山行記録にもどるホームにもどる



紅葉谷道を登り石切道を下る



スポンサード リンク




平成18年11月12日(日)メンバー 私だけ

有馬温泉〜紅葉谷道〜極楽茶屋跡〜六甲ガーデンテラス〜石切道〜白鶴美術館

2万5千分の1地形図「有馬」、「神戸主部」を参照すること


ワンコインで姫路から有馬温泉へ

姫路から有馬温泉までは最低でも1,480円(山陽電鉄〜神戸高速〜神戸電鉄)はかかるが、JRと神姫バスの定期券をもっているおかげで、わずか百円で有馬温泉まで行けてしまう。

JR三宮駅までは定期券で、そして有馬温泉へは神姫バス(環境定期券制度で土日祝日は一乗車が百円)で、ほとんどただみたいな料金で行けてしまう。ただ、三ノ宮発有馬温泉行きの神姫バスの始発が9:00なのが玉に瑕で、有馬温泉から歩き始めるのが10時近くなってしまうのが唯一の欠点だが、おかげで気軽に行くことができる。

鉄道にはこんな驚異的な割引制度(この路線では680円が100円に、最大は西脇営業所から三ノ宮までの2時間弱のバスの旅1,380円も100円に)は見あたらないが、バスは通勤定期券を持っているだけで利用できる割引制度があるので、皆さんも利用しているバスのHPを覗いて見てはいかがだろうか。

9:45
満員の神姫バス(共同運行の阪急バスとともに、神戸市の敬老優待乗車証を利用して有馬温泉へ行ける唯一の経路のため老人が多い)から、今ひとつ天気のよくない有馬温泉に降り立つ。これで天気がよければ観光客の車がごった返しバスが遅れるところだから、まあよしとしよう。

10:06
行列をなすハイカーの中にまぎれロープウェイの有馬温泉駅に向かうが、なぜか皆さんは途中で鼓ケ滝公園へと向かってしまい私一人だけとなってしまった。ウェブを見ると鼓ケ滝は結構よさそうなので次回は必ず寄ることにしよう。

六甲有馬ロープウェイ有馬温泉駅を通過


小雨模様の紅葉谷道

10:29
ロープウェイ駅から始まる林道は車は入れない。なぜか誰も歩いていない林道を20分ほど進み「湯槽谷第二堰堤」を過ぎると、「湯槽谷」と「紅葉谷」の分岐地点だ。紅葉谷へは標柱の手前だと飛石、奥から入ると丸太橋となっている。なお、湯槽谷へ向かっても熱い湯があふれる湯槽があるわけではないので、注意が必要だ。

林道歩き20分間では誰にも会わなかったのに、写真を撮っていると次々とハイカーがやって来て追い越していく。いきなり人が沸いてきて変な感じだが、悪いことに小雨が降ってきた。カッパを着るか迷ったが、ええいめんどくさい、このまま行ってしまえ(こういう考えが遭難とお友達なるきっかけかもと思いつつ)と、今回の山行記録は写真なしになるのかなと変な心配をしながら紅葉谷に入る。

湯槽谷と紅葉谷の分岐を左に

10:47
紅葉谷道は連続する堰堤越えの道で、いきなりの登りの先では堰堤の上を横切り谷を渡る。カッパを着込む人を横目にし、しばらく行くと左側に石積みのある「七曲滝」への入口があり、少し入ると滝がある。

去年の12月24日に「七曲滝」、「百間滝」と氷瀑巡りを楽しんだが、この冬は寒くなるのだろうか。天気も悪く、今日は滝をパスし稜線の極楽茶屋跡へと直行するが、紅葉も天気のせいで今ひとつだ。

右へ行くと七曲滝

11:01
今度は「百間滝」への入口だ。最初は水平、そして長めの急降下で滝へ下りられるが、同じく今日はパス。前回は雪道を軽アイゼンで登り疲労困憊し、思わずロープウェイで下山してしまったが、今日は至極快調で軽アイゼンといえども足への負担は相当なものだったと今にして感心してしまった。

案内板の先を左に入り
下りに下ると百間滝

ハイキング道から離れた対岸の紅葉はきれいなものもあるが、私と一緒には写真に入ってくれず、曇り空と紅葉の相性は悪く、納得のいく自分撮りができなかったのが残念だ。

紅葉谷の紅葉 その1

紅葉谷の紅葉 その2

紅葉谷の紅葉 その3
えっ、どこが紅葉かって

紅葉谷の紅葉 その4
同じような写真でしつこいな

11:19
紅葉谷道とは名ばかりの堰堤越えの山腹を行く道だが、ごく一部は谷の流れのそばを行く。ほんの1分ほどだが。昔むかし、堰堤のない時代はこんな道が続いていたのだろうか。

流の横を行くのは少しで
ほとんどは堰堤越えの高巻く道

谷から離れ、道は登っていく。今は崩れたところも多いが、過去にはしっかりとした石段があったのだろう。その名残が随所に残されている。心配された雨は本降りになることもなく、どんよりした曇り空で一安心。写真を見るとそれなりに明るそうだが、実際はかなり薄暗い。

紅葉谷の紅葉 その5
天気が悪く残念だ

紅葉谷の紅葉 その6
もう飽きたって

紅葉谷の紅葉 その6
堪え性がないな

紅葉谷の紅葉 その7
もう少し付き合ってよ

11:46
六甲山にもブナの木がある。氷ノ山や扇ノ山のブナから比べたら、余りブナらしい感じはせず見落としそうになるのは私だけだろうか。

紅葉谷の森林

このあたりの気候は青森付近など東北地方に似ているといわれ、六甲山地の他の地域とは異なり、豊かな森の象徴とされるブナやイヌブナの混じった落葉広葉樹林になっています。六甲山地ではイヌブナは600m付近、ブナは800m付近より高い標高の地域にみられます。しかし、これらの樹木は分布が限られ。六甲山地全体でもこの紅葉谷を中心にブナは100本余りしか生育していません。また後継樹の芽生えは極めて稀で、幼木はほとんど見当たりません。
この紅葉谷の森林は、深い渓谷にブナ、イヌブナのほかシラキ、クリ、コナラ、カエデやシデの仲間など新緑や紅葉の美しい樹木が多く見られる六甲山髄一の豊かな自然林です。

神戸市森林整備事務所
TEL.078-371-5937

中央左がブナの木です

紅葉谷道もあとわずか

11:59
番匠屋畑尾根の道と合流する付近の疎林の中で、昼食をとっているグループがいる。もっと展望のよいところで食べればいいのにと、極楽茶屋跡に出る。

番匠屋畑尾根(左側)と合流

右を見て、左を見て車道を渡り展望所へ出てみると風が強く寒い寒い。今日は温度計を忘れてきたのでどれくらいか分からないが、10度以下は間違いないだろう。天気は悪いが空気は澄んでいて遥か彼方まで見通すことができた。

しかし、余りの寒さに私もすごすごと引き返し、紅葉谷と番匠屋畑尾根の分岐点で昼食とする。

極楽茶屋跡前の展望所
今日はすごくよく見える


六甲ガーデンテラスへ

12:30
コンビニのおにぎりセットの昼食を終え、六甲ガーデンテラスへと最後の登りに挑む。六甲山の悪いところは高いところには必ず中継アンテナ塔がたっていることだが、ここも例外ではなく、鉄塔マニアには悪いが、無骨な鉄塔だらけで雰囲気が悪い。

最後の登りの先はアンテナ銀座

六甲ガーデンテラス東側のウッドデッキの展望所は背後の建物が風除けになり、多くの人たちが寛いでいる。美味しそうにラーメンを食べる人、まだお昼なのに酒盛りを始めているグループも。よし、この次はここでビールを飲みながらラーメンを食べロープウェイで下山しよう。

六甲ガーデンテラスの東側より
後で食べてるラーメンがいい匂い

六甲ガーデンテラスの北側にはこれでもかと言うほど中継鉄塔がたっている。まあ生活に何かしらの役にたっているので文句は言えないが、通信の基幹回線が光になった今はマイクロウェーブの中継所の存在価値があるのだろうか。災害時のバックアップにといっても容量は比較にならないほど小さいし、もう過去の遺物にすぎないのではないかと思う。

このアンテナ群は邪魔だけど

ジンギスカンパレスの西側は瀟洒な英国調の建物が並び、石造りの展望所「見晴らしのテラス」や、石造りの塔「見晴らしの塔」があり展望抜群だ。ただ、どこにいても風通しがよく人は全くいない。風の強い寒い日の六甲ガーデンテラスは東側にかぎる。

六甲ガーデンテラスの東側より
こっちの方が雰囲気はよいが風が強い


石切道で下山

13:08
ガーデンテラスをあとにして、みよし観音への道に入ると、どうしたわけか次から次へと途絶えることなくハイカーがやって来て、自分撮りがしにくいったらありゃしない。

帰ってから調べてみると、なんと今日は神戸市主催の六甲全山縦走大会の日で、その集団と鉢合わせしたようだ。何が楽しくてお仕着せの45kmの道を脇目も振らずに歩かなければならないのか、私には理解できない世界だ。

みよし観音への道の途中に「石切道」の入口が

13:18
石切道の入口には、他の道にはない目印がある。「石切道」と彫られたどっしりとした御影石の道標が置かれていて、すごく分かりやすい。

石切道

むかし、六甲山で切り出した花崗岩は牛車などで運び、御影の浜から各地に出荷したので「御影石」の名で世に広く知られるようになりました。「摂津名所図会」には、京都や大阪など近畿一円の石橋や鳥居、伽藍の礎石、灯籠などがこの「御影石」で作られたと記されており、六甲山の石材は古くから近畿一円の街づくりに利用されていました。この南にある採石場跡や石切道はその名残りです。

神戸市森林整備事務所 TEL.078-371-5937
渦森橋バス停まで約4.5km 阪急御影駅まで約7.5km

牛車が通っていた石切道が稜線まで上がって来ているわけはなく、石切道の上部はただの山道で荒れている部分もある。かつて整備された形跡は残っているが、急斜面は歩きにくい道だ。

石切道の始まりは荒れている

13:33
いくら待っても搬機がやってこない緑色に塗られたロープウェイの鉄塔を過ぎると、今度は明るい雑木林の中をいく雰囲気のよい道になる。こんな緩いほぼ水平の道が続いたらよいのだが、それでは高度が落ちずに山からいつまで経っても下山できない。

けれどすぐに雰囲気のよい道に

13:43
10分前の心配が杞憂に終わり、今度は地の底まで下るかと思うほどの、少し急な下りが続く。六甲のメインストリートと比べると、この石切道を歩くハイカーは少ないが、写真を撮っていると4人組の高年ハイカーに追い越された。

展望はないが、このように石切道は変化に富んでいて飽きさせない。これで足元に何でもいいから花が咲いていたら言うことないのだが、季節のせいか一輪も見かけない。

と思ったら激下りだ

13:55
今度はきれい石段の道になった。これだけの石をここに運び、そして石段を造るにはどれだけの労力が必要なのだろう。余り古そうには見えないので、バブルの全盛期のころ有り余る税金を投入して造ったのだろうか。それとももっと古いものだろうか。

今度は石の階段道だ

下りが終わると、水平道がしばらく続く。10分ほども歩きやすい道が続くが、なぜか回復した天気がまた崩れだしポツポツし始めた。石切道も変化の多い道だが、今日の天気も変化が多すぎる。

水平道を行く

14:09
短い丸太を立てた展望休憩所まで着いた。心配した雨は結局降り始めることはなく、空は暗いが大阪湾の先の山々も見通せ抜群の眺望だ。

六甲ガーデンテラスからすでに1時間が経っているが、まだまだ町は遠い。標高の高い有馬温泉からだと稜線までの登りは楽だが、南への下りは長く感じる。

休憩展望所

休憩展望所からは広々とした道が始まり、一部は簡易舗装さえしてあり車でも登ってくることができそうだ。この広い道が本当の石切道で、もう山道は終わりでこんな道を延々と下るのかと思ったが、ガイドブックではまだ何かあるようなことが書いてあったなと思い出した。

ガイドブックやウェブの山行記録を熟読すると、初めての道も何度も通ったように感じるので、上っ面をさっと読むだけにしている。(ただし、この六甲の石切道のように迷いようのない場合だけで、歩く人の少ない記録の少ないルートの時は、検索しまくり熟読しまくりだが)

しかし、いま写真満載のこの山行記録を書いているのはすごく矛盾しているな。たぶん、これを読まない方が石切道をより楽しめると思う。今からでも遅くはないので、まだ石切道を歩いたことがない人はこの先は読まない方が……、見ない方が……。

車も通れそうな広い道

簡易舗装さえしてある

14:24
とうとう本当に車道に出てしまった。ここにも御影石の「石切道」の道標が置かれ、詳細な案内図と標柱もあり非常に分かりやすい。これで石切道は終わりかというとそうでもない。

とうとう車道に出てしまった
もう石切道は終わりかな

14:31
車道を少し下ると道端に標柱が立っていて脇道がある。「←住吉川(石切道) 西谷橋↑」、覗いてみた感じあまり入りたくない道で、このまま車道を下ってしまおうかとも思ったが、せっかくここまで来たのでから行くしかないか。

と思ったら、こんなところから続きが

写真のような丸っこいゴロゴロ石の道がいきなり始まり、歩きにくい。当然、元々は牛車も通れる普通の道だったのだろうが、路面は雨に流され窪んでしまい現在のような姿になったものだろう。入るんじゃなかったと後悔しながら写真を撮っていると、なぜか近所の人が散歩に連れてきた犬が足元にまつわりついくる。

ゴロゴロ石で歩きにくい
なぜか足元にはワンちゃんが

ほぼ真っ直ぐに下るゴロゴロ道は何時果てるともなく続く。景色も変化がないし何でこんなところを歩かなくてはならないのだと、少々うんざりしながら一歩一歩足を置く位置に最大限の注意を払いながら進んでいく。下りなのに精神的に疲れる道だ。

いつまで続くんだゴロゴロ道

14:37
ベンチのある十字路に出た。西は「西谷橋」、東は手書きで「五助滝」となっている。今から予定外の行動にでて何かあったら困るので、計画?通りに直進の「住吉・御影(石切道)」に進む。

14:44
少し風景が変わってきたが、足元は相変わらずのゴロゴロ石の道が続く。この道に入ってまだ15分も経っていないが、最近年をとったため気が短くなってきたのか、あるいは神経を足元に集中し続けることに疲れてきたのか、やっぱり車道をそのまま行けばよかったのにと本当に後悔し始めた。

もういい加減飽きてきたぞ

右手の石垣上に墓石が覗く墓地が現われ、延々とその下を行く。住吉霊園というらしいが、石垣には登れる階段などはなく、まだまだ歩きにくい石切道を行くしかない。


石切道の次は住吉道だ

14:55
この悪路に入ってまだ30分も歩いていないが、一日中歩いた気分になる頃「住吉道」に出た。ここにも御影石の「石切道」道標が置かれている。

延々と石切道を下ったら
今度は住吉道だ

ゴロゴロ石の石切道が終わると、いきなり街中に出ることを期待して歩いてきたが、住吉道に出るとは期待外れで思い切りがっかりしてしまった。それでも今までの道から比べたら百倍、いや千倍は歩きやすく気分はもう下山したようなものだ。

歩きやすい住吉道をそのまま行きたいが

15:10
絶対にこのまま下ろうと決心し、よもや脇道などないだろうと安心しながら行くと、またまた私を誘い込む道が現われた。「←住吉・御影(住吉道) ↑住吉台団地」の標柱があり、悪魔が私を左の脇道に引き込もうとする。

真っ直ぐ進むように誘う天使のような看板もある。「JT住吉駅ゆき くるくるバス 200円 バス停この先に」と、ちょっと名前は怪しいが、ハイカー向けに時刻表も掲示もあり今の時間は15分ヘッドのようだ。200円でJR住吉駅まで行けるのは魅力的だが、なぜか悪魔の誘いに負けて脇道に入っていく私がいた。

本来の住吉道の入口がある どんな道なのだろう

昔々はさぞかし立派な道だったのだろうが、この道に入らなければよかったとまたまた後悔しだした。引き返せばよいのだろうが、登り返すのがいやでこのまま下ることにする。こういう態度がそのうち遭難に行きつく………あれ、年をとると同じことを何度も繰り返し話すというが、本当のことのようだ。

うーん、くるくるバスに乗ればよかった

荒れた道は、狭いが平坦なシオン科の植物が、我が世の春と咲き乱れている歩きやすい小路になった。数種類のシオン科の植物が咲いていたが、判別が困難なため写真は載せない。

ここの道では人に会わなかった

15:21
最後の住吉道は写真撮影の時間を含んでも10分で終わってしまった。人家もありこれで今日の山道歩きの本当の終わりの時がきたようだ。もう脇道があっても入らないぞ。

ようやくハイキングコースは終わった

15:24
狭かった車道が広くなり、まだ遠いが高層マンション群が見えてきた。しかし、周囲は緑に囲まれ、まだまだ歩き続けなければ御影駅に着けそうもない。

この辺には昔、住吉川の流れを利用した水車小屋があったようだ。

水車小屋跡

住吉川には、すでに17世紀はじめ小規模な水車が架けられ、菜種や綿種の油を絞るのに利用されていた。その後、精米や製粉にも利用され、特に酒米精製に不可欠となった。明治末から大正中期の全盛期には80余棟の水車場が軒を並べていたが、今では谷あいに跡を残すのみとなっている。

東灘区役所

まだ御影駅は遠そうだ

15:38
堰堤を九十九に巻く車道を下り、橋を二回渡ると「水災紀年 右有馬道 左六甲道 昭和13年7月5日」と刻まれた石碑が立っている。もうバス通りも目前で、白鶴美術館のすぐそばだ。

洪水水位の碑

昭和13年7月、当地方を襲った阪神大水害で住吉川が氾濫し、流域に大きな被害をもたらした。この水災記念碑には台座の右わきに最高時の洪水水位が刻まれている。このほか、住吉学園ないにも、同災害を記念した碑が建てえられている。

東灘区役所

御影駅まで歩き通すつもりだったが、白鶴美術館前のバス停からJR住吉駅まで神戸市営バスに乗ってしまった。阪急御影駅〜三宮駅は180円、バスは200円なので20円高いが『六甲の山を極めるためにはバス路線に精通するのが近道』という言い伝えもあるし、まだ歩き足りないくらいだが街中を歩くのは趣味に合わないし…………。

昭和13年の大水害記念碑
もうすぐ御影駅だがバスに乗っちゃいました



スポンサード リンク



山行記録にもどるホームにもどる本ページのトップ