石井町バス停から烏原貯水池までの6時間
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平成21年9月26日(日) メンバー おひとりさま
石井町バス停〜ガーデンレストラン風舎〜菊水山〜烏原貯水池〜石井町バス停
立ケ畑堰堤と烏原貯水池
布引貯水池・五本松堰堤に遅れること5年、明治38年5月に水道用貯水池として完成した烏原貯水池・立ケ畑堰堤は市街地のすぐそばにあり、1周2.7kmの遊歩道は近在住民の散策路となっている。
訪れたことのない烏原貯水池周辺を散策し、そして菊水山・鍋蓋山・再度山と縦走し大師道で諏訪山公園へ下山のはずが、いきなりバスを降りた第一歩目から道を間違ってしまった。
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神戸市バスの一桁バス路線、7系統神戸駅前発の三宮(市民福祉交流センター前)行きに乗り、八つ目のバス停「石井町」で降りて、後は15分ほど急坂を登ればそこが烏原貯水池・立ケ畑堰堤のはずだった。
別に迷っているわけではない
8:35
石井町バス停に降り立つ。一足遅く間に合わなかったお姉さんが残念そうにバスを見送っているが、1時間に8本も走っているので待っても5分ほどか。
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三宮へと走り去っていくバスの進行方向にある、写真にも写っている「コープミニ石井(営業時間9時〜23時)」前を左に入り、突き当りを右に、その先は道なりに北へ急坂を15分ほど登れば烏原貯水池・立ケ畑堰堤に着く。
それなのに私は、立ケ原堰堤から流れ出す烏原川を遡ればよいものと思い込み、とりあえず東へ行けば烏原川に行き当たるとはずと、コープミニから右に進んでしまった。この最初の「左と右」の些細な掛け違いが、まさか15分と6時間の差にまで広がるとは思いもよらなかった。
8:50
予定通りに烏原川に出会い、急坂の住宅地を川沿いに忠実に遡っていくと千鳥橋なる橋があった。ここで橋を渡らずに、右岸をそのまま行けば立ケ畑堰堤へ行けたかもしれない。たぶん行けただろう。
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川沿いの右が土崖の変な道を行き、そして広い道に合流したところの橋で右岸に渡り返せば、おそらく立ケ畑堰堤へ行けたかもしれない。たぶん行けただろう。
実はそのとき、ここがポイントオブノーリターンだったことに気づいていたのだが、地形図の貯水池北側山中の北西へ伸びる破線道の存在が気になっていた。そして破線道から送電線巡視路に乗り移ることが出来ればと想像を膨らましていた。
8:56
古そうな草生したアーチ橋が上を横切っている。この橋を渡れたら立ケ畑堰堤へ行けるものと思われるが、橋の入口は閉鎖されているように見える。
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8:59
烏原川を遡ってつもりだったが、簡素な橋の下のやけに細くなった流れはなんか違うような気がする。しかし、完璧に地形図の破線道を辿っているのは間違いなく、このまま進むことにする。
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9:15
谷の右岸斜面に明確な道が続く。関ケ谷堰堤を通り過ぎさらに進むといつの間にか谷底を歩いていた。ハイカーなど通らない道なのにゴミが目立ち、この先を横切る山麓バイパスから投げ捨てられたものと思われる。
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9:18
行く手を砂防堰堤(名称は確かめず)に阻まれたが、右岸側が何とか登れそうな雰囲気なので、ズルズルの急斜面を疎らな木を頼りに何とか登りきった。
堰堤の上流側には土砂の堆積が少なく、谷底に踏み跡があるように見えるので、急斜面を下りようとしたが急すぎてうまくいかない。それではと尾根へ這い登り、少し尾根を行くと西側から明確な道が現われた。「六甲の全ての谷と尾根には道がある」という噂は真実だった。
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9:32
明確な道は尾根中央を行かずに、わずかだけ東側に下がった位置に付けられている。
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9:42
細い道は一部崩れたところもあり辿りづらくなり、数メートル上の尾根に登ってみると、あら不思議広い道があるではないか。山麓バイパスはこの尾根をトンネルで貫通している。
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9:42
道は広いし、道端の下草が刈られた跡もあるし、関西電力の送電線巡視路に間違いないと思うが「火の用心」標識が現われない。
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思惑通りに送電線巡視路に乗る
9:45
登ってきた方向を指して「火の用心 10」が現われ、そして道から少し東に外れて送電線鉄塔「神鉄丸山線 九」が立っていた。残念ながら周囲を木々に取り囲まれ、外界を見ることは出来なかった。
9:53
このまま北へ尾根を登っていくと、菊水ゴルフクラブにぶつかるのは時間の問題と思われるが、確かめないわけにはいかない。
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9:58
また道から東に少し外れて「神鉄丸山線 八」送電線鉄塔が立っていた。ここも展望はなく現在位置を明確にすることはかなわなかった。
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10:00
下草が刈られた歩きやすい送電線巡視路が北へと続いている。行き着く先は菊水ゴルフクラブのグリーンだろうか。道端にゴルフボールが1個転がっている。
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10:05
左右に同じような道が分かれている。左側にはマーキングが付けてあるので、とりあえず左へ行ってみる。
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10:12
最後の急な坂道に下がる太いロープを頼りに登りついた先は「ガーデンレストラン風舎」だった。
シェフのお兄さんが裏庭を整理していて、『ときどき登ってくるハイカーがいるが、レストラン敷地を通り抜けた先は車道しかない』とのことで、風舎公式HPにあるような見事な展望を写真を撮るのも忘れて楽しみ、そして登ってきた道を引き返す。
もしこのコースを登るなら、2,900円からのフルコースランチでも予約しておいてシェフのお兄さんを驚かすのも一興と思うが、おひとりさまでは少々厳しいな。
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送電線巡視路探索はさらに続く
10:18
途中の左右に分かれる右の道も行ってみたが、送電線鉄塔「神鉄丸山線 七」が立っているだけの行き止まりだった。
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10:31
登りに使った尾根のすぐ下の道ではなく、尾根を行く快適な送電線巡視路を下って行くと、西へ別れて下る道があった。火の用心標識は『直進は10でいってこい、分岐は11』となっていて、ここから標識に従って尾根から外れて11を目指す。
火の用心標識にある『いってこい』は物好きなハイカーが書き加えたものと思うが、真に受けてどんな展望が待っているかと行ってしまうハイカーが絶対にいると思う。でも、この場合の「いってこい」は「行き止まり」を意味している。
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10:33
南西方向へ下る尾根に乗ってしまうと、別れ道も別れ踏み跡もなく、淡々と送電線巡視路を辿ることになる。もうルートファインディングも地形図もコンパスも要らない。
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10:38
あそこまで登ればきっと眼下に大展望が待っているはずと、登りついたピークは受信用テレビアンテナが立っているだけだった。アンテナ線は尾根を外れ西へと藪の中を下っていくが、どうやって藪の中をアンテナ線を通したのか不思議だ。
アンテナピークで尾根は左へ直角に曲がる。
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10:43
尾根の真ん中に送電線鉄塔「神鉄丸山線 一一」が立っている。ここも展望はない。
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10:47
菊水山頂上の無線中継鉄塔が、垣間見られる。ここがこの尾根の中では最高の展望地だった。「ふーん、やっぱり地形図のこの尾根を歩いているんだ」と確認できた。
しかし、地形図に記載された尾根と送電線の相互位置関係と、実際との間になにかモヤモヤとした食い違いがあるような気がしてならなかった。(帰宅後、航空写真から送電線鉄塔を探し出してつないでみると、地形図の送電線経路の一部に誤りを発見した。)
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10:52
「× ココマデ」と木の幹にマーキングがされている。まさか、この先で送電線巡視路は途切れているのだろうか。来た道を戻らなくてはならないのだろうか。いやだな。
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10:54
「神鉄丸山線 一二」が現われ「ここが終点なのか」と、少々早いがここで昼食をとり引き返すつもりになったが、なぜか巡視路は続いている。
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10:56
送電線巡視路は急斜面を、途切れることのないプラ階段で急降下を始めた。昔はこのプラ階段道がなくて行き止まりだったのだろうか。
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11:00
一気に急降下し、下に遊歩道の様なものが見えてきた。何とか無事に社会復帰を果たせそうで一安心だが、ようやく面白くなってきた山歩きがここで終わってしまうかと思うと、残念でならない。
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菊水山に登る
11:02
降り立った道は烏原貯水池左岸遊歩道で、少し北で右岸側車道と合流する。
普通ならここに「火の用心」送電線巡視路標識があるはずだが、なにもない。登り口近くも急なのにプラ階段はなく、送電線巡視路にハイカーが迷い込まないようにしているのかな。
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11:12
いつになく心が沸き立つ楽しかった山歩きは終わってしまい、もう予定通り菊水山・鍋蓋山・再度山まで縦走するモチベーションは消えうせてしまった。でもこのまま帰るのも癪なので菊水山までピストンし、そして烏原貯水池・立ケ畑堰堤から石井町バス停までの道を確認しよう。
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11:33
旧神鉄菊水駅を過ぎて、もう直ぐ石井ダムが見えるところ。菊水山頂上の中継鉄塔が手を延ばせば届きそうで、もう一登りで頂上かと、私はここに来るたびにそう思う。だが、実際は無意味なほどに巨大なコンクリート土台の上に中継鉄塔が立っているため大きく見えて、遠近感が狂っているだけだ。
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11:44
石井ダムの下流で烏原川に架かる橋を渡り、神鉄の菊水山トンネル入口上を横切ったりして休憩場に到着。兵庫登山会による「菊水山頂へあと、900m 苦しみに堪えるのもあなたの人生ですぞー!頑張れー!」とあり、頂上まで続く激登りの記憶しか残っていない私をあまり虐めないで欲しい。
でも『兵庫登山会』の案内板は至るところで見かけるが、兵庫県山岳連盟にも加盟していないし、謎というか、オウム真理教やパナウェーブ研究所やキリスト看板の聖書配布協力会みたいな得体の知れない不気味な秘密結社のようなものなのかと、人生訓をたれる看板を見るたびに感じるが、看板の裏には掲示者名や連絡先が書かれているものもあり、さらに謎を増していく。
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11:49
休憩所からの登り始めは、いきなりの激急丸太階段道。もう少し緩やかなコース取りも出来ただろうに、よりによって山頂へ真っ直ぐに登る尾根に道を設定しなくても、絶対に開設者はハイカーが喘ぎ苦しむ姿を楽しむために道を切り開いたに違いない。
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11:58
緩い登りも一部にはあるが、丸太階段道が終わると岩がちな面白いといえば面白い登りが続く。その先は送電線巡視路でもないのにプラ階段が始まる。
でも一般的な踏み板だけ杭を打ち固定するタイプではなく、姿形は蹴込み板もあり普通の階段をプラで作ったもので、おまけに手摺も完備していて、急なのに登りやすい。ただ、もう少し広ければ行き違いが楽になるのにと残念だ。
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12:20
プラ階段を登り詰めていくと踊り場が展望台になっている。もちろん菊水山頂上には360度近くの大展望が待ち受けている。でも、この足元が切れ落ちている踊り場展望台の方が感動は数倍大きい。
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12:26
大きな「菊水山」石碑と、大きな中継鉄塔のある菊水山頂上をヘロヘロになって登り切った。今日はハイカーよりも鳥見の方々の方が多く、頂上は大賑わい。
恒例のシェーを撮っている間に、大きな双眼鏡もった人が石碑に登り腰掛けてしまった。別に写真的には動きが多くなって面白くなったが、そこは坐るところじゃない。この後、何枚も石碑の写真を撮って石碑から追い落としてさしあげたが、こういう記念碑的な撮影ポイントに長時間居座る非常識な方々が多すぎる。
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下山、そして待望の烏原貯水池散策
13:10
もう登ってきた道を引き返すだけなので、お昼ごはんを食べてゆっくりと休憩したあと下山開始。
14:36
…途中省略…、立ケ畑堰堤の右岸近く、石臼が湖岸の石垣に埋め込まれている有名な場所にたどり着いた。石井バス停からここまで普通なら15分もあれば登ることが可能で、私の最初の計画でもそうだったのだが、6時間もかかってしまった。
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水道水源地としての役目を終え、今は洪水調整池の役割のため水位は常に低いという。だが烏原貯水池を始めて見た私には水位が低いのか高いのかよく分からないが、「満々と水を湛えた」貯水池には見えない。
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立ケ畑堰堤から石井町バス停までは急な坂道を10分も下るだけで、あっという間のことだった。
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