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有馬氷瀑巡り、登りは3時間、下りは13分



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平成17年12月24日(土)  メンバー 私だけ

有馬温泉〜七曲滝〜百間滝〜紅葉谷道〜極楽茶屋跡〜有馬温泉

2万5千分の1地形図「宝塚」「有馬」を参照すること


有馬温泉から

「へえー、ビブラムソールの踵は中空になっているんだ」と登山靴の踵に生じたひび割れを押し広げ、中に入っていた砂粒や小枝を出しながら感心する。「困ったな、貼替は日にちがかかるし。3年も履いたんだし新しいのを買おう」と前日に、今履いているのと同じものを手に入れた。

靴ならしにどこへ行こうかと考えながら、ネットのいつものコースを巡回していると、有馬の滝が凍っているとの情報があり、新しい靴でいきなりの雪道に行くことにする。果たしてどうなることやら。

9:46
JR三宮駅前発の有馬温泉行き神姫バスは、定刻より少し遅れて、有馬温泉に着いた。料金は680円。有馬温泉へ行く公共交通機関の中では、神戸市の敬老パスが通用する唯一の路線で、いつもは大勢の元気な老人達で一杯になる。しかし、あまりの寒さで今日の乗客は10人ほど。

有馬温泉に着いた神姫バス

今日の行程は、凍った七曲滝・百間滝を見物し、紅葉谷道で極楽茶屋跡へ。それから六甲山最高峰により、魚屋道で有馬温泉に戻るというもの。

靴がまだ堅く踝が全く動かない・グリップが良すぎる・踵が引っ掛るなどで、舗装路を歩くのが苦手な靴なのは前回も経験している。私の足と靴の相性がよく、どこも当たるところがないのも前回と同じ。

10:08
西回りに人通りの全くない、雪が残る道を登り「六甲有馬ロープウェー有馬温泉駅」に着いた。温泉街から別の道からきた、氷瀑を見に行くハイカーがここに集ってくる。

ロープーウェイ駅から舗装林道に入り、アスファルトが見えていた道も、砂防ダムの工事現場を過ぎると雪に被われ真っ白になる。雪は降ったまま踏みしめられただけで、凍結してなくまだアイゼンは必要ない。雪の上を歩き出すと靴底のグリップは適度に弱まり、舗装道路以上に歩きやすくなってきた。

工事現場を過ぎると道は真っ白に


氷瀑巡り

10:29
湯槽谷・紅葉谷分岐に着いた。林道はここまでで、道は細く険しくなるだろうと思い、6本爪の軽アイゼンを着ける。新靴にいきなりのアイゼンを着けての歩きだが、バンドを締め付けても靴の堅さから足まで伝わらず快適だ。

案内板にも雪が積もっている

小橋を渡り紅葉谷道へ

急な登りの先は、高さ21.5mの「白石砂防ダム」の堰堤を渡る道に続き、その先は比較的緩やかな道になる。雪は踏み固められ歩きやすく、スパッツなしでも靴の中に雪が入るようなことはない。凍結していないのでアイゼンなしでも問題なく歩けるだろうが、着けていれば足元に注意を払うことなく歩けるので気分的に楽だ。

六甲の雪道を行く

10:51
白石谷分岐に着いた。公設の案内柱には「熟練者向け・危険な岩場あり」と表示され、左手のササヤブの中へ狭い道が入っている。雪がない季節なら何とかなるだろうが、今の時期には絶対に入りたくない。

10:58
七曲滝の入口が右手にある。ザックが3個ほどデポしてあり、空身でしかいけないほど厳しい道なのかと心配になる。

ザイルと鎖がかかる難所

谷底の流れの中を行く

鎖とザイルを頼りに行く難所もあるが、写真を撮ることが出来た程だからたいしたことはない。ただし、ここは絶対にアイゼンを着けたほうが身のためだ。七曲滝の手前で斜面から、V字型の谷底に下りて水の流を渡りながら進む。

11:05
バスを降りてから1時間20分で七曲滝に到着。滝見客は予想外に少なく10人もいない。

凍結した七曲滝

七曲滝は初めて見たので、この凍結具合がどの位なのか分からないが、長いツララが下がり私には感動もんだった。

15分ほどの滝見の後、七曲滝入口まで引き返し、百間滝を目指しさらに雪道を登る。

11:50
しばらく、それなりに急な道を登って行くと、今度は左手に百間滝の入口がある。

ここが百間滝の入口

始めは緩い登り下り、その先はどこまで下るのかと思うほどの九十九な急な下りが続く。ただし、道はしっかりしていてなんら問題はない。

どこまで下るのだろう

途中で百間滝が見えるところがあるが、あまり凍結はしていないようだ。滝の落ち口に行けるような道もあるが、私自身が落ちては困るので行かなかった。

12:03
谷底まで下りて右に回りこむと、そこに百間滝があった。残念ながら、初めて見る私にも凍結具合は不満足なものだと分かった。

凍結した百間滝

百間滝のさらに100m程奥、V字型の谷の左岸側に滝があるようで、5人ほどの人たちが写真を撮ったりしているのが見える。似位滝だ。せっかくここまで来たんだからと行って見ることにする。

12:10
似位滝直前の岩場は左手にロープが下がり、簡単に滝の下まで行けた。普段の滝の流れを知らないので、どこが氷結で、どこが積雪なのか分からず、どこを見て感動すればよいのかさっぱり要領を得ない。

5人ほどの男女中高年登山サークルの方々が、滝の右岸側の斜面に取り付こうと登ろうとしている。そんなところから登ってルートがあるのかと思ったが、元気な人たちだ。必死に登ろうと悪戦苦闘していたが、5分ほどで諦めた。

凍結した似位滝

百間滝まで戻ると、先ほどの元気なサークルの人たちが、今度は谷をそのまま下ろうとしている。白石谷へ直接行こうというのだろうか。ほんとに元気な人たちだ。


稜線の極楽茶屋跡へ

12:31
紅葉谷道の百間滝入口まで戻るが、狭い道でのたびたびの離合が大変だった。予想外に時間が経っていて、有馬温泉に引き返そうかと思ったが、稜線まで登れば完璧なエスケープルートがあるのを思い出し、とりあえず極楽茶屋跡まで登ることにする。

谷の右岸を登る

いつの間にか流れの側を行く

この辺りまでは快調だったのだが、何時しかメガネが曇るようになってきた。度々曇りを拭うのだが、片側が曇っていると白い世界で遠近感がなくなり歩きづらく、両側が曇ると道を踏み外すしまつ。その上、何度もメガネを外したり着けたりしているうちに、いつも付けているずれ止めの片方がいつの間にか外れてしまい、無くなってしまった。曇るメガネを片手で押さえながらの苦しい山行きになってしまった。

六甲山のブナ林

ブナは落葉広葉樹林帯を代表する樹木で、平地では東北、北海道で見られる樹木ですが、西日本では標高の高い山地にしか見られません。ここ六甲山では山すそからかなり高いところまでが常緑広葉樹林帯に含まれており、ブナは北斜面を中心とした山頂付近にしか見られません。
またブナ林は、植林や伐採などの人間の影響をあまり受けていない自然に近い森林のひとつです。ここのブナ林はイヌブナ・ブナをはじめシラキ・カエデ類・シデ類・クリ・コナラなど紅葉や新緑の美しい樹木が豊富で、四季を通して楽しめる森林です。

神戸市・環境庁・兵庫県

これがブナかな、実はよく見えていない

12:58
稜線が近づくにつれ、周囲の雪はさらに多くなり真っ白になってきた。ブナの木があるというが、どの木がブナなのかメガネは曇るは、周りは真っ白でさっぱりだ。

13:07
百間滝から上では誰にも会わずに来たが、真っ白な世界の写真を撮っていると、上と下から同時にハイカーが現われた。

予想以上に雪は多かった

13:17
番匠屋畑尾根への道と合流したら、自動販売機だけの極楽茶屋跡に着いた。車道は除雪されていて、時たま車が通るのが、ここまで登ってきた苦労を考えるとなぜか少し悲しい。

極楽茶屋跡

極楽茶屋前は夜景を見る穴場だそうだが、何も見えない。写真を撮る前には薄っすらと町並みと大阪湾が見えたような気もするのだが。

何も見えないな

シートを広げ折り畳み式コンパクト座布団を出しへたり込む。風は弱く寒さは感じない。コンビニおにぎりを食べながら、ファーストエイドセットからテーピング用のテープを取り出し、メガネのつるに巻きつけ滑り止めにする。けっこう具合はよくなったが、時間的に一軒茶屋から魚屋道を有馬温泉へと下ると、この雪では希望のバスには間に合いそうもない。ここからのエスケープを決意する。


エスケープ

13:40
車道南側のハイキングコースを西へ入ると、アンテナの林立した地帯を通り抜け、人がほとんど見当たらない観光地に入り込んでしまった。凌雲台と呼ぶところらしい。若いカップルが寒そうに寄り添いながら、雪の上を危なっかしげに歩いている、羨ましい風景だ。

ここはどこだろう

ここ凌雲台から裏六甲ロープウェイの六甲山頂駅は、車道を戻れば行けるようだ。

14:13
車道を歩きロープウェイ山頂駅に着いた。アイゼンを外しエレベーターで上がり、ゴンドラが止まる係員が誰もいない乗り場へ行くが何かおかしい。「そうか、これが休止中の表六甲線か。」乗り場にかかる温度計は氷点下4度を指している。

あれ、乗れないのかな

待合室で有馬温泉駅までの乗車券(片道980円)を買う。少し高いような気がするが、歩いて下りることを思えば安いものだ。

14:33
ゴンドラに乗り込む。乗客は私を入れても3人だけ。

凄い雪景色が広がっている

すれ違ったゴンドラには客はいなかった

湯槽谷の登山道がはるか下に

お客さんは3人だけ

このロープウェイは乗る価値がある。この展望が980円では安いくらいだ。苦労して歩くばかりではなく是非とも乗ってみてほしい。

14:45
有馬温泉駅に着いた。3時間以上かけて登ったのに、下るのはわずか13分ほど。文明の利器は素晴しい。

温泉街に下り、金の湯の外にある無料の「太閤の足湯」に浸かり、ほとんど疲れてなく、まだまだ歩きたがる足をなだめる。お土産の炭酸煎餅を買い、15:50発の三宮行きの神姫バスに乗車し帰途に着く。

太閤の足湯

三宮・有馬温泉間を神姫バスで往復したのは『神姫バスの通勤定期券を持っていると、土日祝日は距離に関係なく1乗車100円になるという環境定期制度(阪急バスにも同じ制度がある)』を利用するためだ。しかし、今よく考えてみると、歩いて下ればロープウェイを使うよりも、交通費全体は、有馬温泉からどのバス、電車を使おうが安くなったことに気が付いてしまった。だが、あの素晴しい上空からの風景が見られたことでよしとしよう。



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