山行記録にもどるホームにもどる



おでん山行、山寺尾根から掬星台



スポンサード リンク




平成20年1月14日(日)  メンバー 私だけ

五毛バス停〜山寺尾根〜掬星台〜星の駅

2万5千分の1地形図「神戸首部」を参照しても山寺尾根は途中で………。


新シリーズ始まる

冷え切った体に冷え切ったお昼御飯、凍えそうな頂上では辛い季節がやってきた。暖かいレストランで外食というのも六甲山では可能だが、毎度毎度ではお金が続かない。そこで登場するのはストーブだ。

それも、厳冬期でも火力の落ちないガソリンストーブだ。着火も簡単、火力調整も可能で手軽に使えるガスストーブは漢が使うものではない。真の漢なら迷わずガソリンストーブだ。

というのは独り言の戯言で、妻その1の買い物に付き合っていると、温めるだけで食べられる常温保存可能な「おでん 昆布だし風味」というものが目に付いた。「よし、明日は掬星台でおでんだ」と決意。そして登るはこれも漢らしく急登の山寺尾根だ。

10:45
三宮駅前から乗車した2系統阪急六甲行き神戸市バスを、五毛バス停で下車。ここが杣谷・山寺尾根、そして摩耶東谷の最寄バス停だ。バスの後を追うように東へ進み、二つ目の信号を左に曲がり、北へと登ると自然と登山口の長峰堰堤へと導かれる。

実は三宮駅前で18系統摩耶ケーブル下経由が来たら、そのままケーブル・ロープウェイに乗ってしまおうと思っていたのは事実だが、期待に反して最初にやってきたのは2系統だった。

五毛バス停で下車

11:01
登山口の「長峰堰堤(高さ9m、長さ65m、昭和16年完成)」下に到着。堰堤から無料の「六甲のおいしい水」が引かれているが、人が活動している六甲山からの沢水が綺麗なわけはないのは、幼児でも理解できることだ。けれども、ここで水汲みをしている人をたびたび見かけるが、生水にからきし弱い私からしたら驚愕する光景だ。

この湧き水を利用している方へ

湧き水は、まわりの環境の影響を受けやすく、水質が変動することがあります。
あなたの健康をまもるために、下記の注意事項を守ってください。

注意事項
この湧き水は飲用に適しません。

神戸市衛生局で実施した年間を通じた水質検査において、この湧き水は水道方の水質基準に適合しませんでした。
水質基準に適合しなかった項目:大腸菌群

問い合わせ先
神戸市灘保健所衛生課 (代)871-5101

大腸菌自体は無害なものが多いが、大腸菌がいるという事は衛生学的に糞便汚染の可能性があるということで、煮沸しようが浄水器を通そうが私は飲みたくない。

服を1枚脱いで、もろもろの準備をして7分後に登山開始。

長峰堰堤から山道が始まる

11:16
杣谷川の右岸を進み「杣谷堰堤(高さ16m、長さ76m、昭和31年完成)」の上流側に出ると、砂防堰堤の堆砂敷には人家がある。こんなところには電気も上水も下水も何一つ生活に必要なインフラはないが、生活が成り立つのだろうか。特に下水設備がないことと長峰堰堤下の「六甲のおいしい水」の大腸菌群との関係が非常に気がかりだ。

ここで杣谷・カスケードバレイから山寺尾根が別れる。山寺尾根の道標に従うと、なんか人の家に入って行くようで精神的にいやだが仕方がない。

杣谷に別れを告げ山寺尾根へ

11:21
今日始めて気がついたが、目線の上にある「←摩耶東谷」、足元にある岩に消えかけた「←まや東谷」の道案内がある摩耶東谷への分岐を過ぎると、いよいよ掬星台へ続く山寺尾根の急登が始まる。

急登で名高い山寺尾根の始まり


どこに寺があるのか山寺尾根

11:28
山寺尾根、噂にたがわず摩耶山へ登るルートの中では最強だ。でも播州の山々の立ち塞がる壁のような登山道と比べたら、私にとって摩耶山など赤子の手を捻るようなものだ。

でもスタスタと登って行ける山寺尾根は、心肺機能が年齢とともに低下している私にとっては地獄のような尾根だ。そして自分撮りにかこつけて度々休憩しようとするが、そのたびの登り下りがさらに疲労を蓄積していく。

極端に急ではないのが一番辛い

11:35
山寺尾根を横切る送電線は3本あるが、二番目の「神戸東線 ニ三」鉄塔までは急登が続く。杣谷堰堤から見上げると山寺尾根のかなり高いところに送電線鉄塔が見えるが、すでにここで堰堤から100mも高度を稼いでいる。

この2番目の鉄塔を越えると楽になる

11:38
二番目の鉄塔を越えると、ここまでの辛い登りを忘れさすような平坦な道が現れる。でも最短ルートで摩耶山へ登っていることは間違いなく、平坦な道があればあるほど残りが急になることを忘れてはならない。

こんな平坦な道もある山寺尾根

11:41
冬枯れの葉を落とした木々の向こうには、神戸の町並み、大阪湾、そして今日は紀州の山々まで見通せる。でも、後ろに目を持たない私はそんなことに気づかず登っていく。

冬枯れの尾根は展望がまずまず

11:44
六甲山の一般ルートで岩登りを楽しめるコースはあまり思い浮かばないが、この山寺尾根も99.9%は土の道で、残る0.1%がかろうじて岩の上に足を乗せられるが、ただそれだけだ。

岩が露出するところもある

11:54
この尾根にはアカマツが多く、その下では松葉を踏みしめての山歩きが楽しめる。広葉樹の落ち葉のようにガシャガシャザクザク感ではなく、しっとりとした踏み心地が楽しい。

ここは広葉樹の落ち葉だ
でもきつい登りだな

12:00
なんか5分おきぐらいに自分撮りしているな。でも急になったり、緩やかになったりいそがしい道だが、天気はよく風もなく快適な山登りだ。

ここまでで出遭ったハイカーは単独のおっちゃんとお兄さんの二人だけ。午前中に下山を始めるのが理想的な山歩きだと私も思っているがなかなか実現できない。

何でこんなところに岩があるんだ
よっこらしょっと

12:09
山寺尾根と呼ぶくらいだから、どこかに寺の跡でもあるのだろうかと、登り下りするたびに周囲を観察しているのだが、いまだに見出すことがでない。摩耶東谷を挟んで西側の尾根には天上寺があったのだから、こっち側の尾根にもあってもおかしくないと思うのだが、山寺尾根の名前の由来を知りたいものだ。

なんか文章と写真の乖離がひどいな
でもそんなことを思いながら登っていく

12:16
落ち葉の色と、きめの細かさが分かるだろうか。数本のアカマツがあるだけで踏み心地がシャリシャリと変わり、見上げると青々とした松葉が空ををちくちくと突っついている。暗い植林のイメージが強すぎて針葉樹はあまり好きではないが、松だけは別だ。どこかにアカマツだけの尾根道がないものだろうか。

松葉の積もる道を歩く

12:25
木の根元に薄っすらと雪が解けずに残っている。風の通り道なのか、空も曇ってきて急に寒くなってきた。去年の六甲山は稀に見る小雪だったと聞くが、今年はどうなるのだろうか。

木の根元に雪がほんのちょっと残っている

12:35
摩耶山掬星台が近づいてくると、山寺尾根は平坦な尾根となる。まるでギリシャ神話の月の女神アルテミスが引き絞った弓のように力をためた尾根を、大空へと射られる矢のごとく掬星台を目指して駆け上がる最後の急登へと一歩一歩と近づいていく。

掬星台は近いが登らない尾根

12:44
ついに弓から矢が放たれる時がきた。左に摩耶史跡公園へと等高線沿いに谷を渡る道が分かれ、ここから掬星台を目指す道は壁のように立ち塞がる。と言うのは少しだけ大袈裟だが、摩耶山へ登る道の中で最も急な山寺尾根の、そのまた山寺尾根の最も急な部分はここから掬星台までであるのは事実だ。

山寺尾根最大の急登はここから掬星台までだ

12:49
山寺尾根最後の急登は二つに分かれている。前半は誰かが造った道ではなく、ハイカーが登り下りするうちに次第に通り道が固定された結果、勝手に出来てしまった道のように見える。普通なら、こんな急なところはジグザグに道を付けるのが普通と思う。でも、もしこの道の開拓者がいるとしたら、山寺尾根の急さを際立たせているこの直登を選択したのは正解だ。

これまでの播州野歩記の似非動画?は動かすのに皆様のお手を煩わせ、また最初の写真に戻るにはリロードが必要とご不便をおかけしていましたが、今回よりGIFアニメーション化することにより皆様の操作をなんら必要としないユーザーフレンドリーなものとなりました。これはひとえに、私でも簡単に出来た「GIFアニメ工房」様のおかげです。

最後の急登、前半戦

12:59
山寺尾根最後の急登後半戦は階段道だ。この階段道もほとんど直登で、もう少し左右に振れば緩やかになるのだが、きっと意識的に急な階段道を造ったのだ。

この最後の急登で出会ったのは、妙齢の単独女性ハイカー、掬星台直下で賑やかな女性二人組みだけだった。

急登の最後は劇急階段道


摩耶山掬星台

13:04
掬星台の東側展望台にようやく辿り着いた。長峰堰堤から掬星台までの標準的なコースタイムは1時間だが、それを2時間もかけて登ったとは自分でも驚いている。私は標準時間の5割増し程度を目標としているが、これからは倍は見ておかなくては。

私は、低山のハイキングは汗をかかない冬が一番だと思っているが、一般常識的には違うようだ。広い掬星台を見渡して、車で来た人たちを含めても10人もいない。

掬星台に着いた

いつもは冷たくなったコンビ二食だが、今日は違う。タイトルのようにおでんを食べるのだ。それもガソリンストーブで温めた熱々のおでんだ。

30年ほど前に買ったOptimus 123R、プレヒートが必要・燃焼音がうるさい・火力の調整が出来ないなど欠点だらけだが、ごく一部の改良だけで100年前から姿形が変わらずに造られ続けているという工業製品にあるまじきものだ。いまだに進化を続けているガスストーブなど足元にも及ばない、完璧に完成された機能美にあふれる姿形が美しい。

本日のメインメニューは、トップバリューの「おでん」一人前500g(大根2個、ごぼう巻き(大きめ)、結び白滝、ちくわ、こんにゃく(厚め)、玉子、昆布)、そして念のためにファミリーマートの「ほっけほぐし御飯」。

本日のお昼御飯

「ほっけほぐし御飯」美味しいんだけど冷たい。よし「おでん」に放り込んで「おでん雑炊」にしてしまおう。自分的には見た目もそれほど悪くなく、味は完璧。寒暖計は0度を指しているが、多めに入れたガソリンが燃え尽きるまで本当のストーブの代わりもしてくれる。

おでん雑炊の出来上がり

食後に恒例のシェーを執り行う。いつもは展望台からだが、今日は「掬星台」看板前にしよう。

掬星台でシェー

さて下山だが、まやビューライン夢散歩(ロープウェイとケーブル)の年間パスポート(2往復分の3,000円で一年間乗り放題)を持っているので、もはや歩いて下ることなどできない。



スポンサード リンク



山行記録にもどるホームにもどる本ページのトップ