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白鳥山、岩崎山、そして白鳥城にタッチ

白鳥城がオープンした日の記録はここをクリック



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平成21年3月7日(土)  メンバー 私だけ

白鳥台〜白鳥山〜岩崎山〜白鳥城

太陽公園の白鳥城(平成21年4月19日オープン予定)

なぜか白鳥城にとりつかれてしまった。

来月4月19日(日)にオープンする太陽公園の白鳥城は、ドイツバイエルン州フュッセンのオーストリア国境近くの、ロマンチック街道(ローマへの巡礼道のことで、私が勘違いしていたカップルがイチャイチャする道ではない)終点の観光スポットとして有名なノイシュヴァンシュタイン城を真似たもので、劣化模造品と言っても間違いない。

もともとのノイシュヴァンシュタイン城は、バイエルン王ルードヴィヒ2世(1845〜1886)が中世騎士道の世界に憧れて、一国の経済を揺るがすほどの巨額の費用をかけて造り出したファンタジー世界を具現化する作品で、それゆえに本物の中世山城よりも城らしく見え、カリフォルニア州アナハイムのディズニーランドと香港ディズニーランドの「眠れる森の美女の城」のモデルにもなっている。

そのファンタジー世界が姫路市郊外の田園地帯に、忽然と出現してしまった。私が見ても周辺との違和感は誠に凄まじいものがあり、白鳥城をこてんぱんに罵る悪評も聞く。だが、いかに素晴らしきものでも、新しきものは拒絶される宿命をもって生まれてくる。いずれ、白鳥城の存在は姫路市の誇りとして受け入れられると私は信じる。

山行概念図(2万5千分の1地形図:姫路北部)


白鳥台・白鳥池・白鳥山

10:25
姫路駅前から乗車した神姫バス白鳥台行きを、終点の白鳥台バス停で下車。姫路駅前から30分、450円のバスの旅だ。なお、白鳥城や太陽公園へ行くなら一つ手前の白鳥台三丁目が近い。

また太陽公園・白鳥城へ行くなら、姫路駅前〜横関経由〜緑台で打越新田バス停下車(34分・480円)なども利用できる。でも神姫バスは姫路駅前から四方八方十六方三十二方六十四方へとめちゃくちゃな複雑さの路線を延ばし、姫路駅前のバス停も数カ所に別れていて、初めて利用する人はどのバスに乗ればよいか絶対に分からないと思う。そこで、姫路駅前バスターミナルの中の案内所で聞くのが一番だ。

なお、姫路駅の南口にも神姫バスのバス停があるが、太陽公園へ行きたかったら北口に出なければならない。

白鳥台バス停で下車

最近、私は山道探しにYahoo地図Googleマップの航空写真を活用している。さすがに木の枝に隠れる狭い道は見えないが、切れ切れに見えるのもあれば、今回の白鳥山のように明確に分かるものもある。

10:30
アンテナ塔が3本立つ白鳥山の南側に二つの池があり、西側は白鳥新池、東側は白鳥大池で、両池を区切る堤では迷彩服を着込んだ夫婦のバードウォッチャーがカメラの砲列をかまえている。鴨や川鵜?などの野鳥はいるが残念ながら白鳥はいない。白鳥大池の東側には白鳥水上ゴルフセンターがあり、カコーン、カコーンと打撃練習の音が聞こえてくる。

航空写真によると堰堤の北端から山道が始まっているのが明確に分かるが、果たしてどうだろうか。

堰堤の西は白鳥新池、東が白鳥大池
アンテナ塔が3本立つ山が白鳥山

10:33
白鳥山と白鳥池に挟まれた湖畔の車道に出たが、正面の私道には「無断立入禁止」、「(私道につき)通行禁止 事業所関係者以外の通行を禁止する ■毛野自治会 ■石見産業株式会社」の警告板が立っている。

登り口がこの奥にあるのなら、ここから登るのは無理だ。こうなったら、下調べしてきた白鳥山の反対側の兵庫の山めぐりのTAJI氏ルートへ回るしかない。

10:35
そして、ほんの5歩も進むとあっけなく登り口を見つけてしまった。何の案内もないが、道端から尾根を目指して一直線に登る階段道があった。この階段道が航空写真に見えていたものに違いない。

真っ直ぐに尾根を目指す
階段道があった

10:37
切り開きを左右に分けるように中央にトラロープが張られ、階段道は切り開きの左半分を登っていく。切り開きの右側には今は何もないが、おそらく工事用モノレールの軌道が敷設されていたに違いない。そこでこのルートをモノレールルートと呼ぶことにしよう。

モノレールルートを登る

麓から頂上までの標高差は100mもなく、真剣に登ったらすぐに頂上に着いてしまう。登り口さえ分かればそれ以外の情報は必要ないし、知らない方がワクワクしながら楽しく登れる。そんなわけで、ここから先は絶対に読まない・見ない方がよいと思う。特に頂上から撮った白鳥城の写真を見てしまうと、実際に見たときの感動が十分の一、百分の一に減ってしまう。

10:42
トラロープは劣化し毛羽立ち、階段道の段々も一部崩れ打ちて込まれた異型鉄筋だけが飛び出している。山頂のアンテナ塔建設のときに切り開かれ整備されただけで、現状復旧することも保守することもなく、ほったらかしにしている。
まだ登れるが、10年もしたら草木で塞がれてしまうだろう

10:44
尾根に着いたようだ。NHKとだけ表示された低いアンテナ塔が立っている。白鳥台の家々にはテレビアンテナはなく、共同受信用のテレビアンテナと思われるが、定かではない。ここを「NHK受信アンテナが辻」とする。

NHKとだけ表示された
低いアンテナ施設

10:47
「NHK受信アンテナが辻」で道は二手に分かれている。左はTAJI氏ルートからのものと思われ、倍ほどの道幅のある右が頂上へと向かうものだ。

「NHK受信アンテナが辻」から右の道に入る

10:49
ここだけを見たら街中にある低山とは思えない、稀に見るよい雰囲気の尾根道だ。でもほんの数分だけしか続かないのが残念だ。

作業用に開かれた道とは思えない
よい雰囲気の山道だ

10:51
2本のアンテナ塔が見えてきて、道脇の岩には作業用モノレールを通した跡が丸い穴として残っている。周囲の木々の背丈は低いが密度は高く、果たして白鳥城は見えるのか心配になってきた。

もうすぐアンテナ塔だ

10:54
平成17年4月に建てられた「株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ関西 山陽白鳥無線中継所」と、平成8年9月の「株式会社ツーカーホン関西 姫路白鳥ベースステーション」に着いた。

ツーカーホンの局舎は静まりかえり、もう1年近く電波を出していない。撤去するのかauで再利用するのだろうか。いまPHSはウィルコムを残すのみで、現状のau、ソフトバンクモバイル、NTTドコモ、イーモバイルの携帯電話会社も、10年先には革新的な通信方法が開発され全て消滅する、と私は思う。

ツーカーとドコモの基地局に着いた

携帯基地局の南側は遮るもののない眺望が得られるのだが、肝心の北側は木々に塞がれている。それでも1mほども下がると枝越しだが、かろうじて白鳥城が見える。そして望遠レンズで風景を切り取ると、そこには非日常的な白鳥城の姿が浮かび上がってきた。

少し斜に構えた白鳥城は、これまでに撮った中では一番よい構図で、白亜の城館が山並みの連なる背景に浮かび上がり、本家ノイシュヴァンシュタイン城をも上回る景観を呈している。そして本家さえも成し得なかった世界遺産に、もうすぐなるに違いない、と思わすほどの素晴らしさだ。

白鳥山ツーカー・ドコモ基地局からみた白鳥城

今こそ木々で塞がれているが、もうすぐ綺麗さっぱり伐られて展望所となること間違いないなと周囲を見ると、アセビの白い花が咲いていた。このアセビももうすぐ伐られて、姿を消してしまうと思うと少し可哀相になってきた。よし、ここを「アセビの涙」展望台と名付けよう。

展望所にはアセビの花が咲いていた

11:18
137.4m四等三角点標石(点名:毛野)は、東側のアンテナ塔へ行く道すがらの最高標高地点にあったが、両脇には木々が茂るだけで展望はない。

東側アンテナ塔を目指す

11:21
東側のアンテナ塔は「J-PHONE JPK白鳥台局」だ。あれ、東京デジタルホンからJ-PHONEとなって、ボーダフォンになって、今はどうなっているのだろう。とりあえず、今この局舎は稼動している。

今はなきJ−PHONE基地局だ

J-PHONE基地局の北側は思いっきり開けている。でも白鳥城の真正面過ぎて、写真を撮っても面白味に欠ける。でも、座り込んでも城が見えるし、少し早いがここで昼食とする。

J-PHONE白鳥台局は白鳥城のほぼ正面だ


白鳥城の建つ岩崎山へはどう行こう

11:50
白鳥城の建つ山の東端に岩崎山古墳があり、山の名前は岩崎山に間違いない。次は岩崎山に登るのだが、その前に白鳥山を下らなければならない。そこでまた航空写真の出番で、J-PHONE基地局から北側の野瀬池を目がけ真っ直ぐに下る、陰が見える。陰の幅は広すぎ色は緑色で道ではないような感じだ。

木々が茂る生い茂る山なのに、眼下には下の野瀬池まで見通せる幅広い切り開きがあり、そこへ下る踏み跡が存在する。この幅広切開きは基地局建設のために設けられた索道の跡に見える。そこでこの踏み跡を「索道ルート」と呼ぶことにして、下り始める。

下に池の見える索道ルートを下る

11:58
下り始めこそ明確な踏み跡があったが、次第に拡散し消えてしまった。シダの生い茂る幅広切開きからは野瀬池も岩崎山も近くに見え、シダの中を無理やり下ることも、両脇の雑木林を下ることも可能だろうが、「急がば回れ」という言い伝えもある。引き返そう。

下れなくもないが止めとこう

12:02
J-PHONE基地局まで戻る。首筋に入ったゴミをとりながら、来た道を引き返しTAJI氏ルートで下ることにする。

12:10
モノレールルートが尾根に登りつく「NHK受信アンテナが辻」で進行方向を180度変え、TAJI氏ルートに入る。

NHK受信アンテナが辻でTAJI氏ルートに入る

12:15
携帯電話基地局どうしを結ぶ道よりは狭いが、よい道が続いている。塩ビ管を打ち込んだ目印があるのが変わっている。

TAJI氏ルートもよい道だ

12:16
アンテナ塔が見えてきた。「NHK 姫路白鳥テレビ中継放送所」で、銘板から鉄塔は昭和49年9月に建てられたもので、白鳥山で一番古いものだ。アンテナは再送信用のものしかなく、「NHK受信アンテナが辻」のものとの関連がありそうだ。

NHK 姫路白鳥テレビ中継放送所

周囲は木々に囲まれ展望はないし、非常に困ったことにここから下る道もない。ここに来るまでに分岐はなかったし、モノレールルートで下りるしかないのかな。で、ここを「NHK送信アンテナの袋小路」と呼ぶことにしよう。

12:22
北側に気をつけて引き返すとすぐに分岐道を見つけた。そこはカーブを回りアンテナ塔が見え始める地点で、正面に気をとられて本道と同じ幅の分岐道を見逃していた。薄暗がりの木に黒ビニールテープが巻かれていて、マーキングにも何もなっていない。

ここが分岐道の下り口だ

12:25
分岐道を下り始めて数分、もう二階家屋の屋根ほどの高度しかない。道は一部不明確なところもあるが、辿るのは難しくない。

一部道が薄れているが何とかなると思う

12:28
下り立ったのは、白鳥台三丁目3の住宅が谷の奥まで入り込んでいるところ。「←火の用心 NHK」の小さな標識があり、下ってきたのはNHK道だった。

白鳥台三丁目3の奥

12:31
白鳥山から見た白鳥城は素晴らしかったが、バス通りから見上げた白鳥城もよい。白鳥城は来月4月19日にオープンし、入園料は太陽公園単独で500円だったのが、白鳥城とセットで3倍近い1,300円になる。

麓から見上げた白鳥城


岩崎山に建つ白鳥城

12:44
笹川を挟んで峰相小学校が対峙する岩崎山の東端にやってきた。墓地と公園とお宮と石仏と石碑と石灯籠と長い歴史がごた混ぜになった一角に「峰相史跡めぐり鳥瞰図」があり、すぐ近くに岩崎山古墳跡があるという。古墳ならまだ分かるだろうが古墳跡となると、もう私の目にはどこにあるのか分からない。

一つ一つをじっくりと見たら興味深いものがあったかもしれないが、私の心は白鳥城の虜となっていて、何も見えないし聞こえてこない。航空写真で中腹の鉄塔までの道を確認しているので、そそくさと岩崎山東端の岩場に切られた階段道を登り始める。

岩崎山の東端

12:45
少し登ると、そこは「峰相広場」という山の斜面を利用した小規模なフィールドアスレチック場だった。入口には興味深い「山での注意」表示板がバケツとともに置いてあり、二は「おくまでいかない」となっている。逆読みすれば、子どもで簡単に奥まで行けてしまうことを意味するのでは。

山での注意

12:48
素通りするのもなんだし、ターザンロープに挑戦してみた。両手でしっかりロープを握らないと落ちてしまうし、リモコンシャッタースイッチを押さなくてはいけないし、カメラごと三脚を蹴り倒すわけにも行かないし、何度か自分撮りに挑戦したがタイミングが難しい。

ウォオウォオ〜ォ、ターザンロープは楽しいな

12:50
本来の使命を思い出し、峰相広場の枕木を二つに切ったみたいな階段道を登る。

このまま白鳥城へ続いていたらいいな

12:54
尾根に乗ると、電柱が立ち並ぶ広い道が延びていた。電柱は2mほどの鋼管を差し込み式に積み重ねるパンザーマストというもので、穴掘りから始まり全て人力だけで建てることができるという。

電柱の並ぶ尾根を登る

12:56
アンテナ鉄塔が見えてきた。フェンスに囲まれたNHKの「姫路打越テレビ中継放送所」で、下部に受信用、上部に再送信用アンテナがセットになっている。

中継所の周りには朽ちようとしている古い木のベンチやテーブル、そして展望図が乗っていたと思われるアングル組みが数個。今は周囲を木に取り囲まれているが、その昔は好展望地だった時があったのだろう。

NHK姫路打越テレビ中継放送所

古めかしい鉄塔やベンチの中に、一つだけ新しいものがあった。16年前に設置された石造りの方位盤で、当時の峰相小学校の各校区までの距離が刻まれている。方位盤設置後16年で、刀出栄立町の市営・県営戦災復興住宅は全て姿を消し、グリーンハイツは緑台と名を変えた。

方位盤
現在位置
東経135度38分
北緯34度52分
海抜92.0m
  
各町までの距離
刀出975m
刀出栄立町855m
六角740m
グリーンハイツ1,810m
打越190m
白鳥台800m
毛野385m

平成5年3月 峰相小学校PTA

13:01
NHK中継所から先は、当然ながら道はない。でも雑木林とも植林ともいえない、荒れた林の中には明確な切開きが存在し、普通に歩けてしまう。

岩崎山の尾根には切開きがある

13:03
白鳥山の雑木とシダの快適な尾根道と比べたら雲泥の差がある岩崎山は、暗く陰気で展望はないし、次第に切開きも怪しくなるし、鞍部へと一旦下ってから登り返さないといけないし、全然楽しくない。

緩やかな広い暗い尾根だ

13:07
白鳥城の建設で削り取られたと思われる114m標高点が近づくと、高さ30cmもない横幅も狭い小規模な石組み遺構が尾根を横切っている。この岩崎山の頂上に過去に何かが建てられていた跡と思うが、白鳥城建設地では何も出土しなかたのだろうか。

尾根を横切る石組み遺構

13:08
ようやく枝越しに白鳥城が見えてきた。建築現場の作業状況や警備状態が分からないので、落ち枝を踏んで音を立てないように抜き足差し足で慎重に接近する。

白鳥城の塔が見えてきた

13:11
変なところから現われた私に気付いた作業員から誰何されることもなく、警備員が来るわけでもなく、柵もない開けっぴろげな建設現場だ。物理的な障害は何もなく、城内に下りて白鳥城本体に触れることも可能だが、そこまでしたら怒られるだろうな。

それで私の右にある「太陽神」と三文字だけ刻まれた石碑だが、城側からは文字の刻まれた面は見えないと思う。ドイツのノイシュヴァンシュタイン城を模した白鳥城と太陽神石碑のつながりを解明できたら、太陽公園に隠された全ての謎が解けると思う。日本では太陽神とは天照大神(あまてらすおおみかみ)のことになるが、この太陽公園では純粋な太陽信仰としての太陽神を意味するような気がしてならない。

白鳥城と太陽神石碑

白鳥城本体までは行けないが、城壁には触れることができた。関係者以外で白鳥城と直に触れ合ったのは私が初めてではないかと思うと、嬉しさがこみ上げてきた。

白鳥城にタッチ


近すぎる白鳥城

近すぎて全景を撮ることができない。おまけに逆光気味で午前中に来るべきだった。

広角レンズがあればと思うが、逆に望遠レンズでクローズアップを撮ってみた。概観は西洋風な城だが、中身は普通のビルなんだろうな。












敷地内を通り抜けるわけにも行かず、登ってきた道を引き返し、毛野バス停から家路についた。



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