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行者山(宝塚市415m)展望良好、
でもなんだかなあ



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平成20年4月6日(土)  メンバー 私だけ

エデンの園〜行者山〜西山団地バス停

2万5千分の1地形図「宝塚」を見ても行者には登山道は記載されていない。


社家郷山の次は行者山だ

午前中の社家郷山に続き、午後からは東六甲縦走路脇の譲葉山514mから南東に派生する『行者山』415mだ。標高は高くはないが、宝塚市街地に近く展望が凄いと言う。

11:59
有料老人ホーム「エデンの園」東側、ゆずり葉台2丁目10の角から閑静な住宅街へと入る。バス通りには次のような道標があったが、文字が薄れていてかろうじて判読できるくらいだった。

エデンの園方向 : 県道82号・小笠峠
阪急逆瀬川駅方向 : ゆずり葉緑地・逆瀬川
右手住宅地方向 : 岩倉山・六甲縦走路・行者山

ゆずり葉台2丁目の住宅地に入る

12:04
住宅地としては少しばかり急な道を、北東隅の実線道取り付きを目指し登る。現れた道は山道というよりも、簡易舗装された車も通れる作業道といった感じで、おそらく砂防堰堤工事のために通されたのだろう。今は柵が設けられていて一般車両の進入はできない。柵には「無許可 進入禁止」と表示されているが、自動車向けのものであってハイカー向けのものではないと判断した。

行者山ハイキングコース
ゆずり葉台口

取り付きや分岐点などの要所には、「行者山ハイキングコース」と表示された地図形式の道標が立てられている。支柱付の独立したもので、環境に与える影響はごく小さいとは思うし、ハイカーの役にたつ優れもののように見える。でも、私から見れば単なる山中に放棄されたゴミにしか見えない。

税金を投入してまで山の中にゴミを捨てるのは止めて欲しい。高齢者の割合が多いハイカーの全てがインターネットを閲覧できる環境にないことは分かるが、宝塚市公式ウェブサイトの片隅にでもハイキングコース図をアップしておけば、それで山を汚すこともなく所要の目的を達成できると思うのだが。

この行者山ハイキングコースの名標・道標は、平成17年度兵庫県地域団体活動パワーアップ事業助成金に基づいて整備されました。

行者山ハイキングコース道標
大きいサイズ(1,600×1,066 729KB)はここをクリック。

12:08
コンクリを流しただけの簡易舗装の道だが、平坦な地形のためか雨で路盤が流されたところもなく、困ったことだがあと百年でも持ちそうだ。

簡易舗装の道をテクテクと

12:13
地形図で実線道と破線道に分かれるところまできた。ここから先の砂防ダムへ向かうと思われる実線道は、半分藪に帰ろうとしていて、親切にも「×行き止まり」の真新しい案内板が下がっている。そして来た道には「ゆずり葉台」、破線道には「六甲全山縦走路、行者山・光が丘」と書かれた古い案内板が下がっている。それから足元には「山歩く心にいつも火の用心 宝塚市西消防署」の立看が寝そべっている。なんかゴミがゴミを呼んでいる悪循環に陥っているところだ。


ようやく山道らしくなってきた

12:15
破線道が南に引き返すようにカーブを描き、ようやく地道となりハイキング道らしくなってきたが、下の写真の右下には数個の粗大ゴミが捨てられている。困ったことだ。

正面だけ見れば快適な道なのだが

12:18
「白瀬川源流口」分岐点で、歩いてみたくなる快適そうな道が南へ延びている。ここにも地図付道標が立っていて、そしても各方向別の案内板が立ち木から下げられている。さらにご丁寧にも分岐道には両側に色違いのものが下げられている。

←白瀬川源流口
←ゆずり葉台口 白瀬川源流口→
←白瀬川源流口
六甲全山縦走・東六甲縦走路 行者山東観峰/光ガ丘口→

針金で立ち木にくくりつけるのが一般的なのに、ここのはカラー針金を巻いてスプリング状にした物で止められている。針金が食い込むことがないように、木の負担にならないようにと心配りされたものだ。でもよく観察してみると、驚くべき事実が判明した。

案内板を下から支えているような小枝に注目して欲しい。よくこんな都合のよいところから小枝が出ていたなと、でも幹はアカマツなのに小枝は広葉樹のものではないか。アカマツの幹にドリルで穴を開けて、そこに小枝をねじ込んでいるのだ。

「これぐらいの小穴を開けても、木には影響がない」と、信じてのことだろう。私も木には何の負担も与えていないと思う。でも、自然を愛護する立場の人がやることとは、とても思えない。これでは立ち木に、案内板を釘で打ち付けたり、木ネジをねじ込んで止めているのとなんら変わりがない。この目の前の事実に愕然とし、この案内板を取り付けた人たちの似非自然愛護精神は、いったいどのようにして生じたのかと思うと、今日のここまでの楽しかった山行に泥水を浴びせかけられたような、惨めな気分になってしまった。

案内板下の小枝に隠された驚愕すべき事実

もう一度見てみると、4枚全てが同じ手法で取り付けられていて、これから先に現れるものほとんどが同じだった。こんなにも熱意をこめてハイキング道を整備しているのに、まさに画龍天晴を欠くとはこのことで、全てを台無しにしている。おそらく少人数のグループで取り付けたものと思うが、反対する人が一人もいなかったのだろうか。

12:24
「嫌だな、こんな山登りたくないな、もう帰ろうかな」と思うも、何とか落ち込んだ気持を奮い立たせ進んでいくと「←東六甲縦走路 行者山・行者山東観峰・光ガ丘口→」の分岐点だ。ここの案内板も全て同じだった。

←東六甲縦走路  行者山→

12:27
また分岐点だ。ここにも地図付の道標があり、柱の表示から「←光ガ丘口 行者山→」と分かるが、進行方向を意識しすぎたのか地図の北が下を向いている。南半球ならいざ知らず、日本では地図の北は上という常識に反したもので、「あれ、ここはどこ」と北が下を向きなのを認識でききるまで時間がかかり、その謎が解けても頭の中で地図を180度回転させなければならず、さらに私の読図力の低さのためか、結局その場では読み取ることはできなかった。

←光ガ丘口  行者山→


行者山頂上から東観峰へ

12:32
林の中を九十九ではないが、ウネウネと距離を稼いで緩やかな登りなるように付けられた、ハイカーに優しい登山道だ。東六甲縦走路への道と分かれてから、標高差わずか50mを登るだけなので、すぐに行者山の頂上に着くだろう。

緩やかな行者山頂上への道

12:38
標高415mの行者山の頂上に到着。崩れたケルンがあり、木々に囲まれた展望のないところだが、空だけはよく見える。この空が見えるというのは結構重要で、苦労して登った頂上が藪に覆われていて空さえも見えないと、がっかりの程度が二桁は違う。

展望のない行者山頂上

何枚かの登頂記念プレートが下がっているので、いつものように紹介しようとプレートの写真を撮り始めると、妙齢の女性ハイカーが東からやってきて、挨拶を交わすとそのまま頂上を通り過ぎて西へと下っていった。

最後のはどういう意味なのかはわかるが、なぜここに吊るされているのかがわからない。でもどれもこれも、自己顕示欲の塊のゴミには間違いない。

頂上から数メートル離れたところにもケルンが積まれているが、周囲の状況から昔は木々がなく展望がよかったのか、もしかすると今はケルンになっているが、土台の石に乗ると周囲が見えたのかもしれない。

頂上近くのケルン

12:41
行者山から東方の380mほどの小ピーク「東観峰」を目指し下山開始。緑に囲まれた素晴らしい雰囲気の道が続く。

頂上から東へ下る快適な道

12:45
東側に遮るもののない大展望が広がる「行者山展望台 400m」だ。正面に東観峰から甲山が、そしてその先には見える限りの市街地が広がっている。霞んでいて遠望がきかないのは残念だ。甲山の手前の城壁のような建物は、阪急逆瀬台アヴェルデという大規模なマンションで、どれくらいの人が住んでいるのろうか。

行者山展望台からの大展望

12:55
東観峰が間近に見えてきた。そこには、いったいどのような大展望が待っているかと期待が膨らみ、思わず早歩きになる。でもそこを、ぐっと我慢して写真を撮る。でもなんか見た目は、あまりよくないピークだな。

もうすぐ東観峰

12:57
東観峰への登り返しの始まりに分岐点がある。左に行くと「光ガ丘口」で、東観峰は右だ。

←光ガ丘口  東観峰→

13:01
「行者山東観峰 383m」だ。期待が大きすぎたのか、「行者山展望台」からの眺めがあまりによかったせいか、ただ市街地が広がるばかりで面白みがない。これが宝塚市に住んでいる人なら見知った町並みが広がり興味深く眺めることができるだろうが、私にはせいぜいオレンジ色の屋根の宝塚大劇場が分かるくらいでなんか詰まらない。

東観峰から東を観る

ここに来るまでに5人、ここ東観峰で3人のハイカーに出会い、行者山はそれなりに人気の山なのだと感じた。少々遅くなってしまったがお昼ごはんを食べ、ザックの肥やしになっている望遠ズームレンズを取り出して、宝塚の町並みを写したりしてのんびりと過ごす。

320mm望遠ズーム(35mm換算)で写した宝塚大劇場

このピークには阪神南県民局県土木整備部の西宮土木事務所が設置した「2級基準点 + 2-3 西宮土木事務所」があり、そして地図付の道標も立っている。けれども地図板は、強風か、はたまた人為的な限度を越えた応力のために割れてしまっている。いつ壊れたものか知らないが、設置者は未来永劫、壊れるたびに直し続けていかねばならず大変なことだ。

おそらく設置した人は性善説を信じているのだろうが、「人の手の届くところにある壊れるものは、必ず壊される」という法則を、設置者は学ぶ必要がある。このような道標のゴミ化を回避するには、全ての地図付道標を撤去する以外に方法はないと私は思う。

ゴミと化した地図付道標


下山は西逆瀬台口(アヴェルデ)

13:50
下山ルートは北の光ガ丘口、東の青葉台口・北逆瀬台口、そして南の西逆瀬台口とあり、どのルートで下山するか迷ったが、最終的にはバスで通ったことがある南の西逆瀬台へと下ることに決定。下り始めの展望は東観峰に負けず劣らず良好だ。

展望の下山路

13:54
「行者山東観峰南テラス」で、北逆瀬台口・青葉台口と西逆瀬台口の分岐点でもある。ここの地図板は右半分がむしりとられるように無くなっていて、左側も幾分折れ曲がり東観峰のと同じ運命を辿ることだろう。

ウェブでこの山の山行記録を探してみると、今年の2月21日には、ここ南テラスの地図板も東観峰のも健在で、それから今日までの間に台風はもちろん強風が吹き荒れた記憶も無い。熊の生息域に立てられた道標では、人が造ったものが嫌いなのか、ものすごい爪跡が残り破壊されたものを見たことがある。でもこの壊れた道標には爪跡も牙跡もなく、ほぼ間違いなくハイカーの仕業と考えざるを得ない。ハイカーは善人ばかりと思っていたが、悪人も混じっていることを肝に銘じて、こらからの山歩きを考えていかねば。

←北逆瀬台口・青葉台口  西逆瀬台口→

13:59
急な下りの先は緩やかな水平道が少しで、また青葉台口・北逆瀬台口と西逆瀬台口との分岐点だ。確かに分岐点が多く、辻々に道標がないと、山中の周回コースをぐるぐると回り続けるハイカーが現れそうだ。

↓青葉台口・北逆瀬台口  西逆瀬台口↑

14:08
急な道が続き、ロープも張られている。正面に下山予定地のアヴェルデが見えて、そんなに登ったつもりはないのだが、下ること下ること。エデンの園から行者山頂上まで115m登り、アヴェルデへはその倍以上の265mも下るという、私の経験した中では最も登下比が大きい山だ。

急な下りが続く

14:19
道は緩くなり、コバノミツバツツジのピンク色の彩が春らしさを感じさせる。

もう展望は無いが
コバノミツバツツジの花が綺麗だ

14:22
砂防堰堤の上流側を渡り東側の尾根上の「ゆずり葉ピーク」へと分かれ道がある。ちょっとヤワそうな細い道なのもあるが、もう十分行者山を堪能したのでこのまま西逆瀬台口へと下ることにする。

ゆずり葉ピーク→

14:28
「白瀬川源流バイパス」からの細い道が合流してきた。標高が下がり、コバノミツバツツジの花が益々咲き誇っているように写っているが、私が一緒に写り込めるという条件が成立するところは少ないだけで、どこもかしこも花盛りだ。

満開のコバノミツバツツジ

14:35
アヴェルデの中を通り抜けてバス通りに出ようという目論みは、白瀬川に遮られて果たせなかった。

アヴェルデ裏に下山
桜が満開だ

アヴェルデと西山団地の間の橋からバス通りに出て、1時間に4本も阪急逆瀬川駅前行きのバスが通る、西山団地前バス停へ向かう。

このフェンスは一日中開いていると思う

文句言い通しの行者山だったが、歩きやすい快適なハイキング道を整備している方々の熱意には頭が下がる思いだ。

ただ毎日見ていると、見えていても見えなくなってしまうものが沢山ある。私はただの一見の通りがかりのハイカーにすぎないが、先入観のない第三者(きわめて偏屈な文句たれだが)の目から見るとこんな風にも見えたというだけで、ハイキング道整備の方向性は正しいと思う。

けれども、これ以上の人工物を持ち込んで行者山をパラダイスにして欲しくない。でも、全ての急坂にこれでもかと両側に張られたトラロープ、間伐材で作った手作り感あふれる休憩ベンチ、ハイカーの目を楽しませる四季折々の花々が咲き乱れる花壇、見るものを圧倒する綺麗な惚れ惚れとする鳥瞰図、真夏の強烈な日差し・真冬の六甲下ろしを遮る簡素な休憩所、絶対雨に濡れない手の込んだハイキング感想簿・毎日登山記録帳入れ、前鬼と後鬼を従えた行者像、石造りの祠などなどで溢れかえりそうな予感がする。



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