姫路城大天守修理見学施設「天空の白鷺」
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平成23年3月26日(土) メンバー 私だけ
姫路城大天守保存修理事業
昭和39年3月に完了した昭和の大修理以来46年が経過し、姫路城の漆喰壁や軒やひさしに傷みが目立ち始めれきた。今回の大天守保存修理事業では、漆喰の塗替えや痛んだ瓦を取替えると共に、耐震性強化のための構造補強が行われる。
昭和の大修理のときの天守閣完全解体、礎石による基礎からコンクリート基礎への入替えなどの大規模な工事ではないが、風雨を防ぎ、作業の安全を確保するために今回も素屋根がかけられた。その名は「天空の白鷺」、今日から内部の見学スペースが一般公開された。
オープン1月前から個人予約の受付が始まったが、手続きには氏名・性別・生年月日・e-mailアドレス・連絡先郵便番号/住所/電話番号と、ここまで必要かという程の個人情報を晒さなければならない。しかも、その手続きはインターネットでしか受け付けない。その上、その手続き作業のユーザビリティは最悪で、まるで真っ暗な迷宮を手探りで進むよう。
e-Taxのように電子証明書までは要求されないが、予約手続きの敷居は「天空の白鷺」よりもはるかに高く天にまで届くよう。姫路市はなにを考えているのだか、さすがお役人仕事だ。
そして、千年に1回の出来事が日本を襲い、これからの行く末がどうなるのか混沌とし混乱した世相の中、のんきに「天空の白鷺」を見物している場合ではないのだが、被害・影響を受けていない地域は粛々といつも通りの経済活動を続けなければ、社会全体が崩壊してしまう。
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閑散とした城内
11:15
12時から13時で予約し、どのような混雑状況か分からないので早めに行ったのだが、料金所で受付完了メールをプリントアウトしたもの(この辺も敷居が高いな)と引き換えに渡された入館券は11時から12時までのもので、入場券売り場で入城券400円+入館券200円を一緒に払い料金所左側から入城する。
予約していない場合は入城券400円を求め、普通に入場しその先で首から提げるタイプの入館整理券(ちょっとかっこいいな)を受け取り、「天空の白鷺」内で200円を払うようで、少しめんどくさい。でも入城者の人数があまりにも少なく、予約していようがしてまいが、所要時間はまったく変わらず、メール内容の確認に時間がとられ、予約していない方が早いかもしれない。
でも、「天空の白鷺」内のエレベーターの輸送人員(おそらく1時間当たり600人ぐらいか)が、ボトルネックとなり、入場者が増えてくると予約するとしないのでは雲泥の差が生じると思われる。
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順路としては、普段とは逆周りでお菊井戸から天守台へと登っていく。途中の階段にはスロープが設けられ、一応バリアーフリーとなっているが、この角度、長さでは果たして安全に利用できるのか疑わしい。
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天空の白鷺
「天空の白鷺」1階のウェイティングホール、エレベーター待ち時間は10分少々。ここからも事前予約と当日整理券では何の差はなく、個人情報をさらしてまで予約した意味がない。
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2台あるエレベーターの定員は10人とこじんまりしたもので、8階までノンストップで上っていく。かごの奥側はガラス張りで、普段は見ることの出来ない大天守を下から順に間近に見る事ができ、感動的だった。輸送人員は稼げなくなるが、もっとゆっくりと上っていけば更に面白そうだ。
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8階ホール。大天守最上階のフロアーレベルよりも少し高く、広々とした窓からの眺めが素晴らしい。でも普通の高層ビルからの眺めと変わらず、大天守の窓の格子の隙間から見る景色の方が有難みが百倍はあるな。
定員10名のエレベーターのため、もっと大勢の人々が押しかけてきてもこれ以上混むことはなく、上ってしまえばゆったりと見学できる。
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素屋根の規模は大きいが、見学施設部分は狭いためか消防設備は簡易なもので、自動火災警報設備は作動式スポット型感知器(火災による急激な温度上昇を検出する)を使用している。普通なら光電式スポット型感知器(火災による煙を検出する)を用いるのが普通かと思うが内装制限を厳しくしているのかな。ただ階段の縦穴区画を閉鎖するためのシャッター緊急降下用には光電式スポット型感知器3種が用いられている。
消火設備としては消火器と屋内消火栓のみで、スプリンクラーは設けられてなく、排煙は自然排煙のみ。避難誘導灯は全て高輝度C級と不特定多数が訪れる施設としては小さめだが、見学時間は昼間だけでスタッフも大勢いるので避難は容易だろう。
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大天守保存修理事業を見ることのできる窓は縦3m・幅6mほどで、素屋根の天井と壁は光をよく通す素材を使用しているため作業現場は明るい。今日は、土曜日のためか修理作業をしているところを見ることはかなわず、次に訪れるときは平日にしよう。
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ちょっと急な階段で7階へと下りるが、申し出ればエレベーターで7階へ下りることもできるみたいだ。
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7階ホールの間取りは、8階と同じ。大天守修理を見ることのできる窓と、周囲を見下ろす大窓がある。
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エレベータで1階まで下りると、「天空の白鷺」を紹介する展示物が少しあり、石垣を見ることができる窓がある。この石垣は修理対象ではないのでいくら待っていても何も起こらない。結構いい加減に積まれた石垣の隙間に小石が押し込まれていたりして、こんなものでも何百年も持っていることに驚く。でもその裏側には石工たち技術力が隠されているのだろう。
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天守閣は3階まで登れる
12:09
「天空の白鷺」の西側の備前丸には九十九折れの長い長いスロープ、そして大量の見物客が押しかけたときのための行列場所が用意されているが、今日は出番がないよう。
そして太い枝までも切り取られた大木が無様な姿をさらしているが、大きく育ちすぎたエノキの成れの果てだ。三の丸広場の北東端から見上げると、木々に隠され大天守がまったく見えないところもあり、なぜにここまで大きく育つ木々ばかりを植えて、かつ手入れを放棄し続けてきたのか、築城当時の姫路城はこうだったという思い込みのイメージを追い求め続けた結果なのだろうか。でもヒマラヤシーダーやメタセコイアはその当時日本にあったのだろうか。
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入城料400円と入館料200円を払ってまで「天空の白鷺」を訪れる価値があるかというと、十二分にあると思う。600円でも安いくらいで、テーマパークのように目を引くアトラクションがあるわけではないが、この素屋根がかかっている間しか見ることのできない大天守に感動し素晴らしかった。
実現は不可能だろうが、ヘルメットを被り「天空の白鷺」の中の作業現場を巡るツアーがあったら、ぜひ参加したいものだ。
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もうすぐ4月というのに外に出ると雪が舞っていた。姫路城恒例の観桜会は中止になり、いつも通りの花見を心から楽しむことができる日はくるのだろうか。
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