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掬星台でシェー、山寺尾根・地蔵谷



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平成18年12月23日(土)  メンバー 私だけ

護国神社〜山寺尾根〜掬星台〜地蔵谷〜新神戸駅

2万5千分の1地形図「神戸首部」を参照すること


今日はどこから登ろうかな

今までなら「どこの山に登ろうかな」だったが、いつの間にか登るのは六甲に登ることが前提条件になってしまった。そろそろ「播州野歩記」は「兵庫野歩記」に改名しなければ、いや「日本野歩記」にしようかなと思う今日この頃です。

で、今日は下ったことは2回あるが登ったことのない「山寺尾根」にて摩耶山掬星台へ、下山は本当に初めての地蔵谷を下ることにする。

8:59
JR三宮駅前から乗車した「市営バス2系統阪急六甲」を、「護国神社前」で下車。登山口の最寄り鉄道駅は阪急六甲で、三宮からの運賃は市バスの200円よりも20円安い180円だが、歩くのが(市街地を)嫌いな私には、最良の選択肢だ。

市バス2系統、護国神社前
この構図の中にニッコリ笑う私を入れるのが
自分撮りの最終目標だ

播州の山々を登ってきて、あることに気がついた。それは「登山口がどこか分からなかったら、神社・お宮・社の裏を探せば必ずや神の導きがある」という法則だ。その法則はここ六甲でも成立していて、護国神社の裏から六甲への道が始まっている。

護国神社南西角の交番から北へと進むと、正面のカーブミラーの下に「この先人と車 行き止まり 東部土木事務所」なる標識が付けられている。疑り深い私はそんなことはないだろうと、標識を無視して真っ直ぐ進んだことがある。その結果は標識の通り絵に描いたような袋小路だったことは言うまでもない。

標識に従って右へ進むと山側へ急カーブし急登りとなる。登山口はもしかすると護国神社だったのかと思うほどの住宅街にあるまじき、勾配は5分の1ほど(5m進むと1mも登る)もある恐ろしい坂道だ。

長峰坂

全長550メートルのこの坂は。区内屈指の傾斜度を誇り、通称「長峰坂」と呼ばれています。通学路にもなっており、生徒たちはこの急な坂を往復しています。長峰坂は徳川道の一部でもあり、ここから北へ続く道は杣谷を抜け、摩耶山頂へ続くため、ハイキングコースとしても人気があります。

灘百選

急さを誇られても登るのが辛くなるだけだが、阪急六甲からタクシーで登山口に横付けできるお大臣様には頂上が近くなり好都合だろう。まあ貧乏性の私にとっては、楽しい山道歩きが減ってしまい損したような気分だ。

急坂を喘ぎながら登っていくとT字路に突き当る。「←神戸市立長峰中学校」「←神戸ユニオン協会」の案内に従い左へと進むと幾分緩やかになり、中学校を過ぎ豪華なマンションを過ぎると少し下って長峰橋。


山寺尾根の登山口は長峰堰堤

9:19
橋を渡った先の長峰砂防ダムの右岸側が「杣谷・徳川道」、「山寺尾根」、憧れの「摩耶東谷」の登山口となり、護国神社から丁度20分。体を温めるには程よく、標高はすでに170mほどもあり、標高690mの掬星台まであと一登りだ。

長峰橋

9:30
昭和16年完成の高さ9m・長さ65mの長峰砂防ダム、昭和31年完成の高さ16m・長さ76mの杣谷堰堤を越えると(高低差はあまりない)いよいよ杣谷と別れ、山寺尾根へと登っていく。河原に民家が建っているのが不思議だが、これも六甲ならではのものなのだろうか。

杣谷への道と分かれ山寺尾根へ

山寺尾根への道に入ると、すぐに摩耶東谷への入口があるはずなのだが、ここを通るのは三度目なのにいまだに分からない。東谷には滝行場があると聞き、「妙見宮 南無……」と刻まれた石碑のある付近が怪しいが分からない。

9:42
ようやく山道になり常緑樹が目立つ雑木林の中を登っていくと、1本目のこげ茶色に塗られた耐張型2回線送電線鉄塔「南灘連絡線 六」は登山道のすぐ近くに立っている。そして急勾配のえぐれた登山道の溝には落葉が溜っている。前回、ここを下ったときはまだ所々に花が咲いていて目を楽しませてくれたが、いくら暖冬とはいえ12月の下旬では花は咲いてはいない。

落葉が溝を埋める道

9:48
2本目の若草色に塗られた、同じく耐張型2回線送電線鉄塔「神戸東線 二十三」は登山道のすぐ脇に立っている。

9:51
3本目の送電線鉄塔は登山道から20mは離れていて、わざわざ訪れるハイカーはいないだろうが、ちゃんと送電線巡視路が延びていて、こげ茶色に塗られた耐張型4回線送電線鉄塔「神戸港線 一一」が立っている。

送電線は3本が一組で1回線、ここの4回線鉄塔なら落雷の被害を軽減する架空地線1本を入れて合計13本の電線が張られている。対地電圧は少なくとも1万ボルト以上はあり、碍子の数から見て7万7千ボルトかと思う。展望がよかろうと不用意に送電線鉄塔を登ると、常駐している死神が「いらしゃいませ。ようこそお出で下されました」と大歓迎してくれること間違いない。

この辺りで標高は300mほどもあり、掬星台まであとわずか400mで、掬星台の電波中継鉄塔が近くに見える。ほとんどが雑木林の中を登っていくが、ごく一部岩場もある。振り返ると葉を落とした木々の枝越しに神戸の町並み・大阪湾が見える。

岩場が少し

山寺尾根は急さばかり強調されているが、緩い道も多いし580mほどのピークを越えると下り坂さえ存在する。摩耶山へ登る登山道は沢山あるが、この水平距離が一番短そうな山寺尾根が私には一番楽に登れそうだ。

平坦な道も

ここは少し下っている

10:50
摩耶史跡公園への連絡道分岐に着いた。「←摩耶史跡公園0.7km ↓長峰堰堤2.3km・阪急六甲5.0km ↑掬星台0.3km」の標柱が立っている。ここから掬星台まで最後の急登が待ち構えているが、標高差は100mを切っていていくら急でもどうと言うことはない。

史跡公園への連絡路分岐

急登の始まりは樹間の間を登っていく。播州の道なき山に慣れ親しんでいる私にとっては、明確な道が付けらていてルートハンティングの必要もなく、お気楽な山歩きだ。写真撮影を言い訳に頻繁に休憩できるし、疲れ知らずにグイグイ登っていく。

樹間を登る

どんどん登る

掬星台が近づくと丸太の階段道になる。ここまでにすれ違ったのは単独男性ハイカー1人だけだったが、写真を撮っていると女性の声がすぐ下から聞こえてきた。ちょっと写真撮影兼休憩が多すぎたかもしれない。

最後は丸太階段道


掬星台でシェー

11:07
掬星台の展望台の真っ只中に飛び出す。長峰堰堤から2時間弱、自分では1時間ぐらいで登ったような気がしていたがそれなりに時間がかかっていたようだ。まだ時間が早いせいかほとんど人がいない掬星台だ。

そして掬星台に飛び出す

今日は12月下旬とは思えない早春のようなうららかな陽気で、春霞がかかり遠望はきかない。何度もここへ来ているが、思うような眺望を得た事は一度もなく、さらに登り続けなくては。

本日は展望不良の掬星台

昼食前に本日の山行のメインイベント、摩耶山さん歩に敬意を表しシェーをしなければ。まだハイカーが少ないとはいえ、普段の自分撮りにはない緊張感を味わいつつ1回だけ、幸いにもセルフタイマーではなくリモコン撮影なので、周囲の様子をうかがいつつ、シェー。

おそまつ君をリアルタイムで楽しんだ世代だが、なぜかシェーをするのは今回が初めてで、子供の頃に戻ったようで楽しかった。よし、これからはもれなく頂上ではシェーをするぞ。

よし、誰も見てないな
(マウスポインターを写真に乗せると)

本日の昼食はコンビニのいつもの「もりもり俵弁当1」、「半熟ゆでたまごサンド」そして伊藤園の「お〜いお茶 濃い味」の3点セット。食材とガソリンストーブとコッフェルを持ってきて温かいものを調理してもよいのだが、年のせいか食に対する熱望を失い、めんどくさい事が生来大嫌いなこともあって、いつものコンビニ御飯だ。うん、寒いときには冷たいものに限る。

今日のお昼ご飯


下山は地蔵谷道

11:59
さて、下山ルートは始めて歩く地蔵谷だ。果たしてどんな道なのかと興味津々で、アンテナ銀座を抜け天狗道へと下りていく。これを書きながら慕撫さんのTramping on M't Rokkoを見ると、この日に杣谷から掬星台に登っているではないか。ただ、私とは2時間の時差があったのが残念だが。

アンテナ銀座を抜けて天狗道へ

12:08
初めは丸太階段、そして石段の道。オーバーユースなのだろうか荒れた道を下っていくと、アドベンチャールートへの分岐が右手に現われる。掬星台からここまで10分もかからなかったが、出会ったハイカーは20人ほどもいただろうか。有名な登山道に集中してしまうのは分かるが、日本人の横並び意識の強さには驚いてしまう。

天狗道からアドベンチャールートへ

12:12
アドベンチャールートの名前の由来は知らないが、私の歩いた六甲の登山道には稀な人跡未踏風な(落葉に踏み跡が隠されているだけかもしれないが)思わず地形図を出して現在位置を確認したくなるような(谷道なので周囲は見えないので無理だが)ルートだ。それはそれは楽しい(でも迷いようはない)これからどうなるんだと期待を持たせる道で、六甲で初めてワクワクしてしまった。

写真では道がないように見えるが
実は本当に道は見えない

12:16
アドベンチャールートは黒岩尾根へとさらに続くが、地蔵谷への分岐に着いてしまった。このままアドベンチャールートを辿りたいが(黒岩尾根まで行き引き返せばよかったのにと後悔)予定通り地蔵谷へと左に入る。

アドベンチャールートから地蔵谷へ

地蔵谷道に入ると明確な道が続いている。六甲の谷はどこでもだが、ここも砂防ダムが度々谷を断ち切りあまり面白くない。初めは小さめなのを巻いていく。

小さな砂防ダムを巻く

小さな砂防ダムの下流は谷底の踏み跡に落葉が積もり、人類史上私が始めて歩いているような錯覚を起こさせるところを下る。でもそんなことはないよと言うように、最近付けられたのか真新しい白紐のマーキングがそこかしこに付けられている。はっきり言って地蔵谷はマーキングが全くなくても迷いようのないルートだが、初めて歩くハイカーにとっては安心できるものかもしれない。

六甲にもこんな雰囲気抜群の
ルートがあるんだ

このマーキングいらないと思う

12:36
古めな小ぶりな砂防ダムを数個越えると、道は谷からどんどん遠ざかってしまう。ん、これは巨大砂防ダムが現われるかと進むと、予想通り平成10年完成の高さ18m・長さ77mの地蔵谷第四砂防ダムが出現した。

大きな砂防ダムだ

その下流側

この地蔵谷道で出合ったハイカーは4人だけだったが、ここで始めて一人目に出合った。メジャーなルートを嫌う私みたいな人がいて安心した。

落ち葉に隠されていて写真写りは悪いが、明確な過去には完全に整備された道が続いている。要所要所は石段が組まれていて、ハイカー向けというよりは砂防工事のために整備された時期があるのだろう。

落ち葉に隠されどこが道やら

石段の道

13:12
何でこんなに広い道があるのかと思うところもある。まあこうして私のような者でも楽に歩けるのは、ハイカーには物凄く評判の悪い砂防工事の恩恵でもある。また山をぶった切る送電線を嫌う人もいるが、そのおかげで歩きやすいハイカーも自由に利用できる送電線巡視路があることを思うと、送電線鉄塔や砂防ダムに頬ずりしたくなるのはハイカーの本能だろう。あっ、私だけか。

広い道になってきた

地蔵谷には数箇所の渡渉ポイントがある。最初は左岸から始まった道は、左岸で終わったので、数えなかったがおそらく遇数回の渡渉をしたものと思う。今日の水量は少なく靴は常にドライだったが、大雨の後は靴下までウェットになるかもしれない。

渡渉ポイントが数ケ所

13:25
広い林道のような道に出た。どうやら楽しかった地蔵谷道も終わりが近づいてきたのだろうか。数分下ると広くなった谷幅いっぱいに、高さは低い「地蔵谷堰堤」が横たわっている。ここで地蔵谷で最後のハイカーに出会い、堰堤の端から尾根へ登ると天狗道に出ることを教えてもらった。

林道みたいだ

13:32
地蔵谷堰堤から数分で、布引貯水池からニ十渉へと続く道に出た。ハイカーのラッシュ時間は過ぎたのか、数人とすれ違っただけで市ケ原まで着いてしまった。

低いが幅広の砂防ダムをすぎると
楽しかった地蔵谷はお終いに

14:29
水を満々と湛えた布引貯水池、チョロチョロの布引滝を過ぎ、市ケ原から1時間をかけ新神戸駅にようやく着いた。初めは全てのものが物珍しく夢風船が上空を通るのにも感動したこの最後の行程だが、何度も通るとさすがに飽きてきてしまった。ということは、私の記憶力はまだまだ衰えていないということで、まあよしとしようか。



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