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七種滝・七種山・七種薬師
(兵庫県神崎郡福崎町)



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平成20年10月25日(土)  メンバー 私だけ

野外活動センター〜七種滝〜七種山〜七種薬師〜野外活動センター

山行概念図(2万5千分の1地形図:寺前、前之庄)

姫路市と神崎郡福崎町の境界をなす山々の中に標高616.2mの「七種薬師(なぐさやくし)」がある。地形図には標高のみが記載されているだけで、山名は載っていない。頂上には山名の由来となっている薬師如来が祀られた祠があり、西側の夢前町から登るときは、施主の夢前町前之庄に敬意を表し「薬師峰」と呼んでいる。

「関西百名山」にも「ふるさと兵庫50山」にも選ばれた七種山を主峰として、西に峰続きに七種薬師、東に七種槍が連なり、いずれも七種山から縦走を楽しめる。でも、景色のよい七種槍コースの方が歩く人は多く、七種薬師コースは展望に恵まれず、平成16年の台風23号による風倒木のため通行が困難になった時期もあり、いまだに歩く人は少ない。

七種山から七種薬師は8年前にも歩いたが、そのときの記憶は残っていない。界の切り開きは明確で歩くのは問題ないが、マーキング類はほんの少しだけだったような気がする。


七種滝は雨の後に限る

落差72mを誇る七種滝だが、集水面積の狭さから良い天気が続くと湿った絶壁になってしまう。大型の雨台風が通過した直後だと、落水がそら恐ろしい大音響を谷間に鳴り響かせているが、それでは七種滝らしさはない。

適度の雨が降った後がよいのだが、そういう週末はなかなか巡ってこなかった。それが、前々日に11mm、前日に24mmの雨が降り、そして天気が回復した今日は正に待ちに待った滝見日和だ。

一番近い公共交通機関は播但線の福崎駅で歩けない距離ではないし、また福崎駅まで輪行すれば楽勝だが、今日は車を使い福崎町青少年野外活動センターまで来てしまった。センター前の駐車場には「野外センター利用者以外の駐車を固くお断りします。 野外センター管理人」なるものが立っているが、昔からハイカーが利用してきたこともあり黙認されているようだ。

ここから七種滝までの約3.5kmの林道は舗装されていて車でも行けるが、運悪く対向車が現われたら離合の困難なところが多い。ただし通行量は休日でも極少なく、よほどの悪運に取り付かれていなければ大丈夫だ。

9:03
今日の下山口は野外センター近くを予定しているので、七種の滝までは1時間近くの歩きとなり、折り畳み自転車を持ってくるんだったと後悔しながら歩き始める。

福崎町青少年野外活動センターから歩き始める

(野外センター駐車場にあった案内図つきの解説板より)

ひょうご森林浴場

七種山は播磨国風土記にも「奈具佐山」と、ヒノキの生える山として出ており現在もヒノキ、スギの人工林が整備され森林浴を満喫させてくれます。
県観光100選の一つに選ばれている七種の滝(別名観音滝)は48変化と呼ばれる風情を見せ、その美しさは虹にも勝るといわれいます。
滝からさらに進み、山頂をのぼりつめると弘法大師が護摩の秘法を修練したと伝えられる「つなぎ岩」が奇観を呈しています。
また、このあたりはめずらしいコヤスノキの自生地の東北端にあたるともいわれています。

「この案内板等は、池田銀行「愛の環境定期預金」の協力により整備しました。
兵庫県緑化推進委員会・福崎町」

(上記案内板に付けられた色あせた私設案内書きより)

「七種槍〜七種山」縦走

■全工程11km 歩行5時間30分
(センター)〜3.5km・150分〜(七種槍)〜3.0km・90分〜(七種山)〜4.5km・90分〜(センター)

<七種槍愛好会>

9:12
野外センターから10分ほど行くと、「ライオンズの森」案内板そして小橋があり、そこに本日の下山口からの地道林道への入口がある。

野外活動センター駐車場にもあった、ビニールパウチした文字が薄れた案内書がここにもあるが、「七種槍愛好会」=「薬師峯愛好会」であり、=「とっていいのは写真だけ、残していいのは思い出だけ」の大原則から、自分だけは超越した存在と信じ込んでいて、自分の行いが播州の山々を荒らしていることに気付いてない可哀想な人」でもある。

まあ十人十色、人それぞれで、私がそう思っているだけで、世間ではかの人の行いを感謝し崇め奉る人々がほとんどだ。山登りを通じて、正邪の判断の難しさ、多数意見でも常に正しいとは限らないことを学べるとは思いもよらなかった。

(地道林道の入口にあった色あせた私設案内書きより)

←七種薬師
山頂まで2km、この先すぐ右へ

<薬師峯愛好会>

9:26
給水塔の立つ小滝林道分岐を過ぎ、最終民家を過ぎて、左に七種川の流れる音を聞きながら、この水量なら七種滝もなんとか見られるかななど思いながら、黙々と歩く。誰にも会わず、追い越していく車もない。

林道といっても舗装されている

9:31
金剛城寺旧山門の残る広場に着いた。ここは駐車可能で、使用可能なきれいなトイレ、流れから引き込んだ鮮烈な水がほとばしる手洗い場がある。

ここから先もまだ車は入れるがさらに狭くなり、運悪く出会ってしまったらどちらかが延々とバックで引き返すしかない。

金剛城寺の旧山門前駐車場

(旧山門駐車場にある解説板より)

県指定文化財 七種山

指定年月日 昭和44年3月25日
所有者・管理者 金剛城寺

七種山は流紋岩よりなり、山には金剛岩、つなぎ岩、笠岩および七種滝がある。
金剛岩は流紋岩の岩盤で、びょうぶのような大岸壁である。表面には古いイワヒバの群生が見られる。
つなぎ岩は高さ15m、幅5mの巨岩が、底部でわずかに岩盤に接続しているもので、笠岩は水平に近い破れ目にそって岩盤に侵食がおきて生じたものである。
七種滝は高さ72m、幅3mの滝で他にも大小あわせて48の滝がある。
七種山は、四季それぞれに美しい姿を見せてくれる県の名勝である。

平成7年2月  兵庫県教育委員会

(旧山門駐車場より少し登ったところの解説板より)

ひょうご森林浴場(17)

七 種 山

森に入ると、緑が目の疲れをいやしてくれます。虫の鳴き声小鳥のさえずり、風のささやきせせらぎの音が、心をなごやかにしてくれます。
そして、森の空気、香りもまた、私たちの心身の疲れをいやしてくれるのです。

福崎町緑化推進委員会
この案内板は、緑の募金により整備しました。

9:41
道から少々離れた「雌滝」が見える。何回もここに来ているが、木立に遮られて見ることが出来なかった。それが今日は林道から、蛇行した流れから雌滝が流れ落ちる様子がよく見える。滝壺もあり、落差もそれなりにあり、近づけそうな踏み跡もあり、真夏の登山の後に体を冷やすのに打ってつけの面白そうな滝だ。

今日は先を急ぐため、遠望だけにしたが次回は絶対に行ってみよう。

この雌滝は始めて見た、感動した

9:48
雌滝以外に道路から見えない「夫婦滝」の名板や、道端に「弁慶のこぎり岩」、金剛城寺跡かなと思う削平地と石垣などを見ながら、奥へと進む。

1車線で離合不可能な簡易舗装の道が続く

9:53
車はここまで広場に着いた。詰めれば10台ほどは入れそうなところに、今日は2台の車が止まっていた。

正面の七種滝直行道(0.3km)以外に、「滝見台・隠れ滝」経由で七種滝の落ち口へと登れる遊歩道もあるが「落石キケン」が3枚立ち、「キケンの為立入禁止」が1枚下がり通行止めとなっている。

車道終点の広場

(林道終点広場の警告板より)

環境美化区域 七種クリーンゾーン

ごみを投棄すると廃棄物の処理及び清掃に関する法律その他の法令により処罰されます。
ここに示されている道路、河川又は施設の周辺50m区域

福崎町・福崎警察署・兵庫県

(林道終点広場の薄汚れた意思表明板より)

自然を愛するあなたへー!

播磨の名瀑、七種滝(落差72m)但し、水の流れ少なき時はお許しください。人は誰しも明日と言う日を夢み今日を生きている。未だ見ぬものとの出会いに、人生は感動の連続でありたいー。


人生と言う長い長い山道ー。その道の途中でめぐり合った自然の美!通いなれた道にも季節がめぐると、新しい発見があるように、誇りあるあなたの人生の中で、明日は、今日よりもさわやかな笑顔の人生であることを、祈ります。
いつまでもお健やかに‥‥

兵庫登山会

(林道終点広場のちょっと古い解説板より)

七種の滝

ここから約300mで、虹ケ滝、八龍滝を経て七種の滝に至ります。七種の滝は落差約72mで、兵庫県の名勝に指定され、七種神社からの眺めの美しさは、県下八景・県観光百選の一つに選ばれています。さらに、滝から30分登ると七種山の頂上につきます。頂上には「つなぎ岩」と呼ばれる高さ17m、巾5mのたてに割れた巨岩があり、弘法大師が岩の上で修行したと伝えられています。

=自然歩道=兵庫県・福崎町


七種滝までの300m

9:56
「八大龍王 八龍破地大神」の扁額がかかる石鳥居の先には太鼓橋が待っている。橋の上からは立派な滝が見えるが、単なる前座に過ぎない。七種の滝はさらに奥へ奥えと登っていかなければならない。

石鳥居をくぐり太鼓橋を渡る

10:01
他所に持っていったら、主役になれそうな品格を持つ「虹ケ滝」だ。これぐらいの落差が滝行に丁度よさそうで、かつての金剛城寺の修行僧が落水に打たれている姿が眼に浮かんでくる。

この滝は虹ケ滝

10:05
続いては斜瀑の「八龍滝」だ。さらに奥にある七種の滝へは、濡れて滑りそうな岩場を登らなければならない。岩にはステップが切られていてはいるが、手すりなどはなく少々怖そうな部分もある。

次は八龍滝

10:10
ようやく七種滝の下まで登ってきた。ここまでの難路を手すり付きのコンクリ階段の遊歩道にすることは簡単でそれほど費用もかからないとは思うが、地主の金剛城寺が可能な限り自然をそのまま残したいという強い意思が感じられる。自然保護のためには、何もしないということが一番難しいのかもしれない。

険しい道を登ると七種滝だ

肝心の七種滝だが、水量は予想よりも少なかったが、ちゃんと滝になっていて、流れに長靴で入り下から滝を見上げるようにして撮影している人がいた。

水量少なめだが
熱心に写真を撮っている人が

10:17
石段を七種神社へと登ると、そこには夫婦で滝を撮っている人がいた。赤い線の入ったレンズや、高さと幅が同じカメラなど高価な機材を使っていたが、大きな滝なのに近くにしか撮影ポイントがなく、撮影の難しい滝だ。

七種神社からも撮っている

(七種神社境内の薄汚れた意思表明板より)

七種を愛するあなたへー!

大雨の後など水流多き時、落差72mの岩壁を落下する豪快な白の瀑布、迫力ある水の躍動!それが播磨の名瀑 七種滝の滝姿なのだ!その景観に、自分の心が満たされていくー。
自然とは、実にすばらしいー。


しかし雨なく流れなき岩壁を見上げるあなたの心境を察すれば、残念の一言あるのみ‥‥
尚、遠方より七種に自然を求め、マナーを守って行動されるあなたの人生が、笑顔の日々であることを祈ります。

兵庫登山会

この兵庫登山会は、こんなのや山名板を至る所に巻き散らかしているが、正体が分からず私には謎の組織だ。

10:21
七種神社の裏から七種滝の落ち口(約0.2km)へと登れるが、滝の横を登るだけあって凄く急な岩場が連続する。ここまでハイカーに出会うことはなかったが、明神山や雪彦山でよく見かける方が後から登ってきて、写真を撮っているうちに追い越されてしまった。

神社裏から始まる急登は本当に急

10:25
一部に固定ロープも張られていているが、ロープに頼らずに三点確保で確実に登った方が安全かと思う。でもあるとつい握ってしまい、頼ってしまう。

固定ロープも張られている

10:31
落ち口には「あぶない!立入禁止」と鎖で落ち口には近づけないようにしてある。一歩踏み外せば72mの滑落が待ち受けているが、一度だけ鎖を乗り越えてたことがある。

滝の落ち口へ行こうと思えば行けるけど
一緒に落ちたら大変


七種山へのワイルドな山道

10:32
ここまでは滝見の道だったが、ここからは七種山へと登る道が始まる。案内板は七種山頂上まで800m・40分となっていて、源流を渡る「滝見台・隠れ滝」への遊歩道は「行けますが、通り抜けはできません。」の但し書きが付いている。

滝脇よりは少し緩やかかな

(ここにもある兵庫登山会意思表明板より)

七種山へ→

山頂への(40分)急登に堪えるのもまた、あなたの人生です。頑張れ!

兵庫登山会

10:39
播州の山々の特徴は著しい急さにあると思う。この七種山も、いきなり岩場が行く手を遮り三点確保の世界が待ち構えている。近年入り浸っている六甲山ではめったに出会わない、ワイルドでエキセントリックな山道の始まりだ。

近くの明神山や雪彦山に比べると歩く人が一桁以上少ない感じで、マーキングもほとんど見当たらず、本当に静かな山歩きを堪能できる。

ワイルドで急な登りだ

10:46
雑木の茂る中を狭い山道は登っていく。枝葉越し梢越しの眺望は全くなく、きつい登りだ。

雪彦山や明神山よりも
登る人は一桁は少ない

10:53
こんな感じの自然の岩場を利用した踏み跡薄き登山道は、写真からはどう見ても道には見えない。でも、マーキングなどなくとも前後のつながりから容易に分かり、初めて七種山に登るハイカーでも迷うようなことはない。

写真で見るとどこが道なんだろう

10:59
急な道ばかりでなく、ほんの少しだけだが緩やかな道も存在する。しかしながら、こんなところも写真に撮ると、六甲山の道なき尾根の切り開きを登っているのと大差がないように見え、これが10年前の播州の山々のスタンダードだった。

一個人が万人へ向けて自由に費用もかけずに情報発信でき、そして膨大な情報の海に溺れることなく、ゴビ砂漠の特定の砂粒を見いだすような、自由自在な情報の取捨選択が出来てしまうという、誰もが予測出来なかったインターネットの普及により山登りの仕方も変わってきた。そして、山自体も変わらずには済まないようだが、交通辺鄙なこの七種山はその流れから取り残されている。

少し緩やかになってきたかな

11:09
突然、眺望が広がり、そこが「展望台」だ。今日は霞んでいるが、澄んでいれば見える範囲のものは全て見えただろう。「展望岩 近よると危険です!」とあるように、一転び・一滑りの過ちで滑り台状の岩から一瞬で消え去ってしまう怖いところだ。

展望台

(どれだけ立てたのだか、ここにもある薄汚れた意思表明板より)

展望台

このすばらしい眺望はあなたへのプレゼントです。(山頂まで110m)

兵庫登山会

プリミティブだが木板にペンキ書きされたものは、プリンターで印刷したものをビニールパウチしたモダンで洒落ているもの比べて、劣化が全く進行していないように見える。前者もゴミには違いないが、後者は誰が見てもゴミにしか見えない。

11:15
展望台から七種山頂上までは一登りだが、最後まで気の抜けない悪路、いや面白い道が続く。

頂上近くはまた急になる

11:18
七種槍・七種薬師へ分かれ道を右に進むと、すぐに七種山の頂上だ。以前は木々に囲まれ展望がなかったが、今は無残にも木々が伐られ、雑多なものが乱雑に置かれ・吊るされ小汚いピークになっていて、登ってくるたびにがっかりしてしまう。

七種山頂上は北側の展望良好だが
この状況はひどいな

(七種山頂上に放置されているゴミ一覧)

頂上から一段岩場を下がったところに、はなれ岩がある。巨岩にひびが入って割れたのか、風化しやすい何かが間にあったのか、その成因は知らないが、4、5階建ての建物に相当するひょろひょろの巨岩が何の支えもないのに倒れることもなく立っている。

はなれ岩
構図はばっちり、でも露出はオーバー


次は七種薬師へ縦走だ

11:43
七種山から七種槍・薬師へ縦走しようとして、頂上から地形図の破線道を東へ進み、林道に下りてしまったということを聞くが、七種槍・薬師とも登ってきた道を少々引き返して、北側へ下る尾根に乗らなくてはならない。

分岐点には公設の「←七種神社・七種の滝」以外に次の案内板がある。

(公設案内板の支柱に付けられた案内板より)

←七種槍へ3.5km
健脚コース
500m下を右に曲がれ
兵庫登山会

(上記案内板の下に付けられた小汚い案内板より)

←七種薬師へ
中級向
兵庫登山会

11:50
頂上付近は風倒木がひどく一応は片付けられているが、風通しがよくなり次から次へと倒れ続けたのか、風景が一変している。

いきなり倒木の下り

11:56
倒れていない木々も立ち枯れが目立ち、そのうちに七種山頂上は禿山になってしまうのではと心配になってきた。でも歩くのは、少し迂回を強いられるだけで問題ない。

七種山の北側は荒れているが無問題

12:04
七種槍へと下る道が分岐している。ここにも倒木があり、見知った風景とがらりと変わり、何か始めて歩く道みたいで楽しくなってきた。沢山の案内板があるが、七種槍へは東に下り、七種薬師は直進だ。(倒木のため、七種薬師は左に曲がるような感じだが直進)

七種槍と七種薬師の分岐点
以前とは風景が一変している

(薄汚れたビニールパウチの私設案内書きより)

(七種槍〜七種山 縦走コース)
↑七種山
あと400m15分、ガンバレ!
〜自然を大切に…来た時よりも美しく〜
<七種槍愛好会>

(新しそうな私設案内板より)

七種槍
3km先 健脚向 →
兵庫登山会

(意図が分からないが北を指している案内より)

夢前町

(同じく北を指した警告板より)

危険
この先は道が
わかりにくい

(二つに割れた読み取りがたい兵庫登山会の私設案内板より)

薬師 ○級向 七種槍

北へと進む七種薬師方向は、結局まともな案内板は一枚もなく、夢前町または福崎町によると思われる警告板しかない。おそらく道迷い遭難が発生したため取り付けた警告板だろう。でも「道がわかりにくい」だけで、道の存在を否定しているわけではなく、踏み跡などではなく『明確な道の存在』を暗示しているように思うのが、普通かなと思う。

12:08
思ったとおり明確な道が尾根に続いている。ただし歩く人は極少ないようで、道はあるが踏み跡はないという状況だ。七種滝から七種山まではマーキングはほとんどなかったのが一変し、このルートに入ってからは視界の中でマーキングが途切れることがない。何もこんなにも沢山付けなくてもと思う。

マーキングが数メートルおきに

12:14
人跡まれな見通しの悪い尾根で、普通なら地形図とコンパスを駆使しての継続的なルートファインディングにより現在位置を把握しつつも、本当に合っているのだろうか不安になりながら進むのが本来の楽しみ方のはずだ。でも今は『次のマーキングを探す』ということのみに専念すれば、いや勝手に目に入ってくるのだそれさえも要せず、ただ漫然と歩くだけという情けない状態に陥ってしまう。

昔はよかったと思うのは、ただ年をとっただけではないなと思う。

これは大柿赤布かな

12:17
台風23号の風倒木で、脱出路のないフィールドアスレチック状態になってしまったと聞いたことがあるが、篤志家か林業関係者か誰かが倒木を処理し、処理の出来ないところは迂回路を設けるなどして、倒木をくぐることや跨ぐことは全くなく、完璧にルートは復旧していた。

倒木は100%整理されていた

12:25
七種滝上部からのショートカットルートと合流した。ここから旧金剛城寺山門までは2km・60分、七種薬師までは4km・2時間と案内書きにあり「うーん、2時間か。詰まらないのが2時間か。もう止めとこうかな。」という思いがこみ上げてきた。

ここまで歩いてきたが面白味・不安感などなどの、山歩きのモチベーションを高める感情を、途切れることないマーキングによってスポイルされ、ただ交互に足を前に出していくだけになっていた。もうこれ以上歩いても後味の悪い山行になるのは目に見えている。でも、そんなことで止めてしまっては、意識的ではないだろうが、マーキングだらけにして山行を詰まらないものしようとする先達の思う壺にはまるだけだ。続行しよう。

左は七種滝上部への分岐道

(ビニールパウチの私設案内書きより・会名を間違えている)

七種薬師へ(全4km・2時間)↑
←登山口へ 七種滝上部・右折〜隠れ滝〜滝見台〜山門(全2km・60分)
〜自然を大切に…来た時よりも美しく〜
<七種槍愛好会>

12:32
西側は雑木林、東側は植林が続く。展望なく曇り空のせいもあるが薄暗い尾根を一人で行くのは、精神衛生上よい効果はない。なにかいちゃもんを付けられる素材がないかと、見回しながら進む。

どこで撮ってもマーキングが入る

12:44
「おっ、あった、あった」2本の木の間にトラロープを張り、それにビニールパウチを下げるといった、手の込んだゴミがあった。

類は友を呼んだのか、木には赤ビニールテープが幾重にも巻かれ、「←薬師」の木札も下げられている。ゴミには「来た時よりも美しく」と書かれているが、自分のやっていることとの矛盾に気が付くような感受性豊かな人物ならこんなことはできないな。

このロープはどういう意味かな

(ビニールパウチしたゴミより)

七種山〜七種薬師 縦走コース
来た時よりも美しく
かけがえのない自然を大切に☆
火の用心
やめよう タバコのポイ捨て
ご安全に…気おつけて
<七種峯愛好会>2004年4月

きつく木に縛り付けられたトラロープは、4年間の木の生長により幹に食い込んでいる。その上に巻かれた柔らかなビニールテープさえも食い込んでいることが分かるが、こういう人たちは、植物は痛みを感じることがないと信じているのだろうか。

大変だ七種峯愛好会さん
トラロープが食い込んでいますよ

12:51
ルートは界を正確に辿っているわけではなく、七種滝源流の鞍部では少し東に外した広い谷を渡っている。向かいの急斜面からは少しだけ外界が見えたが、588.6m三角点標石があるピークが確認できたくらいだ。

七種滝源流の鞍部を越えて

12:57
「←薬師」の赤木札が所々に下がっているが、ここを歩くようなハイカーが自分の目的地を理解していないわけはなく、必要のないものだ。思わず安心してしまうではないか。

マーキング以外にこんな道標も

13:03
逆3の字ピークを歩いているのだと思うが、はっきりしない。数メートルおきのマーキングを辿るだけで、西へ進んでいるのやら、東へ進んでいるのやら、コンパスを見る必要もなく分からなくなっている。

マーキングに頼りすぎて
ここは何処、私は誰状態に

13:13
登ったり下ったりでいくつものピークを越えていくが、今は急な下りだ。もう逆3の字ピークは越えているのではないかと思う。写真を見ると道も踏み跡もないように見えるが、実際にも切り開きがあるだけで全ては落ち葉に隠されている。でもマーキングはしっかりと付けられている。

私の行き先を決めるのはマーキング

13:22
道端に可憐なセンブリノ花が咲いていた。一株は花びらは4枚、もう一株は5枚と二株しか咲いていなかったが、山中で見た花はこれだけだった。

すさんだ心を癒すセンブリの可憐な花

13:27
七種の滝が見通せるように木々が伐採されているピーク(滝から南西の600mほどのピーク)に着いた。滝からの音がかすかに聞こえる。ここにも木の間にトラロープが張られているが、掲示物は風で飛んだのか存在しない。

七種滝の見えるピーク

13:37
あと七種薬師まで1時間はかかるだろう。こんなところで写真を撮っている場合ではないとは思うのだが、記録に残さねばと、でも切り開きの真ん中の木が邪魔だな。

まだ先は長い

13:41
この辺りから西の夢前町の町並みやゴルフ場が垣間見えたが、どうやってもその中に私の姿を映しこむことが出来ない。ただの風景ほど詰まらないものはないから掲載はしないが、景色が全く見えないわけではない。展望の七種槍縦走コースとの雲泥の差が、そのまま歩くハイカーの数に比例している。

一時期はアスレチック状態になってたというが
今はもう昔の話だ

13:59
十字峰北のピークを下っているところだ。沢山のピークを越えてきたがこれで幾つ目になるのだろう。

マーキングが写ってないかな
いや張り出した枝に付いている

14:08
界が東へと向きを変える、東西南北に尾根を張り出した550mほどのピークを十字峰と呼ぶ。今回は北からやってきて東の七種薬師へと向かうが、西は西尾根から村田牧場へ、南は地獄鎌尾根から同じく村田牧場へと下る。

最近の七種薬師へのメインルートは夢前町側の村田牧場から登り下りするもので、眺めはよいし、岩場通過のスリルもあるし、整備された山道は歩きやすいしと三拍子揃いで、東の福崎町から登るハイカーは少なさそうな感じがする。

十字峰だが分岐点はほんの少しずれて、山道としてはT字路が二つ組み合わせた形となっている。最初は西尾根へと下る分岐点で、「←西尾根 村田牧場へ3km90分」と「←薬師・地獄鎌尾根」の赤木板の案内が下がっている、

北十字峰

(ビニールパウチしたゴミより)

十字峰
標高560m
ご安全に…気おつけて

14:14
続いて兵庫登山会の案内板が昔からある十字峰だ。ここには「←薬師へ」と「地獄鎌尾根→」と前述の2002年3月に兵庫登山会が設置した概略図付きの案内板がある。

南十字峰、どっちが本物だ


道に踏み跡があるかな

14:18
ここまでの縦走路と雰囲気が変わり、道には踏み跡があるように感じる。

もうあとは東へ一直線に登ればよいだけなのだが、下ってから登り返すこともあり意外と遠く感じる。おまけに本物よりも頂上ぽく見える偽ピークもあり、もうすぐ頂上なんだという安心感が打ち砕かれてしまう。

十字峰から薬師は遠く感じる

14:28
何の木だろうか、真っ赤に色づいた木がある。風景写真はほとんど撮らないが思わず撮ってしまった。こういう木を街路樹に使ったら見事な風景になるのになと思うが、なにか問題のあるのだろうな。

きれいな紅葉だ

14:35
急登の先の偽ピークに二度ほど騙され、一番ピークらしさが感じられない緩やかな登りの先が616.2m七種薬師の頂上だった。

一時期は木が伐られ七種山や七種槍方面の展望がよくなっていたが、今は木の勢いが盛り返し垣根越しに風景を眺めるようになっている。全開の眺望よりも、これぐらいの方が播州の山らしくて好きだ。

いくつもの偽ピークの先の
なんでもないところが七種薬師の頂上だ

あまり登ってくる人はいないのか、登頂記念プレートは3枚しか下がっていない。それも全て3年前のもので新しいものはなく、この播州野歩記の『登頂記念プレートはゴミだ』啓蒙活動の成果が現われてきているかと嬉しく思う。

(七種薬師頂上に放置されているゴミ一覧)

頂上より一段下の夢前町側に、山名の由来となっている薬師如来坐像が石の祠に祀られている。薬壷を両手で抱え微笑んでいるような石仏には「前之庄村」と刻まれている。

頂上の前之庄側に薬師様が


下山は結構大変

14:41
薬師頂上滞在5分で、何か忘れているような気もするが下山開始。

下山ルートとしては、(1)西尾根か地獄鎌尾根で西の夢前町へ(2)直線距離で南へだいたい3kmの板坂峠へ(3)平成15年に整備された新道で朝歩いた東の林道へ(4)538m標高点のある「そうろび山」から野外センターへ(5)そのほかヤブとイバラのルートで適当に西へ東へ、などなど沢山ある。これまでの数々の苦い経験を踏まえて総合的に判断すると、野外活動センターへの下山ルートとしては(3)の新道を使うのが最善策と判断した。

14:46
七種薬師から東の尾根には広い切り開き続く。このまま稜線を進めば2時間ほどで板坂峠にいたり、それから1時間ほどの道路歩きで野外活動センターへ戻ることができる。

板坂峠へと続く稜線の道

14:53
平成15年新道と稜線の分岐点だ。ここにも薬師峯愛好会のゴミが盛大に木に括られている。しかし、これから下る下山道方向のがないのは、写真を撮り忘れたのかとためかと過去の記録を見てもない。そうか新道から登るのがデフォルトと考えているんだな。

下山路分岐に入る

(ビニールパウチしたゴミより)

お薬師様が祀られ、眺望もすばらしい!
七種薬師→
自然を大切にに
薬師峯愛好会

(ビニールパウチしたゴミより)

そうろび山・板坂・三枝草
←マニア向き・道迷い注意
〜お気をつけて〜
2007年2月12日

(ビニールパウチしたゴミより)

そうろび山(538m)を通り、約3km・90分
←野外センターへ
(下山コース)
自然を大切に…
薬師峯愛好会

14:58
新道といっても、前からあった尾根の切り開きそのままで、九十九に道を付けたり、丸太階段を整備してあるわけではない。

まさに「自然を大切に」で、その点は満点だが、歩き易さから言うと真っ直ぐな急な道に落ち葉が厚く積もり、私の下り下手もあるが一歩一歩に精神を集中し、世迷言など思い浮かべることなど禁物だ。でも緩やかになったところで一瞬だけ気を抜いてしまい、スリップしてしまったのは秘密だ。

急な道が続く、続く

15:03
露岩がごろごろ、歩きにくいことおびただしいが、こういうのはここだけ。少しでも変わっていたら写真撮影では、なかなか進まない。

なお、観察眼の鋭い人はザックに差していたストックが、七種山頂上を越してからなくなっているのに、気付いているかもしれない。どこかに置き忘れたしまったわけではなく、見栄っ張りの私は写真撮りのときストックを使っていることを隠しておきたいだけだ。

世の中はようやくシングルストックが普及してきたところだが、私は10年前からストックはダブルに限ると信じ実践している。よし次はトリプルストックだ。

こんなところも

15:12
急な下りはさらに続く。これだけ下ればもうすぐ林道かなと思うが、下山道取付から林道までの標高差は350m以上もあり、まだ半分も下りていない。

こんなに急だったかな

15:19
緩やかになったらシダの道だ。両側から道を覆い隠そうとしているが、膝丈ほどのコシダで踏み跡も明確で舗装道路を歩いているのと変わりない。

通るハイカーが少ないのと、5年前に一度だけ整備しただけのずぼらさが幸いし、ここまでの道の詰まらなさが尋常でなかっただけに、心が洗われる自然溢れる歩いていて楽しい道だ。でもテープのマーキングは途切れることはない。

うわーシダの道だ

15:26
シダの緑と、雑木林の風情がマッチしていて素晴らしい。でもコシダだからよいが、これが背丈を越すウラジロや、名前も知らないさらに大きな密生したシダだったら通ることが出来なかっただろう。

きれいなシダだな
あまりハイカーは入っていないな

15:42
同じような写真ばかりが続き申し訳ないが、私もシダと雑木林ばかりで少々飽きてきた。それでも緩やかだったり急になったり、麓からは水音が聞こえてきて、なんとなく楽しくなってきた6時間にもなる山行がもうすぐ終わるかと寂しくなってきた。

急になっても続くシダの道

15:53
最後の最後は植林という、ハッピーエンドとは言いかねるエンディングで終わった。地道の林道を左に行くと、1分もかからずに舗装林道だ。なお、この下山に使ったルートは『田口Aルート』のはずだが、道案内のどれにもその名は出てこない。ちなみに「そうろび山」経由は田口Bコースという。

最後はチョイ植林で林道に

(ビニールパウチしたゴミより)

お薬師さまが祀られ、眺望も素晴らしい!
七種薬師→
自然を大切に…
薬師峯愛好会

(やり始めたら継続な整備をして欲しいな)

七種薬師山登山ルート

15年3月23日
福崎町山の会

(右に進む人もいないと思うのだが)

田口方面
←下山コース
兵庫登山会

16:04
野外活動センター駐車場に帰着。7時間かけて七種滝・七種山・七種薬師周回コースが終わった。結局、山行中に出会ったハイカーは一人だけと寂しいものだったが、七種山・七種槍周回コースから戻ってきたのか二人のハイカーが満足そうだが疲れた表情で帰ってきた。



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