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亀ケ壺から十三廻り、そして鶴居駅へ



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平成18年7月15日(土)  メンバー 私だけ

姫路市夢前町山之内「河原口」バス停〜亀ケ壺〜十三廻り〜神崎郡市川町播但線「鶴居」駅

2万5千分の1地形図「寺前」「粟賀町」を参照すること。


避暑

蒸し暑いこの時期に日が照りつける展望の尾根道など歩くとどうなるかは、数え切れない体験からの学習の結果として体得できたので、夏場は水遊びに限ると、毎年恒例?の姫路市(去年までは飾磨郡夢前町)の亀ケ壺詣でをしてきた。しかし毎度毎度の亀ケ壺までのピストンでは面白くなく、今回は十三廻りから市川町へと突き抜けてしまうことにした。

7:29
夢前川沿いに北上する山之内行きの神姫バスで「河原口」バス停で下車。姫路駅前からなら所要時間は45分、料金は940円(環境定期制度を利用し支払ったのは100円のみ)。

川原口バス停のすぐ北から東へ入る道があり、川原川沿いに続いている。目的地の亀ケ壺まで直線距離では4kmほどしかないが、川沿いの道はその倍ほどの距離か。

亀ケ壺へは右手の道に入る

河原川に架かる橋の側にある表示柱より。

  名勝 亀が坪滝  姫路市
河原口(こうらぐち)より、東の谷8km(徒歩約2時間)の奥地にあり宝歴12年(1762)にまとめられた「播磨鑑」にも明記され、古くから知られていた。(滝高さ約20m、坪深さ約2m、幅約3m)
水が清らかなために、この滝に汚物を投げ入れて汚せば、たちまち水神の怒りを招き暴風雨の災難があるといわれた。この伝承があるために、古くから山之内の各地区から番人が出て滝に汚物が入らないように見守った時期もあった。

  兵庫県自治振興助成施設 文化財標柱
この標柱は、兵庫県の競馬収益金を財源とする自治振興資金の助成を受けて設置したものです。

林道入口の亀ケ壺への案内板より。

亀ケ壺

自然は、みんなの財産です。マナーを守って旅するあなたに、感謝します。
兵庫登山会

7:34
10軒ほどの住宅地を抜けると「平野レジャーセンター」があり、入口に亀ケ壺までの案内図と注書きが掲示されている。案内図は地形図を拡大着色したもので、注意書きは下記のとおり。

注意事項

  1. 魚止ノ滝⇔亀ケ壺間は、沢登りとなり落石、スリップ事故などが発生しやすく危険である。
  2. 河原谷にも毒ヘビ(マムシ、ヤマカガシ)毒虫などが棲息しているので、対応を誤らない事。
  3. 地区以外の一般車両は、第2砂防ダム周辺から上流への通行を禁止。

林道起点−3.7km→第2砂防ダム−1.6km→亀ケ壺

河原谷の自然を守る会 日本野鳥の会(兵庫県支部)

7:36
第1砂防ダムの下流側にある「山之内レジャーセンター」は営業していないように見える。ダムから上流は地形図に標示されているようにかれ川となり流れが消えたり現われたりする。林道は川から少し離れて植林の中を進み、朝食代わりのコンビニサンドイッチを頬張る。

林道をテクテク

8:14
廃別荘・どこかの保養施設と人気のない建物が続き、その先には現役の別荘地が河原川の左岸に広がっている。犬の鳴き声も聞こえ、自然に囲まれた(植林地の中だから、人工に囲まれているとも言えるが)別荘で週末を過ごす優雅な生活と思いきや、とあるウェブサイトを覘いてみると、ここに定住している家族もいるという。

河原谷の別荘地

別荘地奥からは道は少し悪くなるが、普通車でも楽に入ることが可能だ。林道脇にきれいな色のタマゴタケがぽつんと1本だけ笠を開いている。おいしいと言われるキノコで持って帰りたかったが、この先何時間もザックに入れていたらグシャグシャに押し潰されるのは目に見えているので、よだれを垂らしながら見るだけで諦めた。

この先には人家はない

林道脇にタマゴタケが


ここから先は車は入れない

8:29
バスを降りてから丁度1時間、車が入れる最終地点の第2砂防ダム上流側の広場に着いた。緩やかな流れの河原川には砂防ダムは2ケ所しか築かれていなく、ここなら10台ほどは車を止められそうだ。

第2砂防ダム上流側の広場

8:41
林道分岐地点の手前には地形図にも記載されている滝(魚止ノ滝なのだろうか)があり、今日の水量は少なめだ。これでは亀ケ壺も見栄えがしないかも知れないが、水量が少ないほど遡上は楽なのでラッキーのようなアンラッキーのような。

林道分岐手前の無名滝

8:45
林道の分岐点に着いたが、手前の道が落石と倒木で凄いことになっている。振り返って見上げると数十メートル上の崖の岩が剥がれ落ちている。最近の出来事のようで、落石・倒木ともそのままになっている。

めちゃくちゃに荒れた先に

林道分岐点の廃屋がある

橋を渡って林道が北へ伸びているが、その先は私の2年前の記録「夢前町立船野から大河内町高朝田へ」で紹介している。林業の作業小屋だった思われるものは、10年ほど前に最初に訪れたときはもっとしっかりしていたが、今は壁はほとんどなくなり屋根も壊れて、もうすぐ倒壊しそうだ。

公設の案内板には「亀が壺の滝へ(約50分)」となっていて、水量が少ない時に道草を食わなければその通りの時間で行けた時もある。しかし、今回は道草のし放題で倍ほども時間がかかってしまった。ここにも兵庫登山会の人生訓めいたものが表示してあるが、自然に囲まれたここには必要のないものだ。

人は誰しも明日と云う日を夢み今日を生きている。
今だ見ぬものとの出会いに人生は感動の連続でありたいー。
今日一日自然の美を満喫した自分人生に、祝福と乾杯を…

兵庫登山会


ようやく楽しい沢歩き

廃屋をやり過ごすといよいよ河原谷の遡上が始まる。今回の足回りはソックスとスポーツサンダルの組み合わせだが、底のしっかりしたスニーカの方が歩きやすく安全だろうし、沢用のシューズなら申し分ない。また今日のように水量が少なかったら登山靴でも、靴底以外濡らすことなく進めるので問題ない。結論は今回の安物のスポーツサンダルは論外だが、何を履いていってもかまわないと思う。

ジャブジャブジャブ

明るい沢をジャブジャブジャブ

基本的なルートは沢の脇に付けられていて、右に左に渡渉を繰り返す。最近はマーキングを施す人がいないと見え、ルートは不明確な部分が多いが、ジャブジャブと行けば涼しいし気持ちよいし、ルートを探す必要もないし、でも水の中を歩くと疲れる。

9:11
天然のウォータースライダー付プールまでたどり着いた。いつもは帰りに泳ぐところだが、今日はもう通らないので、とりあえず服を脱いで泳いでおく。水が冷たくとても気持ちよい。しかし毎年やることが同じで進歩がないと自分でも思う。

ウォータースライダー付天然プール

暑い中を歩くには冷たくて気持ちよいがバシャバシャばかりでは疲れてしまう。いくら透き通っていても水底は見にくいし黒っぽいコケはすべるしで、なるべく陸上を行くことに方針変更。

ジャブジャブもよいが

沢沿いの踏み跡の方が歩きやすい

明確な道跡もあるが

どこが道なのか

渡渉地点も正しく守り

森の端を行く


もうすぐ亀ケ壺だ

10:05
2番目の作業小屋に到着。この小屋は10年前から変化はないが、その昔はここまで植林の資材や苗木を運び込み、ここに寝泊りして作業していた時があるのだろう。今となってはここから用材を伐り出したとしても運搬費だけで輸入材よりも高くなりそうな気がする。

2番目の作業小屋

ここまでは特に難所はなく、水量の少ない今日はこの先も難所はない。但し、この先にゴルジュ状の箇所があり、水嵩が増えたときは左岸を高巻いて岩の急斜面をトラバースして抜けなければならないところがある。まあ水量の多いときは滝の様相も凄いが流れも凄く、そういう時は私のような沢登りの経験など全くない単独者なら撤退するに限ると思う。

この岩の先がいやらしい

暗くてよく見えないが
ここが一番狭まっている

右岸側に渡り簡単に通過

ここも水量がなければ、右岸側を行ける

10:38
亀ケ壺に到着。水量は予想どうり非常に少ない。

亀ケ壺

滝の中段に大きな甌穴があるが下からは全く見えず、右からも左からも登り難い。どちらかと言うと右からの方がよじ登り安く、ここまで来たからにはぜひとも登って見て欲しい。


右がだめなら左があるさ

今回はこの滝を越えてさらに奥に進まなければならず、最初に過去に一度登ったことがある右岸側の崖に挑戦したが、スポーツサンダルのまま登ったのが敗因で最後の手の届かない岩場に追い返されてしまった。途中から甌穴の写真だけは撮ることが出来たが近づくのは遠慮しておいた。

亀ケ壺の甌穴

下に戻って、スポーツサンダルからスニーカーに履き替えて左岸側を高巻こうと用意をしていると、本日ニ人目のハイカーが登ってきた。登山靴を濡らすことなくここまでやって来て、これから左岸側を登ると言う。私よりも数段山慣れた人のように見受けたが、遊び心は私の方が勝っていると感じた。

11:12
少しお腹が空いたので惣菜パンを1個食べ、私も彼の後を追う様にガレた谷を登る。登れなかったが右岸側なら滝の高さだけ登ればすぐ落ち口なのだが、左岸川は倍ほども高巻かなくてはならない。

左岸側を高巻き中

11:25
ようやく高巻きを終え亀ケ壺の落ち口に辿り着いた。ほぼ垂直に落下した水が甌穴に流れ込む様子が見えるが結構な高度感だ。

落ち口から覗き込むと

丸い大きな甌穴が


穏やかな谷を十三廻りの峠へ

滝から上は穏やかな様相で険しさはなく、炭焼釜跡があったり広い道跡があったりで気楽に歩けるが、一部に間伐木が覆い被さり手間取らされた。5年ほど前の山行記録では渡渉地点には丸太橋が架けられていたというが、今はその名残を残すだけで渡れるものは皆無だった。

滝近くの炭焼窯跡

道跡も残る

道は何度も渡渉する

この丸太橋はもう渡れない

12:15
道は谷の左岸側の高みへと登っていき、谷から聞こえていた水音が聞こえなくなる頃から九十九折れに稜線へと登っていく。これが十三廻りかと折れ数を数えながら登っていく。

道は谷から離れて登っていく

九十九折れ八番目を折り返す

12:26
最初は長かった九十九折れの間隔が短くなり、十番目を折り返すと峠に出てしまった。十三廻りの峠は姫路市と市川町の境界に位置し、南北の稜線には踏み跡が、市川町側には南東へと林道が下っている。北東方向にも破線道が下っているが南東へと下る林道と合流し鶴居へと下っていく。

十三廻りの峠に着いた

峠から東を見る


暑い林道をテクテクと

13:05
コンビニのおにぎりセットを食べて、このままでは公共交通機関には乗りにくいので服を着替え下山開始。道端に野いちごの実がなっていたので食べてみたが苦いばかりでおいしくなかった。帰ってから調べてみると「ニガイチゴ」なるもので、名前通りの味だった。

林道脇に実っていたニガイチゴ

林道を下っていく

登山靴で同じ勾配の道を長時間下ると結構足に来るのだが、今回はスニーカなので何時になく快適に下っていける。林道は地形図通りに道が合流してきたり分かれたりしながら終始緩やかに下っていく。

峠まで登る道は分岐点にあった表示板から「造林用の仮設道」という位置づけになっていることが分かったが、仮設期間が過ぎたら放置されてしまうのだろうか。この仮設道路は一般車両の通行は禁じているが、入口は閉鎖されていなく落石をどかしながら草刈をしながらなら普通車でも峠まで登れそうだ。

ここはまだ造林用の仮設道

だいぶ下ってきて、ここは誰でも入れる林道

14:59
十三廻りの峠から2時間弱でようやくJR播但線の鶴居の駅に着いた。標高が下がるにつれ気温は上昇し辛くなってきたが、終始下りだったので何とか駅まで辿り着くことが出来て、駅近くの自販機で買ったビールがとても美味しかった。

JR播但線鶴居駅は無人駅



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