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霧氷の六甲山最高峰と紅葉谷



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平成21年1月11日(日)  メンバー 私だけ

宝殿橋バス停〜六甲山最高峰〜紅葉谷道〜有馬温泉


今回の山行中に幾度となく現われた既視感の謎が解けた。なんと、去年の冬に全く同じコースを歩いていたのを、これを書き出してから思い出した。既視感などという高尚なものではなく、単なる物忘れだったとはちょっとがっかりだ。

でも、六甲山では年に数回しか見られないだろう、青空と霧氷の織り成す素晴らしい風景を堪能できたのも、忘却のおかげと神に感謝するのみ。本当に素晴らしい風景だった。

山行概念図


宝殿橋バス停からの出発

芦屋と有馬温泉を結ぶ芦有バスの、宝殿橋バス停は芦有道路宝殿ゲートの中にある。六甲全縦ルートからエスケープするときは、宝殿橋バス停は宝殿料金所ゲートの中にあると覚えておこう。

それで、芦屋行きも有馬温泉行きも同じようににゲートの前をぐるりと回り芦有道路に戻る。足は痛いし膝もがくがくで疲れているだろうが、行き先をよく確認しないで乗ると、有馬温泉へと連れ去られ温泉で疲れを癒す羽目になる。

8:29
JR芦屋駅から乗車した芦有バスは、雪の全くない芦有道路を快調に登り、少しだけ雪がある標高700mを越す宝殿橋バス停に到着。料金は阪神でもJRでも阪急でも芦屋からなら520円。全てを自分の足で登るのもその人の生き方だろうが、六甲山最高峰周辺の雪景色を楽しむならこのバスを使うのが賢いと思う。

でもここでバスを降りたのは、私と4人の仲良し小母さんパーティだけで、このまま標高が300mも低い有馬温泉へとバスで下る自虐趣味旺盛なハイカーもいた。

料金所内で引き返す有馬温泉行きの芦有バス

雪が残っているので、トイレの中で山登りの準備を整え、必ず必要になると思い6本爪鉄かんじきを装着する。アイゼンとかクランポンとかも呼ぶが、日本人なら鉄(かね)かんじきと呼びたいものだ。でも雪のない舗装道路を歩くと、言いようのない音がするのが嫌だ。

8:47
料金所ブースの脇を通り抜け一般道路に出る。鉄かんじきを履くと、見下げ目線になり偉くなったような錯覚に陥るが(私だけか)、実際は高重心になりバランスが悪くなるので一歩一歩慎重な足運びを要する。

久々の鉄かんじきだ
高下駄を履いたみたいだな

8:54
地形図を見ると橋印があるが、歩いてみてもどこが橋(宝殿橋かな)なのかよく分からなかった。その橋を渡った先で、熊笹峠からの山道が合流してきた。前回の山行で芦屋からゴロゴロ岳・奥池・熊笹峠まで歩き東六甲展望台へと行ったが、その続きの道で「奥池→」の案内板もあり道幅も広い。

奥池・熊笹峠からの道が合流してきた


石宝殿の白山神社

9:05
車道は一部シャーベット状になっているところもあり、チェーンを付けた車も走っている。そして、西宮市の看板に隠れ白山神社の鳥居が立ち、足跡のない真っ白な参道が私を誘い込む。

石宝殿、白山神社へ詣でる

9:10
人の足跡はないが、動物達のものはいくつかあり先を越されてしまい残念。おまけにササに積もった雪で服は濡れてくるし、踏んだり蹴ったりだが、今年初めての雪道歩きが面白い。

動物の足跡しかない道を登る

9:12
とっとと登ればよいのに、降りたり下ったりして自分撮りを何回もするから一歩も登れない。これぐらいでは雪国に暮らしている人には何も感じないだろうが、姫路の住人の私には大感動もので思わず頬が緩んでしまう。

石宝殿はまだか

9:19
芦有道路東六甲展望台に比べ一段と高い石宝殿白山神社からの展望はじつに素晴らしい。社務所にかかる寒暖計は氷点下5度を示し、雪を被った石宝殿の真新しい注連縄、御幣は新年らしさを醸しだしている。

石宝殿白山神社から東を望む

9:24
土樋割峠から蛇谷北山を登ってくると辿り着く広場の、白山姫観音も肩に雪を載せ寒そうにしている。六甲山最高峰のすぐ近くにありながら、間にトンネルを挟み全縦コースからも外れ、いつ来ても人はいない。でも眺めはよく私のお気に入りだ。

雪をまとった白山姫観音


いつもと違う真っ白な六甲山最高峰

9:28
白山神社から西へ下ると鉢巻山トンネルは近く、トンネルの上は霧氷を付けた木々で真っ白。真っ青な青空と真っ白な霧氷、えもゆわれぬ非日常的風景が広がり、まるで桃源郷に来てしまったようだ。

鉢巻山トンネルを飾る真っ白な霧氷

9:32
着雪した電線が白く太くなっているのも私には珍しく、思わず写真を撮ってしまった。まるでお上りさんだな。

着雪した電線、えっ珍しくないって

9:37
うわー、六甲山最高峰も真っ白だ。普段は水色の自衛隊マイクロウェーブ中継鉄塔も白く見えている。

東からの六甲山最高峰、真っ白だ

9:45
一軒茶屋からの最高峰への舗装道路は、雪は残るが凍結はしていない。車で来たのか、カップルが楽しそうにイチャイチャしながら普通に登っていく後ろから、私は鉄かんじきで雪を踏みしめながら一歩一歩ガチャガチャと慎重に登っていく。

綺麗に霧氷がついた道端の木々は日の光に照り輝き、まるで白い花が満開に咲いたようだ。

そう、これが見たかったんだ

温度と湿度を足して引いて、さらに風速を掛けてから枝にぶつけ、線形代数学を加味しつつ変微分方程式を延々と解いていくと、稀に出る答えが霧氷。青空をバックにした霧氷の美しさ可憐さは、まるで純白のウエディングドレスをまとったあの日の妻その1のよう。

霧氷

9:52
標柱の立つ山頂広場には、まだ早いためかハイカーの姿は見えず、ドライブのついでに登ってきた家族が二組ほど。ここで播州野歩記恒例のシェーを行うが、本当の目的は背後の草木の揺れ具合から風の強さを記録することで、このときの甲最高峰の風はかなり弱かったことが分かる。けして私は所かわずシェーをしまくっているわけではない。

六甲山最高峰でシェー

9:55
自衛隊の無線中継所鉄塔にも霧氷がついているのか、白くいつもとは違って見える。「馬子にも衣装」とはこのことだな。

最高峰に立つ自衛隊の無線中継所

いままで、ここ六甲山最高峰では登頂記念プレートを1枚も見かけたことがなかった。でも大勢登ってくる方々の中に、とうとうKYな方が現われてしまった。

二十周年記念山行 2008.12.13〜14 大阪労山中高年ハイキングクラブ 参加者23名

この山岳会は、山頂の木に会の名を記したゴミを吊るすことを奨励しているのだろうか。登ってきたハイカー全員が一つづつ山頂にゴミを残していったらどうなるかぐらい、誰にでも理解できることでゴミを残していく人はいない。

でも自分は、自分達だけは特別な超越した存在で、ゴミを残すことを許されると思っているに違いない。自己顕示欲ばかり高くて、幼稚園児でも守れる最低限のルールさえ理解できない実に困った人達で、こんなことをするようでは山に登る資格はないと私は思う。

10:02
進駐軍に山頂を占領されていた時代に尼崎の日本スピンドル山岳会が造った「瀬戸内海国立公園 六甲山最高峰」ケルン、もうこれも用済みと思うが六甲山最高峰の歴史の証人として存在価値があるかもしれない。

日本スピンドル山岳会のケルン


極楽茶屋跡を目指し真っ白な縦走路を西へ

10:09
最高峰から西へと下る坂道の木々にも霧氷がつきとても美しいく、まるで25年前の白無垢を着た清楚な清純な妻その1そのものだ。

車道へと西へ下る道

10:10
振り向くと、無線中継鉄塔が飛び出た最高峰が白い衣をまとい、筆舌に尽くしきれない美しさで、もう一度妻その1に例えたいがそろそろひんしゅくを買いそうなので止めておく。

西から見た六甲山最高峰

10:13
極楽茶屋跡へは車道でも行けるが、時折通りかかる車にシャーベットを掛けられそうなので、縦走路を辿る。日差しが差し込む南側もよいが、北側の見るからに寒そうな風景も捨てがたい。

寒そうな日陰側縦走路

10:17
同じような霧氷風景だが、南側の粉砂糖を振りかけたようなのもよいかなと写真をよく見たら、霧氷ではなく単に雪が枝葉に積もっているだけだった。ササに注目すると、上の写真ではササには何も付いてなく、下のでは明らかに雪が積もっているのが分かる。

霧氷は、強風が運んできた過冷却の水滴・水蒸気が衝突して凍結・昇華することによりできる白色〜無色透明の氷層のことで、ここのはただの雪だった。そうであっても、私にとってはワーイワーイの世界であることには変わりない。

粉砂糖を振りかけたような着雪

10:20
縦走路は六甲山最高峰から極楽茶屋跡までの間に、車道との4回の交差と4回の接触し、最後は車道脇を行き極楽茶屋跡へと達する。その間に出会ったハイカーは10人程と多くはなかった。

車道との2回目の交差かな

10:27
西お多福山中継所への舗装道路で、縦走路は少し南にずれる。晩秋に行われる六甲全山縦走大会でこのルートを通る人はいなく、突き当りの車道を東へ黙々と六甲山最高峰までも無視して、東六甲縦走路目指して早足で歩いていくに違いない。

西お多福山への車道を横切る

10:33
全山縦走時の癖が抜けないのだろうか。多少の登り下りはあるが、いつにもまして美しく楽しい山道を歩こうとせず、シャーベット状の雪が残る車道を歩くハイカーもいた。山登りに楽しさを求めることを罪悪のように感じるストイックな人なのか、どのような時でも自分のやり方を固持する融通の利かない人なのか、でもまあ世の中の人全てが金太郎飴では詰まらなく進歩もなく、いろいろな人がいてこそ変化のある社会が築かれてきたのだ。

私みたいな、写真撮影をしながら片手間に山登りをする人がいてもいいじゃないかと、思いつつ山道を歩き続ける。

車道は歩かず山道を歩き続ける

10:39
道に覆いかぶさる木々が真っ白な霧氷(ここは着雪ではない)をつけ、まるで、まるで、………もう表現のしようがない美しさだ。なお積雪は5cmもなく、凍結もしていないので鉄かんじきの必要性はないが、つけた方がお気楽に滑る心配もなく歩くことができる。

白い珊瑚が茂る竜宮城みたいだ

10:54
極楽茶屋跡前の車が数台停められる展望所に着いた。表六甲の眺めを堪能しようにも逆光で、おまけに少々霞んでいてよい眺望を得ることはできない。夜景は六甲山のどこから見ても素晴らしいが、昼間は必ず逆光になるのが玉に瑕だ。

極楽茶屋前展望所

展望所脇の木にも霧氷がついているが、毛皮のコートを着た冬芽は暖かそうだ。

タムシバ???の冬芽に霧氷が


紅葉谷道で有馬温泉へ

11:02
極楽茶屋跡横から有馬尾温泉へと下る紅葉谷道が始まる。この極楽茶屋だが、昭和50年代の後半から休業中のようだが、ありし日のメニューにはカラーライスの文字があったのだろうか。

極楽茶屋跡から紅葉谷道へ入る

11:04
すぐ先で番匠屋畑尾根への道が左に分かれていくが、足跡は当然にして紅葉谷道のほうが多い。分岐点の地図板に積もった雪に丁寧にハートマークが描かれている。

左:番匠屋畑尾根、右:紅葉谷

11:07
紅葉谷道の雪量は縦走路と同じくらいで、ほんの数センチだが地面を綺麗に覆い隠し、真っ白な銀世界が広がっている。緑色の信号を青色と、白い雪を銀色と言い張る我の強い人が昔はいたのだろう、

一面銀世界の紅葉谷

11:11
紅葉谷に入ってから出会うハイカーが一挙に増えてきた。湯槽谷出合までに会ったハイカーの総数は100人近く、そのほとんどは装備十分で鉄かんじきを履き、ダブルストック使いも多く、ジーパン・スニーカ・手にはコンビニ袋なんて言う山をなめた人など一人もいない。去年の百間滝での遭難騒ぎの影響かもしれないが、みんな少しばかり過剰装備ぎみに見えた。

快調に紅葉谷を下る

11:14
大きく枝を広げたブナにも霧氷がついている。新緑も紅葉の時期も素晴らしいが、青空を背景にして輝く霧氷には呆然とさせる美しさがある。

ブナにも霧氷が

11:20
紅葉谷道といっても谷底を歩く場面はごく一部で、ほとんどは斜面に付けられた道だ。もっと雪が積もり、すれ違いのときに谷側に寄ると雪を被った草を踏み抜きかねないので、待つ人は山側に身を寄せることが重要だ。てなことは誰でも知っていることだが、自分への再確認のために書いておく。

もっと山側を行かないと危ないよ

11:31
紅葉谷道で唯一流れの横を行くところだ。ゴロゴロした石が半分雪を被り、鉄かんじきをつけているとコース中一番歩きにくく感じた。でも距離は50mほどしかない。

渓流際を歩くのはここだけ

11:37
百間滝への分岐点だ。この気温では、裏六甲といえども凍結した滝は期待できないので、パス。

百間滝分岐点、通過

11:48
続いて七曲滝への分岐点。行ってみてもがっかりするだけだから、ここもパス。なお凍結度の判断が間違っていなかったことが、当日行かれた方のHPより確認できた。

七曲滝分岐点、通過

11:54
何でもないところに見えるが、三脚を立てたのは左右ともに急斜面。もう少し後ろかなと三脚を持ちながらバックすると、右足の鉄かんじきを引っ掛けあっけなく後ろ向きに転倒。止まったところは斜面までは大分あり、もう1回転しても大丈夫だったがビビッてしまった。もういくら緩い斜面でも鉄かんじきではバックしないと、固く誓う私だった。

雪が大分少なくなってきたな

11:57
沢にかかる丸太橋を渡る。ガチガチに凍結していたら沢をそのまま渡った方が安全だが、昨日降った雪はまだ締まりもしていない。

丸太端の下は七曲滝からの流れだ

12:06
堰堤の上を歩く「白石砂防ダム」の直下に、新たな砂防ダムが造られほぼ完成している。ここが紅葉谷道の登りの始まりで、いきなり無愛想なコンクリートの壁に出会うのはちょっと勘弁して欲しいなとは思う。でも間違っても堰堤に紅葉の絵や大きく「紅葉谷」とかは絶対に書かないで欲しい。

紅葉谷に堰堤が増えました

12:09
索道のウインチや資材置き場、仮設トイレなどで工事現場と化している紅葉谷・湯槽谷出合に下山。とうとうここまで雪が消えることがなく、もう少し鉄かんじきはつけておこう。

雑然とした紅葉谷・湯槽谷出合

12:14
炭屋道登り口の「あの東屋でご飯をたべようかなー」と思っていたが、残念ながら先客がいる。「うーん、どこで食べよう」。

炭屋道登り口、通過

12:22
さすがに有馬温泉が近づいてきたら、雪は消え去さってしまった。

もうすぐ林道もお終い

12:28
ロープウェイ有馬温泉駅に到着。もうこれより下では食べにくいし、駅舎の隅で立ちながら侘しくコンビニおにぎり弁当を食べる。でも、帰りのバスまではかなり時間もあったし、チックタックで薬膳カレーでも食べればよかったな。

ロープウェイ有馬温泉駅



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