山行記録にもどるホームにもどる



椰獅子の丘ハイキングコース(たつの市の金輪山)



スポンサード リンク




平成22年2月7日(日)  メンバー おひとりさま

椰八幡神社〜椰獅子の丘ハイキングコース〜金輪山〜本竜野駅



金輪山にハイキングコースが出来た

たつの市の揖保川西岸に祇園嶽から亀山(城山)、的場山へと連なる山々は新龍アルプスとして有名で、赤松氏の築いた中世山城の城跡が残り、山上池などもあり私も何度か歩いたことがある。

揖保川を挟んで東岸には国指定天然記念物「觜崎ノ屏風岩」で知られる鶴觜山があり、ルートが整備されてからは手軽でなおかつ変化に富むハイキングコースとして多くのハイカーが訪れている。

で、今日登った金輪山は鶴嘴山の南に位置する、南北2キロ・東西1キロほどの独立峰で、南端の頂上には多くのアンテナ塔が立ち、それなりに目立つ山だ。ただ頂上までは舗装道路が延びているだけで、頂上からの展望はよいらしいが、登ること自体には面白味がなかろうと敬遠してきた山だ。

それが播州野歩記掲示板を通じてヒメボタルさんより、ハイキングコースが開設されたことを知った。

椰獅子の丘ハイキングコース概念図

四国八十八箇所霊場の第五十六番は金輪山 勅王院 泰山寺(きんりんざん ちょくおういん たいさんじ)という真言宗のお寺だ。今日歩いた、この「椰(なぎ)獅子の丘」ハイキングコースのある金輪山も「きんりんざん」あるいは「きんりんさん」と読むにちがいない。けして私が思い込んでいた「かなわやま」ではない。



椰八幡神社の西が登山口だ

10:20
たつの市の実家に用のある妻その1に、金輪山の北端近くの山裾にある椰八幡(なぎはちまん)神社まで送ってもらう。公共交通機関としてはJR姫新線の東觜崎駅が近く徒歩20分ほど。

椰八幡神社は、県の重要無形文化財に指定され、数百年の昔から伝承されてきた「椰の獅子舞」の神社として知られている。なお神事獅子舞は毎年10月20日の例祭にて奉納されているが、今年は水曜日なので見に行けないな。

椰八幡神社の拝殿

拝殿前の石段横に大きな石灯籠があり、その上にお猿さんが坐っている。山羊が乗った石灯籠をたつの市新宮町で見かけたことがあるが、同じ作者によるものだろうか。

石灯籠に乗ったお猿さん

10:31
『登山口は神社の裏』の法理に従い本殿裏を探るが、それらしきものは存在しない。神社の中を捜してみたがない。でも、神社の表通りに出て西へ進むと直ぐに見つかった。

真新しいハイキングコース案内看板があり、その横には車5台分ほどのスペースさえ用意されている。さっそく鹿除けゲートを開けて、今日のハイキングの始まりだ。

椰八幡神社の西側が登り口

案内図によると、ここを起点として周回コースも組めるようだが、今日は案内図の上辺の稜線を行く「展望の小道」を「南展望ベンチ」へと登り、そして「片山テレビ塔・島田方面」へと抜けようかな。

椰獅子の丘 案内図

たつの市神岡町沢田
椰獅子(なぎしし)の丘 案内図

「新ひょうごの森づくり」に基づく里山ふれあいの森づくり
この森では、地域のもなさまのご協力のもと、自然とふれあう里山林として活用できるように、森林整備や歩道の整備を行いました。自然学習やハイキング、森林レクリエーションなどみなさまのスタイルで、この森との関わりを深めていてください。

兵庫県・たつの市・(社)兵庫みどり公社

たき火、タバコの吸殻、ゴミの投げ捨てはやめましょう。木や草花、生きものを大切にしましょう。

放流厳禁!! 放さないで!
ブラックバスやミドリガメは、もともとこの池にはいる生きものではありません。
池に放してしまうと、他の生きものを食べてしまい、多くの生きものが生きられなくなります。
絶対に放さないようにしましょう。



里山風ハイキングコースを「のろし台跡」へ

10:32
鹿除けゲートを抜けると、そこは里山風遊歩道だった。家庭用の燃料としての炭の生産や、広葉樹の落ち葉を集め肥料としていた時代を知らない私は、本当の里山の様子を知らないが、こんな風だったのかなと思わせる風景が広がっている。

遊歩道の周りは、落葉樹を主体に一部の常緑樹を残して間伐し、下草を刈り込み見通しの良くなった林は好ましくは感じるが、いずれの木々もひょろひょろで頼りのないものばかり。遊歩道の幅が広いのは、整備を機械力で行うために重機を乗り入れたためだろう。

10:35
あくまでも緩やかな遊歩道は、金輪山の稜線を目指し登っていく。でも登り口から稜線までの標高差は30m足らずで、もう目の前に迫っている。

里山の風景を再現しているのかな

10:36
登り始めて4分足らずで稜線に到達。そこはT字路になっていて「←大住寺方面(稜線の反対側)  ↓のろし台跡(金輪山頂上方向)  →椰八幡神社(登って来た方)」というしっかりとした木製道標が立っている。

10:37
稜線に延びる遊歩道も緩やかで広く見通しもよく歩き易いが、変化がなく歩く楽しさが感じられない。

稜線の道

10:39
「大池・小池」からの落ち葉の積もった遊歩道と合流すると、この山系唯一の送電線鉄塔が立っている。「西播線 三十」だ

金輪山にはたくさんの鉄塔が立つが
送電線鉄塔はこれだけ

送電線鉄塔から北側に下る道があり、道標は「大住寺方面」となっている。

10:43
見た目は麗しい里山風の遊歩道はさらに続く。地元の方々の散策の場となっていて、手ぶらで歩く人数人とすれ違った。

変化のない遊歩道が続く

10:46
重機で地肌を削り取り、丸太を打ち込んだ緩やかな階段道だ。まるで遊歩道作りの教科書に載っていそうな優等生的な面白味のない階段道だが、まあ仕方がないな。なんて言っていると、公設のハイキングコースは、どれもこれも同じような詰らない遊歩道ばかりになってしまう。声を大にして『こんな面白味のない規格化された遊歩道は要らない』と言おう。

で、この階段道の先が「のろし台跡」と思われる。

極標準的な階段道だな

10:53
木々が疎らに残る平らなピークに着いた。山城業界では削平地と呼ばれている人工地形だ。でも山城跡にしては狭過ぎるので、西の城山城か龍野城の見張り場だったのかな。表示はないがここが「のろし台跡」と思われる。

ここは分岐点ではないが、道標は「←大池・小池・片山テレビ塔・島田方面  椰八幡神社・大住寺方面↓」となっている。

「のろし台跡」ピークから北の眺め
低い山だが独立峰なので眺めはいいな



「南展望ベンチ」は南が良く見える展望地ではなく
椰獅子の丘の南端にある展望のよい所だ

10:57
また地元の手ぶらな方とすれ違った。今度は自分撮りに三脚をセットした後だったので、失礼ながら私と一緒に撮らせて頂いた。ちなみに自分撮りはセルフタイマーではなくリモコンでシャッターを切っている。

ベルボン デジタル一眼レフ用 ワイヤレス+ケーブルリモコン TWIN 1 R3-UT(クリックするとAmazon.co.jpへジャンプする)なしの山行はもう考えられない。カメラメーカー純正品よりも何倍も離れてリモコン操作でき、そのうえセルフタイマーと違いリモコン操作時にピントが合う。ただし、対応するのはデジタル一眼レフカメラの一部のみ。

5人ほどの地元民とすれ違った

11:00
緩やかに下る遊歩道が南へ続いている。遊歩道はもちろん周辺の手入れも行き届いていて、歩きやすく里山風の雰囲気もよいのだが、なにか詰らない。初めて歩く道なのだから、心が浮き立つようなワクワク感があってしかるべきなのだが、残念ながらこの椰獅子の丘ハイキングコースにはない。

ワクワク感がなのは見通しがよすぎるのも原因かな

11:02
最低鞍部からは、案内図にあった「谷すじの小路」が東の大池・小池へ下っていて、道標は「←南展望ベンチ・片山テレビ塔・島田方面  ↓椰八幡神社・沢田方面・大池・小池  のろし台跡・大住寺方面→」となっている。

ここで「展望の小路(北コース)」から「展望の小路(南コース)」に変わる。

最低鞍部の分岐点

11:07
最低鞍部からは、延々と続くように見える緩やかな丸太階段道が始まる。私の性格のようにグニョグニョに捻くれた尾根なら、曲がり角を過ぎるたびに「あーあ、まだ階段道が続くんだ」と何度もうんざり出来る。でも、この尾根は、脇目も振らずに半世紀歩み続けてきた私の人生のような、それはそれは真っ直ぐな尾根なので、はるか彼方まで続く階段道が見えてしまい、常にうんざりしながら登らなくてはならない。

いくら真っ直ぐな緩やかな尾根だからといって、そこに真っ直ぐな道を付けるのは間違いだ。少しはぐねってるのが変化があって味があるってものだ。

ほぼ真っ直ぐな階段道を登り続ける

11:11
緩やかな丸太階段登りは、九十九な緩やかな丸太階段登りに変わった。まだ最低鞍部から10分も登っていないのだが、金輪山頂上から北へ延びる主尾根へあと一登りだ。

真っ直ぐな階段道は九十九な階段道に変わる



片山テレビ塔を目指して稜線を行く

11:12
東側から「ドングリの小路」遊歩道が登ってきた。分岐点に立つ道標は「←椰八幡神社(東回りコース)  ↓椰八幡神社・沢田・大住寺方面  南展望ベンチ・片山テレビ塔・島田方面→」となっている。そして直ぐ先にベンチがあるが、まさかそれが「南展望ベンチ」とは思いもしなかった。

私は「の播磨灘まで見通せる、展望抜群な場所に設置されたベンチ」と信じていたが、どうやら「椰獅子の丘の端にある、北方向の展望が良いベンチ」という意味らしい。

11:14
私は過ぎ去ってしまった「南展望ベンチ」を捜しながら、金輪山の頂上に立つアンテナ群を目指し進んでいく。確かに下の写真を見ると、南展望ベンチから北側の景色のよさが分かるし、椰獅子の丘ハイキングコースの中で最も展望のよいところだろう。

南展望ベンチを素通りしてしまった

11:16
遊歩道周辺の木々をここまで伐らなくてもと、思う。確かに今の時期なら周囲の風景を愛でながらの、それなりに楽しい山歩きが出来る。でも、真夏の太陽がギラギラと照りつける頃に、この遊歩道を歩くのは拷問だな。

広い緩やかな道が続く金輪山の稜線
日差しを遮るものがなく真夏は地獄道だ

11:19
遊歩道から見えるのは同じような風景。まあ、前の写真から3分しか経っていないので仕方がないか。

金輪山は雑木林主体だが一部には植林地もある

11:21
さらに2分経過。周りの様子に変わりはない。

よその山へ登ると、テープや紐や、果ては赤スプレーやらのマーキングがごっそりと、それも1mおきほどに付けられているのを見かけるが、この金輪山には全く存在しない。いやこれだけ整備してあれば迷いようはないし、必要がないのか。

同じような景色だな

11:25
今度は長めに4分経過。でも景色に劇的変化はなし。

空を流れる雲が日を遮り、暗くなったり明るくなったり。足元の日陰には先日に降った淡雪の名残が少々残るだけ。去年の11月に右足を痛めて3ヶ月、違和感が少し残るだけでまあ順調に回復してきたが、重い靴、そしてクランポンを着けての雪山遊びは、今期は遠慮しておこう。

同じような景色だな

11:26
南方向の眺望がわずかに開き、播磨灘に浮かぶ男鹿島が見える。ここにベンチがあれば「南展望ベンチ」なのにと、もう過ぎ去ってしまった「南展望ベンチ」を捜し続ける。結局、どこが「南展望ベンチ」なのかは最後まで分からず、帰宅してから気づく始末。

播磨灘に浮かぶ男鹿島が見える
ここにベンチがあれば「南展望ベンチ」なのにな

11:29
金輪山頂上に立つ何本ものアンテナ塔が見えてきた。見た感じはテレビ送信所と携帯基地局かな。

金輪山の頂上に林立するアンテナ塔群



金輪山頂上

11:32
西側の島田方面への下山分岐を過ぎて、金輪山の頂上に到着。

頂上には民放とNHKの中継放送所、たつの市防災行政無線中継局、関西電力・ケイオプティコム中継所、ドコモとJ−PHONEとツーカーホン関西の携帯基地局、そしてラッパ型スピーカーを六つ載せた鉄塔が立っていた。

地形図には227.8mの三角点(四等三角点、点名は片山)が記載されているが、民放放送局の局舎屋上に設けられているため見ることも触ることも出来ない。

頂上南側に、「金輪山展望台」と立派な表示板が立つ広場がある。麓から頂上まで舗装車道が通じていて夜でも登れるためか、初日の出登山の焚き火跡と思われるものが残っている。

金輪山展望台より南を見る

頂上付近にアンテナ塔がたくさん立っている山は数々あり、その中には私のお気に入りの山もある。でも、この金輪山頂上はなぜか面白味がない。太い鉄パイプの先にごちょごちょっとアンテナが付いただけの携帯基地局の味気なさ、蒲鉾みたいな不細工なデジタル放送用アンテナが天辺に付いたテレビ送信所。

ウーン、そうか。パラボラアンテナを載せたマイクロウェーブ中継所がないせいだ。特に監視カメラなどの物々しい侵入警戒装置や、二重になったフェンスの間に、あの日のノルマンディー海岸にもあっただろう有刺鉄線を巻いたバリケードがあれば申し分ないのに。



島田へプンプン下山

11:58
どこでお昼ご飯にしようかなと、詰らなかった金輪山頂上を後にする。

南北に緩やかに伸びる金輪山の稜線

12:03
西麓の島田への下山口の北側にベンチがあり、これを逃したら麓で食べる羽目になりそう。木々は葉を落とし、風通しがよくて寒々しいところだが、西側の眺めもよくお日様が当たりまあまあ。

今日のお昼ご飯は、いつものコンビニべんとうだ。

ローソンの俵むすびべんとう
俵むすびに定番のおかずを組み合わせました。 450円(税込)

12:20
食事を済ませ、本格的に下山を開始する。登ってきた道は里山風雑木林の中の、それなりの風情の感じられるものだったが、島田への下山路はどうだろうか。

西側の島田への下山口

12:21
下り始めていきなり「うわっ、なんなんだよこの道は」と叫んでしまった。急斜面を重機で削り取り無理やりに開いた道だ。

展望はよいが、これはひどい

12:24
おまけに、重機で削りとった土砂岩石は搬出せずに、そのまま下に落としただけのようで、ここまでひどい不細工な道を見たのは久しぶりだ。折り返すことも出来ない急斜面なのか、あくまでも緩やかな醜道は北へ北へと斜面を横切っている。

『「新ひょうごの森づくり」に基づく里山ふれあいの森づくり』は、自然を意のままに改変し、山に醜い傷跡を残すことなどへとも思わない、建前は「自然を愛する」といいつつ本心は「自然破壊は楽しいな」というおぞましい志向を持っているのだろうか。それとも、ただ単にこの急斜面に道を刻んだら、いかなる様相を示すのかを想像できない、感受性が欠落した鈍感な心の持ち主が地図に線を引いてしまったのだろうか。

こんな道を歩くと心がすさんでしまう

12:25
キタ━━━゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚━━━ッ!!立ち木に釘打ち!!。ん、ここは喜こぶ場面ではなく、怒らなければいけないのだが、この道にしてこの釘打ち案内板、まさに予定調和。

思わ笑みが漏れてしまったが、同じ体裁のものが700m、800m、そして登山口には850mのもの、合計4枚が立ち木に釘打ちされていた。なにを考えているのか、いないのか、自然を愛護する精神などこれっぽちも持ち合わせてない似非自然愛護者の仕業だ。

立ち木に釘で打ち付けられた案内板

12:28
ようやく折り返せる斜度となり、今度は南へと進む。でも、あいも変わらずの急傾斜地を緩々と下るばかりで、なかなか高度を下げようとしない。

機械力に頼るからこんな道になってしまうのだ

12:35
二つ目の折り返しを過ぎた。山道を通すには、こんなふうに重機でガシガシ山肌を削り取るのが最もコストパフォーマンスがよいのだろうが、この削り取られた傷跡は千年経っても消えることはない。もっと手間隙と費用をかけて、地形に応じた細い山道を通すことは出来なかったのだろうか。

削り取られた岩はもう元には戻らない

12:38
麓が近づき緩斜面になってくると、細かな九十九折れの道となった。

間伐され葉を落とした雑木林の中を
九十九に下ると登山口は近い

12:46
開閉式鹿柵戸を抜けると、「平成20年度 里山ふれあいの森づくり(住民参画型) 島田自治会」と看板がかかる小屋がある登山口だ。小屋は鍵が掛かり中になにがあるか分からない。

この登山口は車道とはつながってなく、コンクリ橋を渡ると非舗装農道(幅広のあぜ道)だ。そして車道からの案内は全くない。

ここが島田登山口だが、分かりにくいところにある

12:55
本竜野駅を目指して歩いていくと、山肌に稲妻型に切られた山道がよく見える。始めはそれなりに楽しかった金輪山・椰獅子の丘ハイキングコースだったが、後味が悪く、もう二度と行きたくない山リストに書き込んでしまった。

山肌を切り刻んだ稲妻型の傷跡
この道に入っても登山口には行けない

椰獅子の丘ハイキングコースは椰八幡神社を起点に、南展望ベンチから神社に戻るのが吉かも知れない。でも、頂上まで行きたくなる感情を抑えるのは難しく、辿りついた頂上はアンテナだらけ。そして同じ道を引き返すのも詰らないから、島田への無残な山道か南へ舗装車道を下るしかない。



スポンサード リンク



山行記録にもどるホームにもどる本ページのトップ