鹿ケ壺と名づけられ全体の代名詞なっております。底無し壺はその深さ約6mあり、まったく底が見えないところから名前がつけられこれらすべて一枚岩盤で出来ており甌穴の大きさ、またその数においても全国的にもめずらしいと言われております。

この案内板は、「池田銀行「愛の環境定期預金」の協力により整備しました。
兵庫県緑化推進委員会

鹿ケ壺

鹿ケ壺は、地学上甌穴(ポットホール)と呼ばれます。
この岩盤を作っているのは流紋岩質の溶結凝灰岩です。
山地の急斜面の渓流の河床が岩盤になっていて、急な流れはくぼみの砂や小石を旋回させ長年月の間に岩盤に大きな円孔をつくったものです。

鹿が壺は、県下で最も大規模な甌穴群で、名称のついているものだけでも八つあります。その景観は特異であるから、眼下に見える「底無し壺」は播磨(瀬戸内海)の海へつながっているとか、竿を入れると大雨が降るなどの伝説があります。

「鹿ケ壺」の名称は、この看板のすぐ横の甌穴がちょうど鹿の寝姿に似ていることに由来しています。

− しそう森林王国 −

滝を巡る石段で蛇が日向ぼっこをしていて、石を転がしても動かない。退散するまで1分ほど足止めさせられた。ジムグリと呼ばれる蛇なのだろうか。蛇類にも詳しくないのでそのときは、マムシではないなと思ったが写真を見ていると背景にミズヒキの花が写っているのに気がついた。

ジムグリを見たい人は上の画像をクリック

9:55
鹿ケ壺最上部から「−ハイキングコース− 千畳平へ」が始まる。始まりは鬱蒼とした雑木林の中を行く暗いが広い道、何もない「坪ケ谷休憩所」からはそれなりに明るい細い道となる。

鹿ケ壺から一緒になった、虫取り網とかごを持った親子と、抜きつ抜かれつの激しいデッドヒートを演じながらハイキング道を登っていく。まあ、三脚を立てて写真を撮っていたら抜かれるわな。

始めは広く暗い道

道は狭くなるが明るくなる

10:12
倒木に巻き込まれて道が崩壊したところを過ぎると、「森林作業道 坪ケ谷線」に出会う。千畳平まで続いている作業道は、車も通れる幅と斜度だが路肩崩壊箇所・倒木があり人しか通れない。

森林作業道で千畳平へ

親子の前を行ったり、後ろになったりしながら登っていく。お子さんが「ここどこ、後どれくらい」と聞いている。目的地は千畳平のようだ。

10:31
「三ケ谷」経由の下山道分岐を過ぎるとすぐに「千畳平」だ。芝生が敷き詰められた広々とした丘にはコンクリートが張られたキャンプサイトが並ぶが、ここでキャンプをしている人を見たことは未だにない。

千畳平から北の山々を見る

千畳平にはコオロギがそこかしこに飛び跳ねていてお子さまは大喜びしているが、お母さんは「ゴキブリみたい」と。佃煮が作れるほどの、かごいっぱいのコオロギが採れたことだろう。


雪彦山大天井岳へ

10:44
千畳平の反対側にはアスファルト舗装の道が登ってきている。ただし「千寿の水」の先で車両通行止になっているはずで、車では登ってこられない。その車道の脇から「−ハイキングコース− 雪彦山へ(健脚向き)」が始まっている。登山口には簡易な水道設備があり、トイレもある。

ここが雪彦山への登山口だ

登り口はジュクジュクしているが、すぐに歩きやすくなり、細い流を右岸へと渡る。道は渓流に沿い植林の中を登っていく。倒木もなく緩い至極歩きやすい道だが、谷道なので当然ながら展望は全くない。

雪彦山の東側でもヒルが発生しているようだが、西側のこちら側もヒルが多い。登山靴には十分にイカリ消毒のヤマビルファイターを吹き付けていたおかげか被害に合わずにすんだ。

植林の中を登り

雑木林は少しだけ

ほとんどが植林の中を登るが、ごく一部は雑木林もある。渓流は2回分岐するが、いずれも本流?の右側の沢を登っていく。沢を渡る前後の道は荒れているが、それ以外は右岸側の歩きやすい道を登っていく。途中には炭焼窯の跡があるくらいで風景的にも変化は乏しく、目立つ大岩もない。

11:16
30分ほど登ると、谷の源頭部に近づき登山道は沢から右にそれ、植林の急斜面に付けられた急な道を尾根へと登っていく。もう少しジグザグにして緩く出来なかったものでろうか、えらく急な道だ。

源頭部を渡り

植林の急斜面を登る

11:27
三角点雪彦山・鹿ケ壺・雪彦山大天井岳の分岐点に着いた。ここの分岐点はロータリー状で分岐点が3ケ所に少し離れてあるという、初めて通ると少し分かりにくい。

11:28
ロータリーの第2分岐点を通過。道標が二本立っていて

←大天井岳へ/三角点雪彦山・峰山へ→ 、←関・鹿ケ壺へ

(丸い赤い案内板)←安富町 、三角点雪彦山→

となっている。一度ここから峰山まで縦走してみたいが、その日のうちに家まで帰れるのだろうか。ここまでの谷道ではそよとも吹いていなかった風が、尾根に登ると急に吹きだした。台風17号によるものだろうが、気持ちのよい風だ。気温は20度と低くなかなか快適だ。

11:37
新下山道の下り口通過。

11:45
地蔵岳虹ケ滝下山道の下り口通過。道標に「クサリ・キケンコース」と手書きで書き加えられている。

右手に「天狗岩」を見て進むと、コウヤボウキやオトギリソウ?の花が道端に咲いている。

コウヤボウキ

オトギリソウ?

11:53
大天井岳への最後の登りで、三脚を立てて写真を撮っていると、すれ違った3人組みのハイカーに自分撮りを見られてしまい、ばれてしまった。播州野歩記をよく見てくださっているいるとのことで、ありがたいことだ。

写真を撮り終えて、下を見るとママコナの花が咲いている。先週の段ケ峰でも見たが、花の色が色が少し違う。花の内側の隆起が黄色くミヤマママコナに違いない。大天井岳から下山中にも所々に咲いていた。

もうすぐ大天井岳だ

ミヤマママコナ

12:00
バスを降りてから2時間半、ようやく雪彦山大天井岳に着いた。ハイカーは入れ替わるが5人ほど。そのうちの1人のおっちゃんの顔に見覚えがあるが、どこであったのだろうか思い出せない。

大天井岳からの眺めを楽しむ

かなり空気が澄んでいて、播磨灘に浮かぶ島々まで見える。ここまで登って来たのはこれで十回を越えているはずだが、初期の山行記録がパソコンのハードディスクの故障で見ることが出来なくなり、はっきりした回数が分からなくなってしまった。


夢前町板根へ下山

12:25
コンビニのサンドイッチ、おにぎりを食べて眺望を楽しんでいたら誰もいなくなってしまった。帰りのバスまであと2時間半あり、地蔵岳・虹ケ滝ルートで下山しても十分間に合うだろうが、今日はあえて始めてのルートをとることにする。

板根のキャンプ場からの登山道で下山してしまうのだ。これまでに何度も登っているが、前々から一度でいいから下りに使って見たいと思っていた。

岩場を下る

頂上直下の急な岩場では三脚を立てることも難しく、写真を撮るどころではない。まあ写真が撮れても、ほとんどが後ろ向きで下ったので、登っているのか下っているのか分からないような写真だろう。

時々、ハイカーが下から現れクサリにつかまりながら登っていく。女性をまじえた若者たちが楽しそうに登っていくのを見ると、はっきり言ってうらやましい。

若者たちが楽しそうに登っていく

12:47
ザックにくくり付けた三脚が邪魔をして「セリ岩」の隙間に入ることができない。仕方なく迂回路をとる。「見晴らし岩」からも大展望が広がっている。

12:53
太いクサリが下がる岩場の木の根は、ツルツルになっている。今までどれくらいの人々が握ったのだろうか。

根がツルツルになっている

13:00
「出雲岩」で5分ほど休憩。下っているのに汗が出てくる。地蔵岳ルートも急だが、この登山道ルートはさらに急で下るには適してはいないと感じ始めた。道標には「登山口へ(約40分)」とある。1時間以上の余裕がありのんびり下りよう。

出雲岩

出雲岩から下は植林の中の急坂を下っていく。登っているとき以上に下るほうが急に感じる。13時半を過ぎてもまだ登っていく人に出会う。

植林の中の急坂を下る

13:36
岩峰が望める「展望岩」に着いた。ここまで下れば登山口はもうすぐで、20分ほど休憩というかバスの時間調整をする。ここで最後のハイカーに会ったが、私が下り始めるときもまだ休憩していた。こんなところで休んでいて明るいうちに下山できたのだろうか。

展望岩から岩峰を望む

展望岩からも急な下りがさらに続く。よくもこんな急な登山道を皆登るかと思うと感心してしまう。雪彦山が登れたら播州のいや日本のどの山でも登れそうな気がする。とくに富士山なんかは楽勝だ。

14:20
キャンプ場のバンガロー脇の登山口に下山。ほかの下山口からもポチポチとハイカーが下ってくる。

無事下山

14:41
荷物の整理をしたりシャツを着替えたり、鳥居の下にいる子猫と遊んでいると、15時7分発姫路駅前行きのバスがもう入ってきた。ここまでの乗客はだれもいない。バスで帰るハイカーは夫婦が二組と私の5人だけ。

帰りの神姫バス

定刻に発車した姫路駅前行きのバスは乗客を増やすこともなくガタガタと走っていく。1時間ほど揺られて姫路駅まで行くと料金は1,070円になる。疲れのためかうつらうつらしているうちに、いつの間にかバスは姫路の街中を走っていた。



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