山行記録にもどるホームにもどる



石楠花谷核心部を遡行する



スポンサード リンク




平成19年12月8日(土)  メンバー 私だけ

大池バス停〜石楠花谷〜谷上バス停

2万5千分の1地形図「有馬」を参照すること。


石楠花谷の入口はいずこ

先週の大池地獄谷道に続いて、今日は西隣の石楠花谷で遊んできた。

30分ほど石楠花谷の入口探しに費やしてから、阪神高速北神戸線水晶山橋の真下からいきなり始まる核心部、小滝が連続して現れる全長100mもないゴルジュ帯を1時間ほどかけて遡行したらもうお昼。時間切れで、谷を詰めてダイヤモンドポイントまで至ることは出来なかったが楽しい一日だった。

9:32
標高350mの大池バス停から歩き始める。

大池バス停

先週は三宮からここまで市営地下鉄・北神急行・神戸電鉄と750円も大枚をはたいてしまったが、山行資金は無尽蔵にあるわけはなく、今日はいつもの神姫バス三宮有馬線を利用。環境定期券制度で610円の運賃が84%引きの100円になり、JRの定期券も持っているので帰りの分と合わせても今日の交通費は200円だけと、私が姫路から毎週のように六甲山へ通える秘密だ。

ただし、三宮からの始発が9時と遅いことと、共同運航の阪急バスでは割引が利かないのが弱点だ。

バスを降りたら、進行方向の信号機付交差点を右に入ると神戸電鉄の大池駅がある。そこからの町歩きルートは前回の大池地獄谷道+六甲山のカレーライス14皿目を見てもらうということで省略。

9:54
兵庫登山会の地獄谷と石楠花谷のコース案内図が立つ三叉路に到着。先週は真っ直ぐに地獄谷へ進んだが、今日はここを右へ入る。

デュポーム六甲テニス倶楽部方向へ

コース案内図の一部が消されているが、そこには「谷川沿(上級)」と書かれていて本日の目的地だ。

兵庫登山会の案内図

9:57
坂道を右側に神港学園神港高等学校の専用野球場、左側に総合グランドを見ながら下りていくと、デュポーム六甲テニス倶楽部へ入ってしまう。実はテニス倶楽部を通り抜けるのが一番分かり易いのだが、導入路入口横の白いパイプフェンスの脇から入るのが正式なハイキングルートだ。紐マーキングと文字が消えているが小さな案内板が下がっている。

デュポーム六甲テニス倶楽部手前で
フェンス脇へ入る

踏み跡はテニス倶楽部のパイプフェンスから一段高い神港学園総合グランドを囲むネットフェンス沿いへと続いている。サッカーの練習をしている生徒たちを見ながらネットフェンス沿いに進むと「オオイケヒガシ 19R15」とプレートが付けられた電柱が立ち、その先はU字溝が埋め込まれいる。

そこの右側の立ち木に赤と白のテープが巻かれているので、そこから踏み跡を下るとテニス倶楽部パイプフェンスの端へと至る。パイプフェンス沿いを進んでも行けるのだが、草木が茂る中を進まなければならない。

テニス倶楽部のパイプフェンス末端から下りる

注意を要するのは、電柱・U字溝を通り過ぎてさらに総合グランドネットフェンスを回っていくと、もう一ケ所にマーキングが付けられているが、そこからいやらしい斜面を下ると大池地獄谷へ行ってしまうことだ(経験者談)。

狭い踏み跡の曲がり角に「ハイキングコース」と書かれたパウチされた案内があり正しい経路を辿っていることが分かる。

踏み跡は不明確になり、大池地獄谷からの護岸脇を行くとテニス倶楽部内の車路に入ってしまう。テニス倶楽部敷地に入らないように無理やり対岸に渡ったりせずに、そのまま進むのが正しい経路のように見える(経験者談)。

結局テニス倶楽部の外周部を通り
ここから谷に下りる

10:38
テニスコートの端から河原に下りると、そこが大池地獄谷と石楠花谷の出合で、上空には阪神高速北神戸線の水晶山橋が横切っている。テニス倶楽部入口から40分もの時間がかかったが、この山行記録を読んだ人なら5分もかからずに通り抜けられる。

阪神高速北神戸線
水晶山橋


石楠花谷の核心部を遡行

10:41
入渓時刻としては信じられないほど遅くなり、もうこの時点で谷を詰めて水晶山まで登ることは諦めた。目の前には美しい渓流美が広がり、ここまで来ることが出来たことをを八百万の神に感謝するのみ。でも真上を見上げると水晶山橋が空を二分し騒音も聞こえてくるし、車窓からポイ捨てされた空き缶などのゴミがそこかしこに散在している。

地獄谷と石楠花谷の出合に三脚を立てての撮影で、私が立っている右側に増水時の渡渉用に角材が渡されている。その角材の先が一般ハイキング道で、試しに乗ってみたが強度は問題ないが、平均台より細くぐらぐら揺れて渡れるものではなかった

石楠花谷の始まり
いや終わりというのかも

10:47
一般ハイキングコースに入ることなく河原を進むと、いきなり岩山の狭まりの中へ渓流が吸い込まれていく。いよいよ石楠花谷核心部の始まりだ。

石楠花谷核心部に突入

10:51
最初の小滝だ。この先にも連続して小滝が現れるが、乗り越えるまで次の滝が見えず、次第に困難になり飽きさせない。

この小滝は左側を簡単に越したが、濡れているところはヌルヌルしていて細心の注意が必要だ。本当に綺麗な渓流ならヌルヌルはないはずだが、栄養分に富むこの石楠花谷には近所のどぶ川に生えるのと同じ藻がゆらゆらしている。

一番目の小滝は左側を越す

10:58
丸石の河原をほんのちょっと進むと二番目の小滝だ。これも左側の岩棚に手掛り足掛かりが誂えたように配置されていて、1mほどのギャップがあるも難なく越せる。まあ渇水期のせいもあり、小滝には全く迫力がなく詰まらないといえば詰まらないが、これ以上の水量があったら引き返そうかなと思ったかも知れない。

二番目の小滝も左側を越す

11:01
渓流の向きが180度変わって三番目の小滝が現れた。増水時には滝右側の岩へ取り付くのも困難だろうが、渇水期のとあって靴底を濡らすことなく水際を進み岩場まで行けた。

三番目は180度方向を変えた先

滝右側の岩場は、これまた手掛かり足掛かりが豊富だ。特に手掛かりは向こう側に尖っていて全体重を楽に片手で支えられ、三点確保でひょいひょいと越すことが出来た。

三番目の滝は右側から

11:20
越した先にはロープが下がり、上へは谷からの脱出用、下へは次なる滝を目指しての遡行用だ。ここまでは写真を撮る余裕があり、水量さえ少なければ誰にでも誰にでも遡行可能だ。

ロープを使い遡行を続ける

11:22
すぐ先に四番目の小滝があるが、私にとっては最難関だった。ここも背丈を越す右側の岩壁までは岸伝いに行けるのだが、手掛かりは丸くて掴みどころがなく私の技量ではよじ登ることは不可能だ。滝身近くは登れそうに見えるが、深い滝壺を泳ぎ渡らなければならない。

ここで引き返してロープを登り谷から脱出しようと一度は思った。でも、一本の木が斜めに引っかかっているのを最初はただの倒木だと思っていたが、見つめ続けると人為的に置かれた橋のように見えてきた。かなり古そうで私の体重を支えてくれるか確信は持てず、本当に渡れるのかと長いこと逡巡したが意を決した。「行くぞー」。

四番目の小滝は手ごわいぞ

木に乗り移ってしまったら引き返すことは不可能なことは見ただけで分かるので、カメラをウエストポーチに仕舞いこみ、三脚をザックに括りつけ播州野歩記史上かつてない臨戦態勢を整える。

11:36
しかし、木に乗ってしまってから後悔した。木の強度は十分なのだが、岩壁に手をついた状態で登ろうとすると、濡れてもいないのに表皮を失った木はツルツル滑るのだ。岩壁にも手掛かりが乏しくにっちもさっちも行かない最悪な状態に陥ってしまった。そのまま5分間その場であがくだけで私の人生はもう終わりか、いやそこまではいかないが滝壺の水は冷たいんだろうなと思い始める始末。動かなければ一応安定しているのだが、無理に動いたら本当に落ちそうだ。

しかし私の八百万の神への祈りが通じたのか、偶然に左手が少しは確保できそうな手掛かりを見つけた。そして体を斜めに、木に対しては直角に構えることが出来て少しづつずり上がることが出来て、えいやと岩場に飛び移った。

11:36
コツをつかんだのでもう一度やれと言われれば、ひょいひょいとこなす自信はあるが、下りるのは無理だ。そう思った人が他にもいたのか滝を越しきると、そこにも脱出用のロープが下がっていた。

最難関を突破
ほとんど放心状態

11:42
右に曲がる谷を進むとゴルジュは終焉を迎え、優しそうな光景が広がっていた。もう十分な10年分ほどのスリルを味わったので引き返しロープを登り脱出することに決めた。というか濡れてもいない岩も滑りそうで、せっかくここまで無傷で来た体を転んで濡らすのが嫌だったのが一番だ。

最終遡行地点
ここから引き返し脱出する


一般道はどこなんだ

11:47
四番目の小滝を越えたところの脱出用のロープが下がる岩壁は急だが、手掛かり足掛かりは十分だ。でも一部だけごぼうで登る場面もある。

石楠花谷から脱出

登りきったはよいが「ここはどこ、私はだれ」状態に陥り右往左往。一般道があるはずの西に行くも谷がある。下ろうにも藪が濃い。こういうときは登るに限ると、林の中に一条の隙間を見つけ高みへと進む。

葉を落とした林を登る

11:59
迷いの森に踏み込んだような感じだが、後ろを振り向くと水晶山橋の姿が大きく見えていて、谷の遡行を開始してからほとんど進んでいないことを実感してがっかり。

でも後ろには水晶山橋が

12:04
一般ルートに出ることが出来た。場所は「石楠花谷第二砂防ダム」(昭和52年3月完成、高さ16m、長さ78m)の少し下流で、ここまで明確な切り開きが存在したがマーキングは全くなかった。

一般ルートに出る

12:05
砂防ダムまで行き、森羅万象、八百万の神の加護に感謝しシェーを執り行う。背後の石楠花谷第二砂防ダムの名板が赤ペンキで一と書き換えられているが、本当は一なのか二なのかどちらなのだろうか。それとも国土交通省六甲砂防工事事務所に恨みを持つハイカーによるいたずらなのだろうか。

石楠花谷第二?砂防ダムでシェー

12:11
快適な、でも石楠花谷の核心部をすっ飛ばかした道を下ると、おそらく自然石にマジック書きと思われる「石楠花谷入口」書かれた石が置いてある。情緒はないがとりあえずの道標となっているのでよしとしよう。

「石楠花谷入口」の石碑

12:12
道が二手に分かれ、左右とも同じような狭さだが、左側の方が少しだけ明確で、右側の方が藪っぽい。ここは藪っぽい右に進む。

12:16
予想以上に東へ進むと、テニス倶楽部南の大池地獄谷と石楠花谷出合近くに下山し、出発点に無事戻ることが出来た。

出発地点へ戻った

帰りのバスの便まで間があるし、歩き足りないので谷上駅まで歩くことにした。



スポンサード リンク



山行記録にもどるホームにもどる本ページのトップ