的形ふるさと里山回廊から御着南山公園
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平成25年1月26日(土) メンバー 私だけ
山陽電車的形駅〜的形ふるさと里山回廊〜御着南山公園〜JR御着駅
的形ふるさと里山回廊
“姫路 低山”で検索すると、的形の北側の標高100mほどのピークが連なる低山の登山道が整備され、歩いたという記録を見つけた。調べていくと平成20年に地元のボランティアグループ(的形ふるさと里山会)が、登山道を整備し「的形ふるさと里山回廊」と名付けたいう。
平成16年と18年とその一部を歩いたこともあり、どのような登山道なのか、展望はどうなのかと非常に興味が湧き、歩いてきた。高坪山などの山陽電車南側は次の機会においておいて、今回は、山電的形駅から歩き始め、的形ふるさと里山回廊の未踏部分から北へ、姫路バイパスを渡り南山を越え、JR御着駅をゴールとした。
これまでは2万5千分の1地形図とコンパスだけを頼りに歩いてきたが、ついに今回の山行から文明の利器たるGPSを導入してしまった。一般的なハンディGPSではなく、iPad(Wi-Fiモデル)とGPSレシーバーを連携して使用するもので、GPSレシーバーはドイツ製のGNS1000、アプリはFieldAccess HD 地形図Viewer for iPadを使っている。
ハンディGPSとは違い画面が大きく見やすく、電子国土2万5千分の1地形図をダウンロードしておけば、インターネットに接続できない環境でも利用できる。そしてGPS専用機では当然ながらGPSにしか使えないがiPadならば無限の可能性を秘めている。
ただiPadがいささか大きく、重さも652gあるのが難点で、より小さなiPadminiのRetinaDisplayが早く出て欲しいものだ。GPSレシーバーの性能的には、空が開けていれば、道路の右か左かどちらかを識別できるほどだが、葉が茂った山道ではGPS衛星を簡単にロストするぐらいに感度はよろしくないが、十分に実用的なレベルにあると思う。
本日の一山目、坂の山110.7m(的形ふるさと里山回廊)
8:44
山陽姫路駅から15分、7駅目の的形駅に到着。普段JRしか利用しない私にとって、山陽電車の運行形態は謎だが、山陽姫路から的形駅へ行くためには阪神三宮・阪急三宮・須磨・東須磨行の普通列車か、平日限定だが阪神三宮行のS特急(6時24分発の1本のみ)に乗ればよいらしい。
なお乗降者数が1日2000人ほどの的形駅は無人駅ではあるが、トイレはある。至近のコンビニは南に200mほど歩くと国道250号線沿いにローソンがある。
8:52
改札口を出ると、姫路市的形町連合自治会設置の「的形のみどころと里山登山道」と題した案内板があり、これから登る的形ふるさと里山回廊への取付き地点がよくわかる。改札口北側の踏切を渡り、一旦西へと進む。
8:57
事前にウェブで入手しておいた案内図を見ながら住宅地を行くと、要所要所に的形ふるさと里山会による登山口への案内が掲げられている。
8:59
案内図と案内版に従い北へ進んでいくと右に柳池公園、正面には標高110.7mの「坂の山」が見える。坂の山の頂上周りは木々が切り払われているようだ。
9:02
ここが案内図上での「坂の山東登山口」だ。常識的には、もっと山際の、ここから山だよというところを登山口と呼ぶのだろうが、的形ふるさと里山回廊では、まだ住宅地の中の登山口に続く道の入り口を「登山口」としている。「坂の山登山口←的形ふるさと里山会」、「坂の山 東登山口←」、「A:坂の山 東登山口 的形ふるさと里山会」と3枚の案内板があり、登山口のシンボルとなっているのか小さめなトーテムポールが守り神として鎮座している。
9:07
登山口を過ぎてさらに進むと、ようやく山裾に着いた。左手に空き地があるが「私有地につき 立入禁止 旦(ママ)し、墓参の方 特にお年寄り足の悪い方はご自由にどうぞ」とあり、ハイカー用のものではない。
自家用車でやってきて駐車場所探しに煩わされるよりも、こういう住宅地近郊の山々を訪れるときは公共交通機関を利用してほうが便利だ。そして出発地点(駐車場所)に戻らざるを得ないという制約からも逃れられるのが、私が公共交通機関を使う一番の理由だ。
9:10
「この先幅員狭し 車は通れない」や「マムシに注意 落ち葉、草むらに注意して、できるだけ登山道の真ん中を歩きましょう! 的形ふるさと里山会」の警告・注意喚起案内板に見送られて坂の山に入ると、頂上方向には向かわず、東へ東へと山裾を進んでいく。真竹林の中をよく整備された山道がの延びている。
9:15
「A坂の山、大鳥分岐 火の用心」、「←坂の山 大鳥→」の案内板、「マムシに注意 落ち葉、草むらに注意して、できるだけ登山道の真ん中を歩きましょう! 的形ふるさと里山会」の注意喚起案内板の立つ分岐点。正面は峠を越えて大鳥へ、左が坂の山頂上方向だ。
ここに来るまでに地元の人2人に追い越され(別に私の足が遅いわけではなく、自分撮りを数分ごとに行えば誰よりも遅くなるのは当然で、普通に歩けば誰にも追い越されることはないのではないかと、心の中では思っている)、ここにもバイクが1台止まっていて、地元の人々がよく利用しているようだ。
9:20
標高110.7mの山と呼ぶのか丘と呼べばよいのか判断に迷うような超低山といえども、登りが緩いわけではない。ただその距離が短いだけであって、一歩一歩のきつさには変わりがない。“千里の道も一歩から”高山へ登る一歩も、超低山に登る一歩も、その一歩の価値は同じだ。
山道はよく手入れされていて、登り坂にはもれなく階段道となっている。それもよくある規格丸太階段の一段が20pもあるものでなく、適度な段差の足に優しいものだ。
9:24
徐々に高度を上げ、振り返ると東側の大塩の街並みが見え、その先には日笠山の山並みが連なっている。
9:27
坂の山、大鳥分岐から本格的な山登りになったが、10分も登ると緩やかになり、そして水平道になり、坂の山頂上はもう直ぐだ。
9:29
的形駅を出発してから40分ほどで坂の山の頂上に到着。「坂の山 頂上 110.7m 火の用心」の表示があり、追い越して行った二人連れは仲良く並んでベンチに座り休憩中(私よりも年上の男性二人でした)。
これぐらいの高さの方が麓の様子がよくわかり、的形の街並みの先には播磨灘が広がり良い眺め。熱心な地元篤志家とか、登山サークルが整備している低山や里山にありがちな、何でもありのパラダイスが展開しているかと思って登ってきたが、ここの常設物はベンチとテーブルぐらいしかない。それも手作り感の感じられないクールな造形のもの。自然の中では手近な材料で作られた手作り感あふれるものの方が似合うと思いがちだが、私の思うに自然の中にこそクールなものが望ましいと思う。
頂上には次のような案内板があった。先行者二人とデジカメの話から始まりとりとめもない話をしたが、気温が低く風も強く体が冷えてきてしまったが、話の腰を折るわけにもいかず、寒かった。
里山登山道整備事業
この事業は、町民の皆さまや近隣の方々に里山を親しんでもらい、健康づくり・体力づくりの一環として広く利用していただけることを目的といたしました。
平成18年、連合自治会長の豊田昌伸氏により里山の再生計画が始動されました。これに賛同した20余名が「的形ふるさと里山会」を発足。眺望の確保や登山道の整備及び植栽等、里山の保持・管理を行っています。
この自然豊かな里山が、憩い、交流の場として多くの方々に広く活用していただけることを願っております。この案内板は、緑の募金により整備しました。
平成22年8月1日 的形ふるさと里山会
二山目、大日山 107.4m(的形ふるさと里山回廊)
9:50
二人連れがようやく腰を上げ西へ下山していったので、私も後を追い、西へ大日山方向へと下りることにする。
9:52
坂の山から大日山までは緩やかなアップダウンが続き、快適な山歩きが楽しめる。強い風も周囲の木々に遮られ、寒くない。
9:55
「←大日山 ↓地 坂の山→」の道標がある分岐点だ。だがこの分岐点は案内図には存在せず、おそらく最近開かれたコースと思う。当然ながら、ここは大日山目指して直進する。
9:57
「バベトンネル」と名付けられたポイントだ。バベとはウバメガシのことで、そういえば六甲山の鉄拐山から高倉台までの間にもウバメガシの純林があって、この木を焼いた炭が備長炭になるという解説板があったのを思い出した。
9:59
「←大日山 ↓地 大鳥→」の道標のある、案内図にも記載されている大日山・地・大鳥分岐に出た。地・大鳥方向は浅い切り通しになっていて、坂の山と大日山方向は少しずれていて、T字路二つの組み合わせになっている。まずは南の地方向へ少し進み、すぐに西へ大日山方向へと曲がる。
10:04
このトラロープは何を意味しているのだろう。別段急傾斜ではないし、道が突然曲がっているわけでもなく、道は明確だし、不思議だ。おそらく道からそれることを防ぐためだと思うが、必要ないと思う。
10:07
またまた分岐だ。案内図では名無しの分岐になっているが、道標は二つ合わせて「←大日山 ↓地 坂の山・大鳥→」となっている。
10:09
大日山頂上に到着。ここには誰もいない。
「D大日山頂上 107.4m 的形ふるさと里山会」の表示があり、しっかりした東屋が設けられ、テーブルとベンチが置かれている。
ここも南側が伐り払われていて、坂の山頂上と同じような展望だ。
またここにも案内板があり、設置は坂の山のものよりも9か月遅く、アサヒビールに寄せられた寄付金が登山道の整備、東屋の建築に活用されているとしている。その案内板の裏には的形ふるさと里山会の会員26名の氏名が表示されているが、その全てが男性なのが解せない。正会員は男性しかなれないとかいう今時ではない会則があったりするのかもしれない。
里山登山道の整備と樹木の保全事業
この事業は、多くの皆さんに里山を親しんでもらい、健康づくり・体力づくり・コミュニティづくりの一環として広く利用していただけるよう、社団法人兵庫県緑化推進協会の「緑の募金」を活用し森林ボランティア活動支援公募事業として、坂の山・大日山の登山道整備、東屋の建築、樹木の保全を行いました。
この事業で活用した「緑の募金」はアサヒビール株式会社の「うまい!を明日へ!プロジェクト」によってお寄せいただいた寄付金から成り立っています。
ことを目的といたしました。
平成23年5月1日
的形ふるさと里山会
次は烏谷山111mだが、どこだったのかな(関西電力送電線巡視路)
10:16
眺めがよいところは風が強く、あまり長居はできない。ここから南へ下ると「地・塞の神」、私は西へ「青の山・湊神社」方向へ下る。
10:19
それなりに急なところもあるが、階段道が手堅く整備されていて快適に下る。
10:22
道端に丸いコンクリート枠があり、中に溜まった水が凍っている。枠は薄く鉄筋も入ってないし、元はどんな形でどのような用途だったのだろうか。これまでにも山中で用途のわからない構造物をときどき見かけるが、これの用途は想像もつかない。
10:25
「青の山・湊神社分岐」に降り立った。道標は「←ネオポリス・湊神社 ↓大日山 青の山→」となっている。ここまでしっかりした道標があり、進路に迷うことは全くなかった。そしてその道標も、木にきつく括り付けたり、はたまた釘で打ち付けたり、木ネジでねじ込んだりと、見るに堪えないものが多い中で、この的形ふるさと里山回廊のものは、その全てが自立式の支柱をもつもので、道標のお手本のようなものだ。ただ支柱に使われている穴あきアングル材は、少しばかり見栄えが悪いというか、もっとクールな周囲の雰囲気にマッチしたものだったらなおよいと思う。
10:28
青の山・湊神社分岐から青の山方向へ少し進むと背丈の高い笹の中のT字路に突き当たった。案内図では、ここは単に南側に進路を変更するように表されている。道標は「←青の山・下坂 ↓湊神社 見野→」となっている。
この分岐点から北側は的形ふるさと里山回廊の範囲外となるが、関西電力の高圧線巡視路となっているのだ、さらに快適な山行が保障されている。
10:31
写真では落ち葉に覆われ分かりにくいが、関西電力送電線巡視路の証したるプラ階段が打ち込まれている。
ネットで調べてみると踏み段1個と杭2本のセットで1,900円もするが、大量購入すれば半値八掛け二割引きの600円、いやもっと安くなっているんだろうな。
10:34
それなりの登りが続くが、次の烏谷山は標高111mしかない。烏谷山を越せば快適な稜線歩きが待っているはずで、もう一頑張りだ。
10:36
姫二火力線18送電線鉄塔に到着。この送電線は名前の通りに姫路第二火力発電所を源としているので、鉄塔銘板は若番側(発電所側)から見て左手前のB脚に取付けられている。姫路バイパス南側の大鳥山89mに立つ送電線鉄塔は、以前に登った時の記録から姫二火力線22になるので、この先は22を目指せば脇道にそれることはない。
姫路第二火力発電所は現在機器更新中で、1,600℃級コンバインドサイクル発電設備6台の全てが2015年6月に営業運転を開始すれば総発電量291.9万kWとなる。でも今は1号機のみの試運転中なので通電されていないかもしれないが、登って触って確かめるのは遠慮したい。
10:38
この辺の右側が烏谷山111mの頂上かな。情熱的なピークハンターなら無理やり藪を掻き分けてでも行くだろうが、三角点標石が待っているわけでもなし、私はそれほどの変態でもないし、ちらと横目で見て通り過ぎるのみ。
申山91m、天日山、引入谷山、そして大鳥山89mへ(送電線巡視路)
10:43
稜線上は緩やかな起伏が続くが、眺めはさっぱりだ。ただこの私の右手は不自然な平坦地があり、その昔は山城でもあったのではないかと思うが、兵庫県遺跡データベースで調べてみても記載されていない。
10:46
道端右側に、周囲が石積みの円形の穴があり、近くに小穴がある。古墳かなとも思ったが石積みの石は小さく古墳らしくないし、炭焼窯跡かなと思ったが、近くに水利がない場所で炭焼きをしたとも思えないし、これも謎の遺跡だ。
10:52
謎の石積み穴のところで道が左右に分かれている。左に行くとちょっとした眺めの良いピークから西へ下る道があり、右へ行くとその先は下りになるが、稜線をたどり姫路バイパスへと続く道だ。
10:55
道が左右に分かれる分岐点には、赤く塗られた矢印型の道標が立っている。「火の用心」と数字しか書かれていない、どこへ続く道なのかさっぱり分からない、知らな人が見たら誠に不親切なものだ。だがこの不親切なのは関西電力送電線巡視路標識で、正しく読み取れないと里山歩きはままならない。
ここの場合、やってきた道方向は19、右は20、左は21と書かれていて、その番号は送電線鉄塔の番号になっている。私は若番から老番へと進み22を目指せばよいのだから、ここは左の21へ進むのが正解で、右の20へ進むとその先は姫二火力線20が待っているだけで行き止まりになっている。
また標識をよく見ると18方向には「的形→」と、20方向には「←」と手書きで書き加えられているし、周囲の木々にマーキングの薄赤のビニール紐が結わえれてているのに気づくだろう。
10:59
西側方向に下る道に「休憩小屋へ→」の新しそうな道標があり、送電線巡視路標識は北は20、南は19となっている。
休憩小屋がどのようなものか解明したい気持ちあるが、まだまだ先は長く道草は食えない。ここは好奇心をぐっと抑え目的地へと直進する。
11:01
姫二火力線はこの山塊に沿って南北に延びているが、この送電線鉄塔の「飾磨港加古川線」は東西に横断するものだ。
11:03
ちょこんと飛び出した岩に階段が取付けられている。ここに登ったら眺めがよいですよと誘っているようにみえる。岩の上からは正面は姫路バイパスが東西に横切り、その先には小富士山と仁寿山が見える。
さっきの道標「休憩小屋へ→」といい、この機械加工された部材からなる階段といい、どこかの組織がハイキングコースにしようとしているのは明らかだが、ウェブで調べてみても何も出てこない。やはり一度は休憩小屋を訪ねる必要があるな。
11:06
この鞍部は十字路で東西へ下る分岐がり、道標もあった。だが道標には「ヘソ岩→」の表示しかなくて、残念ながらどこに下るのか分からない。
送電線巡視路標識は「火の用心 ←飾磨28 ↑飾磨27 飾磨26→」と「火の用心 ←姫二20」の2本が立っている。そして総務省消防庁と日本防火研究普及協会による、「ウサギとリスとタヌキとカラスが協力して煙草の吸殻から発生した山火事をバケツの水をかけて消そうとしているが、なんか負け戦の雰囲気が漂う山火事予防のポスター」が掲示されている。そう都合よく山の中に水の入ったバケツがあるはずはなく、変なポスターだな。
ここから先は、ほとんど袋小路状状態で、眺めのよい展望ポイントもないし、ここで西へ下るのが最も的確な判断だ。本当にこの先に進んでも、大したものはない。
11:11
申山91mへの登りだ。小さく登って小さく下りてを何度も何度も繰り返し、同じような風景でなんか飽きてきたな。
11;12
この辺りが申山91mの頂上近くだと思われる分岐点。巡視路標識は「火の用心 ←21 ↓19 20→」となっていて、西へ行くと送電線鉄塔19がありそうだが、山歩き業界で言うところの「行って来い」の行った道を引き返すだけだ。
11:18
さすが関西電力送電線巡視路の名に相応しい、広々としたよい道だな。送電線に異常のある時にはいち早く駆けつけるためのに、定期的に枝払い草刈りが行われ、送電線の付属物というよりも電気は流れていないが送電線そのものだ。
11:20
「山火事防止 飾磨消防署」の丸看板がある、T字路に突き当たってしまった。道標はなく右へ進めばよいのか左へ進めばよいのか迷うところだが、右方向は狭く、路面にシダが少々生え、見るからにみすぼらしいく、ここは何も考えず迷わず左へ進むのが正解だ。
11:23
またまた今度は左への分かれ道があるが、これも送電線鉄塔21の「行って来い」だな。よほど送電線鉄塔に興味があるなら行けばよいが、紅白に塗られた中空鋼管を用いたパイプ鉄塔が立っているだけで、そこが天日山の頂上のようだが、周囲を木々に囲まれ展望はない。
11:27
「しばらく緩やかな道が続く。木々に囲まれ、展望はなく、ただ黙々と歩くのみ。」という雰囲気を伝えるため、そのなにもない道だけの写真を撮ってネットで公開しても、本当になにもない道だけの見る価値のない写真にしかならない。
だがその写真に私が映り込むことによって、臨場感が十倍にも百倍にもなる。山歩きの記録を公開しているサイトは数々あるが、そのほとんどは風景だけの写真で人がいない。確かに単独山行で自分撮りしながら登ったり下りたりするのはめんどくさい。いちいち三脚を立て。カメラをセットし、自分の立ち位置を考えながら構図を決め、そしてカメラの前に立ちポーズを決め、そして赤外線リモコンでシャッターを切る。カメラまで戻り撮影結果に満足したら終了、不満足ならもう一度。
確かにめんどくさく、ネットに自分の姿を晒すのをためらう人も多いだろう。でも自分撮りのよる臨場感の向上を知ってしまうともうやめられない。そして、自分の姿を晒すついでに本名もさりげなくサイトに載せておくと、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などのマスメディアからの出演依頼や掲載・資料提供依頼が来やすくなったりもする。
11:31
広々とした稜線で、どこか郊外の野山を歩いているような風景で、事実見た目はその通りなのだが、残念ながら姫路バイパスを疾走する車からの騒音がだいぶ前から響いている。
11:34
姫路バイパス南側での最後の分岐点だ。巡視路標識は「火の用心 ←23(車へ) ↑22 21↓」なっていて、姫路バイパス北側に立つ送電線鉄塔に行くなら、ここから西へ下れと言っている。でも私は直進しバイパス南側の送電線鉄塔22を目指し直進する。
11:37
フェンスに囲まれた姫二火力線22送電線鉄塔の立つ大鳥山89m頂上に到着。
11:40
姫路バイパスで切り裂かれた切り通しの法面には、南北とも急な鉄階段が設けられている。その下り口まで藪以外の人口の障害物がなければその階段を下りてしまおうという計画の元、鉄塔のフェンスを回り込み裏側から藪に突入。
11:49
季節がら藪の強度は低くすんなりと進めたが、心配していた事態に陥ってしまった。有刺鉄線が張られたフェンスに行く手を阻まれてしまったのだ。よくある鹿除けフェンスでもないので、右に行っても、左に行っても切れ目はない。これが自然界の有刺鉄線たるイバラならば難なく通り抜けることもできるが、明確に「お前は入っちゃダメ」と宣言している。そして有刺鉄線の間隔は狭いし、「お前なんか通さないぞ」と棘を尖らしている。
「よし次は忘れずにペンチを持ってこよう」などという不届きなことはこれっぽちも思わず、順法精神が誰よりも高い私は素直に引き返すことにした。そういえば昔々の千葉動労の順法闘争を思い出したが、あれは今でいうところの企業コンプライアンスの走りだったのかな。そんな記憶からか、企業コンプライアンスいうと、なんか胡散臭いまがい物の臭いがしてならない。
姫路バイパスを横切る(非推奨ルート)
11:52
という分で姫路バイパスへ直接下りることはできず、姫二火力線22から引き返す。
11:54
「火の用心 ←23(車へ)」の送電線巡視路標識に従い稜線から離れ、西側に下ることにするが、この先に問題が待ち受けているは分かっている。その解決方法も分かっているので私は下りていくが、読者の皆様方におかれましては、この先の私の行いを真似しないでほしい。
11:55
送電線巡視路は真っ直ぐに下っている。こんなにも真っ直ぐにしなくても、少しはジグザグにしてもよさそうなものだが、借り受けた敷地の幅が狭かったのか、真っ直ぐにしても送電線巡視路としての最大斜度基準以内だったのか、こんなところでつまずいたら麓まで一気に転がり落ちそうだな。
11:58
一気に50mほどの急降下はもうすぐお終いだが、問題が発生。私のポーズが3分前のと全く同じではないか。もっと自然に歩いているような雰囲気を醸し出すいろいろなポーズの研究が必要だ。
12:03
車の解体工場?の脇に下り立ったが、工場敷地内を通る分けにもいかないし、看板の方へと進む。
12:08
フェンスが私の行く手を遮っているが、立入禁止なのはフェンスの内側なのだろうか外側なのだろうか。幸いにも意地悪な有刺鉄線フェンスではなく、簡単に乗り越えられる高さ構造なので事なきを得たが、もう少し高かったら下ってきた道を登り返さねばならなかったな。
12:11
看板近くの一番目のフェンスを乗り越えると、姫路バイパスの側道脇に第二のフェンスが待ち構えていた。幸いにも力強い先行者がいたのか、はたまたここに突っ込んだ車でもあったのか、フェンスの下が人が通れるぐらいに押し広げられている。
思うに、この側道脇のフェンスと、看板近くのフェンスの間の10mほどだけが立入禁止区画ではないかと思う。
12:15
姫路バイパスを越えるるため、陸橋の方へ向かうが、姫路バイパスを下りてきた車が結構な速さで走り抜けて行くので自分撮りをしていると少し怖かった。て、こんなところで不審な行動をしている私の方が運転者にとっては怖かったりして。
12:18
下りたかったのはこの鉄階段だけれど、登り口は完璧にフェンスの中だし、ここから登るのも無理だな。
12:20
そしてこっちは切り通し北側の鉄階段の登り口。どう見てもこっちも階段はフェンスの中だな。
12:23
陸橋を渡ってから少し西側に進み、北側の工場?との間の道に入っていくと「火の用心」の送電線巡視路標識があり、そこから山に取付く。
12:25
今回の山行中の一番の急傾斜だな。しんどいな。足元は滑りやすいし、この急傾斜ならプラ階段適応だと思うが、土が硬すぎて杭が打ち込めなかったのかな。
12:32
10分もかからずに尾根にたどり着いた。お昼も過ぎたし、そろそろお昼ご飯にしなければと、強い風を防げそうな南側の姫二火力線23送電線鉄塔へ行ってみよう。
12:33
姫二火力線23送電線鉄塔は、紅白のパイプ鉄塔だ。姫路バイパスを挟んだ南側の22はフェンスに囲まれていたが、ここは開放的だ。南側の木々が風を遮り、何とか食事ができそうだ。
お昼ご飯は、いつものコンビニ仕込みのセブンイレブンおにぎり&いなりセット395円と
同じくセブンイレブンふんわりベーコンマヨロール125円。
姫路特別地域気象観測所での12時の気温は6.0℃、風は西南西5.1mと、鉄塔敷は日当たり良好なので風さえなければ過ごしやすいのだが、ちょっと寒い。
上を見上げるとちょうど結界の中心。あれこの鉄塔の送電線は十字路になってるんだ。
うーん、なんかコメントが短くなってきたな。同じような景色を見ながらの山歩きも4時間がたち、おまけにこのルートは二回、いや三回目だったかな。何を見ても目新しいものはないし感動もへったくれもないし、ルートを違えて道迷いというイベントも起こしようがないし、こんな山域なのでふるさと里山回廊で出会った4人以外は猫の子一匹見かけないし、きれいな花どころか何も咲いてないし、なんか山歩きに飽きてきたな。それと一緒で、長い長い山行記録を綴るのも飽きてきたな。
今回のはファイル総容量が11MBにも及ぶ大作になってしまったが、なんでこんな長くなってしまったのだろう。自宅のインターネット環境がフロッピーディスク1枚分が10分もかかるダイヤルアップ、そしてADSLを経て今は容量など気にすることもない光となった。通信速度の向上とともに画像の使用枚数は増えるし、画像サイズも大きくなってきた。このまま突き進むと、文章はなくなり全編が音声付きの動画になってしまうのだろと想像する。
そうか画像ばかりで文章量が少ないのは、未来志向のクールなサイトの先取りと言えるのかもしれない。私みたいに、どうせ画像だけをさーっと見て、文章など読まない方々がほとんどと思いながら綴っているので、なんか文章作成に熱がこもらないが、未来志向の先取りと、さらにコメントを短くしていこう。そうすれば山に登ってから記録をアップするまでに1か月もかけずに済むし。
南山166.8m(関西電力送電線巡視路)
12:59
昼食を摂っているうちに体が冷え切ってきたので、お尻から生えてきた根っこを引っこ抜き、山行を再開する。うんしょ。
13:01
これぞ関西電力送電線巡視路だ。両側から道を押し潰そうとする植物の圧力に屈せず、我が道を貫くその性根の爪の垢を煎じて私が飲みたいくらいだ。で、この道を1年間に何人の人が通るのだろうか。もしかすると過疎地に通された高速道路よりも費用対効果は悪いのではないだろうか。
13:04
まだまだ続くぞ送電線巡視路。風景は見えないが、私のとっては十二分に雰囲気のよい道で、このような道を歩くために山歩きをしていると言っても過言ではない。でも、いくら歩いてもこんな風景が続いたら飽きるだろう。
13:11
雰囲気が暗いけど関西電力送電線巡視路だ。道が樹木に覆われ日が差しこんでいないのか、はたまたお日様が雲に隠れているのか、同じような道なのに光によってこうも印象が変わるとは。
13:16
道が尾根の中心から西に外れたのか、外界が見えるようになった。
13:19
行く手に送電線鉄塔が2本見えてきたが、これらはここまでの道案内役を担ってきた「姫二火力線」ではなく、手前が「姫路火力東線」、奥側が「姫一火力線」だ。
13:24
上空を横切るのは電圧27.5万Vの姫路火力東線で、姫路第二発電所で発電され電気を新加古川変電所へとへ送電している。ちなみに姫二火力線は同じく姫路第二発電所から新生駒変電所へ送電している。
13:27
姫一火力線、姫二火力線、姫東路火力線と3系統の送電線が南北に貫き、巨大な送電線鉄塔がそこかしこに立ち並ぶ南山は、送電線マニアにとっては天国のようなところだ。その送電線鉄塔のすべては周囲を取り囲む無粋なフェンスはなく、そして人目はなく、送電線鉄塔に憑りつかれた倒錯者にとって、送電線鉄塔を撫で擦り、頬ずりすることも、抱きしめることも、添い寝することさえもできる聖地だ。
「そんなことをするのは、あんただけだよ」と言われそうだが、私はごく正常な倒錯者で、ボルトを緩めて送電線鉄塔を虐めたりしないぞ。
南山166.8m(御着南山公園)そしてJR御着駅へ
13:33
道端に三等三角点標石(点名:南山)があるだけで、展望皆無のどこが南山の頂上だという、行っても面白くない「南山頂上」への分岐点を通り越し、数分で「御着南山公園」の展望広場に到着。
草生した広場に東屋やベンチ、そして案内板があるが、作ったら作りぱなしの見本のような、とてもじゃないがここが姫路市民の憩いの場とは口が裂けても言えず、ここにいること自体が恥ずかしくなってくる。
開園当初は、展望を妨げる木々はことごとく伐り払われいて、美しい姫路市街地の夜景を求める恋人たちが、ベンチで愛を語らう順番を行列を作って待っていたこともあったかもしれないが、いまは木々が生い茂り展望というよりも点望になっている。
御着南山公園の案内図もあるが、風雨に晒されただけでここまでも劣化するものだろうかと、信じられない様相を示している。たくさんの古い案内板を見てきたが、ここまで酷いのはなかった。
13:43
10分ほど展望広場で休憩し、下山開始。さすがに公設公園だけあり、誰も手入れすることもなく長い年月を経た今でも、擬木の階段道はしっかりしている。
13:47
刈り取られたような笹が、春になり勢いを盛り返したらどこが道か分からなくなりそうだが、最低限の整備は継続されているものと思われる。火力線のような大層なものではないが、南山北麓の鉄工団地への可愛らしい送電線(鉄工団地線)が通っていて、御着南山公園の遊歩道は送電線巡視路も兼ねているのだ。
13:50
この下にある解説板に「頂上尾根部には牛岩と呼ばれる岩があり」とあるが、この大岩が牛岩なのだろうか。岩の上からは北側の桶据・高御位山系の眺めがよい。
13:52
背中合わせにもう一つの岩があり、こちらからは姫路市街方向を見渡せる。この二つの岩のどちらかが牛岩と思わるれるが、二つ合わせて牛岩のかもしれないな。昔の人に聞いたら「こまけぇこたぁいいんだよ!!」と一喝されるだろうな。
13:56
牛岩?から下る道は真っ直ぐだ。この真っ直ぐな道も地面は見えず、刈り取られた笹の間に、30p幅ほどだけ笹の葉が積もった帯があるだけで、手入れする直前には前も見えないぐらいの笹原になってしまうのだろうか。
10:59
真っ直ぐな道から「←休憩所」の案内に誘われて、もう一つの展望広場へ行く。ここにも6本柱の東屋があるが、誰も利用する者はなく、ゴミは落ちてないし落書きも少ない。眺めはまずまずだが、牛岩からの素晴らしい眺望を愛でてきたばかりなので感動はなかった。
東屋の先に、この山についての解説板があり、火山、神楽山、桶山、南山とも呼ばれていることがわかる。この解説板は平成15年に設けられ、以来10年の年月を風雨に晒され続けているが、くっきりはっきりとしていて、古さは全くない。上部展望広場にあった、かすれて用をなさなくなった御着南山公園案内図がこれよりも古いものだと考えられるが、その差はどのような原因から生じたのだろか。やっぱり職人の腕・経験の差なのだろうか。
火山(ひのやま)
神楽山・桶山・南山ともいう。標高166.8m。山名の由来は宝暦12年(1762)の『播磨鑑』には神功皇后が麻生山で天神地祇を祭った祭、この山に神火をかかげたことから「火山」または「神楽山」と名付けられたという伝説を載せる。頂上尾根部には牛岩と呼ばれる岩があり、この山より牛堂山国分寺に黒牛が現れたという伝説も載せ、国分寺の山号の由来を伝える。火山と麻生山は国分寺の境内だったという。
また火山の名称から天智3年(664)以後設置され、律令(軍防令)にも規定される「烽(ほう)」の置かれた山という説もある。
天正7年(1579)に羽柴秀吉はこの山に布陣して西北にある御着城(城主は小寺政職)を攻めたが一旦敗北し、南東の引入谷(現的形町大鳥)に退いた後、総攻撃をかけて落城させたという。平成15年2月 姫路市教育委員会
14:02
私の右横に映り込んでいる影は、まさにこの写真を撮っているカメラと三脚のもので、失敗写真だ。撮った後に液晶画面で失敗を確認できたが、もうすぐ今日の山行はお終いになるし、撮り直すのもめんどくさい。
南山の北麓を横切るのは、山陽新幹線で開通したのは昭和47年(1972年)で、今年で築41年となる。その新幹線高架の北側を並走する山陽本線は、明治21年(1889年)に開通し今年で124年になる。山陽本線はあと100年経てもそのままの姿でい続けるだろうが、海砂問題を抱える山陽新幹線の高架の寿命はその前に尽きるのは間違いない。そして耐震補強の鋼板が巻き付けられた内側は、点検のしようがない。
14:06
植えられてから長い年月が経つのに、手入れもせず、いじけた桜並木の中を遊歩道が延びている。姫路市の公園行政は、造成したその後は基本ほったらかしで、この公園のように利用者がいない、当然苦情を言う人もいない公園は、その存在自体を忘れてしまうのか。
桜の木を支えていた添え木が焦げている。そういえば南山で山火事があったというニュースを見たことがあったな。その時、桜の木も焼けたはずで、このいじけた桜の木はひこばえなんだろうな。
14:10
いよいよ麓が近づいてきて、この山行はもうすぐお終いだ。これで南山を歩くのは4回目となり、普通なら次はないと思うが、そんなに遠くない先にまた登っていそうな気もする。
14:14
登山口の直ぐ上に案内板があるが、白地になってしまっている。一体どうしたらここまで消え去ってしまうのだろうか。それともこの上に貼ってあった何かが脱落したのだろうか。
14:16
鉄工団地内の登山口に下り立った。場所は「姫路工業団地」と赤文字の大きな看板を載せた2階建ての建物から南に入ったところで、的形ふるさと回廊に足を踏み入れてから5時間と少し、姫路市内の低山をつなぐ長い長い山歩きがようやく終わった。
登山口には「御着南山公園」の表札と、姫路中央ライオンズクラブと姫路東消防署による「山 防止」の看板がある。「山 防止」はもともとは「山火事防止」なのだろうが、南山は、どのような表示板でも駄目にしてしまう魔力を潜めている恐ろしい山だ。
14:26
登山口から10分ほどでJR御着駅に到着し、長い長い山行記録もこれでお終いだ。でも駅に着く少し前に下り列車が行ってしまったので、寒い駅で25分待つことないなった。
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