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少しだけ荒れていた雪彦山



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平成19年5月3日(木)  メンバー 私だけ

山の中のバス停〜雪彦山大天井岳〜賀野神社〜バス停

2万5千分の1地形図「寺前」を参照すること。



1年ぶりの15回目の雪彦山に登ろう

今日は昨年の5月5日に登って以来の、1年ぶりの雪彦山だ。そしていつもの通り姫路駅前から出ている神姫バスの雪彦山行きを利用する。

神姫バス時刻・運賃検索のぞみNaviで調べると、去年に比べたら発車時刻が30分も早くなっている。

神姫バス 姫路駅前発 7:40〜雪彦山着 8:46
(平日・土曜日・日祝日とも同時刻で運行、料金は1,070円)

帰りは 雪彦山発 14:50〜姫路駅前着 15:56

雪彦山は、姫路市内に住む私にとっては身近ないつでも気軽に登ることの出来る山だが、阪神間からは中国自動車道のインターから登山口までは遠く、おまけに最後は普通車同士でも離合できない狭い道が待ち受けていて、距離的には近いが感覚的には遠い山だと思う。

コンビニで食料を買い込み、近所のバス停から雪彦山行きに乗るとお客さんは5人。そのうちの一人だけはハイカーのように見える。

8:42
ダイヤよりも少々早く着いた終点の雪彦山バス停に下り立ったのは私と予想通りの彼だけ。姫路駅前からなら千円を越す料金だが、神姫バスの通勤定期を持っているので土・日・祝日はエコ定期券制度により距離に関係なく一乗車が百円になる。計算してみるとなんと91%引きだ。

山間の雪彦山バス停

バス停から車道を進むと、すぐに雪彦山大天井岳を主峰とする岩峰群が目に飛び込んでくる。初めて見たときは、私でも登ることが出来るのかと心配したのが、つい昨日ように思える。今回で15回目となる雪彦山だが新たな発見はあるだろうか。

雪彦山の岩峰群がそびえたつ

8:52
「乗用車 500円、マイクロバス 1,000円、大型車 2,000円、二輪車 0円」の駐車場にはすでに20台ほどとまっていて、さすがにゴールデンウィークだ。キャンプ場のバンガロー脇の登山口にも多くの人たちが記念撮影をしたりして、これから始まる山登りにワクワクしているのが感じられる。でも私は15回目、何も感じなくなっている自分がかわいそう。

道路に描かれた紅白矢印が鮮やかな
雪彦山登山口


さあ登るぞ

と自分に掛け声をかけても、辛い登りが待ち構えているのを知っているだけに「それがどうした」の返事もない。登り始めはゴロゴロ石がゴロゴロとした薄暗い植林の急登で、いきなり登高意欲が減じてしまう。

六甲山などの山なら丸太階段道になっているのが普通なところでも、ここ雪彦山ではむき出しになった木の根を掴みながらの、物凄い急坂というか急壁を登っていく。そこが雪彦山の雪彦山らしいところで、何度も登りたくなる理由かもしれない。

植林の中の急な登り

「この前よりも明るいな」と感じるところがあり、その周辺では木々が倒れている。伐採されたわけではなく風で倒れたように見えるが、この一年でそんなに強い風が吹いた日があったのだろうか。

別段登るのには支障がなかったので「明るくなって見通しも良くなって、こりゃいいな」ぐらいに思うだけだったが、下りのことまでは考えが回らなかった。

9:15
第一休憩ポイント、展望岩に着いたが、表面がゴツゴツと尖った岩で座っては休憩できない。頂上岩峰群がさらに間近に迫まり迫力ある眺めだ。着いたときはハイカーが二人いて、10分後に再出発するまでに五人ほどのハイカーが登ってきた。皆さん山慣れた方ばかりではなく、普段着に運動靴、背中にはデイバッグというスタイルの人が多い。

第一休憩ポイントの展望岩から

展望岩を過ぎると幾分緩やかになり、水平道さえ現われる。でも頂上までの道のりの90%は一般登山道にあるまじき登りで、六甲山で一番きついと言われている摩耶山へ登る山寺尾根など比較の対照にもならない。それでも老若男女誰にでも登れるのが雪彦山の良いところだ。

こんな緩やかなところもあるが
90%は急登だ

9:55
出雲岩。写真のように岩が覆い被さり、そこから剥がれ落ちた大岩が積み重なっている。十年以上前に初めてここに来たときと様相は変わっていないようなので、今は安定期に入っているのだろう。でも何かのきっかけで崩壊するかも知れないし、そのとき下にいたら、ああ思うだけでも身震いが来る。

出雲岩のオーバーハング

10:10
一番目の鎖場が出現。何もこんなに太くなくてもいいのにと誰でも思うぐらいの、像でもゴジラでも引き止められそうなのが下がっている。溝を鎖につかまって登るのだが、左側を巻いたほうが登り易そうだし、団体で渋滞しているときは巻くに限る。

最初の鎖場

10:17
出雲岩からは次々に名所旧跡、いや見どころ歩きどころ登りどころが次々と現われる。「頭上足元注意」の警告板の先は見晴らし岩だ。昨年の記録を見直してみると同じようなことを書き、同じような写真を撮っているが(ウワッ、服装も全く同じだ)、今回の見晴らし岩では一歩先端に立っている。歳をとると恐怖心がなくなってくるのだろうか、来年の写真が楽しみだ。

見晴らし岩からの大展望

見晴らし岩の手前にはセリ岩がある。大きな、物凄く大きな丸い岩がザ・デストロイヤーの凶器入りヘッドバットを食らったのか、はたまたアンディ・フグの踵落しのなせる技か、真っ二つに割れその間にかろうじて人が通れそうな通路が出来ている。

出口で身を捩り、肩幅を狭めれば何とか抜けられるが、右手の巻き道を行くのが私の生き方だ。いや行き方だ。
セリ岩
ウーン通れないぞ

セリ岩から頂上までは岩場が連続する。麓から見えていた岩峰を登るわけではないのだが、それでも急な岩壁を細い鎖につかまり登っていく。

岩壁を細い鎖にすがり登る

コバノミツバツツジはとうに盛りを過ぎて、いま咲いてるのはほんの少しだ。替わりにアケボノツツジが旬を迎えて落花盛んながら、ぼんやりしたピンク色の花が此処彼処に咲いている。

10:44
雪彦山大天井岳の頂上に到着。先客は10人ほどで予想よりも少なかったが、男性よりも女性の方が多く賑わっている。

地形図では北方の915.2m三角点標石のあるピークを雪彦山の頂上としている。けれども私は展望も何も頂上の雰囲気すら感じられない三角点雪彦山よりも、ここ大天井岳の方が雪彦山頂上に相応しいと思っている。

なおこの大天井岳の標高を884mとしている山行記録が沢山あるが、地形図では800mから810mの間にしか読み取れとれず、ガイドブックか何かに記載された誤った数字を何も感じずに引き写しているだけなのだろう。そんな人の山行記録はガイドブックそのままの引き写しに違いない。

と、今では偉そうなことを言っている私だが、その昔の山行記録に884mと書いてしまい標高に物凄くこだわりを持つ標高マニアさんから、叱責のメールを頂いた事がある。

頂上は大賑わい

澄んでいれば、いや運が良ければ山並みの先に播磨灘が、そしていくつかの島々が見えるのだが、近頃の行いが悪かったせいか春霞の中へと山並みが消えている。それが逆に皆に「うわー、山ばっかりだ」の歓声を上げさせている。

時間は早いが、この先適当なところもないし、ここでコンビニ弁当の昼食とする。


さあ下りよっか、下山は地蔵岳経由

11:23
下山開始。ルートは三角点雪彦山経由の大回りでは帰りのバスに間に合わなくなる可能性200%なので、いつもの地蔵岳経由。

大天井岳頂上周辺にもアケボノツツジが沢山咲いている。ツツジと言えば色は鮮やか、形も立体的で彫が深そうな印象を持つが、このアケボノツツジは色はぼんやり、形も押し花みたいなのっぺりとしていて、まるで私みたいにおらが春を謳歌するこの花が大好きだ。よし、これからは私のお印はアケボノツツジにしよう(実は私は隠れ皇室ファンのミーハーであることをここに告白する)。

今満開のアケボノツツジ

コバノミツバツツジも根性のある木はまだ花を付けているが、その本数は少ない。稜線にはヒカゲツツジは咲いていないが、これから下るルート沿いには沢山咲いているので楽しみだ。

旬が過ぎたコバノミツバツツジ

11:31
垂直鎖場に着いたが、いつもと違う。登りにも倒木が多かったが、ここの鎖の起点に立っていた大木が落ちて鎖場に被さっているのだ。

先行した夫婦のハイカーは倒木と岩の間の隙間を下りていくが、ザックや三脚などで荷物が多く通れそうもない。これまではすっきりとした鎖場だったのだが、ごたくそになっていて悲しくなってしまった。

地蔵岳への最初の鎖場
大木が倒れ無残な姿になっている

鎖から大木を跨いで、また鎖に戻って下りたが、倒木は急斜面の途中にひっかかっているだけで本当に安定しているかといえば非常に疑問だ。この下も急な鎖場が連続しているので、もしも更に落下したら、その時下に人がいたら、ウワーッ考えるのも怖い。

隙間を通れずに
大木を跨いで下りたが
スリルは倍に

そして鎖場が連続する

最初の鎖場以外にも大木が倒れていて、ルートが以前と微妙に替わっている。

倒木が度々ありルートが変わっている

下山道に咲いているヒカゲツツジを楽しみに雪彦山にやってきたのだが、今年は道から離れた手も届かなければ足も届かないところで、ほんの数株が咲いているだけだった。どうやら、下山道脇に咲いていたのは、全て倒木の巻き添えになってしまったようだ。

登山道脇のヒカゲツツジは倒木の巻き添えか
離れたところにほんの少しだけ咲いていた

景色は良いのだが、お尻がむずむずしてゆっくり寛ぐことの出来ない地蔵岳へは寄り道をせずに、鎖場を下りトラロープが張り巡らされた岩場を下り続ける。地蔵岳から下は倒木もなく、以前と変わりない。

12:29
地蔵岳の岩崖が正面に見える展望岩に着いた。展望岩の上では4人のハイカーが、地蔵岳を登攀するクライマー2人を熱心に見詰めている。

突然ガラガラ、カラーンカラーンという音と共に『ラック』の叫び声が上がった。原因は分からないがビレイヤー付近から発生したようだ。幸いにも誰も落ちず、次に登ろうと取り付きにいた人にも当たらずに事なきを得た。

でも、山の神様は早々容易くは許してくれない。『キャーなにこれ』の叫び声が、今度はハイカーの女性から上がった。なんと足に血を吸って丸くなっているヒルがとりついていたのだ。雪彦山の安富町側はヒルの宝庫だが、夢前町側のそれもまだ谷筋に下りてもいないのに、ヒルが出るとは困ったものだ。

12:52
虹ケ滝まで下る。

虹ケ滝まで下る

虹ケ滝から、対岸を一登りで広い道にでる。この道は雪彦山に登るために通されたものではなく、おそらく北から賀野神社を詣でるための参詣道の一部だと私は思うが、どうなのだろうか。

途中に倒木が1本だけ横たわっているが、普通ならチェーンソーでぶつ切りにしてどかすのが普通だろうが、なぜか踏み段を付けて手摺まで付けられている。

踏み段と手摺付きの倒木

広く歩きやすい道の端にははマムシグサがポツポツと咲いているだけで、味気のない植林の中を行く。途中からガレガレの道が真っ直ぐに下っているが、ガイドブックに載っている下山道は更に進んで舗装林道に出る手前からV字に引き返すように緩やかに下っていく道だ。

でも、私はこのまま舗装林道(雪彦峰山線)に出て、賀野神社に寄っていくのを常としている。

マムシグサがちらほらと咲いている

13:27
賀野神社に着いた。この神社の御神体は雪彦山の岩峰群で、下山後に来たのでは逆光になり神々しさが感じられないが、岩峰群に日の当たる午前中に一度来てみたいものだ。

ここには飲めないと表示があるが、ひねると水の出る蛇口があり、顔を洗うことが出来る。

いつものように賀野神社回りで下山

あとは、面白みのない2kmほどの舗装林道歩きが残るだけだが、道端にはシャガの花が咲き乱れ目を楽しませてくれる。

林道脇のシャガ、シャガ、シャガ、……

14:11
駐車場には朝の倍ほどの台数が止まっている。今日は沢山のお客さんで喜ばしい限りだが、平日は誰にも会わずに雪彦山全体を独り占めにして歩いたこともある。

40台は止まっている駐車場

帰りのバスの発車時刻まで十分な余裕があり、バス停で野良猫?におやつに持ってきたチーズをやったりして過ごしたが、チーズをむしゃむしゃ食べる猫と、見向きもしないチーズ嫌いな猫がいて、猫にも好き嫌いがあることが分かった。



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