青谷東尾根(摩耶山)
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平成20年3月22日(日) メンバー 私だけ
青谷橋バス停〜青谷東尾根〜虹の駅
2万5千分の1地形図「神戸首部」が意外と参考になると思う。
話題の青谷東尾根の登り口へ
この青谷東尾根は六甲山の一般ハイキングコースとは趣が異なり、やってみると意外と楽しい藪漕ぎこそありませんが、道は存在せず踏み跡も薄いワイルドな尾根を行きます。あの熟練者向きとされる、道迷い遭難者を輩出した「五助尾根」など裸足で逃げ出すほどの、神戸市なら超熟練者向きコースと表示しそうな尾根です。はっきり言ってお勧めできるコースではありません。
地形図(神戸首部)を見ると、摩耶山へと登る青谷道の東側の尾根に破線道(青谷東尾根)が描かれてる。なのにどのガイドブックを見てもその破線道に関する記述はなく、WEBにも情報は少ない。
でも神戸背山の道のジュン氏が2月5日に下った記録を、六甲山やまある記のpokochan氏が3月9日に登った記録を公開していて、ともに詳細な内容でこれなら私でも迷わないだろうと、登ってきた。
9:56
三宮から乗車した2系統阪急六甲行き神戸市営バスを、青谷橋バス停で下車。山行を始める時間には遅すぎるが、下山は「まやビューライン夢散歩」を予定しているのでまだ早いくらいだ。
10:01
西郷川右岸沿いに住宅地を詰めると、小橋が架かっている。橋の名前は摩耶橋といい、ここから行者茶屋跡・天上寺跡を行き摩耶山へと登る青谷道の登り口としてふさわしい所だ。地形図を見ると、この西郷川はこの上流から青谷川と名前を変える。
10:06
青谷道に入ってすぐにあるという青谷東尾根取付を目指して、山登りの準備を整え出発する。「摩耶山ハイキングコース案内図」が立っているが、これから登る青谷東尾根は当然のことながら、行者茶屋跡から天狗道へと登る行者尾根も描かれてはいない。
青谷川左岸の崖にぎりぎり車が通れる幅の舗装道路が続き、薄暗い道端にスミレの花が咲いている。おそらくタチツボスミレと思うが、道草をして写真撮影。
10:17
道草さえ食わなければ、登り口から数分で青谷東尾根への取り付きポイントだ。岩崖を刻み込んで作られた細い細い道が、登ってきた青谷道を引き返すように付けられている。ここは2回ほど通っているが、この取り付きは気づかなかった。
何か落ちてないかなといつも下ばっかり見て歩いている私には、目線より上にあるマーキングや案内板など気づきようがない。
平成20年4月12日に青谷道を行者茶屋跡へ行ったときには、以下の案内板は無くなっていた。
それでもって、この案内板のことだが「撮るのは写真だけ。 残すのは足跡と、 思い出だけ。」という私が信じる山登りの大原則からして、ゴミに他ならない。風雨に晒され薄汚れ本性を現してゴミと化していてほとんど読むことが出来ないが、自動彫刻機でも使ったのだろうか案内図とともに次のように刻まれている。
摩耶山藪道
青谷東尾根
取付登山口鉄塔1まで30分
山歩仲間
上野道からの下山口取付の立ち木にも、同じものが針金で縛り付けられているのを見つけた。それらの木々は「外してくれー」と悲鳴を上げてように私には聞こえる。でも外すことが出来るのは付けた人だけで、私が外して持ち帰ると刑法の遺失物等横領(占有離脱物横領)とか森林法に該当してしまう。
刑法 第254条 (遺失物等横領)
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。森林法 第197条
森林においてその産物(人工を加えたものを含む。)を窃取した者は、森林窃盗とし、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
第198条
森林窃盗が保安林の区域内において犯したものであるときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
微かな踏み跡と呆れ返るほど大量のマーキングを辿る
10:24
一歩足を踏み外すと、青谷道まで落ちそうな急斜面に付けられた道を、下り方向に少し進むと尾根の中心へ乗ることが出来た。そこにはおびただしいマーキングテープとスズランテープで下山者を青谷道へと誘導している。マーキングテープに「青谷道→」、「←青谷東尾根」、プラスチック板に「青谷道(脱出口)→」の案内もある。なお、ここから下には踏み跡はないように見えた。
10:25
登り始めから急で、過去にここに道があった雰囲気はなく尾根には切り開きはない。でも結構歩かれていて踏み跡は明確で、1本の木にマーキングテープが二つ三つは当たり前で、多い木は五つも巻かれいる。そのうえ、マーキングを巻かれた木々の間隔は異常に近く迷いようがない。でも迷い道にも同じようにマーキングが付けられている可能性があり油断は出来ず、このルートは最初は絶対に迷いようのない、登り方向に山行計画を立てることを薦める。
10:29
このルートにマーキングを付けた人は、それでも安心できなかったのかスズランテープも張っている。確かにこの青谷東尾根で道迷い遭難があった日には、マーキングがまだ足りなかったかと寝付きが悪くなることだろ。
私はマーキングの完全否定者ではないが、付けるならもう少し、いや大幅に節度をもって付けて欲しい。この尾根のように迷いようのないところでも、連続してマーキングを付けるなどもってのほかだ。踏み跡が薄く本当にこのまま行ってよいのかと、ハイカーが心配しだすころ、ひょこっと現れるぐらいの絶妙な間隔で付けて欲しいものだ。
10:30
この尾根を通るのはマーキングテープ愛好家ばかりではなく、性格破綻者の変質者が徘徊しているようで、マーキングテープにはこれまでに見たこともない言葉が書き込まれている。絶対に単独女性ハイカーはこの尾根を歩かない方が賢明だ。
10:32
急な部分と緩やかなのが明確で、その差は激しい。疎らな雑木林を行く水平尾根もあり、なかなかと良い雰囲気だ。足元のササは刈り込まれていて、篤志家が手入れをしているのだろう。
10:38
またきつい登りだ。でも常緑樹の尾根は、落ち葉が積もっているだけで見通しが利き、進路は容易に分かり登ることだけに集中出来る。
10:44
背丈を越すササに行く手を遮られてしまった。何人かが迷い込んで作った迷い道で、次にきたらもっと先まで続いているかもしれない。でも、こんなササ薮はここだけで、ここ以外は邪魔をする下草もなく意外と歩き安く感じた。
10:47
行き止まりの迷い道から5mも引き返すと、正しい踏み跡は方向を東へ変えササ藪の弱点を突くように切り開かれている。でも、倒木はあるしワイルドな踏み跡で、歩く人がいなくなったら一夏で元の藪にかえりそうだ。
10:52
急斜面のササを束にしてつかみ攀じ登り終えると、まだ葉を付けていない木々の向こうに神戸の市街地が広がっている。でもまだ町並みは近く、学校林道に立つ四本送電線鉄塔よりも標高は低く、まだ先は長そう。
11:02
西側はササと落葉樹の明るい斜面、東側は常緑樹が茂り下草が全くない暗い斜面と対照的な尾根を行くと、倒木が。うんこらしょと。
道らしく見えてきて送電線鉄塔
11:07
この辺までは踏み跡だけで道らしさを感じなかったが、尾根が狭まり常緑樹の下には明らかな道の形跡が残っている。地形図にも破線道で記載されいるくらいだから、道跡があっておかしくないが、ここから下の道はどこへ消えてしまったのだろう。
11:08
また尾根が急になってきた。でも今は明確な道跡というか尾根の切り開きを登っているので、ルートを見極める必要もなく淡々と真っ直ぐな尾根を登っていくだけだ。
11:22
地形図や学校林道の四本鉄塔との高度差から判断して、もうすぐ一番目の送電線鉄塔が現れるはずだが、なかなかだ。いい加減登り続けるのにも飽きてきた。
11:26
ようやく一番目の送電線鉄塔(神戸港線 一六)に到着。鉄塔下は溝状の排水路?になっていて、その辺りから一つ東側の尾根へ下る分岐があったようだが、登るのに精一杯で気がつかなかった。
4回線耐張型アングル鉄塔下の段差には、親切なことに手すり付の鉄階段が用意されている。おまけに上側の敷地の周囲には柵まであって至れり尽くせりの、まるでハイカーを歓迎しているようにさえ見える。
鉄階段で二段目に登ると、なんとそこは展望台だった。霞んでいて大阪湾から先は見えないが、空気が澄んでいたらさぞかし見事な風景が広がっていることだろう。ただ、ここまで充実した設備が整っているのに、ベンチはなく座ってゆったりと休憩できないのは残念だが、これまで見た送電線鉄塔のなかでは最もハイカー思いの優しいものだ。
快適すぎる送電線巡視路を辿り上野道へ
11:45
思わず長い休憩になってしまった送電線鉄塔を後にして、二番目の送電線鉄塔を目指して登りはじめると道脇に「三等多角点 公共 143 70108」の金属票が埋設されている。
11:49
踏み跡でも道跡でもなく、年2回は草刈などの整備をするという送電線巡視路となり、快適な道が目の前に延びている。でも、ここまでの藪尾根歩きの方が面白かったな。
11:51
道が格段によくなったためか、送電線鉄塔までと急さはあまり変わらないはずなのに、やけに緩やかに感じる。この尾根を下りに使うと、最初はよかった道が、道跡になり、そして踏み跡となり、それも不確かになったりと精神的にきついものがあるだろう。
11:53
二番目の送電線鉄塔(上筒居線 六)は2回線懸垂アングル鉄塔で、周囲のササ竹のために全開の眺望は得られないが、現在位置の確認は容易に出来るほどの眺めはある。あ、地形図の二本目の送電線と尾根が交わっているところがここか。
11:56
2本の鉄塔が先にあるためか、巡視路はさらに広くなりそして緩くなり、六甲山のどのメジャールートにも負けない立派な道になってしまった。もうこのまま上野道まで続いていると思うと、気が抜けてきた。
12:00
でも、岩がちの出っ張りが行く手に現れ、送電線巡視路は下の写真の左下へと避けていく。でもなぜかマーキングは、正面のロープが張られた登りにくそうなところへ、誘い込むように付けられている。
マーキングに逆らう気力はもうなく、ロープに頼りながら岩場を越えるが、ロープの必要もないほどで意外と簡単だった。
下りだと分かりにくい分岐だが
12:05
難所を軽々と越えてすぐに送電線巡視路にぶつかった。最初は上野道かと思ったが、まだ二番目の鉄塔が近くに見えるのですぐに勘違いに気がついた。南東へと下って行く送電線巡視路は尾根に立つ送電線鉄塔まで行くためで、上野道へ出るには北へと進む送電線巡視路を行かなければならない。
下りに使うとき、右側には沢山のマーキングが付けられているが、何もない左側ばかり見ているとこの分岐を見過ごす恐れがある。そのマーキングの中の黒黄の派手なテープに「→青谷東尾根」と書かれている。
マーキングが付けられた分かりにくい分岐のすぐ北側に、「火の用心」送電線巡視路標識があり、それが指し示す西側へ分岐する送電線巡視路がある。下の写真のように珍しく支柱のない標識で、立ち木に付けられている。書き加えられている「神戸港16 上筒居#6」は、通過してきた2本の送電線鉄塔の名前で、「いってこい」は山登り業界ではピストンしか出来ないよという意味だ。
始めて来たハイカーにとっては、この歩き安そうな道は送電線鉄塔で行き止まりになり、入っても無駄足になるとしか理解できない。でも「いってこい」を書き加えた人は青谷東尾根を知らない人だったのだろう。私なら「青谷東尾根→」と書き変えたいが、残念ながらマジックは持ち合わせていないし、関西電力管理物の「火の用心」標識に手を加えることなど私には到底出来ないことだ。
確かめてはいないが、この「火の用心」標識から入ると、最後の難所を迂回する送電線巡視路に続いているのは間違いない。
平成20年5月4日には「いってこい」の書き込みは消されていた。また、南側の踏み跡入り口に沢山あったマーキングテープも外されていた。
12:12
おおむね北北東に進む送電線巡視路は、緩やかになった尾根を行くこともあり至極快適な道が続く。
12:15
3分経っても快適な道が続き、一部には緩やかな下りもある。周辺の雑木林も明るく、こんなよい雰囲気の道が六甲山にあることに驚きつつ、感動しつつ歩くが、緊張感はぐんぐんと下がっていく。
12:19
さらに4分経っても快適な道を歩いている。なんかもう眠くなってきて、下山は虹の駅からのケーブルカーしか考えられないほど登高意欲が低下してきた。
何だろうなのコンクリート塊の先は上野道
12:22
道の脇に、背丈よりも高い、巨大なさいころの様なコンクリートの塊がある。索道のアンカーを放置しているのかなと、叩いてみると中が空洞のような手ごたえがあり、少し離れた高みから見ると上蓋がないのが分かった。
三脚にセットしたカメラで中を覗き込むようにして、リモコンで何枚かシャッターを切ってみた。
でも、なにか得体の知れない怖いものが写っているのではないかと、液晶画面を見るのが怖かった。意を決して再生ボタンを押すと、写っているのは落ち葉だけだった。ただし、その落ち葉の中に何もないとは断言できない。勇気のある人なら、中には十字に鉄棒が渡されていて容易に脱出できそうなので、中に飛び込んで落ち葉をほじくり返すのも一興かもしれない。
12:30
コンクリート箱あるいは枠から、ほんの少し行くと木の枝が道を塞いでいる。上野道から、こっち側の世界へと迷い込まないように張られた結界だ。
12:32
上野道から見るとこんなところで、ここに分岐があるなんて何度も通っているのに全く気がつかなかった。右側が天上寺跡で左側が虹の駅になり、近くの電柱には「摩耶山36」の標識が付けられている。
平成20年5月4日には、以下の山歩仲間の案内板は無くなっていて、マーキングテープも外されていた。
ここにも「山歩仲間」の案内板があるが、位置が高いのと、茶色に塗られているため上野道側からは分かりにくい。登り口にあったのは読めなかったが、ここのは風通しがよいのかカビも生えずに保存状態は良好だ。でも、木にくくられたゴミには違いない。
摩耶山藪道
青谷東尾根
下山道取付藪道/青谷橋・摩耶菩提所まで60分
摩耶史跡公園まで30分
虹の駅まで5分山歩仲間
すぐ下に虹の駅を通らない上野道の分岐点があり、私は虹の駅へとまっしぐらに進む。
山行終了、お昼ごはんは掬星台で
ここまで来たし、まやビューライン夢散歩の年間パスポート(3,000円で1年間乗り放題)も持っているしで、掬星台までロープウェイの極楽登山。
うん、掬星台は何度きてもよいところだ。
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