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棚原山と香寺荘竹取の湯



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平成18年8月20日(日)  メンバー 私だけ

 棚原山  たなばらやま  402.5m

2万5千分の1地形図「前之庄」を参照すること。


須磨岡輯著「はりまハイキング」の

昔、香寺町の今は姫路市になってしまった『櫃倉神社から棚原山』と同じコースを真夏の8月に歩いてみた。駐車場所を少し変えて、坂地峠から折り畳み自転車で車まで戻ったのが些細な違いで、特筆すべきことは何もない。

けれども、真夏にこの山に登ろうなどと考える人もないだろうから、当然真夏の山行記録などない(かな)ので、貴重なものになるかもしれない。当然ながら山中では誰にも会わず、下山後にこれから登る中高年男だけの4人組を自転車から見かけただけだった。

香寺町側の土地勘がないので、西側の塩田温泉からの狭い坂地峠越えの舗装林道を登り、峠に折り畳み自転車をデポする。峠から東麓の香寺町側の駐車予定地まで2km足らずの距離で歩いても知れているが、自転車なら座ってブレーキレバーを握り締めているだけで車まで戻ることができる。

7:49
「はりまハイキング」では櫃倉神社か公民館に車を止めることを勧めているが(どちらも十分に広い)、香寺荘の南側の丘の上に「農村公園 竹取の郷」なるものが出来ている。

竹取の郷は、グラウンドゴルフを通じた住民の保健体育の向上、水辺環境も一体に整備することによる豊かな潤いのある生活環境の創出、近隣集落及び都市住民との交流を通じた地域の活性化を目的として整備した農村公園です。
小高い丘の上に位置し、約3,000uの芝生広場を中心とした、さわやかな風が吹きぬける自然いっぱいの公園です。公園で楽しまれた後は、隣接の竹取の湯香寺荘で疲れを取っていただけます。

青々とした芝生のグランドゴルフ場、東屋、30台駐車可能な広い駐車場、そしてきれいなトイレが設けられている。グランドゴルフとはいかなるものか知らないが、次に訪れるときは芝生が剥がされゲートボール場に変わり、その横には用具入れの小屋が建っているかもしれない。

「農村公園 竹取の郷」の広い駐車場
奥に見える白い建物は香寺荘


登山口は墓地の中から

始まっている。「竹取の郷」から表通りと平行な道を南に進むと墓地があり、道標が2本(「棚原山頂→」と「棚原登り口」)立っている。表通りの「竹取の郷」の南側の道にも「棚原登り口←0.4km」の道標が立っていて、ハイカーに優しい土地柄のようだ。

ここから棚原山への道が始まる

7:57
墓地の中の登山道が始まる前に自然歩道の道標があり「↑棚原1.8km 中村薬師寺1.0km→」となっている。中村薬師寺には興味がないので棚原に向かうことにするが、棚原“山”としないで棚原と表記しているのが気になる。

尾根の北側は松茸山

登山口近くは薮蚊がひどい

広い登山道の右(北側)は松茸山でタフロープがずっーと張り巡らされているるが、入山禁止の時期でもこの道を歩くのは問題はないと思う。

今の時期はどこでもだが、この登山口の近くは薮蚊がひどく、立ち止まると腕に次から次へと止まりにきて、虫除けを塗りたくるか長袖シャツを着てればよかったが、腕がぼこぼこになってしまった。それから蜘蛛の巣も多く、手頃な棒を振り回しながら登っていく。

8:12
尾根の南から送電線巡視路が合流し、少し行くと送電線鉄塔が立っている。「神野溝口線 一○ニ」だ。この鉄塔の付近からちらほらと薄紫色の小さな蕾をつけた草が目立つ。帰ってから調べると「ヤブラン」と判明した。ていうか花のこと知らなさすぎ。

ヤブランの蕾

登りでの唯一の展望地

登山道は尾根の中心を外して、南側に付けられている。そのため常にごく緩やかな登りが続くが、風は通らず薮蚊と蜘蛛の巣が加算され不快指数200%の中を登っていく。

8:18
送電線巡視路が右へと離れて行ってしまい、下草もなく快適な(まだ薮蚊がいるが)道から、写真で見るとどこが道なのか分からないくらいに草が茂った道に変わってしまった。この分岐点には道標があり来た道は「恒屋」、これから進む草ぼうぼうの道は「棚原山頂」となっていて、送電線巡視路に迷い込むことはない。

送電線巡視路が右に離れて行くが
写真ではどこが道なのか分からない

頂上までこんな道が続くのか

草ぼうぼうはなぜかすぐに終わり、また快適な道に戻ってしまった。先ほどのところは日当たりがよいためのようで、雑木の茂る暗い(空が曇っているせいもあるだろうが)道には下草が全くない。それと展望も全くない。

道はよくなったが
展望のない暗い雑木林が続く

8:31
暗い雑木林ならまだ我慢できるが、暗い植林は嫌いだ。ひょろひょろの手入れもされてない細い木が隙間なく、林床には光が届かず下草皆無の困ったものだ。手入しない、できない理由は分かるが何とかならないかと、いやならないだろうな。セミさえも植林は嫌いなようで、うるさいほどだった鳴き声も遠ざかっている。

植林の中は暗い暗い

8:39
暗い植林を抜けて、両側の雑木林に視界を遮られ展望のない尾根中央を行くと、鞍部に「御香之場」なる解説板が立っている。昔は北西方向にお寺が見えたようだが、今は樹木が邪魔をして見えないし、お寺そのものもなくなっているのかも知れない。

こんなところを行くと

「御香之場」だが
なにも見えない

御香之場(おこのば)

この付近は、御香之場といいます。それは昔、この場所から、北西の方向に「棚原山出湧寺」というお寺が望められ、山仕事の行き帰りに、村人がここから寺を拝み、山仕事の安全や、家族の幸を祈って香を焚き、手を合わせたといわれています。
それでこの名(御香之場)がついたといわれています。

火の用心 自然を大切に

兵庫県・姫路市教育委員会

8:57
2回目の暗い植林を抜けると、そこは八葉寺からの道と合流地点だった。道標は「←八徳(八葉寺)1.8km 棚原山頂0.4km→ 恒屋1.9km↓」となっていて、八葉寺よりも恒屋からの方が近いかと思っていたが、逆だった。

ここまでの道は展望はなく、暗い(天気のせいもあるが)雑木林や植林地で、蒸し暑く(真夏に登ったらどこでもだが)、薮蚊もすごく(さすがこの辺りまで登るといなくなったが)好印象をもつことは極めて困難だった。ただ、道標だけは明確なものが要所要所に立ち安心して歩く事ができた。

2回目の植林地を抜けると

八葉寺からの道へ合流する


もうすぐ棚原山の頂上だが

ここまでの道に比べてどんどん草深くなっていく。写真では、はっきりしないが狭いなりにも踏み跡はあり、普通に歩く事ができるが、ダニが葉っぱの先で待ち構えているような気がしてならない。ヒルも嫌いだがダニはそれ以上に嫌いだ。そんなんでも、ここから頂上までが、本日の山行中の核心部で一番面白かった。

棚原山の頂上への道は
登る人がいかに少ないか、あるいは

植物の生命力のすごさを
感じさせる道だ

9:14
擬木の階段が現われると、棚原山の頂上は近い。階段を快調に登っていくと、左右から前後から草が覆いかぶさり足元の階段が見えなくなってきた。草は背丈を越して階段道なのにヤブ漕ぎを楽しめるという、奇妙なところだ。

初めは普通の階段道だが
最後は足元も見えない

階段道を登り
棚原山の頂上へ出た

9:18
棚原山の頂上に到着。頂上も草ぼうぼうで、坂地峠から初めてここに登ってきた人だと恒屋へ下る道を見出すことができないほどだ。ここに登ったのは、これで三回目で、一回目は八葉寺からピストン、二回目は置塩山から来て坂地峠に下り、今回は恒屋からと、これで棚原山の全てのルートを制覇してしまった。

夏草茂り放題の棚原山頂上

「棚原明神旧鎮座跡」の石柱と
小さな石の祠が頂上に祀られている

元日の初日の出登山が有名なこの棚原山頂上からは、東方の展望が開けていて播磨灘も見えるというが、運が悪いのか一度も見ることができていない。ここで播州野歩記恒例の登頂記念プレートの大公開を行うが、わずか3枚しかない。

  1. 登頂ありがとう H18.2.15 姫路広畑 川元彦三 棚原山 402.5m
    竹取の湯の香にふくらむ蕗の薹 つち未智彦
  2. 棚原山 2005.2.27
    昇陽会 大内 寺西
    勝原会 筒井
  3. 火の用心 H.O.K 2005

坂地峠へ下りようとすると、草むらの棚原山頂上に花が二輪だけ咲いている。いくら花に疎い私でも知っているキキョウの花だ。キキョウを撮っていると、背後からの視線を感じて振り返ると、シダの上のカマキリがこちらをじっと見つめている。「一寸の虫にも五分の魂」というが、カマキリからの視線を感じた生まれて始めての不思議な経験だった。

棚原山頂上のキキョウの花

視線を感じ振り返るとカマキリが


下山は坂地峠へ、そして自転車でキキキキーーと

9:35
棚原山頂上から外界へと通じる三方の下山口に結界として注連縄が張られている。その結界を抜けて自転車をデポしてきた坂地峠へと下山開始。

注連縄をくぐり坂地峠へと下り始める

下山路も展望は全くない

坂地峠へ下る道は、終始、雑木林の尾根を下っていくが展望は全くない。緩い道と急な道を二回繰り返すと、のんびり写真を撮りながらでも30分ほどで坂地峠に着いてしまう。

道端に花でも咲いていないかと目を皿のようにして下っていったが、時期が悪かったのか一輪の花も見出すことができなかった。

緩い道

急な道

緩い道

少し急な道と風景の
変化が少ない雑木林の道だ

10:05
坂地峠に下山。石組みの祠に地蔵が祀られている。祠に接して右前の木が枯れているが、前回来たときは枯れた木が倒れたら祠が壊れないかと心配したが、上部から崩れるようにして短くなっていて、この調子ならば祠は安泰のようだ。

坂地峠のお地蔵さん

デポしてた自転車の鍵をガチャガチャ

坂地峠から駐車場所までの標高差はおよそ100mで、安物折り畳み自転車の証、後輪ドラムブレーキに悲鳴をあげさせながら下っていく。加熱しすぎると悲鳴が消えるが制動力も消えてしまう。

坂地峠から快調に下る我が
6段変速後輪ドラムブレーキのシボレー号

10:29
「香寺荘竹取の湯」、車が待つ「竹取の郷」をすぎて、さらに南の「櫃倉神社」まで来た。境内には広い駐車場があり、ハイカーも自由に使うことができそうだ。拝殿の前にはこの月末に行われる盆踊りの櫓が用意されている。ごく普通の氏神様で取り立てて述べることはない。

櫃倉神社の拝殿

櫃倉(ひつのくら)神社 香寺町北恒屋

この神社は、中央に豊受姫大神、左右に天神地祇を祀る北恒屋の氏神です。
昔、西方の棚原山頂上に棚原明神として豊作の神が祀られ、雨祈願に各地から参拝がありました。
恒屋城の落城した頃から、村人が棚原明神の神具倉(櫃倉)に移して祀るようになったため、櫃倉神社と呼ばれるようになったと伝わっています。
『播磨鑑』には、神功皇后が三韓征伐に当たって、棚原山上で七重の注連(しめ)を張り、天神地祇を祀られたと記されています。
毎年8月31日、境内で行われる櫃倉踊りは近郷屈指の盆踊りとして有名です。

昭和61年3月 姫路市教育委員会


竹取の湯は気持ちいいぞ

10:44
「竹取の郷」まで取って返し、車を隣の「香寺荘」へと回し、本日のメインイベント「竹取の湯」へ向かう。実はここまでの棚原山登山は、入浴の前準備(全身汗まみれで下着からパンツまでビチョビョ)で、「竹取の湯」につかる快感を200%にするために登ったようなものだ。

入浴料は姫路市民は600円(大人)、それ以外の人は700円で、1階フロント横にある入浴券自販機も別々になっている。温泉の受付はエレベータ・階段を上がった2階になっているが、特段姫路市民を証明する必要もなかった。

「竹取の湯」は温泉の湧出量が少ないため加水・加熱・循環で源泉かけ流しとはいかないが内湯・露天風呂・サウナと揃い、昨年リニューアルされているのでぴかぴかのきれいな浴室だ。露天風呂は炭酸温泉(炭酸ガス注入)で全身に細かい泡が着いてくるのが面白かった。

いくら空いているとはいえ(日曜日の昼間にしては空きすぎで、広々とした男湯には5人ほどしか入浴客がいなかった)浴場の写真を撮るわけにもいかず、建物の外観写真も撮り忘れ、唯一撮ったのは入浴後にレストラン・アンベールで食べた「天ぷらそば」(550円)だけだ。

いつもならもっと豪華な一番高いものを注文するのだが、車できたので生ビール・大好きなお酒を飲むこともできず、山行の疲れから食欲もなく「天ぷらそば」で軽く済ましたが、月末近くでお金が乏しくなってきたわけでは決してない。

香寺荘レストランアンベールで
食べた「天ぷらそば」 おいしかった

そして真夏の山登りと、その後の気持ちよい入浴の相互作用でか、レストランのメニューも撮り忘れてしまったが、香寺町ならではのものは、なかったような気がする。

お風呂嫌いな私にしては稀に見る長湯で、2時間ほど香寺荘で過ごしたのち帰途についた。



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