山行記録にもどるホームにもどる



交通費わずか100円、六甲山の魚屋道



スポンサード リンク




平成17年11月23日(水)勤労感謝の日  メンバー 私だけ

JR甲南山手駅〜魚屋道〜六甲最高峰〜魚屋道〜有馬温泉〜神姫バスでJR三宮駅

2万5千分の1地形図「西宮」「宝塚」「有馬」を参照すること


JR甲南山手から魚屋道へ

交通費100円には条件というか裏があり、次の二つを満たしている場合だけです。

  1. 神戸線沿線の鉄道の定期券を持っていること。
  2. 神姫バスまたは阪急バスの通勤定期券を持っていること。

なお、今回は「山と渓谷社刊 登山・ハイキング案内 『六甲山』」の“魚屋道から六甲最高峰”の完全トレースなので、そちらも参考に。

7:55
JR甲南山手駅に降り立つ。阪神深江駅近くに古道基点の石標と解説板があるらしいが、今回はパス。

甲南山手駅北側の道をを西へと進むと、ニつ目の交差点の西側で、道幅を目一杯に使って河川工事をしている、北東の角には「神戸薬科大学 西へ ←」の青い看板がある。ここを右折し山側に進む。

稲荷神社の西側を北に進むと五叉路に出る。魚屋道は「甲南女子大学」方向で、北側へ登る2本の道の右側へ進む。

8:10
甲南女子大学を左手に見ながら緩やかな坂道を登って行くと、高橋川にかかる「昭内橋」に着いた。「←魚屋道 風吹岩(1.7km)を経て六甲山 東灘区本庄町森北町→」の道標も立ち、ここが現在の魚屋道の入口だ。

魚屋道の入口

8:17
身支度を整え登山開始。しばらくは右手に三面コンクリート張りの川と民家、左手に雑木林を見ながら登っていく。民家が途切れると、流れのない谷に砂防ダムが2基現われ、古い階段を昇り降りして越えていく。

暗い谷道を登る

土石流検知装置

注 意

この周辺には、土石流を感知するワイヤーセンサーを設置しております。
切断されると支障となりますので、近寄らないで下さい。
ふれないようにお願いします。

土石流検知装置について
この土石流検知装置は、上流に設置したセンサーで土石流の発生を感知し、サイレンを動作させて、住民にいち早く発生を知らせる大切な設備です。
よって感知装置を傷つけたりしないようお願いします。

建設省 近畿地方建設局 六甲砂防工事事務所

8:29
「風吹岩・保久良神社(尾根道)」への分岐があるが、直進は「蛙(カエル)岩を経て風吹岩・有馬(魚屋道)」となっている。暗い谷道から明るいだろう尾根道へ脱出したいが、ガイドブックも道標も直進が魚屋道になって、蛙岩も見たいのでこのまま暗い谷を登ることにする。

8:35
暗い谷道が続くのかと気分が滅入ってきたが、杞憂に終わり谷が浅くなり、明るくなってきた。途中3ケ所ほど切り開かれ、なぜか番号を付けられた竹が数多く打ち込まれている。何かの調査のためのものかと思うが、さっぱり分からない。

明るくなってきた谷道

この打ち込まれた竹は
何を示しているのだろう


蛙岩から風吹岩

8:54
「会下山遺跡を経て芦屋」の道が右手から合流してきて、道も少し広くなった。合流点には「蛙(カエル)岩」が鎮座しているが、どう見たら蛙に見えるのかよく分からない。

蛙岩

盛り上がっている箇所は切り通したりして、かなり手を加えられた道が続く。魚屋さんが有馬へ魚を運ぶためだけではなく、有馬温泉への通行路として長い間利用されてきたのだろう。

登山道というよりは
昔の交通路といった雰囲気だ

9:04
途中で分岐した「尾根道」が合流してくると、魚屋道もさらに明るく緩やかな道になり、楽しい道になってきた。花は咲いてないが、ムラサキシキブ(ヤブムラサキかも)のピンク色の実が美しい。

平坦になった魚屋道

ムラサキシキブの実

9:22
「金鳥山・保久良神社を経て阪急岡本駅・JR本山駅」が合流してきた。道はさらに広く立派になる。この手前に「山の神」の祠があったはずだが見落としてしまった。

行方に送電線鉄塔が見えてきて、地面が露出した荒れたところを登って行く。右手に垂直な壁のような大岩が現われ、上の方から子供の元気な声がする。「ヤッホー」と。

9:30
風吹岩に着いた。ほとんどの人はロックガーデンから登って来たようで、10人近くの人が休んでいる。大岩の上にも登れるが家族が居座っているので遠慮しておく。

ここに立つ関西電力送電線鉄塔は鋼管製環境調和茶色塗2回線懸垂鉄塔「新神戸線 四六」だ。しかし、どの人も景色ばかり見ていて、送電線鉄塔に注意を払う人は皆無だ。

風吹岩から大阪湾を見る


雨ケ峠から七曲りを登り最高峰へ

9:38
風吹岩から六甲最高峰を目指し、登りはじめる。「太陽と緑の道 ←雨ケ森まで50分」とあるが、ここから六甲最高峰までだけが「太陽と緑の道」なわけではなく、神戸市が管理しているハイキングコース総延長175kmの全てのことを、そう呼ぶようだ。

こんな道や

こんな道を行く

「←打越山」、「←横池」、「横池入口」、「←打越山、住吉谷、八幡谷、十文字山」、「荒地山へ→」、「芦屋ゲート奥池へ→」、「←黒五谷を経て住吉川、岡本」などたくさんの分岐・合流があるが、全て無視して「六甲最高峰」を目指し緩やかな道を進んでいく。

10:03
小川にかかる橋を渡るとその先にはゲートがあり、上空をウグイスが横切っている。ここからしばらくは芦屋カントリークラブの敷地の中をいくことになる。

ゴルフ場敷地に入る

瀬戸内海国立公園 ロックガーデン周辺案内図

利用者の皆さんへ

  1. 足元の不完全な人は利用しないでください。
  2. 山火事をおこさないよう、火の跡始末は完全にして下さい。
  3. 美しい自然をよごさないようにゴミは必ず家まで持ち帰って下さい。
  4. ゴルフ場内は危険ですから十分に注意して下さい。

10:14
カート用の舗装道路の2本目を横切ると、またゲートがありゴルフ場を抜ける。

10:16
道端に「自然水浄化水道水の為断水する事もあります」の但し書き付きの水のみ場がある。ゴルフ場のハイカーへのサービスなのだろうが、浄化前の原水の汚染状態、またどのように浄化殺菌しているのか分からないし、あまり飲みたくない。

水道法が定める「専用水道」だろう

10:29
緩々の道を登って行くと「雨ケ峠」に着いた。平坦な山の平坦な峠で、あまり峠らしい地形ではない。ここから東お多福山経由で最高峰を目指してもよいのだが、魚屋道を行くという目的から離れるしで、このまま行く。

ぼちぼちとハイカーが登ってきて、休憩して、最高峰目指し登っていく。私も5分ほどの休憩の後出発する。

雨ケ峠

10:46
せっかく峠まで登ったのに、最高峰に登らなくてはいけないのに、どんどん下っていく。「←住吉・御影」分岐を過ぎて少し下ると住吉谷の流を渡る。大きな平たい飛び石が並べられ、誰でも安全に渡ることが出来る。

飛び石を渡る

これまでに経験した飛び石は、濡れて、コケが生えて、間隔が広く、傾いたり丸かったりした、在るがままのものばかりだったので、ここのを見てこれが普通に言われている「飛び石」というものだろうと認識を新たにした。

「本庄橋跡」は現在の魚屋道から離れいて、上流側を渡ってしまったため通らなかった。次回には必ず寄ることにしよう。

大きな砂防ダムを左手に見ながら進んでいく。こういう山の中の砂防ダムには建設用の林道も必要不可欠で、もうすぐ林道に出るだろうと思いながら、正面左に見えてきたのが「七曲」の山かな思いながら行く。

もうすぐ七曲りの登りだ

10:55
予想どうり「土樋割峠」からは林道がきていて、広場になっている。砂防ダム工事の時はここに飯場でも立っていたのだろうか。あまりに広い場所で魚屋道の続きがどこか分からなかったが、先行者の後に付いていくと、また立派な飛び石がある浅い流を渡る。

土樋割峠からの林道終点の広場

流を渡ると、階段道になる。ここが七曲りの登り始まりだ。名前の通り右に行ったり左に行ったりと九十九な道で、それほど急ではない。

七曲の登り始め

イナカギク?

昔の交通路だけあり、普通の登山道とは雰囲気が違う。急なところは切り通して緩くして石段が整備されている。石段も人間工学的に考えられているのか段差が適当で登りやすい。

こんな緩やかのところもあるし

石段の道もある七曲り

11:38
車の走る音が聞こえてきて、石垣の上に白塗りの塀が立つのが見えてきたら、一軒茶屋が建つ「六甲越」だ。稜線には「ベルビューアリマロード」が通り車でも登ってくることが出来る(ベルビューアリマロードを検索しても数件しかヒットしない。東六甲ドライブウェイは数万件ヒットするのに不思議だ。)。一軒茶屋は外にメニューが張り出されてなく、どんな名物があるのかもわからず詰まらない。たくさんの人が登ってくるので、あまり営業努力をしなくてもやっていけるのか、それとも店主のポリシーがそれを許さないのかは定かではない。

六甲越の一軒茶屋

11:50
車道を渡り、舗装された道を登って行くと無線中継所鉄塔が立つ六甲最高峰だ。山小屋風の外装の無線中継所には表札がなく所有者が分からないが、各種の進入警戒用機械警備機器の設置の特徴から自衛隊のものと判断したが、帰ってから調べてみると当りだった。

自衛隊の無線中継所

六甲山最高峰 931mの標柱

最高峰標柱の横に931.25m一等三角点標石がある。大きな一等三角点標柱は上部を少しだけ地上に出しているだけで、保護石もなく端もかけていてあまり威厳がない。登ってくる人を見ていても三角点標石に注意を払う人は少ない。

一等三角点標石

近くの石に埋め込まれた解説板

六甲山

北緯 34度46分29秒144
東経 135度15分59秒507
標高 831.13m

六甲山頂には、明治19年(西暦1886年)に一等三角点の標石が設置されました。三角点は、地球上の位置(緯度・経度)が高い精度でもとめられており、地図づくりや地震予知をはじめ、いろいろな測量の基礎となる重要なものです。

平成5年7月 建設省国土地理院
神戸市・芦屋市三条津知財産区

ちょうどお昼になり、有馬温泉からのバスの便の都合もあり、のんびりとお昼御飯を食べ日向ぼっこをして無為な時間を過ごす。微風だが日陰側は寒くなり時折座る向きを変える。

トノサマバッタの幼虫が、よたよたと歩いてきた。気温がバッタの適正温度からだいぶ低いのか元気がない。こんなことで寒い寒い六甲山の冬が越せるのだろうか。

六甲最高峰のトノサマバッタの幼虫


有馬温泉へ下山

13:30
バスの時間にはまだ早いのだが、腰を上げ下山を開始。天気は良いのだが南の大阪湾は霞んでいてよく見えない。

最高峰から南側の展望

トイレの近くに非常に大まかな案内図が付いた「森林浴ハイキングについて」と称した解説板がある。方々で同じ文章のものが立っているが、その横から有馬温泉へ下る魚屋道が再び始まる。

森林浴ハイキングについて

T.森林浴とは

  1. 森林のすがすがしい香気と清浄な空気、さわやかな緑、小鳥のさえずりの中くつろいだり、心身を鍛えることが森林浴の目的です。
  2. 適度な歩行や体操により、心身をリフレッシュできる。この地形の変化を利用した森林浴歩行は、呼吸器や循環器系統のはたらきをよくするエアロビクス(有酸素)運動となる。
  3. 樹木の発するフィトンチッド(フィトンは植物、チッドは殺菌作用の意)という有機物質は殺菌力を持ち、空気を浄化し、人間に有益に働きます。
  4. フィトンチッドの一種であるテルペン類は「大気のビタミン」とも言われ、肉体疲労回復、集中力の増強に役立ちます。

U.森林浴の楽しみかた

  1. 森に入る前は少し運動して、体を慣らしておく。
  2. 歩行距離は2km、5km、10km程度が適当な距離。滞在時間は3時間以上が望ましく、ゆとりが必要。
  3. 歩行は自分のペースより、ややきつい程度が良い。
  4. 日光浴をとり入れ、明るい直射日光のあたる場所で軽く柔軟体操を行い、休憩をとる。(夏季は木もれ日程度が良い)
  5. 時にはベンチや切り株に腰をかけ、腹式呼吸を行い、瞑想にふけるのも良い。

      神戸市

有馬温泉への下山道はここから始まる

コンクリート舗装の道が続く

下山道の始まりはコンクリート舗装された歩道で、この歩道が有馬温泉まで延々と続くのかなと思った。しかし、そんなことあるはずもなく、吉高神社への分かれ道を過ぎると地道になる。

地道になっても、あくまでも緩やかな歩きやすい道が続き、紅葉・黄葉がとてもきれいだ。

有馬温泉への魚屋道 その1

その2

その3

その4

その5

その6

写真の通りのあまり特徴がない道が続き、書くこともない。有馬温泉が近づくと有馬稲荷神社への近道もあるが、そのまま魚屋道を下っていく。道は日陰になり少しばかり暗くなって来る。

神社への近道を過ぎると薄暗い道になる

14:54
古い「虫地獄」の石碑がある有馬温泉の端に下山する。地獄谷の解説板がある。

地獄谷

的場山と愛宕山との間の谷を地獄谷と呼んでいます。
ここは、数十万年前の地殻変動のときできた的場山断層です。
この谷には、鳥地獄・炭酸地獄・虫地獄などがあります。的場山断層の割れめから、たくさんの炭酸ガスが噴き出て、虫や鳥などが死んだところに、この名の由来があります。
また、この付近に湧き出ている炭酸水は、かつてその成分がわからず、町民から「毒水」として恐れられていました。
この毒水の湧き出ていた「血の池」という炭酸水に目をつけた三田城主の山崎家盛は、慶長2年(1597年)に温泉場をつくろうとしました。これに驚いた町民は、太閤さんに直訴し、その工事をやめさせました。家盛は激怒して、当時の住民を皆殺しにすると言ったという話が残っています。
明治以後に、虫や鳥が死んだのが、炭酸ガスのためであることがわかりました。それからは炭酸泉の発掘が行われ、湧き出た炭酸水は良質のおいしい飲料水として評判になりました。
この地獄谷を訪れ、鼓ケ滝を巡るコースは古くから湯治客の散歩道として親しまれ、鎌倉、室町時代の五山文学の詩集などにも登場しています。

炭酸泉広場 東へ歩いて 5分
愛宕山公園 北へ歩いて 5分
鼓ケ滝公園 西へ歩いて 10分

有馬温泉観光協会

炭酸泉広場

ハイカーの後を付け下っていくと、狭い土産物屋が並ぶ道から、阪急バスターミナルのある広い道に出た。道は広いが、駐車場もない行き止まりの道で、バス・乗用車がごった返している。目的の三宮行きバス停はバスターミナルから少し下ったところにある。

15:13
家族へのお土産に炭酸煎餅を買い、三宮駅行きのバス停に着いた。阪急バスの15時20分の便がもうすぐだが周辺道路の大渋滞のため遅れるという。結局20分発のバスが来たのは30分ほど遅れ、バスターミナルでUターンしバス停の前を通ったときは16時を過ぎていた。私はある事情で15時50分初の神姫バスに乗るつもりだったので、阪急バスには乗車しなかったが、これからが大変だった。

車がごった返すバス停前道路

16:30
三宮行き阪急バスを見送ってから、さらに待つこと30分、時刻表からは40分遅れでようやく三宮行きの神姫バスがやってきた。あまりの遅れに神鉄で帰る人が多かったのか、バスの座席には空席もある。

17:35
三宮に着いたのは、さらに時刻表から遅れること1時間5分後だった。折り返しの有馬温泉行きは17:30発なので、車両1台運転手1人で運行しているなら、休むまもなく引き返さなければならない。運転手さんも大変だ。

なお、私は神姫バスの通勤定期券を持ってるので、680円のバス運賃が環境定期制度を利用し100円になり、本日の交通費はわずか100円しかかからなかった。(11月28日追記、阪急バスにも同様な制度があります。)



スポンサード リンク



山行記録にもどるホームにもどる本ページのトップ