悪人に神罰下る荒地山
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平成17年11月26日(日) メンバー 私だけ
JR芦屋駅〜鷹尾山〜岩梯子〜荒地山〜芦有ゲート〜弁天岩・ナマズ石〜JR芦屋駅
2万5千分の1地形図「西宮」「宝塚」を参照すること
JR芦屋駅から歩き始める
今回で播州野歩記の六甲山ハイキングシリーズは、めでたくも5回目を迎え、神戸市を通り越し芦屋市の荒地山に登ってみた。六甲山で悪事をはたらくと神罰が下り、荒地山に引き込まれ岩場で打ち据えられてしまうという。どのような結果が出るかとても楽しみだ。
なお、今回も、山と渓谷社刊登山・ハイキング案内『六甲山』の“芦屋川から荒地山”の完全トレースなので、そちらも参考に。
9:32
最寄り駅は阪急芦屋川駅だが、私はJRの定期券しかもっていない。よって少し遠くなるがJR芦屋駅からの出発となる。帰りもJR芦屋駅の予定で本日の交通費は0円だ。
9:47
コンビニに立ち寄り、昼食と飲料を買ってから西へ進み、芦屋川を渡り北へ進み、阪急芦屋川駅の下を抜ける。駅名のとおり芦屋川駅ホームが芦屋川の上まではみ出しているのを見てビックリ。
芦屋川右岸沿いの桜並木の、葉が赤く色づいた道を北上すると「至る 高座の滝ロックガーデン」と「愛称名 高座の滝道」の道標がある。この後も要所要所には案内があり、ルートハンティングが最も困難な街中でも迷うことはない。
9:52
芦屋川の支流、高座川にかかる大層な橋「大僧橋」を渡ると、芦屋川沿いに小公園がある。暑くなってきたので公園で上着を脱ぎ山登り仕度を整える。
10:01
上の写真の石柱の表示は「左瀧」で、ここは左に進む。帰りは芦屋川沿いを下り、この右側の道に出てきた。
登山口へ行く道は瀟洒な邸宅の間の緩やかな坂道を登っていく。中には無住なのか有刺鉄線で囲まれた邸宅もあり、まさに「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。おごれる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ」の世界が眼前で演じられている。
10:09
住宅地の中に、直進「高座の瀧を経てロックガーデン」、右「城山(鷹尾山)を経て荒地山」の道標と「城山(鷹尾城跡)」の解説板が立っている。今日はここを右に入り「荒地山」を目指す。
城山(鷹尾城跡)
永正8年(1511)細川高国、澄元の両軍勢による鷹尾城と芦屋川原の合戦は阪神地方の代表的な古戦場として知られている。標高260m。いま城山の山頂には中世の城跡としての遺構は何も残っていないが、大阪湾を一望できる眺めもすばらしく動植物の観察や高座の瀧までの2kmのハイキングコースとして親しまれている。
芦屋市・芦屋市観光協会
10:12
民家脇のコンクリ階段の登山口に着いた。案内はないがここに間違いがないだろう。途中で上着を脱いでもまだ暑く、ここで長袖ラガーシャツ1枚になる。ここまでに追い越した子供を二人連れた夫婦に追い越されてしまった。
山城があったという鷹尾山
道幅は広くないが良く歩かれた道で、急斜面を九十九に登っていく。しかし、そのジグザグに登っていく登山道をあざ笑うかのごとく、直登路が出来ていて、まるで登山道が2本絡み合っているように見える。登山路を外して自分の思うように歩きたいという、自己中心的で自然への思いやりのかけらもない行動をするのは、悪だと私は思う。そんな人は荒地山の岩場で神罰を受けるに違いない。
10:38
30分ほどで「鷹尾山」の頂上に到着。サンテレビ山芦屋テレビ中継局とNHK山芦屋テレビ中継放送所の建屋があり、アンテナ塔はサンテレビ側に1本だけ立ち両者で共用している。
10:44
頂上から少し進むとアングル製環境調和緑色塗耐張2回線送電線鉄塔「広田西線 三九」が立っている。下部は正方形、上部は長方形に変化し、腕金が鉄塔横幅に比べて極端に短く変わった形の送電線鉄塔だ。
結構遠い荒地山
緩やかな道を進むと、次のピークが見えてきた。なかなかと紅葉もきれいで美しい景色だが、一旦下り登り返さなければならない。
10:57
下りきった鞍部からは「高座滝」へ下る道がある。案内板があり、滝へ下る道は御迷惑をかける道、おそらく思いっきり高巻くように付け替えされたのだろうか。
ハイカーの皆様へ
当地区は、平成7年1月17日の兵庫県南部地震により被災したため落石防止と山腹の安定を図る防災工事を行いました。
工事の都合上、登山道の付け替えをしましたので、登山者の皆様には大変ごめいわくをおかけしますが、よろしくご協力をお願いします。
なお、予想外の「落石の恐れ」がありますので、注意して通行して下さい。芦屋市
11:08
岩がちになった登山道を登って行くと、アングル製環境調和茶色塗懸垂2回線送電線鉄塔「仁川連絡線 三六」が立っている。ごく普通の形の送電線鉄塔だ。
道端の柿の木に小ぶりな実がなっているが、鳥にも食べられずに、いまだに残っているところを見ると渋柿に違いないだろう。
11:11
また次のピークが見えてきた。また下り登り返さなければならず、きれいな景色なんか見えなくてもいいから、緩やかな稜線が続いていればいいのに。
11:13
うれしいことに、あまり下らずに鞍部に着いた。この鞍部からは「奥高座」への道が分岐している。
11:20
荒地山手前の3番目のピークにも送電線鉄塔が立っている。鋼管製環境調和茶色塗耐張2回線送電線鉄塔「新神戸線 四四」で碍子の規模から見て送電電圧は高そうだが、尾根に立つ送電線鉄塔の常として高さは低い。
11:33
鉄塔から10分も進むと、荒地山の岩場が見えてきた。大勢の人がいるようで声も聞こえてくる。
真っ直ぐ荒地山との鞍部に下るのかと思いきや、尾根は西側に回り込んでいて、思ったよりも下らなくてすみ、少しうれしくなる。
岩梯子から荒地山頂上へ
11:44
荒地山の核心部分「岩梯子」に到着。JR芦屋駅から歩き始めてすでに2時間、思っていたより遠かった。「岩梯子」は手掛かり足掛かりも充分ですんなりと登れる。しかし悪人はこの岩場で神罰を受け、岩に打ち据えられるという。身に覚えがある人は荒地山に近づかないのがよいだろう。
岩梯子の上部終了点は、狭い岩と岩との上にもう一つの岩が乗っていて、その中をくぐっていくのが面白いが、ザックを下ろさないと抜けることが出来ない。
荒地山の頂上は見晴らしが無いので、岩梯子から少し登ったところで昼食をとる。霞んでいて六甲アイランドまでぐらいしか見えないが、展望を楽しみながらコンビニおにぎりを食べていると、ぼちぼちとハイカーが登ってくる。
12:21
荒地山頂上から風吹岩経由で、ロックガーデンから下山するかとも考えたが、初めて通るところは下りではなく登りに使いたい。ということで、荒地山頂上に寄ってから、東へ芦有ゲートに下り、芦屋川沿いの山道を下ることにする。岩梯子から上も大岩の登りが続き結構面白い。
12:35
岩場を登りきると、平坦な地形になり「←荒地山山頂 ゴルフ場芦有ゲート→」の道標が立っている。左に進み荒地山頂上を踏んでから、引き返し芦有ゲートへ下ることにする。
12:39
平坦な山頂からは展望はない。適当に広いのでここでお昼御飯を食べている人がいるが、休憩するなら岩梯子の上がよいと思う。登頂記念プレートが3枚(最後のは違うかも)下がっていて、公設表示板も1枚立っている。
- 平成16年12月26日《高い位置にあり裏側は確認できず》
- 行深修験・悟道界張 荒地山 H17.11.13 549m 無用塾
役の行者還跡めぐり山野の会 空岳木村明 加藤一郎 寺内康博 立島洋子 西神戸YMCA一武志郎 他 合掌 - 荒地山 標高549m 兵庫登山会
森林整備事業について
平成3年2月 芦屋市
芦屋市では、奥山1番の保安林内で、不用・不良木や雑草等の除去を行っております。除去することにより、アカマツ・クヌギ・コナラ・ヤマザクラ等の主林木の育成を促進すると共に、保水能力を高め、山の崩壊を防止し、治山治水の向上を図ることを目的としています。
また、、景観上ヤマザクラ・ヤマモミジ等の苗木を植栽し併せて森林浴もできる憩える山にするため、森林整備をしております。
- 事業名 育成天然林整備事業
- 工事期間 平成3年2月〜平成13年3月
- 工事区域 左図のとおり
- 施工者 芦屋市 総務部用地管財課
芦有ゲートへ下る
芦有ゲートへの分岐点へ引き返し、ミヤコザサが茂る踏み跡へ入る。播州の山なら明確な道と表現するところだが、六甲では踏み跡あるいはヤブ道といった方がよいのかもしれない。
ミヤコザサの茂る踏み跡を少し行ったら、手ぶらで街中を歩くような場違いな服装の夫婦に会ったが、荒地山の西の「なかみ山」まで行くという。大丈夫かいなと心配になる。
12:50
公設表示板が立っている。表示板には手書きで、閉鎖されている右へ下る道を行くと芦屋川の「弁天岩」を通り阪急芦屋川駅に2時間で行ける、と書かれている。単独ハイカーの私は安全第一なので、危険な道には入らず真っ直ぐ芦有ゲートを目指すことにする。
注 意 ハイカーのみなさまへ!!
このコースは阪神大震災により、道が寸断されて危険ですので当分の間閉鎖します。
芦屋市
13:05
道は細いが案内板はたくさんあり、迷うのは困難な緩やかな道を進むと、道脇に大岩が2個続けて現われる。その先からいきなり、急下りになる。
芦屋川に着く直前、犬と出合い思いっきり吠えられる。飼い主が後から現われたが、ノーリードで犬を連れて荒地山に登るとはいい度胸をしている。犬もろとも間違いなく天罰を受けることだろう。
13:22
小川のような住吉川を渡り、芦屋カントリー倶楽部への車道へ出る。車道に出たことで、一気に登山モードからお帰りモードに気持ちが変わり、この後の芦屋川沿いの山道歩きがきつくなってしまった。
バスで帰ればよかった、芦屋川沿いの山道
13:34
ゴルフ橋を渡り、芦有ゲートの下をくぐり抜け、石仏谷の砂防ダムの下を横切り、車道の東側に出る。芦屋駅行きの阪急バス(料金は260円)は1時間に2本もあり、川沿いの山道を歩くよりは千倍は楽だろう。また、紅葉を見ながらのんびり車道を歩いても、百倍は楽だろう。しかし計画どうり山道に入り下ることにする。
いきなり遊歩道のような道と、踏み跡に分かれる。その踏み跡側に「弁天岩を経て阪急芦屋川へ」と書かれた公設案内板の成れの果てが横たわっている。本当にこの踏み跡でよいのか心配だ。
芦屋川沿いの道は遊歩道になっていて、ちんたら下るだけだと思い込んでいたが、砂防ダムをかわすため大きく高巻いたりもして、登り下りが続く。おまけに歩く人もいない荒れ果てた山道で、今日歩いた中では一番の難路だ。
14:03
遊歩道の様な道に出て、もう大丈夫だと思いきや1分も行くと、またミヤコザサの中の踏み跡へと「阪急芦屋川 弁天岩へ」の案内板が指し示している。
14:09
鷹尾第二堰堤「鋼製格子枠砂防ダム」の下流で芦屋川を渡る。大きな飛び石が配置されているのである程度の流量までは安全に渡れるが、限界を超していたら芦屋ゲートまで引き返さなければならないだろう。
芦屋川から車道に上がり、反対側に続いているはずの山道を探すが、見つからない。いや見つけはしたのだが、あまりに草ぼうぼうで案内板もなく、ここが入口のはずは無いと思い込んでしまった。上流へ車道を歩いていくと、山側に「立入禁止」の注意喚起看板が2枚見える。そこにも山道の入口が存在することなど知らない私は、さらに5分ほど上流に進んで諦めて引き返すことにした。
14:23
先ほどの注意喚起看板まで引き返す。どうやらこれは、山上の荒地山・芦有ゲート分岐点から少しの立ち入り禁止看板に対応したもののようだ。
落石につき危険 立入禁止 芦屋市
注 意 ハイカーのみなさまへ!!
このコースは阪神大震災により、道が寸断されて危険ですので当分の間閉鎖します。
芦屋市
足元を見ると草むらの中に案内が隠れていた。その案内は「←至 阪急芦屋川 至 荒地山→」となっている。ここからダイレクトに荒地山へ登る道跡が見え、下流側へも踏み跡があるではないか。立入禁止に惑わされたが、ここが阪急芦屋川へ下る山道の入口の一つだ。もう一つは芦屋川を渡り道路に上ると「奥山精道線 カーブbU 兵庫県西宮土木事務所」カーブミラーがあり、その真正面のヘアピンカーブの内側の草に隠された踏み跡。実はもう一つあり、車道を少し下ると山側に大岩があり、その手前にも入口がある。こんなに入口がたくさんあるのに迷うなんて、何てことだ。
14:27
三つの入口のどこから入ってもすぐに白山大神・白神大神が祀られた大岩だ。始めはこの岩が「弁天岩」だと思っていたが、調べてみると車道の脇にある岩が「弁天岩」だと知った。
14:35
弁天岩から3分も下ると、今度は「ナマズ石」がある。あの地震のとき山上から転がり落ちてきた大岩だ。
この地を訪れた皆様へ
この石は1995年1月17日の阪神淡路地震によりこの場所に出現しました。
あの地震で移動した石では最大のものです。重さは500トン(推定)、大きさは長さ8.6m、幅6.9m、厚み4.1m、もあります。
元は荒地山(標高546m)の山頂付近(東肩部・通称ナマズすべり)にありましたが、地震の大きな揺れで動きだして、樹木をなぎ倒しながら山肌を数百メートルもころがりこの場所に止まりました。
この石を「ナマズ石」と呼んで、阪神淡路大地震の証として後生に残し、未来の人たちに見ていただき、地震の防災について考えてほしいと願っています。
ナマズ石保存会
ナマジ石保存ご記名板の設置は2000年11月末で終了しました。
その間、合計5861名ものご署名をいただくことができました。
日本全国より、遠くは海外より驚くほど多くの方々に訪れていただき、ご署名をたまわり本当にありがとうございました。
ナマズ石からも、全体を見たら下りだが、小刻みな登り下りのある道が続く。今の時期なら所々で見られる黄葉・紅葉がきれいだ。
14:56
「道アゼ谷」を高巻き堰堤横を通過。道は相変わらす険しい。
「宝泉水」は塩ビパイプからチョロチョロ、「陽明水」は涸れている。道は少し良くなるが路肩が崩落しているところが何ケ所もある。
15:19
アングル製環境調和鶯色塗耐張2回線送電線鉄塔「広田西線 三八」のすぐ先で、送電線巡視路が鷹尾山頂上北側の三九番鉄塔を目指し登っていく。ガイドブックには記載されていない道だが、こんな道を登るのも面白いだろう。
15:28
芦屋川「水車谷堰堤」下の広場に下山。荒地山からは善人と認められたが、頂上からここまで3時間近くかかってしまった。
なお、この広場の隅にはauの「KDDI株式会社 山芦屋基地局」の局舎がありアンテナ塔が立っていて、すぐ下には自然にやさしく包まれた地「芦屋動物霊園」(永代使用聖地分譲中 1聖地100,000円より)がある。
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