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伊勢山西峰・神座の窟(姫路市)へ行ってきました



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平成20年8月16日(土)  メンバー 私だけ

伊勢岩屋の森〜神座の窟・伊勢山西峰

伊勢山マップ(2万5千分の1地形図:龍野)

伊勢山は姫路市の峰相・とんがり山系の北端に位置する低山で、地形図に記載されている伊勢山東峰(標高353m)は植林の展望が全くないピークで最終目的地にして登ると落胆すること間違いない。でも、その西側の岩峰からの展望は抜群で、もう一つ「神座の窟(しんざのいわや)」という岩峰の空隙からは類稀なき素晴らしい展望が得られる。

神座の窟からの展望

伊勢山の南、緑台の一番奥の「姫路打越 木もれ日の森」からのコースが歩き応えもありポピュラーだが、3年前の平成17年5月8日に西側に「伊勢岩屋の森」が山開きして、西側から最短コースで登ることができるようになった。日陰の多いショートコースで、真夏でも熱射病のことなどは気にせずに楽しむことができる。山開きの日の様子はこちら


伊勢岩屋の森

姫路市街から国道29号線を、追分峠を越える手前の「下伊勢」の三叉路交差点を右に入り、3kmほども進むと大きめなのに夏草に半分隠された「伊勢岩屋の森」への案内板が見え、その脇道への進入口の両側には犬の絵が描かれた「甲子園警察犬訓練場」の看板が立てられている。

警察犬訓練所への道から分かれ、未舗装のがたがた道を慎重に少し行くとそこは何もない伊勢岩屋の森の入口広場だった。15個ほどの丸太ベンチがまとめて置かれている以外には、鍵の掛かったコンテナが一つあるだけの、水場もトイレも直射日光を遮る東屋もなにもない殺風景というか、ゴミ一つ落ちていない非常にすっきりとしたところだ。ただ利用された形跡が全く感じられないが、少し残念だ。

9:37
伊勢岩屋の森入口広場から、正面に見えている伊勢山西峰と神座の窟の岩壁を目指し出発。

正面に伊勢山西峰と神座の窟が(マウスを乗せると)

9:40
散策路に入る前に案内板が立ち東屋があり、ここまでは道の半分を横切る数本の深い溝にさえ注意すれば車でも入れそうだ。

すぐ先で空木城跡への道が左に分かれていく

伊勢 岩屋の森

この森は、古くから家畜のエサとなる草や薪、山菜などの採取場所として利用される里山でした。また、子供たちがかけまわる遊び場としても、伊勢の人々に親しまれてきました。
しかし、生活のスタイルの変化や電気等の普及により、人々はこの森から離れていってしまいました。
そのため伊勢岩屋《いせいわや》の森では、人々が森と再び関わりを持てるきっかけとなるように散策路をつくり森の手入れにとりかかりました。
この森には、眺めの良い神坐の窟《しんざのいわや》や空木《うとろぎ》城跡、たくさんの生き物の住むコナラ林、風が気持ちよい尾根沿いの散策路など、森の楽しみがたくさんあります。
いろいろ楽しむことができるこの森は、私たちの宝でもあります。この森を訪れたことをきっかけとして、森づくりを始めてみませんか?思わぬ宝を見つけるためにも。

(姫路市林田町上伊勢字岩谷)


たきび、たばこの吸殻やごみの投げ捨てはやめましょう 木や草花は大切にしましょう。

【「新ひょうごの森づくり」に基づく里山林再生事業】
伊勢 岩屋の森では地域の皆さんのご協力のもと、森林整備や歩道の開設などを行いました。環境学習や健康増進など、訪れる皆さん各自のスタイルでこの森との関わり合いを深めていってください。

平成17年3月
兵庫県・姫路市・(社)兵庫森と緑の公社

9:45
東屋の先で空木城跡への草生した散策路が別れ、神座の窟まで0.85kmの案内がある。普通なら「あと少しだ。がんばろう。」となる距離がスタート地点で、30分もあれば登れそうだ。空木城跡への分かれ道の先には、なにやら水道の蛇口みたいのがある。

神座の窟への道は、轍が残る林道のような広い道が真っ直ぐに延びている。

緩やかな広い道で始まる

9:48
また空木城跡への散策路が左に分かれて行き、神座の窟への道も少し山道らしくなり、あと0.7kmだ。

神座の窟まで0.7km、分かりやすい道標だ

9:49
分岐点のすぐ先の石垣を築いた平地の上に、大岩という程でもないが、はるか昔に岩峰から剥がれ落ちてここまで転がってきただろう岩が鎮座している。この山の麓には他に神が宿りそうな巨岩は存在していないのか、この岩には石仏が三体も祀られている。

岩の下、上、そして右側に石仏が

石  仏

ここの巨岩の周辺には、石仏がいくつか奉られています。岩場の神座の窟(かみざのいわや)にもあります。
また、ここには石碑が1基転がっていました。「八丁」とかかれています。
このように数字が書かれた石碑が、この森のほかのところにもあるといわれています。

石碑が一つと、石仏が三体


少し山登りらしくなってきたかな

カトリヤンマ

カトリヤンマは、蚊をつかまえて食べることからこの名前がついたといわれています。
丘陵地から低山地の木陰の多い池沼や水田の溝や川に生息しています。
成虫は、日中には雑木林の中などにかくれていますが、夕方になると現れて、活発に活動します。

9:59
トンボの解説板を過ぎて、夏らしく下草が生い茂っていはいるが道を覆いつくすほどではなく、セミの鳴き声はとんでもなくうるさいが顔の周りにまとわり付く飛び虫はいなく、まだ蜘蛛の時期には早いようで巣が顔にベリッもなく、至極快適な山登りだ。暑さも思ったほどではなく、これぐらいならもう毎週登れそうだ。

一応植林地かな

10:01
また空木城跡への道が分岐していて、神座の窟までは0.6kmとあとわずかだが、入口広場からはまだ0.25kmしか進んでいない。分岐する階段道に三脚をセットしての自分撮りみたいな、進んで戻って戻って戻るようなことさえしなければ、もう神座の窟に着いているかもしれない。

二番目の空木城跡への分岐

10:03
分岐点の先に一部の文字が磨耗した、細い石碑が立っている。

正面……※※※※成婚紀念
左面……伊勢村在郷軍人會及青年會
右面……大正13年1月植樹

※※※※部分は石材の脆さのせいか、あるいは故意に削り取ったのか読み取れないが、大正13年1月26日皇太子裕仁親王(昭和天皇)と久邇宮良子女王のご成婚を記念して植樹をしたということを後世に伝えるための石碑だ。でも、そのときに植樹されたなら大木に育っていると思うが、目だって大きな木はなかったような気がする。

昭和天皇御成婚記念植樹の石碑

10:12
間伐というか、階段道を通すのに邪魔になった木々を伐ったのか、搬出されずに野積みされている丸太が少し気になるが、まあ何とか明るい植林で階段道の状態もまだ良好で、快適な散策路と言えるだろう。

登りやすい階段道が出現

10:15
急斜面を細かく九十九に登っていくのだが、少々下草・低木を刈り込み過ぎたのか、はたまた元々不安定な斜面なのか、地面が無残な状態になっている。そして崩れ落ちてきた石が散策路に浮き石となり堆積して、思いのほか登りにくい。

山開きのときは、山肌を荒々しく削り取って道を通しているなと感じたが、3年が経っても回復するどころか、状況は一段と悪化している。ここに道を通すべきではなかったと、開設者も後悔しているに違いない。

荒れた山肌の九十九な登り

10:17
九十九をやめて左へと緩やかに登っていくが、散策路上下の雑木林は地面が露出していて、果たして元の植生が蘇る日は来るのだろうか。今流行の里山風の明るい雑木林の雰囲気を求めて整備しようとしたのだろうが、裏目に出てしまっている。

左にトラバース、路面は礫が積もり荒れている

10:24
また九十九な、それも細かく右に行ったり左に行ったりと、目まぐるしい。ここはむしろハイカーには評判が悪いが、しっかりとした階段道にしたほうがよかったと私は思う。でも人手を使うよりは小型重機を使う方が簡単だし手間もかからないしで、悪い散策路の見本が出来上がってしまっている。

小さくジグザグと登っていく

10:27
石ころの解説板があり、路面に積もった小石を見てその通りだなと実感。

森の石ころ(礫・れき)

この付近には、礫が多く分布しています。
この森の土は、流紋岩という岩からできたもので、土の表面の礫が特徴です。
山頂付近の岩の風化が進むと、岩のかたまりが小さくなりながら転がり、ふもとに向かって堆積します。
岩が風化する時間を想像すると気が遠くなりますね。



もうすぐ神座の窟だが、最後の急登が待ち構えている

10:34
伊勢山西峰・神座の窟の岩場下まで登ってきた。ザイルが一本下がっているが、それにすがって岩場を登る分けはない。この壁のような岩を、三年前にも見かけたザイルで登っていては命がいくつあっても足りない。

一般ルートは岩場の下を左に進む道だ。

実は数メートル登ってみたが

10:35
岩場の下をぐるっと北側に回りこんで行くと短い丸太階段道がある。

なんか雑然とした山道だな

10:38
最後の空木城跡への分岐点だ。左は城跡までは0.5km、右は神座の窟まで0.1kmとある。神座の窟へはトラロープが張られた100mの急登がすぐに始まり、そのための体力回復のベンチが設けられている。でもここまで一時間をかけてのんびりと登ってきた私には休息など必要なく、トラロープ場を目指し通り過ぎる。

左:空木城跡 右:神座の窟

10:44
最後の難関のトラロープ場だ。ここまでの緩やかな登りが嘘だったかのように、一転して冗談のような猛烈な急さで、おまけに足場は悪く両側に張られたトラロープの助けを借りなければ登ることなどできない。

最後の急登だ、嘘みたいな急さだ

10:47
神座の窟に到着。もう何回も来ているが、狭い岩の割れ目から中に入ると、岩穴からの素晴らしい眺望が目に飛び込んできて、見慣れた景色になってきているのに毎回感動してしまう。

何回来ても大感動の神座の窟

入口の反対側には石仏が三体祀られていて、いずれも特徴のある有名どころばかりで解説は不要だろう。洞窟には出入り口の狭い割れ目、大展望の大穴、そしてもう一つ背後にも中穴があり風が吹き抜け、暑い日でも快適だ。

神座の窟の三体の石仏

11:06
神座の窟上の西峰に登ってみると、西側の播磨灘から明神山まで遮るもののない良眺望が待っている。しかし、風変わりな神座の窟からの展望に比べたら普通過ぎて何も感じない。すぐ後ろは絶壁で少し怖いが恒例のシェーを執り行う。

伊勢山西峰でシェー

岩場

この岩場は神座の窟(しんざのいわや)があり、山のふもとから目立つだけでなく、めずらしい植物の生育場所としても特徴があります。
岩場には、イブキシモツケやイワヒバ、シノブなど、この森を特徴づける植物が生育しています。

おやつ代わりに非常食のカリーメイトゼリーアップル味を飲みながら、「こりゃ不味いなー、やっぱりウイダーinゼリーだな」などとぶつぶつとつぶやきながら岩場の端へ行ってみると、嫌なものを見つけてしまった。

ロッククライミング用のアンカーボルトが打ち込まれているのだ。この神様が降り立って神坐の窟で雨宿りをしたと私が思っている磐座(いわくら)を傷つけるとは、神をも恐れぬ行い。きっとばちが当たるぞ。

岩場に打ち込まれたボルト

もう一つばちが当たりそうなものを見つけてしまった。「岩場は濡れていると滑るぞ。強風のときはもっと危ないぞ。」と注意を喚起する公設案内板も岩場にアンカーを打って固定しているではないか。岩は痛みを感じることはできないが、私の心は深く傷ついてしまった。

公設案内板も同類だ

注 意!
岩場に登る皆様へ

この岩場は、自然の状態を保つために柵をもうけておりません。
岩場の上では、岩がぬれているときは滑りやすく、また、強風のときはバランスを崩しやすいなど注意が必要です。
安全には十分心がけてください。



下山

11:23
下山開始

11:49
26分で下山終了。あっという間の下山で、あの1時間以上もかかった登りは何だったのだろうか。

さて、真夏の登山後の楽しみは小川での行水だが、ここ伊勢岩屋の森では「神坐の水」という正体不明の蛇口をひねると、どこから引いてきているのか未確認で、小さなゴミがたくさん混じり綺麗とは言いがたいが、まあまあ快適な水温の水がほとばしり出た。

需要はあるだろうが、非常に残念なことながら法律は守らねばならず、行水中の写真をここに掲載することは出来ない。

神坐の水



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