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揖保川町・黍田富士と相生市・天下台山



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平成14年9月4日(水)  メンバー 私だけ

黍田富士 きびたふじ 166m
天下台山 てんがだいやま 321.4m


ヤッホのこみちの黍田富士

揖保川町在住の方から、私の町にもいい山があるから紹介してくれないかとのメールを受け、向山・別名黍田富士(きびたふじ)に登ってきた。揖保川町のHPにあった解像度の低いヤッホの森案内図を手に山中を歩いてきが、思いの他いい山だった。

それから近くにある相生市の天下台山にも足を伸ばし登ってきたが、9月に入ったというのにこの猛暑、頂上までの遊歩道を往復するので精一杯だった。天下台山のよさが暑さで分からなかったので、涼しくなったら、また登ろうと思う。

5:35
家を出発。天気は晴れ。9月に入っても猛暑が続いているこのごろ、今日の最高気温の予想は34度とか。コンビニに寄りたかったので、姫路バイパスには入らずに、国道2号線に出て西進する。

姫路バイパスと合流後、揖保川を渡った先の正条の交差点を南に入る。JRの踏切を渡り、新幹線の高架の下をくぐり、揖保川の支流に架かる橋を渡った先を西に曲がる。

6:04
1kmほど行くと、左手に神部小学校が見えてくる。道を挟んだ北側に「ヤッホのこみち入口」の案内板が路肩にあり、そこには20台ほど止められる駐車場があった。何も表示はないがおそらく「ヤッホのこみち」の来場者用の駐車場だと確信し車を止める。

神部小学校の前の駐車場にある案内板
来場者用駐車場だとの予想は当たったようだ

6:30
朝食を食べ、準備を整え出発。まだ涼しいが、昼過ぎには炎天下の地獄の彷徨になるんじゃないかと心配だ。

6:34
小学校の東側の道を入っていくと、まだ早い時間なのに自転車が10台ほど止められている。早朝登山をしてるのかもしれない。小学校の南東にある「どんぐり広場」に到着。アスレチックの設備があり、ヤッホのこみちの案内図もある。

案内図をじっくり見て、山行計画を立てる。健脚コースとなっている尾根を行き、黍田富士頂上に登る。そこから南に進み林間広場を通り、途中三角点(点名山津屋193.5)に行って来いして、亀岩展望台へ。西側の湿地の横の道を通りどんぐり広場に戻ってくる。案内図のコースタイム図によると歩行時間は2時間ほどになる。

ヤッホの森遺跡案内板もあり、黍田向山古墳群・山津屋古墳群・金剛山古墳群、合わせて46の古墳がここの山中にあるようだ。

ヤッホのこみち案内図

黍田富士や亀岩展望台などから眺める揖保川の流れと町並み。歩道上に点々と見られる太古の人々の生きた証の古墳。谷のずっと奥に突然現れる花咲く湿地。これらがみんなこの里山の大きな魅力です。登っていくのに少し骨が折れる場所もありますが、そんなものを全て吹き飛ばしてくれる出会いが待っています。
また、この山を通して周辺の集落や、神部小学校、河内小学校のみんなが出会える山です。
尾根からまっすぐ黍田富士に登る道は健脚向きですが、そのほかはだれでも登っていけます。がんばって山での出会いを探しに行きましょう。

たきび、たばこの吸い殻やゴミの投げ捨てはやめましょう。
樹木などを大切にしましょう。

【”ひょうご豊かな森作り構想”に基づく里山林整備事業】
この区域は、地域の皆さん方のご協力のもと、景観や多様な動植物を保全し、保健や森林学習の場に活用するため、県内の林地を開発した方々の協力金により、森林の整備や歩道の開設などを行いました。

平成11年2月
兵庫県・揖保川町・(社)兵庫県森と緑の公社




黍田富士へ

6:35
どんぐり広場入口の左側から、健脚コースを登り始める。気温は25度ほど。雑木の疎林の中の登山道で、まだ涼しいからいいが日中はさぞかし暑いことだろう。

黍田富士への健脚コース
周りの景色が林ごしに見える

6:49
黍田富士頂上手前のピークに、あまりはっきりしない黍田山古墳群4号墳・3号墳がある。ここで男の方一人が前から走ってきた。元気な人だ。

一旦下り、また登り返すのだが、下りる途中、男女8人ほどの早朝登山のグループと行き違う。登山口入口に自転車を置いていた人たちだろう。身近な所にこんないい山がありうらやましい限りだ。

6:58
黍田富士頂上に到着。頂上には「幸せの鐘」、「展望デッキ」があった。鐘の紐を軽く引き1回だけ鳴らす。これで私も幸せになれるだろう。

展望デッキからは北側の揖保川町が一望できた。足元を新幹線の高架が通り、時折列車が走り抜けていく。揖保川が中央から右手に流れ、正面には龍野の山、的場山・鶏篭山が見える。かなり霞んでいるが、すばらしい眺望だ。

幸せの鐘
紐を引くと鐘が回転する仕組みだ

2段の展望デッキ
暑い日は1階がお勧め

幸せの鐘

鐘の音にのせて
幸せを祈り
あなたの願いをとどけましょう

平成12年4月
揖保川町


黍田富士頂上から北の展望
霞んでいるのが残念だった



三角点へ

7:20
黍田富士頂上を後にし、南に向かう。ここからは登ってきた健脚コースとは違い、「公園内及びそれに付属する遊歩道の規格」に則った道だ。急な坂は階段になっていて、道幅も十分広くなっている。

7:26
頂上南側の鞍部に下りると、どんぐり広場からの道と合流する。ここにも小さな鐘が下がっている。案内標識が新旧2つあった。

古い標識 全て南を指している
 亀岩大展望台
 黍田隠し田・炭焼窯跡
 三角点大展望台
 金剛山日吉神社

新しい標識
 北向き矢印 黍田富士山頂へ(見晴らしの道)250m
 西向き矢印 どんぐり広場神部小学校へ 500m
 南向き矢印 亀岩展望台へ(見晴らしの道)960m

次のようなこの山の植生の説明看板もあった。なるほど土壌が薄く乾燥しているので大きな木がないのか。

アカマツ林について(アカマツ−モチツツジ群集)

この地域のアカマツ林は、植物社会学的にアカマツ−モチツツジ群集に区分されています。
アカマツ−モチツツジ群集は兵庫県では瀬戸内海に広く見られるアカマツ林で、この地域の代表的な里山林です。
アカマツ林は主に土壌の乾燥した場所にみられる林ですが、ここでは全山に広く分布しています。
このことは、この場所が全体的に比較的乾燥していることをあらわしていると考えられます。土壌の調査でもこの地域の土壌が薄くて乾燥しやすいことが確認されています。
また、この地域のアカマツ林は2つのタイプに分けられました。ここから、黍田富士に登っていくと、すぐにアカマツの背が低くなって行くのがわかると思います。この背が低いアカマツ林は、さらに土壌条件の良くない場所に生えるタイプの林で、背の高いアカマツ林には見られない、ススキやアリノトウグサ等といった明るい場所に生える植物が生育しているのが特徴です。

南の亀岩展望台方向に登り返す。201ピークから南に延びる、ほぼ平坦な道の両側には古墳が沢山あった。ここの古墳は復元などせず、そのまま残してほしいものだ。

7:45
西向きの「山津屋14号墳、隠し田跡へ」の標識があり、入っていくが道がはっきりせず引き返す。

7:53
201の南のピークにある金剛山古墳群20号墳に着いた。この古墳は石室がよく保存されていた。ここにも新旧の案内標識があった。

古い標識
北向き矢印
 三角点大展望台
南向き矢印
 金剛山日吉神社
 亀岩大展望台
 黍田隠し田・炭焼窯跡

新しい標識
 北向き矢印 河内っ子ワールド 河内小学校へ(出愛の道)1,370m
 西向き矢印 黍田富士山頂へ(見晴らしの道)930m
 南向き矢印 亀岩展望台へ(見晴らしの道)260m

ここから西に進むと三角点(点名山津屋193.5m)を通り、河内小学校に抜けられるようだ。金剛山古墳群20号墳の説明看板もあったが、ここには鐘がなかった。

横穴古墳

この大きな盛り上がりは「横穴式石室をもつ古墳」で、昔の人のお墓です。6世紀末(今から1000年以上前)に作られたものと考えられ、ここに埋葬されているのは河内地区の人あるいは家族だったのでしょう。
このお墓はまるで土が盛り上がったように見えますが、石を積んでできた石室で、この中は空洞になっています。歩道の側から見えるのはお墓の後ろ側です。 また、このように小高い場所にお墓を作ったのは、死後も自分の住んでいた地区を見守り、またその子孫たちの活躍を見れるようにといった気持ちから作られたのでしょうか。古墳の上に大きな樹木が生え、歴史を感じさせます。
ここの里山の各主要地点への分岐点にも位置しています。
貴重な史跡です、壊さないように大事に見学しましょう。

三角点に向かう。ここまでの遊歩道とは違い狭い道になるが、この方が雰囲気はいい、途中のピークから黍田富士の姿が見えたが、山肌に入ったギザギザの幅の広い遊歩道が目に入ってしまう。

三角点に向かう道
雑木林の中の雰囲気のある道

8:04
三角点に到着。三角点は金剛山古墳群16号墳の上にあった。北向きの展望はいいが、それ以外は木に遮られている。昔は三角点大展望台だったのだろうが、今は三角点小展望台になっている。ここの鐘は紐が切れていて鳴らすことができなかった。全部の鐘を鳴らせたらより一層幸福になれると思っていたが、残念だ。

古墳の上にある三角点
北側のみ展望がある



亀岩展望台へ

8:22
引き返し始める。

8:34
金剛山古墳群20号墳の分岐点に戻る。今度は南に進み亀岩展望台へ向かう。古い標識には「大」が付いているが。新しいのには無い。少し心配だ。

8:38
林間広場への分岐点通過。ここにも新旧の案内標識があった。亀岩に向かう。

古い標識
北向き矢印
 至黍田富士
 黍田隠し田・炭焼窯跡
 三角点大展望台
南向き矢印
 金剛山日吉神社
 亀岩大展望台
 黍田隠し田・炭焼窯跡

新しい標識
 北向き矢印 河内っ子ワールド 河内小学校へ(見晴らしの道)1,510m
 西向き矢印 林間広場へ 40m
 南向き矢印 亀岩展望台へ(見晴らしの道)120m

亀岩展望台に登る階段道

8:41
亀岩展望台に到着。ここには鐘があった。亀岩は直径2mほどの天井石が乗っている古墳の跡だった。南側の展望が広がっていて御津町の山並が見え、その先には瀬戸内海の島々が見えるはずなのだが、霞んでいてよく見えない。

亀岩
木に囲まれ南しか見えない

亀岩

この奇妙な組み合わせの岩も、古墳です。遠くから見ると亀の格好に見えるため「亀岩」と呼ばれています。この巨岩は横穴式石室の天井石で、7世紀前半につくられたものと考えられています。いったい昔の人はこんな重い岩をどうやって、今のような形に組み上げたのでしょうか。
ここでは、この里山の中でも瀬戸内海の方向を見渡せる絶好のポイントになっています。目の前には河内地区が、その向こうには瀬戸の海と家島群島が見渡せ、空気が澄んだ日には明石大橋も見ることができます。なぜ亀岩古墳がここに作られたのかわかる気がします。


亀岩より南の展望
南側のみ展望があり、しかし霞んでいる



谷道でどんぐり広場に戻る

9:04
新しい標識があり、どんぐり広場に向かう道に入る。これでほぼ周回コースとなる。

新しい標識
 東向き矢印 河内っ子ワールド 河内小学校へ(見晴らしの道)1,630m
 西向き矢印 どんぐり広場 神部小学校へ 990m

9:08
すぐに、炭焼窯跡のある分岐に着いた。窯跡はかなり新しいものように見えた。

炭焼窯跡

昔の人は、山の木を切り、それを炭にして燃料として利用してきました。ここにあるのはその炭焼窯の跡です。今は、屋根になる部分がなくなっていますが、横をぐるりと囲んでいた石積みはきれいに残っています。
近年までは、冬の田畑の仕事がないときに、日時を決めて共同で家庭の薪を作ることにしていました。伐りだした薪は、亀岩のあたりで世話役が分配し、くじ引きで各家庭の取り分を決め、その後家族総出で家まで運んだものでした。そうやって分配された木を、この炭焼窯で炭に焼いたのでしょう。
このように炭窯が残っていることは、この山が昔から里山として人に利用されていた証拠になるのです。

また案内標識があった。この森の中の全ての分岐には案内標識があるようだ。当然ながらどんぐり広場に向かう。

新しい標識
 南向き矢印 亀岩展望台へ 200m
 東向き矢印 林間広場へ 80m
 北向き矢印 どんぐり広場 神部小学校へ 800m

そのすぐ下の谷間は湿地となっていて、昔は隠し田として使っていたようだ。雨の降らない天気が長く続くが、湿地からはわずかだが水が流れ出し小川になっている。ピークに近い所なのに不思議な感じだ。

黍田隠し田跡の湿地
地下水が湧いているようだ

湿地について

この湿地は、江戸時代に水田として利用されていた場所にできたものです。稲作をするためには水が必要ですが、ここでは地下水からの水が豊富にあったため水田として利用され、また稲作をやめた後も湿地として維持されてきたと考えられます。
ここではモウセンゴケやサワギキョウ、キセルアザミ等の陽当たりの良い湿地に生える植物が見られます。このような湿地は現在非常に少なくなってきているので大事に守っていきたいものです。
なお、このような湿地は放置しておくと、徐々にササや低木類が生えて陸地化していきます。そのため、時々草刈をしてやることが、湿地を維持するために必要です

湿地から流れ出す小川に沿って下っていくのだが、木々に囲まれ非常に感じのいい道だ。里山の中なのだが、なぜか人里はなれた山の中を歩いているような気がする。

明るい谷沿いの道
ヤッホのこみちの中で一番雰囲気のいい道だった

9:32
黍田山南の鞍部に行く遊歩道と合流し、どんぐり広場に到着。3時間ほどのなかなかいいハイキングコースだった。

9:38
駐車場に戻る。神部小学校の東側にも空き地があったが、そこは小学校の先生の 駐車場になっているようで沢山の車が止まっていた。小学校前北側の駐車場は、私以外の車は止まってなく、やはりヤッホのこみち来場者専用のようだ。



岩屋谷公園へ

9:46
次の目的地、岩屋谷公園に向かう。新幹線沿いの細い道でも行けるようだが、いったん、国道2号線に出てから行くことにする。

国道2号線を3kmほど西に進んだ、那波野東のT字路を南に入り(両側は側道ですぐ行き止まりになる。中央側のJRを渡る本線に入ること)、新幹線の高架の下をくぐり狭い道に入る。

南に直進していくが、岩屋谷公園の駐車場は池から流れ出す岩屋川の西側にあるので、橋を渡ること。この辺の道は狭く入り組んでいるので気をつけて通行すること。

10:04
岩屋谷公園駐車場に到着。ここも広い駐車場で20台は止められるだろう。



猛暑のなかの天下台山

10:11
準備を整え出発する。さすがに真夏に比べ日差しは弱くなってきたが、風が無く気温は高くなり、登山日和ではなくなってきた。

10:22
公園内の岩屋池堰堤に着いた。この猛暑で池の水も底のほうにわずかに残るのみだ。堰堤から西の山を見上げると不思議な形の岩が見える。あれがとんび岩だろう。

岩屋池堰堤から見たとんび岩
次に来るときはあそこまで行ってみよう

10:26
池の西を行く舗装道路の終点に着いた。しかしこの先の道も平坦で広く、歩きやすそうな道だ。

10:37
道の上に藤棚が作られている地点を通過。ここまでは緩やかな登りだったが、ここから先は急な登りになり、「公園内及びそれに付属する遊歩道の規格」の遊歩道らしく階段道になる。

雑木の中の広い道で太陽が容赦なく照りつけ、気温は、あまりない木陰で34度、日なたでは37度にもなっている。何も考えずにゆっくり登っていくが、頭がぼーっとしてくる。

猛暑の中の階段道
暑い、実に暑かった

10:50
屋根の付いた休憩所があり、ここから頂上にある電波反射板が見える。10分ほど休み気力の回復を待つ。

あと700mで頂上だ。水場が数箇所あったが、全て枯れていた。

11:06
関電巡視路の分岐通過。

11:14
また関電巡視路の分岐通過。巡視路を行くとお地蔵さんがあるようだ。

11:30
ふらふらになりながら天下台山頂上に到着。しかし日陰は全くない。反射板の方に行くと前が広場になっていて、その端にかろうじて木陰があった。シートを出しへたり込む。

少し風が通り心地よい。どうにか体も平常に戻り、昼食を食べることにする。

コンビニで買ってきたおろしソバだが、割り箸を車に置いてきてしまった。今日は武器を持ってきていないので、手づかみで食べることにする。ソバを手で食べていると不思議な気分になってくる。昔々の幼少のころの記憶がよみがえって来るようだ。

人心地つき天下台山頂上を探索することにする。頂上は岩場になっていて、旗を上げるポールや、方位盤がある。普通の方位盤は山の名前が書かれているが、ここのは瀬戸内海の島々の名前が書いてある。右手に相生湾が見えているが、そのほかは霞んでいてよく見えなかった。

一辺1mほどの巨大な三角点標石があったが、冗談の好きな人が石を彫って作ったようだ。


天下台山から南西の展望
霞んでいてよく見えなかった

12:43
計画では尾根筋を下山する予定だったが、この暑さの中、何も考えなくても安全に下りられる道、つまり登ってきた遊歩道を下りることにする。

13:19
岩屋池堰堤まで下山。さすが下りるのは早かった。

13:28
駐車場の車に戻る。

13:53
町中の駐車場では着替えにくいので、いったん公園に戻り、濡れた服を着替え、家路につく。

14:29
帰りは国道2号線から、姫路バイパスに入り家に帰る。総走行距離51km。ヤッホの森は早朝で涼しかったが、天下台山は暑さであまり記憶に残っていない。天下台山にはまた行かなくては。



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