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大晦日、黒岩尾根を登り人気のない摩耶山へ



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平成17年12月31日(土)  メンバー 私だけ

新神戸駅〜市ケ原〜黒岩尾根〜摩耶山〜上野道〜摩耶ケーブル下駅

2万5千分の1地形図「神戸主部」を参照すること


通いなれた新神戸駅から

8:30
JR新神戸駅の下をくぐり、通いなれた布引滝から貯水池へと続く遊歩道を行く。いつもは大勢のハイカーで賑わう道だが、今日は単独のハイカー数人しか見かけない。大晦日という言葉に皆惑わされ、山のことを忘れてしまったのだろうか。

8:48
冬場はバルブを絞っているのか水量の少ない布引滝を過ぎて、さらに登って行くと滝山城址への登り口に架かる「猿のかけ橋」がいつもの姿ではなくなっている。欄干に布を巻きつけているところは、4年前に扇ノ山の鳥取県側林道で出会ったパナウェーブ研究所とそっくりで、また新たな新興宗教の出現かと一瞬ギョとした。しかし、吊橋を模したワイヤーにツルを絡めていて、案内文もあり自然愛好者団体によるものと分かった。

変貌した「猿のかけ橋」

六甲山地区 国立公園編入50周年記念

『かずら橋』をつくろう!
(六甲楽学会)

森林を育てる作業を保育といいますが、保育が行き届かないと樹木が込み合い、林内環境が悪化して、樹木が枯れたり、病害虫が発生する危険にさらされます。
また林の縁を覆うツル類(サルナシやアケビ、フジ、クズなど)はマント群落と呼ばれ、林内環境を保護する役目を果たしますが、繁殖しすぎると樹木や林全体を覆って樹木の生育を妨げたり、枯らす原因になります。
そこで六甲楽学会ではこれらの茂りすぎたツル類を取り除いて樹木の健全な成長を図るだけでなく、2006年が六甲山が瀬戸内海国立公園に編入されて50年になるのを記念するイベントとして、取り除いたサルナシのツルを使って布引谷川に架かる『猿のかけ橋』を徳島県剣山の麓に架かる「祖谷のかずら橋」に似せて装飾しよう計画しています。森の成長を妨げるツルを「森の恵み」として利用する試みです。

完成目標は2006年5月3日(六五三:六甲山)です。
多くの人の手で『布引のかずら橋』を完成させたいと考えています。

「六甲学学会」は六甲山について話し合い、行動する市民運動です。
活動への参加を希望される方は下記までご連絡ください。

連絡先 ⇒ 六甲楽学会事務局:神戸市建設局公園砂防部
森林整備事務所
TEL.371-5937

9:20
布引貯水池着。恒例になってきた配水管スイッチを入れ、多少場違いな案内放送を流す。

「こんにちは。皆様の前に広がるこの布引貯水池とダムは、明治26年にイギリス人ウィリアム……」

布引貯水池

紅葉茶屋は開店準備中、あけぼの茶屋は冬季休業中、櫻茶屋はシャッターが閉まっているけど中で音がするから開店準備中?。


黒岩尾根を登る

10:02
天狗道登り口・地蔵谷出合を過ぎ、ようやく黒岩尾根登り口に着いた。すでに新神戸駅から歩き始めて1時間半、ガイドブックの休憩なしのコースタイムが1時間15分だから、こんなものだろう。

黒岩尾根登り口

606m標高点までは、それなりに急な登りが続くが、播州の山々の激急登に慣れ親しんだ私にとっては、休み休み登ればどうってことない。

階段道を登り

岩がちの道を登り

10:23
あまり登り過ぎると摩耶山の標高を越えてしまうので、際限なく急な登りが続くわけではない。アカマツが植えられた水平・やや下り尾根もある。砂防工事のためか索道が尾根を横切っていて、西側のトエンティクロス沿いに巻き取り場が見える。

まだ606mには着いていない

11:03
残雪がちょろっとだけ現われて、摩耶山頂上のアンテナ群がまじかに見えるピークに着いた。「なんだもう少しか」と安易に考えると痛い目にあう、ここから黒岩尾根はわざと大回りして摩耶山にはなかなか近づいてくれない。

摩耶山のアンテナがまじかに見える

だいぶ緩くなってきた

11:11
606m標高点と思えるピークに着いた。そこには神戸市の古い境界石が立っている。

神戸市界  八十ニ号  神戸市役所 明治三十ニ年十月

今は神戸市中央区と北区の境界になっているが、当時は神戸市と山田村の境界になっていた。ここで本日黒岩尾根で初めて、そして最後にもなるハイカーに追い越される。しかし、なぜ鈴を鳴らしながら登るのだろうか、熊が出るわけもなし、せっかく静かな尾根を歩くのだから余分な音をたてずに登りたいものだ。

606m標高点ピーク

古い境界石

11:28
残り雪が幾分目立ち始め、薄っすらと道を覆っているところもある。凍り付いているので滑らないように注意して進む。

残雪が目立ち始めた

11:38
ガイドブックのような展望の尾根道が終始続くものとばかり思っている人が多いだろうが、実際の黒岩尾根は、展望ポイント以外は樹木の枝葉越しに外界が垣間見られるくらいで、いたって見通しの悪い展望のない尾根だ。しかしこの付近だけは周囲の木々が低く、展望の尾根となっている。

展望の黒岩尾根(極一部だけ)

11:41
久しぶりに現われた案内図と公設案内柱「←市ケ原 摩耶山→」の裏から、ミヤコザサの間に踏み跡がある。案内図に手書きでトエンティクロスへの下山ルートが書き加えられていて、どんな道かと入って行くとベンチが置かれた展望地となっていた。地図にもガイドブックにも載っていない道はさらに下っているようだ。

意外なところにある展望ポイント

尾根道は緩やかになる。水平道では詰まらなかろうと、アップダウンを繰り返し、しだいに高度を上げていく。残雪は時々現われるがアイゼンの必要はない。

残雪は増えたり

なくなったり

12:13
左手に「土砂流失防備 保安林」標識があり、手書きで「P37は山頂の上」と書かれている。標識の後から踏み跡が付いているがP37へ行けるのだろうか。そしてP37とはどんなところなのだろう。

標識の裏の踏み跡はどこに行くのだろう

雪の黒岩尾根を登って、寒い摩耶山掬星台へ

12:18
アドベンチャールートの分岐点に着いた。私は冒険者ではないので摩耶山へと進む。

12:25
雪に覆われた急な階段道が現われた。丸太は見えているがここから軽アイゼンを着けることにする。ここから上には雪のない部分が一部あったが、堅く踏みしめられたところもあり、アイゼンを着けて正解だった。

軽アイゼンを着け階段道を登る

一気に残雪が増えてきた

12:33
「←黒岩尾根(悪路)を経て市ケ原へ4.5km 摩耶山上(掬星台)へ500m→」の標柱があり、もうすぐ頂上だ。

12:36
「緑と風の丘」の展望台に着いた。正面左手に天上寺が見えている。

摩耶山上の観光地の外れに着き、周囲に人工物も目立つようになりになり、楽しかった黒岩尾根は終わってしまった。誰もいない雪の中のトリムコースで、体を鍛えようとは思いもつかず通り過ぎてしまったが、面白い写真が撮れたかもしれず後悔。

「緑と風の丘」展望台

トリムコース解説板

このトリムコースは●柔軟性●筋力●瞬発力などを強化し、どうじに持久力をつけることを目的としてつくりました。ひとりひとりの能力に応じて、ひとつずつトライしてみましょう。

幅跳棒<幅飛び・腕立渡り>
瞬発力を養い、腕・腰・ひざを強くします。

平行棒<つたい歩き・腕の屈伸>
手首・腕の筋肉を強くします。

傾斜台<懸引・上体おこし>
背・腰椎をのばし、胸部・腹部を強くします。

鉄棒<懸垂・前まわり>
手首・腕の筋肉を強くします。

ラダー<はしご渡り・飛び降り>
手首・腕・腰の筋肉を強くします。

せのばしベンチ
腰・脊椎の柔軟性に役にたちます。

各施設には、それぞれに使用方法サインがつけてあります。ルールを守り、正しく使用しましょう。

昭和60年3月 神戸市

ベニドウダンツツジ群生地

5〜6月に小さな釣鐘状の赤い花を5〜10個総状に吊り下げます。岩場や風化花崗岩地などに育成し、葉は輪生状に互生します。高さは約2〜4mの落葉低木。

神戸市

12:47
中継所・テレビ放送所から、凍りついた舗装路を行き掬星台に出る。若い男女一組と黒岩尾根で追い越していった単独高年ハイカー一人しかいない。天気も崩れ粉雪の舞う非常に淋しい掬星台だ。

中継所群の真っ只中にに出る

人気のない掬星台

眺望はかなり霞んではいるが、見えないことはない。ただし、遮る物のない掬星台を身を切るような冷たい風が吹きすさびとても寒い。けれども、こんなに寒いのに、あの若い男女はどうしてあんなに楽しそうなのだろう。

掬星台からの眺め

風が吹き抜ける休憩所で、そそくさと冷たいコンビニおにぎり2個を食べ昼食とする。ストーブを持ってきてラーメンでも炊けば体も温まるだろうが、近頃は食に対する執着心が全くなくなってきた。


下山は上野道

13:21
アンテナ群の方へ戻り、史跡公園から上野道を下ることにする。南向きの上野道には雪が残っていないかと思っていたが、稜線近くは固く凍りつきアイゼンを着けたほうが安全だ。

史跡公園へ下る道

雪はなくなるが凍っている

史跡公園までの凍りついた階段道で、親子三代(おばあちゃん・おとうちゃん・おぼっちゃん)に出会うが、なぜかおばあちゃんの装備が一番本格的だった。

12:33
稜線から10分ほどで史跡公園まで下る。ここから下には雪は残ってなさそうで、アイゼンを外す。

史跡公園には雪は残っていない

こんな山中にどのような方法で築いたのか、急な石段を下っていく。この辺ではぼちぼちとハイカーに出会うが、皆さん軽装で掬星台の寒さに耐えられるか心配になる。

急な石段を下り

山門をくぐる

13:46
山門を出ると、「上野道」と「青谷道」に分かれる。前回は青谷道を下ったので、今日は上野道を下ることにする。かつては摩耶ケーブルからの天上寺への参道、それ以前は麓からの参道として賑わったのが嘘のように、今は荒れ果てた道になっている。ケーブルとロープウェイの乗継駅「虹の駅」の近くに摩耶観光ホテルという廃墟があるらしいが、この道自体が廃墟と化していることに廃墟マニアは気が着いていないようだ。


寄り道してからケーブル下駅へ

13:57
「虹の駅」への分岐点に着いた。せっかくここまで来たんだから、寄り道していく。

14:01
「摩耶花壇」という廃墟マニアに受けそうな建物跡、危うく廃墟になりかけたロープウェイ虹の駅を過ぎるとケーブル虹の駅に着いた。すぐ足元に摩耶観光ホテルの廃墟があるが、その近くを通る摩耶東谷登山道への階段は閉鎖され行くことができない。似非廃墟マニアの悪行三昧のため、登山道を使うことが出来なくなっているのは非常に残念だ。

小さなパンタグラフが可愛い摩耶ケーブル

摩耶観光ホテルの廃墟

ケーブルに乗って下りようかとも一瞬の半分ぐらい思ったが、引き返し上野道を下ることに決心する。

石畳が残る道

参道の形跡がない道

石段が埋もれた道を下り

五鬼城展望公園に着いた

14:41
上野道は五鬼城展望公園の遊歩道につながっている。かなり昔(少なくとも25年は経っている)に整備された公園のようで、整備後はほとんど手入れされてなく、古色がつき好ましい雰囲気になっている。

五鬼城展望公園からの眺め

公園の遊歩道を行く

15:07
五鬼城展望公園から案内に従い、住宅地の中にある「摩耶ケーブル下駅」に着いた。ここからはJR三宮・JR六甲道行きの神戸市バスが出ている。



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