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たつの市の善定山393.7m



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平成26年3月8日(土) メンバー 私だけ

新宮町の大屋集落〜△393.7m〜送電線鉄塔播磨線32〜兵庫県森と緑の公社が管理する林道〜善定と二柏野(ふたつがいの)を結ぶ峠越え林道〜大屋集落


善定山は高倉山の南

 JR姫新線播磨新宮駅の北西に、地形図に山名が載っている高倉山427.1mがあり、その南向かいにJR姫新線と国道179号線、そして栗栖川を挟んで位置するのが、393.7m三角点のある善定山だ。

善定山の雄姿
頂上のように見えるのは274m標高点ピーク

 …中略…そいでもって善定山を歩いてきたのだが、GPSのログがあまりにもひどすぎた。落葉高木は葉を落としていたが、その下の常緑低木の葉っぱが邪魔をしたのか、林道歩き以外はまともに取れていない。

 使用したGPSレシーバはドイツ製のGNS1000 MFI GPS Bluetooth Receiverで、ログ自体はBluetoothを経由してiPadで記録するもので、カーナビや街歩きに使う分には申し分ない感度と精度を持つのだが、山歩きには向いていないことが明らかになった。

 後継機にGNS2000というのがあり、iPad以外にもAndroid端末にも対応し、そのうえGLONASS(ロシア版GPS)やQZSS(日本版GPS)も受信できるMTK3333というGPSチップを使っていて、単独でもログを取れるという優れものらしいが、感度・精度は向上しているのかは私にはわからない。

1回目(3月8日)の山行図
iPad+GPSレシーバーGNS1000+FieldAccess HD

 急遽、台湾製のGT-730FL-SというGPSロガーを入手し、1週間後にもう一度、全く同じルートで歩いてきた。リアルタイムでiPadを用いて現在地そしてログを見ることが出来るGNS1000と違い、GT-730FL-Sは内部でGPSログを記録するだけで、帰宅後にパソコンに取り込まなければログを見ることはできない。機械は分かっているのに、使用者は現在位置を知ることはできず、迷子製造機かもしれない。

 それでも取れたログは素晴らしいの一語。数千円しかしないのに、ここまで正確に記録できるかとは信じられない感度と精度を持っていた。ただしGT-730FL-Sは癖のある機器で、ネットで情報を集めなければ使いこなせないどころか、パソコンに接続してログを見ること自体が非常に難しく、現状の付属CDだけでは一兆人中一兆人が根を上げるレベルだ。

 でも世の中には親切な方々がいる。東京の秋葉原に、私が40年ほど前に買い物をした記憶がある秋月電子通商という老舗があり、そこのHPが一番役に立ち、入手早々に付属ソフトでGoogle Mapが表示できなくなったが、回避するソフトの入手先を知り事無きを得た。

要iPadだがカーナビ・街歩き向き→   ←これだけで山歩きの記録がとれる

 アマゾンではF-GFL100やFS-GFLD100やGT-730FLなどいろいろな商品名で売られているが、どれも同じ商品GT-730FL-Sなのだ。だが、途中から内臓GPSチップがVenus6からSIRF-IVに代わっていたりするので、商品名は色々だが中身は一緒、でも中身が変わっても商品名は同じという、日本では考えられない台湾製らしさが溢れているものだ。

 なお、GT-730FL-Sは販売終了間近のようで、後継機のGT-740FLというのが売り出されている。でも中身は730末期のGPSチップと同じSIRF-IVを用いているので、感度・精度は変わらないと思う。

GNS1000の後継機→   ←GT-730FL-Sの後継機

1週間後に再度歩いた山行図 by GPSロガーGT-730FL-S

 以上のようにGT-730FL-Sは山歩きの後の記録整理には役立つが、歩いている最中には何の役にも立たない。まあ、山登りにノートパソコンでも持ち込めば、GT-730FL-Sを接続してリアルタイムで現在地を知ることはできる。でも、そんなことを考えるよりは、地図表示ができるハンディGPSを入手するというのが普通の考えだろうな。


善定山の東端から登り274m標高点ピークへ

 公共交通機関を使うなら、播磨新宮駅までJR姫新線、そして神姫バスSPring8行きで少し手前の平野バス停まで、土曜・日曜なら7時42分に着く。ほとんどの人は自家用車を利用すると思うが、その場合は林道ゲート付近に駐車可能だ。

7:58
 善定山の一番東の山裾に山に入れそうな所があり、妻その1にそこまで送ってもらった。大屋集落北の、レンコン池と道路路を挟んで、何のためにコンクリートブロックを積んだのだか分からないが、そこから入ってみる。

善定山の東端から山に入る

8:06
 しかしながら、すぐに乗り越えられない、下も潜り抜けられない鹿柵に阻まれてしまった。最初は柵沿いに右に行くも急斜面と藪に阻まれて、次に左へ50mもいくと、民家の裏に鹿柵の出入り口を見つけた。

最初の侵入口より左に50mほど進むと
民家の裏に出入り口があった

8:11
 鹿柵の中に入った入ったはよいが、踏み跡もなく何もなく、適当に雑木の急斜面を登っていく。これだけ形の整っている尾根だもの、その内に道などと贅沢は言わないが、切り開き・獣道ぐらい現れるだろう。

雑木の急斜面を適当に登る

8:16
 予想外なことに幅が2mほどもある道が現れた。でも残念ながらこの道は、尾根の先端に向けて緩やかに登っていくが、尾根の反対側に回ることもなく消えてしまった。

幅2mほどの道が現れたが、尾根の先端で消えてしまった

8:22
 雑木の急斜面登りから、短い道歩きを経て、雑木の急な尾根登りに変わったが、明らかに人為的に切り開かれた道が、九十九に付けられている。

 自然に生じた木々の隙間が、私の眼にはそんな風に見えただけかもしれない。

尾根には人が通れる隙間があった

8:27
 急な雑木林の中を登っていくが、どの木もヒョロヒョロなものばかりだ。かつて薪炭林として過剰に収奪され禿山になった時代があり(麓の古老よりの聞き取り)、その時に表土が流されて栄養失調状態なのだろう。

貧弱な雑木林の中を登っていく

 ハイカーが付けるマーキングは皆無だが、境界調査のプラグ杭は少しだけ打たれている。だがそのプラグ杭も本日の行程全体に渡るものではなく、ルートハンティングの助けにはならない。

境界調査のプラ杭が所々に打たれているが
数は少なく当てにはならない

8:37
同じような登りが続く。尾根に切り開きはあるのだが、ヒョロヒョロな木に進路を塞がれ、尾根を右往左往しながら登っていく。ただ下草が全くなく、見失った切り開きに復帰するのはたやすい。

道はないが切り開き?はある

8:45
 急な登りが終わると、足元にシダが現れた。膝位までしかないし、先行者(鹿さん達かな)が付けた踏み跡もあるし、普通に歩くのと同じに進める。

 私が胸に付けている青いのは、今回の山行から導入したカメラバックで、「Loweproズームバッグ/ホルスターTLZ50AW」と「Loweproトップロードチェストハーネス 」を組み合わせたものだ。一眼レフカメラを体に密着させて装備でき、ちょっと下が見にくくなるのが欠点だが、それ以外は全く邪魔にならず、カメラも素早く取り出せるし、かなりの優れものだ。

  

 同じ型で黒色のバッグもあり、なぜか千円近く安かったりもする。でも、汗まみれになる夏に、胸に密着させるのは嫌なので、秋〜春の限定装備だな。

緩やかになってくると、足元にシダが茂ってきた

8:51
 274m標高点ピークに着いたかと思ったが、すぐ先に見えているのが393.7m三角点ピークのわけはなく、ここは標高点ピーク手前の地形図に表しきれない微小なピークだ。

 足元のシダが煩わしそうに見えるが、そんなんでもない。ただし、鹿はヒルも持っているがマダニも持っている。有効な薬もワクチンもなく対症療法しかない、人を死にいたらめることもある重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を引き起こすウイルスをマダニが持っているかもしれない。

 これまでの発症例は兵庫県以西の近畿地方と、中国・四国・九州地方に限られているが、ウイルスを持つマダニは北海道を含め日本全国に分布しているという。マダニに噛まれたら皮膚科へ行こう。

見えているピークは274m標高点ピーク

9:01
 そしてここが、麓から見たら善定山の頂上のように見える274m標高点ピークだ。木に巻かれているピンクテープはハイカーによるマーキングではなく、林業関係のものでもなく、境界調査の目印だ。

ここが標高点274m、展望はない


展望ポイントを経て393.7m三角点ピークへ

9:05
 274m標高点ピークから西へ少し下りたところが、今日のルートの中で唯一の展望ポイントだった。私の正面に見えるピークが393.7m三角点ピークだ。

 その左手に送電線鉄塔が薄らと写っているピークは400mを超え、その奥には430mを超えるピークさえある。最高標高地点をその山塊の頂上とするならば善定山の頂上は三角点ピークにはならないが、私は393.7m三角点ピークを善定山の頂上としたい。

274m標高点ピーク西の展望ポイント

 正面に見えるのは、南麓に回し舞台のある農村舞台として極一部で有名な松尾神社がある札楽山が見える。地元の古老に聞くと、かつて松尾神社は札楽山の山上にあり、善定山の南側の松尾神社がある山が札楽山だという。

左手に芝田富士の尾根、正面は南麓に松尾神社のある札楽山の尾根、右手はこれから登る善定山の尾根

9:13
 274m標高点から展望ポイントを通り、三角点ピークを目指し西へと進む。

雑木林主体の山だが植林地もある

9:16
 唯一、今日の山歩きで見かけた花は「アセビ」だけだった。ツツジ科の有毒植物で鹿は食べなため、これから際限なく増えていくと思う。

唯一咲いていたのはアセビだけ

9:18
 左植林、中央シダ、右雑木林と変わった植生だな。

暗いような明るいような

9:24
 東向き斜面とピーク付近はなぜかシダが茂っている。このシダもアセビと同じように有毒植物なのかな、それともものすごく不味いのかな。

これぐらいのシダでも獣道があるとどうってことない

9:31
 人が行き交うわけはないのに、なぜか明確な踏み跡となっている。ゴミらしきものはほとんど見なかったし、ハンターが入っているような様子も感じられなかったし、鹿や猪たちが踏み跡を維持しているのだろうか。自動撮影カメラをセットしてみたら面白いの撮れそうだ。

シダの中の踏み跡を行く

9:33
 尾根の真ん中に池、いやヌタバがあった。水中にカエルの卵があることから、雨水に頼ることなく常に水が溜まっているものと思われる。尾根のヌタバをこれまでにも見てたが、どこから水がやってくるのだろうか。

尾根の真ん中にカエルの卵があるヌタバ

9:39
 これでマーキングがあれば、どこにでもあるハイカーが時たま訪れる山道風な風景だが、清々しいほど切り開き以外に人工物はない。マーキングだらけの山道を歩きなれてしまった私には、本当に正しいルートを歩いているのだろうかと落ち着かない。

 でも、人工物がないルートを歩くことの楽しさを思い出させてくれたこの尾根歩きが、播州野歩記を原点に戻してくれそうだ。

奥に入るほど道が明確になってきたな

9:59
 393.7m三角点ピークへの登りが始まった。でも東向き斜面なのにシダはなく、この先にも現れることはなかった。シダが育つ条件とは如何なるものか研究しなくては。

雑木林でも常緑樹の中は冬でも日が差さないな

10:04
 入山してから2時間が過ぎた。雑木林と植林の境目となっている尾根を登っていく。ここを登り切れば393.7m三角点が待っている。

ピンクテープと赤プラ杭は境界調査によるもの

10:06
 展望のないピークに393.7m三等三角点標石(点名:善定)が埋設されている。三角点標石に付き物の保護石はなく、標石の欠けた角は補修され滑らかになっているが、きっちりとした四角柱の形にはなっていない。

393.7m三等三角点標石(点名:善定)にタッチ
ここが善定山の頂上かな

10:11
 私の大好物、登頂記念プレートも山名板もマーキングテープもないピークを後にする。

 なお地形図では、三角点ピークから北側の尾根に下る破線道が描かれているが、おざなりに探したが見つからなかった。東の274m標高点からここまでも破線道(徒歩道:道路の幅が1.5m未満の道路)になっているが、本当に破線道に該当するのかはなはだ疑問に思う。シダの中の幅20p程の獣道はどう見ても道路ではない。

三角点ピークを後にして
次は送電線鉄塔を目指す


迷いポイントで予定通りに?道を誤るも、送電線鉄塔へ

10:16
 三角点を過ぎると道がよくなってきた。奥に入る程よくなるのが不思議だが、歩きやすいからまあいいか。

日が差し込む明るい緩やかな尾根を快調に進む

10:19
 地形図では緩やかに下るように読み取れるが、標高差10m以内の登りが等高線を跨がない場合は表示されない。この緩やかな登りはその表示されない登りだな。

植林は放置されているわけではなく、手入れはされているようだ

10:24
 緩やかな尾根を、さらに快調に進む。足元に注意を払うこともなく、現在地はどこかなど考えることもなく、お気楽に歩いてるだけ。

 険しい山道を行くときは、誰でも一歩一歩を確かめながら歩き、そして何でもない山道で油断し足を踏み外し滑落してしまう。今回の場合は、滑落こそしなかったが道を誤ってしまった。

どこに続くのか何も考えずに快適な尾根道を行く

 事前に地形図を読み、ここで間違うだろうなと思っていたポイントでしっかり間違ってしまった。下のマップは最初に述べたように1週間後に再度歩いたもので、間違いルートは少しだけ行って引き返している。

1週間後に再度歩いた山行図 by GPSロガーGT-730FL-S

10:33
 嫌らしいことに間違いルートも尾根の格好をしていて、正規のルートの続きに見えないこともない。ただし傾斜が明らかに違うことと、谷を挟んで目的の送電線鉄塔が見えること、そして最も重要なことは迷い道に入ったら道型がなくなってしまうことだ。

 普通のハイカーなら直ぐに気づくだろうが、自称「道なき道を歩くプロフェッショナル」な私には「快適な尾根だな」位にしか感じられない。でも目標の鉄塔が谷を挟んで見えた時には唖然とした。そして一言「登り返そう」。

どこへ下ろうとしてるのか??

10:54
 20分程かけ登り返して、周辺をよくよく観察すると、三角点から来た方向と90度右に、枝葉越しになんか尾根のようなものが見えるではないか。

 三又に分かれ、その真ん中の窪みに水を湛えたクヌギの木がよい目印になり、そこで進路を右90度に振ると次の340m標高点へと進めるが、あえてマーキングなどしなかった。

20分の登り返しで正規ルートに復帰
この三又のクヌギの木で右90度に方向を変えるのだ

10:57
 正規ルートは道迷いルートとは違い、すぐに緩やかな尾根道となる。

正規ルートは緩やかな尾根道が続く

11:04
 340m標高点は明確なピークではなく、ちょっとした地面の盛り上がりだった。

340m標高点を通過

11:11
 274m標高点西の展望地以外は、木々に阻まれて外界をうかがい知ることが出来ないが、ここはさらに酷い。幅広な尾根に両側とも密生した雑木林と植林という最悪タッグ。まあ切り開きがなくとも、方向構わずとりあえず高見を目指して登ればよいだけで、下りよりも気分は200%楽だ。

雑木林と植林の間の切り開きを登る

11:17
 等高線が詰まったきつい登りが終わった。両手両足を使いよじ登るような岩場なら登る速度に限界があるが、木々につかまりながらも登れるような角度が一番悪い。頑張れば頑張れるだけ登ることが出来て、私の心肺機能が追い付かなくなる。

きつい登りが終わった、標高380m位か

11:26
 送電線鉄塔手前に面白いものがあった。割れ口が新しそうな大岩がゴロゴロというか積み重なっている。もともとは大きな岩塔がごく最近割れたような、割れ口に風化の形跡が見えないし、一気にバリーンと砕けたのだろうか。

 この岩を善定山の「崩れ岩」と名前を付けたい。

善定山の「崩れ岩」でシェー!!

11:31
 崩れ岩からほんの一登りで送電線鉄塔「播磨線32」に着いた。ここまで来れば、残るは送電線巡視路歩きと林道歩きだけで、もう道に迷う心配も何もない。でも本当だろうかと、何でもないところで迷ったりする自称道迷いプロフェッサーの私はまだまだ心配だ。

播磨線32高圧送電線鉄塔

 さすがに広々とした送電線鉄塔敷からは、展望が少しだけある。あの北側に見える山々は高倉山の西側になるのだろうか。これまで足を踏み入れたことのない山塊なので、興味はあるが知らないところを登るのは怖い。

送電線鉄塔から北の眺め


送電線巡視路を歩き林道へ

11:41
 さすが関西電力送電線巡視路だ。広々としているな。

広い広い、無駄に広い関西電力送電線巡視路

11:46
 ここから南側に下る道があり、南側中腹の送電線鉄塔を経由して麓の新池近くの林道まで下る、地形図にも描かれ破線道の下り口だ。

 ここから下らずに、さらに西へと進む。

ここから南に下ると中腹に立つ送電線鉄塔を経由して下山できるのだろう

11:50
 道が左右に分かれている。どちらも同じような道で、明らかに右側が正解なのだが、左側がどこへ行くのか興味があるので、最初は左に行ってみる。

分岐点をまず左に行ってみる

11:52
 狭いが、きっちりと切り開かれた道が続いている。

境界調査の切り開きなのかな

11:59
 ちょっと勾配が強くなるも、切り開きは真っ直ぐに下っていく。このまま下りていくと新宮町善定と新宮町二柏野を結ぶ林道に標高250m付近で出くわすように思う。結果的にはそれでも下山できるが、最初の計画通りに林業用?林道に出るために登り返す。

真っ直な急な下りになってきた
このまま行っても下山できるだろうが、登り返そう

12:06
 11時50分に左に行った分岐点を、今度は右に行ってみよう。

分岐点まで戻り、今度は右に行ってみよう

12:09
 分岐を右へ進むと、平坦な地形の中に緩やかな道が続いていた。左側へ進むのと大違いだ。

分岐を右に進むと平坦な広い道

12:12
 地形図の破線道はピークを乗り越え最短ルートで行くようになっていて、その道の痕跡も残っているが、林道への道は斜面を切り開いた水平道となっていた。

昔はここからピーク越えの道があったようだが
今は斜面を切り開いた水平道になっている

12:13
 植林の中の道は最近切り開かれたようだ。今日歩いた中では一番人の手が入っている感じで歩きやすいが、まあそれだけだな。

もうすぐ林道に出る

12:16
 林道に出ると、赤に白文字の「火の用心」の関西電力送電線巡視路標識がある。歩く距離からしたらこれからのほうが長いのだが、もう山登りは終わった気分だ。でも「家に帰るまでが遠足」、林道歩きを楽しもう。

予定通りの林道に出た

12:19
 林業用、それとも送電線建設用の林道は大型トラックも通行可能な幅と、そして強度もありそうだ。西の光都が垣間見られるが、眺めがよいわけではない。

この林道を奥に進むと行き止まりのはず

12:46
 林道がT字路に突き当たった。右へ行くと田幸山、左は新宮町善定と新宮町二柏野を結ぶ林道に出会う。

 正面にある案内板には「関係者以外車両の通行を禁止します。(社)兵庫県森と緑の公社」とあり、管理主体の組織名が分かったが、この林道の名前はわからない。

この分岐は左に
右に進むと田幸山方面に続いている

12:50
 最初の林道は等高線に沿っていたが、田幸山からの林道と合流してからは緩やかな谷沿いに下っていく。林道近くの木々は風通しがよいためかよく育ているな。

谷沿いに下っていくので、当然ながら展望はない

12:55
 善定と二柏野を結ぶ林道に出た。右が二柏野で、左へ行くとすぐに峠で善定へと下っていく。

善定と二柏野を結ぶ林道に出て、左の善定方向へ進む

 この林道が通されたのは、光都へ向けて水道管を通すためで、工事には自衛隊が当たったという。

 そして峠手前の短い北行の行止まりには水道設備の「調整池」が設けられている。

林道には光都への水道管が埋設されている
ここはその調整池

 峠の切り通しに取り残される形で、コンクリートブロック造りの地蔵堂が祀られている。

切り通し上の地蔵堂

 祠の中には光背が割れた地蔵菩薩の石仏が祀らている。建立は慶応3年(1867年)と、江戸幕府の最後の将軍、第15代徳川慶喜が明治天皇に大政奉還し、江戸幕府が終焉の時を迎えた激動の年だ。

江戸時代最後の年、慶応3年建立の地蔵尊
地蔵尊の裏書

慶應3年丁卯10月吉日
善定邑 庄屋

 世話人 彦左ヱ門
     臣右ヱ門
 年寄  彦兵衛
     古左ヱ門


昭和62年10月吉日
 善定自治会長 狩尾勝
 祠建設
維時
 昭和58年10月
協力者
基礎及びブロック工事
 西角建築
 西角弘司
大工関係
 植田繁
銅板屋根
 植田板金
 植田○(一文字読めず)

13:11
 栗栖川沿いの国道179号線から善定山を見ると、峠を越える林道が見えるが、逆に林道からの展望もよい。長年麓から眺めていた山並みを逆から見るのは、意外なほどの新鮮味があり感動した。

峠近くの展望地から東の善定方向の眺め

13:37
 残るは林道歩きだけだが、麓近くで鹿が林道近くの斜面に姿を現すというハプニングがあった。最新装備でカメラを素早く取り出せたことと、鹿がほんの少しだが立ち止まり私の方を振り返ったので、その姿を写真に収めることが出来た。

しばらく佇んでいた鹿

13:54
 林道の善定側にはゲートがあったが、開けられていていた。どこかに林道の名前があるのではと探してみたが、見つからなかった。善定二柏野水道道路とかいう名前なのだろうか。

林道ゲート、左奥の建物は第一中継ポンプ場

14:01
 この山行記録に惑わされて、私の足跡を辿ろうなどと思う人などいないだろうが、そしていたとしても自家用車で訪れる人がほとんどだろう。でも奇特にも歩きならば、月曜から土曜の13:35に播磨新宮駅行のバスがここから出るので利用するのもよいかもしれない。ちなみに料金は1乗車100円。ただ乗り遅れると次のバスは翌日(土曜なら翌々日の月曜日)までないのが玉に瑕だ。

たつの市コミュニティバス 善定西向寺バス

14:20
 国道179号線に出る手前の大屋集落で、妻その1と待ち合わせているので、今日の山行はここで終了する。



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