世界遺産姫路城十景
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平成20年7月21日(月) メンバー 私だけ
姫路城下をチャリンコであっちへ行ったり、こっちへ行ったり
今日はチャリンコで世界遺産姫路城十景巡りだ、だけど暑いぞ
世界遺産姫路城十景
姫路城は平成5年(1993年)12月に世界遺産として登録されました。これを記念して姫路城ビューポイントを公募し、その結果をもとにして、「世界遺産姫路城十景」を決定しました。姫路城が最も美しく見える10ヶ所です。
今までに世界遺産姫路城十景の地の全てを訪れたことがあるが、一日で全てを巡った事はない。この十景には公式番号が振られているが、だいたい時計回りに気の向くままにハンドルの向くままに巡ってみた。今日の姫路市の最高気温32.6度と暑く、巡り終える頃には頭の中もぐるぐると巡り始めていた。
ここで十景のポイントを詳細に紹介してしまうと、皆様方の「探すという楽しみ」をスポイルしてしまうので、その辺は適当にはしょっている。
一、増位山(白国増位山線のポケットパーク)
白国増位山線沿いにあるポケットパークからは、山の間からのぞく天守群を眺望することができます。
11:56
この暑さの中、近場から巡り始めたら絶対に中途で挫折すると思い、いきなり最北の増位山中腹までやってきた。自宅から折り畳み小径車のペダルを踏むこと35分、汗まみれになりながら、なんで車で来なかったのか後悔しつつ最後の登りは押しでやっとたどり着いた。
太っ腹な姫路市は無料観光レンタサイクルの貸し出しを行っていて、世界遺産姫路城十景巡りの最適な足となるが、ここは自転車では少々遠すぎるし、後述の理由からもお勧めできない。
彫刻作家牛尾啓三氏によるメビウスシリーズの野外彫刻作品が目印のポケットパークには、車数台分の駐車スペースや日差しを遮る東屋もあり、周囲は増位山の谷と森に囲まれ自然が溢れる素晴らしいところだ。
ただ一つ問題なのは、野外彫刻の輪の中に小さく天守閣が見えるはずなのだが、姫路城方向の木々が伸び過ぎていて城を見通すことができないことだ。三年前に撮った写真を引っ張り出してみると、その時は木立の隙間からかろうじて見えているが、石垣を足して高さ47mもある大天守閣でも3.3kmも離れていると小さくしか見えない。
ところで、姫路城十景をキーワードにこのページを見つけた奇特な方は、どの写真にも変な後姿が写っているのを訝しく思うだろう。でも、この播州野歩記というサイトは自分撮りという技法を売りにしているので、我慢して見てもらうしかない。
二、シロトピア記念公園(ふるさとの森)
ここからは、原生林の上に天守群の姿が、また県立歴史博物館の壁面のガラスにもお城が映っているのをお楽しみください。
12:27
二番目は一気に距離を詰めて、天守閣から北東に300m弱、シロトピア公園の中。
二昔前の平成元年に市制100周年記念行事として繰り広げられた「シロトピア博覧会」の会場跡、と言うよりは、今年開かれた、あれは何だったのだろうかと皆が思っているに違いない「姫路菓子博2008」の会場になった公園だ。世界遺産姫路城十景に選ばれた地点には下の写真のように、解説板が付けられた重そうな石碑が鎮座している。
でも、ここも公園の木々が育ちすぎて天守閣の上層部分しか見えない。公園内にはもっとよく見えるポイントもあるのに、なぜこの場所が選ばれたのかは天守閣に背を向ければすぐ分かる。
振り返ると、戦後を代表する世界的建築家、丹下健三氏設計の兵庫県立歴史博物館(昭和58年4月開館)のガラス壁面に映る姫路城が素晴らしい。なおこの公園にある通称2億円トイレ(休憩所「扇観亭」)は、丹下健三門下生の黒川紀章氏設計であることもよく知られている。
三、美術館(前庭)
12:41美術館の赤いレンガと木々の緑に姫路城の優美な姿が映っています。
姫路城の北側から東側へ、モディリアーニ展を開催中の姫路市立美術館の横に移動。ここも天守閣まで300mほど。
赤レンガ造りの美術館は、明治末から大正初期にかけて軍隊の兵器庫・被服庫として建設され、戦後は市役所として昭和55年まで利用され、その後は昭和58年4月(あれ兵庫県立歴史博物館と同時に開館したのかな)に姫路市立美術館として開館している。
ここの十景石碑は美術館の中庭ではなくて、南東側の美術館敷地外にある。表示も美術館の中庭ではなく前庭となっているので、ここに間違いないと思う。
午前中なら順光となり、写真的にはもっときれいな姫路城を撮れただろうが、今日の目的はとりあえず十景全てを巡りその現状を報告することに主眼を置いており、写真の芸術性などは微塵も考えていない。
四、城見台公園
噴水の前のあたりからは、安定感のある姫路城が見えます。まるで舞台の上の巨大なセットのようです。
12:56
天守閣から南東約500mの城見台公園だ。いつの頃までか知らないが、環濠の中の石積みの台座から吹き上げる噴水と姫路城が調和しさらに美しい風景が見られたことだろう。思いのほか維持費のかかる噴水は、故障とともに廃止される宿命にあり、ここももう二度とデザイナーの意図した本来の城見台公園の姿に戻ることはないだろう。
噴水台座の南側に、瓦職人構井一巳氏により復元された天守閣の鯱瓦一対が展示されている。鯱の間から天守閣がのぞき、城見台公園の噴水に代わる記念写真撮影スポットとなっているが、大勢やってくる観光客でここまでくる人は極少ない。
五、姫路城三の丸広場
広い三の丸広場の芝生からみる姫路城はまさに絶景です。
13:08
天守閣から南に300m、城内三の丸広場の南端。桜の花見の時期はこの広大な広場も人で埋め尽くされる。でも日差しがきつく、大勢の観光客は三の丸広場を取り囲む桜並木の日陰を行くので、写真には私以外写っていない。
一時は芝が綺麗に植えなおされた時期もあったが、この三の丸広場ではイベントが次々と行われ、現状は見る影もない禿ちょろの無様な姿をさらし、いっそのこと人工芝でも張ってしまえばと思う。
今でこそイベント広場になっているが、姫路城が城として存在したときは三の丸にもたくさんの建物があったはずで、発掘調査をしてその成果をもとに復元するのもよいかもしれない。
六、大手前通り(JR姫路駅前)
ここから見ると、姫路の玄関口にふさわしく、大手通りの正面に天守閣がお出迎えしています。
13:25
天守閣から南に1.3km。全長約1km・幅員約50mの大手前通りの南端となるJR姫路駅北口から天守閣が見通せる。ここから姫路城までの距離は歩くには少々遠いが、バスやタクシーを使うほどでもなくなく中途半端だ。でもそのそぞろ歩く大勢の観光客を取り込むようなキーテナントは大手前通りにも、一筋東のみゆき通りにも存在しない。困ったものだ
本当なら、もう少し駅近くから彫刻家淀井敏夫先生の野外彫刻を一緒に写しこみたかったのだが、駅前に献血車の大型バス2台が陣取り叶わなかったのが残念だ。仕方なく北側の交差点内からの撮影となったが、交通量が多く赤信号の間隙を突いての緊迫した撮影となってしまった。
めったに使わない望遠ズームレンズに交換して写してみたが、天守閣が東に少し傾いているように見える。そうか「東に傾く姫路の城 花のお江戸が恋しいか」は本当だったんだ。いや昭和の大修理で礎石をコンクリート地盤に代える根治療法で解決しているはずなのに不思議だ。でもよく見ると信号機まで傾いていて、もしかすると姫路市全体が傾いているのかもしれない。
七、手柄山(緑の相談所広場)
……姫路城十景石碑は発見できず……
14:27
天守閣から南西に2km離れた、手柄山の山頂(49.3m三角点が頂上かな)にやってきた。北村西望作の姫路市名誉市民石見元秀之像横に展望台があり姫路城は見えるのだが十景石碑がない。他の石碑の表示には手柄山「緑の相談所広場」とあるので、緑の相談所広場へと移動する。
緑の相談所広場にも十景石碑はないが、うだる暑さに逆らえず、この辺でよかろうと妥協し撮影開始。姫路城は新幹線高架の先に市街地に紛れ込もうとしているが、幸いにも見通し線上には高層建築物がなくよく見える。但し距離があるので私の肉眼では、「あるな」ぐらいにしか見えない。
姫路城の西側に見える山は、今日最初に登った増位山で、白国増位山線のポケットパークも目を凝らせば、いや見えないな。
望遠レンズに替えたら大分ましになったが、関西電力姫路支店のマイクロウェーブアンテナ鉄塔が天守閣左横に立っていて少々目障り。
八、名古山霊苑高台
ここからは、眼前に広がる市街地越しに西方からの姫路城の美しさを見ることができます。
15:37
途中のラーメン屋さんで冷やし中華を食べたので少し時間が経過したが、本日八番目の名古山に到着。場所は、地球儀噴水から東側へ登る石段の先の高台で、知る人ぞ知る42.3m三角点のところではない。
姫路城方向の展望はよいのだが、公園の手入れを放棄しているみたいで、夏草が茂り放題。周囲には墓石が立ち並ぶというロケーションもあり、カップルで愛を語らう雰囲気ではない。
でも望遠で撮ってみると、天守閣の背後に桶居山から高御位山への稜線が重なり結構いい雰囲気。600mm(35mm換算)位の望遠レンズと重い三脚をもって、空気の澄み渡った日に行けば、それだけでコンテストに入賞できそうな写真を撮れそうだ。
九、景福寺公園
景福寺公園は、平成6年3月31日に都市公園として一部供用を開始し歴史的にも由緒ある景福寺山にあります。景福寺山は播磨風土記の十四の丘の一つである「船丘」がこの山であることが推定されています。その後西岸寺山・孝顕寺山・嵐山・群鷺山などと呼ばれてきましたが、山下の寺が景福寺となってから今のように呼ぶようになりました。
16:09
他の十景石碑の解説文は簡単明瞭なのだが、ここのはちょっと長い上に、どんな風に姫路城が見えるのか言及していない。
ここは天守閣から西に800m程の景福寺山の中腹にある景福時公園の展望広場。肉眼で見ても写真を撮ってみても丁度よい距離で、大天守と小天守のバランスもよくお勧めしたいところなのだが、残念ながらできない。
景福時公園は曰因縁のあるホテルロンドン廃墟跡に造られた公園で、地元民は近づこうとしない。また今の時期は木々が生い茂り放題、特にマント群落の繁茂が目に余るほどで、展望広場からは見えるはずの町並みを隠している。
おまけに誰も来ないことをいいことにホームレスの住処にもなっていて、公園全体は薄暗くゴミは散らかり放題、草木は伸び放題、落ち葉も積もり放題と雰囲気は最悪で、どんなに熱々のカップルでもここに来たらすんなりと別れる事ができる。
320mm(35mm換算)程の望遠レンズがぴったりで、背景には何も入らずに非常にすっきりとした天守閣を撮ることができるが……、地元民の私でもここはあまり来たいところではない。
十、男山配水池公園
……姫路城十景石碑は発見できず……
16:33
世界遺産姫路城十景の最後を飾るのは、天守閣から北西に500mほどの男山の頂上だ。ここ以外は全てチャリに乗ったり持ち上げるなどで一緒に行けるが、ここは194段の石段登りがあり愛車は麓に置いていくしかない。
石段を登りきると、夢の中に出てくるような花園の先に天守閣が浮かび、別世界に来たような感じ。ここまでの九景の地は揃いも揃って、小汚いというか手入れ不足の(手柄山はましだったが)ところばかりで、巡っていても楽しさというか感動がなかった。最後にここを残しておいて大正解だった。
写真に写っている白い多角形のものは、地面の下にある水道施設(男山配水池)の付属設備のようで、今の時代ならフェンスに囲まれた丸い巨大な給水タンクが山頂に鎮座するところだ。
でも、ここは男山配水池公園として整備され24時間出入り自由。夜にはライトアップされた姫路城の美しさにカップルもうっとり、お帰りには月のあかりへ一直線。
肝心の姫路城の見え具合だが、男山の標高は59mあり(大天守は標高46mの天守台の上に15mの石垣と32mの天守閣で、合計して93m)、距離も500mと近いのでばっちりで、肉眼でも天守閣最上階の窓から風景を眺める人たちが見えるほど。
姫路城の天守閣は大天守と東小天守、乾小天守、西小天守からなるが、ここ男山からはその全てを見ることができる。乾小天守の乾(いぬい)は、方位の北西を示し、戌(いぬ)と亥(い)の間なので「いぬい」と読む。
ズームをいっぱいに伸ばすと天守閣が画面からはみ出すくらいになり、窓から外を見る人も確認できる。
今日見てきた姫路城十景だが、残念ながら来年(平成21年)の秋から5年間の「平成の大修理」期間中は素屋根で覆われ、天守閣は姿を隠してしまう。姫路城を見て、写真を撮ることができるのは、あと1年しか残されていない。
でも、工事期間中も天守閣の公開は今まで通り続き、そして素屋根内の上部に設定された見学場所からは天守閣を「外から間近に見る」ことができるという。見学する機会があったら報告しようと思う。
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