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行者尾根を登り摩耶山へ



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平成24年10月7日(日)  メンバー 私だけ

青谷橋バス停〜青谷道〜行者尾根〜縦走路〜摩耶山上〜まやビューライン

2万5千分の1地形図「神戸首部」を参照すること。


行者尾根を登ったのは5年前、とりあえず青谷道を歩こう

 青谷橋から摩耶山行者堂・旧天上寺跡を経由し、摩耶山上へと至る青谷道がある。その途中の、摩耶行者堂の裏から、どちらも六甲全山縦走路へと抜ける『行者尾根』、『老婆谷』のマイナールートが存在する。前者の『行者尾根』は展望もよく、狭い尾根に迷いようのない明確な山道が続いている。

 前回は3年前ごろかなと思いながら行者尾根を登ったが、帰宅後に自分のサイトを見てみると5年前の12月に登っていた。その時の記憶はすでに忘却の彼方に消え去り、まるで初めて登る尾根のように感じた。「そうか、5年たつと記憶は消え去てしまうのか。次に行者尾根を登るのは5年後にしよう。」

9:54
 三ノ宮駅前から神戸市バス2系統阪急六甲行きに乗車し、青谷橋バス停で下車。青谷橋から三ノ宮駅方向に少し戻り、北側の小道に入る。(青谷橋を渡り左岸道を上流に向かうよりも分かりやすい)

 
青谷橋バス停から歩き始める

9:57
 青谷道登り口付近から名前が青谷川となる『西郷川』を遡っていくと、案内板が下がっていた。

 ハイカーが引きも切らない阪急芦屋川駅から高座の滝までなら、案内もたくさんあるし、前のハイカーについて行くだけでも迷わないが、青谷橋バス停から青谷道までは近いのに道が分かりにくく、初めてやってきたハイカーにとってはいきなりの難所となる。親切な人もいるものだ。

西郷川の青谷道案内板

摩耶登山口(青谷道)

此の道、直進し、突きあたりを左に曲がる。妙光院前を山方向に少し歩くと橋があり、渡るとすぐ登山口の坂です。

10:05
 案内板の通りに、日本で一番大きな馬頭観音菩薩像のある妙光院前を通り、西郷川に架かる摩耶橋を渡る。橋の先で登る道と下る道に別れるが、青谷道は当然ながら登る道で、案内もある。

 いつもは、数人のハイカーの姿を見かけるぐらいだが、今日は少し多いな。

西郷川に架かる摩耶橋を渡った先が青谷道登山口(仮)

10:22
 滝行場を持つ寺院や、神戸市内唯一の茶畑「静香園」を横目に見ながら通り過ぎ、「あけぼの茶屋」に到着。この一帯は毎日登山の休憩所となっている。

 でも、この先の行者茶屋跡までは簡易舗装がなされ、バイクや小型運搬車なら入ることが可能で、私にとっては登山道ではない。砂防ダム建設時の作業道としての大掛かりな整備、そして毎日登山で毎日歩く道だかとら、少しづつ良くしていこうという、小さな努力の積み重ねが、この結果を招いてしまったのかな。なんか町中の路地を、山の中に延長してしまったような、毎日登山の盛んなところほどこの傾向が強いように感じる。

「あけぼの茶屋」を通過

10:32
 赤い幟が目印の「大龍院 成田不動明王」、ここも滝行場だな。土砂で埋まった砂防ダム上流は畑になっていたりする。

「大龍院 成田不動明王」を通過


摩耶山行者道裏から始まる行者尾根

10:43
 ようやく私にとっての登山口にたどり着いた。行者茶屋跡にはベンチと、使えなくなった自動販売機が置かれた広場になっている。その横には摩耶山行者堂が建っている。

 その行者堂の左側から回り込むと、さらに奥にある滝行場へと続く道があり、その道が天狗道へと抜ける行者尾根・老婆谷ルートへと誘う道でもある。

摩耶山行者堂を左から回り込むと
行者尾根・老婆谷へと続く道がある

10:46
 行者堂の裏から、青谷の支谷沿いを行くと小橋が掛けられている。踏み板こそ木製だが、2本の桁はH型鋼で丈夫そうだ。

小橋を渡り左岸へ
赤く塗られた桁はH鋼製の丈夫な橋

 小橋を渡ってそのまま左岸を進むと、滝行場に行き着くいう。私はまだ行ったことがないが、そこから新たなるルートがあるかも知れず一度は行っておきたい。

10:48
 だが私は今日も、小橋を渡ったすぐ先の目印に従い、右側の尾根を目指し登っていく。

滝行場へと続く道から別れ行者尾根を目指す

 その目印だが、誰の仕業か知らないが、仮にこの石の持ち主であっても、これは酷い。このようなマイナールートにやってくるのは、私のような熟れきったハイカーしかいないので、こんな目印は一切必要ない。そして、ルートハンティングという自己満足をも阻害され、山登りの楽しみが減ってしまう。というわけで、マーキング類をつける行為を私は受け入れることはできない。

 まあ、わざわざ、赤ペンキと白ペンキと筆を用意してここまでやってきて、色が混ざらないように、赤色を塗り乾燥させて、次に白色を塗るという職人技は評価できないこともないが、ただ私と同じ位の悪筆なのが惜しまれる。

 
分かりやすい道案内だが
情緒が足りないな

10:54
 尾根を目指して九十九に登っていくと、数分で尾根に達する。5年前に初めて登ったときは、落ち葉が積もり土も柔らい道だったのが、今は踏みしめられた普通の山道になっている。六甲山のメジャルートに飽きた人々が、歩いているのだろうか。

 左に尾根を登ると、今日の目的の「行者尾根」、直進は「老婆谷」だ。右へ進むと青谷道に戻るのだろうが、そこまでの情熱と好奇心は持ち合わせてなく行ったことはない。

尾根越えて進むと老婆谷
今日は左折し行者尾根へ入る

10:58
 行者尾根には道がある。両側から枝が張り出した切り開きでも、踏み跡はしっかりしているのに、太い枝が張り出していて屈んでも通れないような獣道でもない。昔から人々が行き交っていた立派な道だ。

六甲山的にはマイナーなルートだが
普通に道があり普通に歩ける

 行者尾根を登り始めて早々に、下山してくる二人に出会った。そして、行者尾根の終盤に差し掛かる頃に、一人のハイカーに追い着かれ、追い越されてしまった。自分撮りさえしていなければ追い着かれることはないが、私のこの山行スタイルでは、常に追い着かれ追い越されるのは当たり前で、今回も追い着かれたことで「のあるきさんですか」と声を掛けて頂け、少しだけ話をできて嬉しかった。

11:02
 この辺までの行者尾根は到って普通の尾根で、眺めが良いわけでもなく、本当に極普通の尾根だ。

こんな感じで天狗道まで行くのかな?

11:08
 普通の尾根が展望の尾根に変り始めた。振り返ると青谷の向こうに神戸の町並みが、そして大阪湾が広がり始めた。そして登るのに手を使うほど急になってきた。

眺めがよくなってきたが、急になってきたな

11:11
 この先が行者尾根の核心部分なのだが、自分撮り写真は撮れなかった。狭い登山道の片側が思いっきり切れ落ち三脚をセットすることを躊躇させる。足でも引っ掛けようなら、カメラと三脚はバラバラになりながらカランカランと際限なく落ちていき、二度と会えない悲しい別れが待ち受けているに違いない。

 そして、ここで行者尾根の全容を公開することにより、読者の皆様が実際に歩くときの感動をスポイルしてしまうのは私の望みではないので、無理はしなかった。かつて斜面にセットした三脚を我が足で踏み潰したり、コンデジだったが三脚ごと岩場に倒してみたりと、苦い経験の積み重ねが私を慎重させている。

この先が行者尾根の核心部分だが
それは登ってみてのお楽しみ

11:18
 半身を外界にさらけ出す行者尾根の核心部を慎重に登り抜けると、岩がちな登りとなる。

 摩耶山上へと至る登山路は、黒岩尾根・山寺尾根・地蔵谷・摩耶東谷・老婆谷・天狗道・青谷道・上野道・旧摩耶道・学校林道などを始めとして数限りなく存在し、登り下りの組み合わせや季節の移ろい加味すれば、毎回初見の山に登るかのような感動が待ち受けている。

こんな感じの尾根が好きだ

11:22
 日々の燃料にするため、また建築用材とするため木々はことごとく伐られ、落ち葉も肥料とするため持ち去られ、昔の六甲山は全山が禿山だったという。まさに、人々の生活に直結する『里山』としての役割を長い年月にわたり六甲山は担ってきたのだ。

 私は『里山=緑豊かな管理された薪炭林』というイメージを抱いていたが、都市の後背地という哀れな環境においては『里山=禿山』にならざるをえない。

 それが化石燃料の普及とともに、里山としての役目を終え、深刻な水害の防止のため植林が行われ、現在の緑豊かな山々が連なる風景に変わった。植林・緑化にかかわった人々の情熱のなせる業だが、禿山になった六甲山には結構地力は残っていたようだ。そして『緑豊かな山=展望のない山』になってしまった。

 物見遊山のピクニカーの私にとって、遮るもののない展望は苦しい山登りになくてはならない、お弁当の中の赤いウインナーみたいなもので、緑豊かなピーマンばかりではモチベーションが保てない。そしてここが、そのウインナーだ。

行者尾根のゆったり寛げる好展望地が始まる

11:26
 核心部分も展望は良かったが、のんびりと眺めを楽しめる雰囲気でがなかった。その点、ここは座り込むことができて、のんびりと休憩することも可能だ。

青谷道をそのまま旧天上寺跡へと登るよりも
この行者尾根の方が何倍かは楽しい

 行者尾根は迷いそうな分かれ道もなく、登りに使っても下りでもルートを違うことなど考えられないが、どこぞの親切心溢れるお方が付けたのか、赤スプレーのマーキングがところどころの岩に残こされれている。このマイナーな尾根に入り込むようなハイカーにとっては、必要もない目障りなだけの代物だ。

誰が付けたのか赤スプレーのマーキング

11:33
 展望地を過ぎると、あとは天狗道を目指して尾根を黙々と登るのみで、ピーマンが復活する。けれども緑色のピーマンだけではなく、赤色や黄色のパプリカポイントが混じりのが楽しい。

水平道は少なく、常に登り道だ

11:39
 緩い岩場の登りだ。5年前に登った時の記憶だと、こんな岩場が現れたら直ぐに縦走路に出たような覚えがあるのだが、どうだろうか。

緩い岩場の登りがしばらく続く

11:46
 縦走路を歩くハイカーだろうか、楽しそうな話し声が聞こえてきた。ここまでに一人に追い越され、二人に出会ったが、縦走路では大勢のハイカーが行き来していることだろう。そのほとんどが新神戸駅前から布引の滝、布引貯水池、市ケ原そして天狗道を登ってきた、あるいは下るハイカーが占めているのだろうが、この行者尾根のようなルートも歩いてほしいと思う。

 大勢の人が行き来するメジャールートを誰かに連れられて歩くなら、案内板を見ることもなく「ルートハンティング?なにそれおいしいの?」感覚のお気楽ハイキングができるだろう。だが、一人でマイナールートを行くのは何かあったら、対応できるのは自分だけ。考え事をして、迷って、暗くなって、お腹がすいて、そんな時に不注意に踏み出した一歩が原因で、転んで足の骨を折って身動きできず、携帯電話で救援を呼ぼうにも無情にも圏外表示。這ってでも通話可能地点を求めて移動するも、さらに足を滑らせ谷底へまっしぐら。こんな風にして毎年何人ものハイカーが六甲山に命を落としていく。結論は「うーん、単独は駄目だな」

 ここで「マイナールートは一人で歩いてはいけません」と、大きな声で叫びたいが、一日中誰にも会わない携帯も通じない、播州の獣道のようなルートを歩く楽しさを知ってしまった私には、そんな資格はない。

ハイカーの声が聞こえてきで、縦走路はもうすぐだ


天狗道を摩耶山上へ

11:50
 出てしまいました、天狗道に。右に行くと摩耶山上、左へ行くと市ケ原から新神戸駅。振り返ると行者尾根に入る道があるが、道標は一つもなく、テープも巻かれていない。

天狗道に出てしまった

12:03
 摩耶山へと登ると左にアドベンチャールートへの分岐があり、地蔵谷からか、黒岩尾根からやってきたのかハイカーが登ってきて、分岐点では幼い子を連れたハイカーが休憩している。

 ここから右側へ下ると老婆谷なのだが、道標は老婆谷を完全に無視している。

アドベンチャールートへの分岐点

12:17
 行者尾根は「ピーマン」と「ウインナ」だったが、天狗道は例えたら「ご飯」かな。お弁当にはなくてはならない重要なものだが、代わりはパンでもケーキでも成れるというか、お弁当を開けたらおかずもご飯もサンドイッチがギュウ詰めになっていて驚いたことがあるな。

 美味しかったけど、密度がご飯の半分もないからお家に帰るころには腹ペコだったな。

 「ご飯」(天狗道)を登り詰め、摩耶山上の中継放送アンテナ群に到着。

摩耶山上に到着

 久しぶりの摩耶山掬星台、恒例のシェーを執り行う。なおGIFアニメーションを意識しての撮影のコツは、ピントもシャッタースピードも絞りも全てマニュアルで固定することだ。そしてリモコンでシャッターを切らないと、行ったり来たりで邪魔くさいので、撮影機材はデジイチしか考えられない。

 自分撮りするだけなら、コンデジの10秒セルフタイマーでもどうにでもなるが、自分撮りGIFアニメーションはデジイチでなければ絶対に成功しないと、思う。

摩耶山掬星台でシェー!!

 シェーの背景の枝葉がだいぶ揺れているのは結構な風が吹いているためで、お昼ご飯を食べるときはいつもザックに突っ込んでいるカッパの上着を取り出して着てみたが単独登山の用意周到さのお蔭で、風邪をひくこともなかった。


下山は「まやビューライン夢散歩」

 さて下山だが、「まやビューライン夢散歩」友の会の会員となっているため、摩耶山からの下山ルートは 限られてしまう。というか、友の会の会費を回収するのが今回の主目的だったりするので、下山は「まやビューライン夢散歩」一択。

 そして12月1日から3月29日までは摩耶ケーブルのリニューアル工事(車両も更新するようだ)に伴い、摩耶ロープウェイも巻き添えにしばらく運休してしまうので、動画もとってみた。

 かぶりつきを確保するため、ロープウェイもケーブルカーも1本見送り、そのうえお子様方を掻き分け最前列を確保するという、大人げない行為の末に勝ち取った撮影ポジションだったが、車内の様子は音のみという、私が思い描いていた画像とかなり違ってしまった。

 まずは「まやビューライン夢散歩」摩耶ロープウェイから

 そして「まやビューライン夢散歩」摩耶ケーブル

おしまい



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