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七種槍から七種山へ



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平成16年3月14日(日)  メンバー 私だけ

七種槍 なぐさやり 577.3m
七種山 なぐさやま 683m

2万5千分の1地形図「前之庄」、「寺前」を参照すること。


逆回りの七種槍

七種山から七種槍への縦走コースはWEB上に多くの記録が発表されている。いまさらながらのレポートになってしまうが、今回は普通とは逆の七種槍から七種山への縦走ということでご勘弁いただければ幸いである。

激下りが激登りに、振り向かなければ見ることができない景色が眼前に広がるなど、何度も登った山でも違う山のような気がする。


野外活動センターから出発

8:39
福崎町青少年野外活動センターの向かい側の駐車場に到着。車がすでに4台ほど止まっている。駐車場の西側には次のような表示板が立っている。

青少年野外活動センター
専用駐車場

お願い
福崎町青少年野外活動センター駐車場のご利用について

  1. この駐車場は、青少年野外活動センター利用者のための専用駐車場です。
  2. 当センターにご用のない方の駐車はご遠慮願います。
  3. その他管理人の指示に従ってください。

この注意書きは建前のようで、この駐車場を登山者・ハイカーが利用するのは全く問題がないようです。下山後、管理練に入ってみると七種山・槍・薬師の登山経路図が張り出されていて、ほとんど登山案内所のような雰囲気になっていた。

また駐車場の北の端に「ひょうご森林浴場」の地図付きの案内解説板が立っている。

ひょうご森林浴場

七種山は播磨風土記にも「奈具佐山」と、ヒノキの生える山として出ており現在もヒノキ、スギの人工林が整備され森林浴を満喫させてくれます。
県観光100選の一つに選ばれている七種の滝(別名観音滝)は48変化と呼ばれる風情を見せ、その美しさは虹にも勝といわれています。
滝からさらに進み、山頂を登り詰めると弘法大師が護摩の秘法を修練したと伝えられる「つなぎ岩」が奇観を呈しています。
また、このあたりにはめずらしいコヤスノキの自生の東北端にあたるともいわれています。

「この案内板等は、池田銀行「愛の環境定期貯金」の協力により整備しました。
兵庫県緑化推進委員会・福崎町」

この案内板には野外活動センターから七種の滝・七種山・笠岩・林道小滝線を巡る略図が示されている。重要なのはこの案内板自身ではなく、実は隅に貼られた「上級者(健脚)コース『七種槍〜七種山』縦走」と題する地図付きのコース紹介だ。

七種槍コース案内図
最近のものだろう

上級者(健脚)コース「七種槍〜七種山」縦走

「七種山〜槍」ではなく、「槍〜七種山」をお勧めします
槍・七種山を正面に、スリル満点の岩尾根歩き…
日本アルプスを彷彿とさせる縦走登山が楽しめます!

■全行程11km 歩行時間5時間30分
(センター)から3.5km・150分〜(七種槍)〜3.0km・90分〜
(七種山)〜4.5km・90分〜(センター)

〜自然を大切に…来た時よりも美しく〜 <七種槍愛好会>

今回を含め七種山に8回・七種槍に7回登った経験から言えば、巡る順番は七種山・七種槍の方がいいかなと思う。その理由は

  1. 太鼓橋までの舗装林道歩きが準備運動になり、スムーズに山登りに移行できる。
  2. 水のない「七種の滝」を最後に見てがっかりするよりは、始めに見たほうが落胆の度合いが小さい。
  3. 七種山への町界尾根(激坂)を登るのはいやだ。七種池から尾根までの激坂も登りたくない。
  4. 縦走尾根は南に行くほど展望がよくなる。七種槍から七種山に行くとグングンと展望がなくなり哀しくなってくる。
  5. 舗装林道歩きを最後に残したくない。(まあ緩い下りだから許せないこともないが)

こんなこと書いているが、今日は七種槍から七種山への縦走をすることにする。普通に周るのは飽きてしまった。


町界尾根への激登り

8:46
「(七種槍〜七種山 縦走コース)七種槍」の案内が付いている、七種池北側のフェンスを開けて登山を開始する。この七種槍愛好会によるパウチされた上下が黄色の案内はこれから何度も見る事になる。

七種池北側の縦走コース入口
愛好会の案内が2枚ある

8:51
七種池の向こう側を3分の1ほど回り込むと、また七種槍愛好家の案内(これで4枚目)と「登山口」とかかれた木板、それから「火の用心」の関西電力送電線巡視路標識もある。ここから町界尾根まで激登りが続く。歩き始めていきなりの急登なので足もまだ戸惑っている。

町界尾根への激登り
標高差200m

それでも明るい雑木林の中の登りで、振り返ると七種池を見下ろすこともでき、急登だがそれほど辛くは感じない。

9:05
中腹にある、送電線鉄塔「鶴居支線20」に着いた。ここからは幾分緩やかになる。

9:24
ようやく尾根まで登ることができた。「野外センター」への下山路案内はあるが北の七種槍方向には案内はない。ここで間違えて南に行く人はまずいないだろうが、南の353ピークへは踏み跡が延びている。何処まで行けるのだろうか。


展望とスリルの尾根を七種槍へ

9:32
北に進み「鶴居支線21」に着いた。狭い展望のよい尾根で、周りの景色がよく見えて楽しく歩ける。

鉄塔の先で東の市川町へ下る道がある。プラ階段の送電線巡視路で。この道と七種槍頂上から市川町に下る道とを使ってコースができないかなと思う。この分岐には迷い込まないように、針金に「野外センター」への黄色い案内板が下げられている。また平成12年5月4日と日付の書かれた福崎町山の会の「野外センター」への木板もある。

行く手に現れた岩場
357mピークの手前

9:45
357mピークへ登る岩場が行く手に現れた。福崎町山の会の木札が下がっている。北は「こぅじゃが峰(七種槍577m)」、南は「野外センター」とある。また将棋の駒の格好をした鉄製の表示板が立っているがすっかり錆びてしまって何が書かれていたのかわからない。

9:49
この岩場には七種山系唯一の鎖場がある。といっても、鎖にしがみついて登るのではなく手摺のようなものだが。但し鎖の外側は切れ落ちていてそのうえ道の幅も狭く、足を踏み外したら二度と山登りを楽しむことができなくなるだろう。

鎖場
暴風の時は引き返したほうがいいだろう

10:04
縦走路が地形図の前之庄から寺前に移ると、393.4m四等三角点標石(点名:奥山)が道脇に埋まっている。近くの松の木に巻かれた白色テープに「393の山(393m)」と書かれている。ここからは近くの七種槍は見えないが、西から北西に七種山塊が広がっている。

どれが七種山なのだろう
山門が小さく見える(あるいはトイレか

三角点標石から北に岩場を登っていく。行き止まりの岩場もあるが、親切にも岩には黄色のスプレーでルートが描かれていて迷うことは無い。

10:20
岩場を登った先のピークは「天下台」だ。松の木に巻かれた黄色テープに書かれた字は縮んでしまい「エヘ下台」としか読めないが間違いない。西側に下る明確な踏み跡があるが、そこはトラロープで塞がれ「危険!」と表示されている。昔々そこに迷いこんだことがあるが、すぐに踏み跡は消えてしまう。

天下台から南方向
名前の通りの大展望地だ

七種槍への道は短いが激下りでトラロープが張られている。そこを下っていくと、足元に「市川町」と書かれた黄色プレートが置かれ、木に南向きに「野外センター」とこれも黄色プレートが下がっている。ここから市川町に下ることができるのだろうか。黄色プレートはここ以外にもたくさんあるが今ひとつ意図がつかめないのが多い。

10:51
小槍付近は狭い岩尾根で高度感がありこの縦走路の核心部だが、何度も通りすっかり慣れてしまって初めの感動がなくなってしまったのが淋しい。

狭い岩尾根を下る
10秒間ではここまでしか下れない

ここまでは落葉樹やアカマツが多く展望の尾根道だったが、七種槍への最後の登りに入ると周囲の木々は常緑広葉樹が増えてきて展望はなくなる。

11:25
登山道は七種槍頂上の西側を通っていて、何故か頂上への案内はない。

野外センターへ
☆岩尾根を通り、3.5km約100分
自然を大切に…七種槍愛好会

この案内があるところが頂上の直下で、皆適当に登るためか踏み跡が数本頂上へと延びている。


七種槍からは黙々と尾根歩き

11:27
歩き始めてから2時間40分、ようやく七種槍頂上に到着。577.3m四等三角点標石(点名:小滝)がある、直径4mほどの平らな頂上だ。周囲を雑木に囲まれ展望はあまりよくない。ここで七種山から周ってきた夫婦のハイカーに出会う。

この頂上には案内プレートがたくさんある。

  1. パウチした上下黄色の七種槍愛好会のもの3枚

    下山注意!
    市川町に下山!野外センターへは下山できません!
    七種槍愛好会

    野外センターへ
    ☆岩尾根を通り、3.5km約100分
    自然を大切に…七種槍愛好会

    自然を大切に
    七種槍山頂には珍しい「ヒカゲツツジ」たくさん自生しています。
    この「ヒカゲツツジ」は、深山渓側の崖に生える貴重な植物です。
    みんなで大切に守り育てましょう
    七種槍愛好会

  2. 黄色プレートが2枚

    市川町へ

    七種槍
    577.3m

  3. 福崎町山の会の木札

    こぅじゃが峰(577m)福崎町山の会

  4. 古い木札

    福崎へ下山

  5. 兵庫登山会のもの

    七種槍
    標高577.3m
    登頂されたあなたに感謝します
    兵庫登山会

  6. それから個人の登頂プレートが2枚。

以上のものが半円を描くように並んでいる。少し多すぎるような気がする。以前はここから市川町側に下りてしまう人がいたようだが、これだけ案内があれば間違う人はいないと思う。

七種槍頂上
七種槍は展望不良な尖ったピーク

11:36
七種槍頂上を後にして、七種山を目指し北西に急な坂を下る。激下りが緩やかになったところで男女4名のハイカーに出会う。七種山頂上までの縦走路で合計12名に出会うことになるのだが、七種槍も有名になってしまったものだ。

七種槍から北側も狭い尾根が続くが、登山道は雑木に挟まれ展望はない。七種山頂上まで岩尾根が続いていたら「日本百名山」の補欠の親戚ぐらいにはなれたかもしれないのに残念だ。

単調な登山道が続く
劇登りへのプロローグ

12:13
展望のない雑木の尾根は、展望のない植林の尾根となり、西側の小滝林道にエスケープする分岐点についた。植林の中の330m+の最低鞍部からわずかに北に行ったところで、分岐があり林道に向けてトラロープが張ってある。恐ろしく急な下り坂だ。

小滝林道への案内
あと3枚ある

この分岐にもたくさんの案内プレートがある。以前にきた時、このエスケープルートを見つけることができなかったが、今は一目瞭然になっている。

  1. パウチした上下黄色の七種槍愛好会のもの3枚

    野外センターへ
    ☆小滝林道に下山、3.5km・約1時間
    自然を大切に…七種槍愛好会

    七種山へ
    ☆あと1.5km、約1時間(標高差300m)
    心臓破りの急坂、2回あり
    自然を大切に…七種槍愛好会

    七種槍へ
    ☆あと1.5km、約50分(標高差200m)
    自然を大切に…七種槍愛好会

  2. 黄色プレート

    林道小滝線へ

  3. 福崎山の会の木札

    七種山へ 野外センターへ 下山へ
    コウジャガ峰
    (七種槍)
    福崎山の会

  4. 木札

    福崎町へ下山
    小滝林道

ここから林道に下り帰ろうかなと思ったが、時計を見るとまだ時間も早いので、計画通り七種山まで登ることにする。「心臓破りの急坂、2回あり」が楽しみだ。


心臓破りの激登り

植林の中を行く道は次第に急になり、傾斜が植林限界を越えると雑木の中の急登となる。登山道はあくまでもまっしぐらに高みを目指して登っていく。九十九に登るような甘い道は七種山塊には存在しない。

12:43
心臓破りの急坂パート1をようやく登り終えた。ここにも2枚の案内板が下がっている。

12:48
少し方向を変え左側は植林、右側は雑木林の中の緩やかな道を行くとT字型の分岐に突き当たる。地形図の552m標高点だ。ここの右側の尾根へは明確な切り開きがあり、559.7m三角点から662.3m三角点の大中山へ行けそうだ。

間違った道に迷い込まないように案内板が4枚下がっている。

  1. 黄色プレート3枚

    七種槍へ

    市川町へ

    夢前町へ

  2. 福崎山の会の白いプレート

    七種ヤリへ
    福崎山の会

これだけ案内板あれば七種山から七種槍に行く人は迷わないだろうが、黄色プレートの町の名前だけを書いたものの意図が今ひとつわからない。

12:59
最後の急登を終えると七種山頂上から300mほど北の、七種薬師に行くこともできる尾根に出る。以前に来た時は尾根道の脇に小さな案内板が1枚目立たないように下げられ、籔の中へ下る狭い急な道があるだけだった。しかし、今は切り開かれ案内板が8枚も下がり迷うのが困難な分岐になっている。

七種山北の分岐地点
昔が懐かしい
  1. 赤い矢印

    七種山 山頂へ

  2. 藍那会の木札

    七種槍へ

  3. 七種槍愛好会の同じ文面のもの2枚

    (七種槍〜七種山 縦走コース)
    七種山へ
    あと400m15分、ガンバレ!
    〜自然を大切に…
    来た時よりも美しく〜
    七種槍愛好会

  4. 兵庫登山会の木札が2枚

    右 七種槍、左 薬師
    中級向けコース
    兵庫登山会

    七種槍へ
    3km先 健脚向
    兵庫登山会

  5. 黄色プレートが2枚

    危険
    この先は道がわかりにくい

    夢前町へ

13:14
七種の滝からの道と頂上直下で合流し(ここには案内板が4枚あり)、歩き始めてから4時間半で七種山頂上に到着。

七種山頂上
北側が開けている

「つなぎ岩」上で展望を楽しみながら遅めの昼食を取る。頂上では3人のハイカーに会った。


下山は滝は素通り、遊歩道で

七種の滝から七種山の山行記録は台風通過後の「七種の滝」と「七種山」があるので、今回の下山部分の詳細は省略する。

13:49
下山開始。七種の滝へ下る道は非常に急で、疲れてきた足にはこたえる。倒木の下を潜り抜けなければならない所も数箇所あり、非常に野性的な登山道となっている。

14:15
七種の滝の上部に着いた。滝へと流れる小川の水量は少なく、滝の岩肌を濡らすぐらいしかなさそうだ。まだ先が長いので、滝の横の急な岩場を下らずに、遠回りだが緩やかな遊歩道を下ることにする。

14:39
林道終点の太鼓橋手前の駐車場に下りた。車が1台だけ止まっている。遊歩道の途中にあった「滝見台」からは植林に邪魔をされほとんど滝は見えなかった。

林道の右手には、金剛城寺跡の石垣が所々にある。左手の七種川には伐採された木がそのまま放置されていて無残な姿をさらしている。今度来るときまでに片付いているといいのだが。

旧山門の手前に「兵庫県知事 貝原俊民書」の「七種山自然公園」の石碑が立っている。今まで気が付かなかったが石碑の裏に碑文が刻まれていた。

七種山の沿革

この地は霊場として太古から数多くの説話を残し点在する石積(金剛城寺跡)が、多くの参拝者でにぎわった当時のおもかげを今に伝えている。
また周辺の澄んだ川、清浄な大気、静けさ豊かな自然のメカニズムが四季を通して人々の心をなごませてくれる。
この度、全県全土公園化推進事業により現代人の心のふるさととして、また自然性、人間性を培う地として広く親しまれることを記念してこの碑を建立する。

昭和62年3月吉日
福崎町長 福本善次

昭和11年 県下八景「七種瀧金剛城寺」         神戸新聞社主催
昭和41年 県観光百選「七種山(七種の滝・金剛城寺)」 兵庫県主催
昭和59年 兵庫森林浴場五十選「七種山」        兵庫県主催
昭和60年 近畿百景「七種の滝」            近畿郵政局主催
昭和61年 ひょうご風景百選「七種の滝」        朝日新聞社主催

14:58
旧山門の駐車場には3台の車が止まっている。

15:17
ぶらぶらと野外センターへの舗装道路を歩いていると、「ライオンズの森」手前の西に入る林道に案内が2枚ある。

七種薬師へ
山頂まで2km、この先すぐ右へ
自然を大切に…薬師峯愛好会

七種薬師山 入口
登山ルート整備事業
15年3月23日
福崎町山の会

しばらく七種山から遠ざかっている間に西側の「七種薬師」への道が整備されてしまった。林道を少し入ると案内がありテープの目印も付けられている。これはぜひとも登ってみなければならないだろう。

15:28
野外活動センターの駐車場に戻る。出発してから6時間40分、休憩時間を抜いたらほぼ標準時間か。

以前に比べ七種槍縦走コースの案内は充実し、市川町や夢前町へ下りてしまう人はいなくなっただろう。しかし、距離は長くきつい登り下りもありあまり一般向けではないかもしれない。しかし展望もよいし。歩ききったという満足感もありお勧めのコースではある。



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