紅葉谷道、グラニットカフェ、石切道
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平成22年12月23日(木) メンバー 一人法師
有馬温泉〜紅葉谷道〜六甲ガーデンテラス・グラニットカフェ〜石切道〜渦森台バス停
私の六甲山カレー巡礼第二十二番札所は
六甲ガーデンテラス・グラニットカフェ
3年前の1月8日に須磨寺公園の「おらが茶屋」にて「独特カレー」を食べたのが私の六甲山カレー巡礼の始まりで、今日の六甲ガーデンテラス・グラニットカフェが22皿目の、いや第二十二番札所となる。まさかここまで続くとは我ながら思いもしなかったが、未食の六甲山カレーがあり、まだ先は長い。
グラニットカフェのある六甲ガーデンテラスへは、公共交通機関を使ってその門前まで行くこともできるが、カレー巡礼というからには歩いて登りたいものだ。塩屋からや宝塚から登ってもよいが、いかに巡礼とはいえ苦行は避けたい。できることなら最短距離で楽に、そして費用もかけずに登るルートを鋭意調査したところ、距離も近く標高も高い有馬温泉から紅葉谷道を使って登るのが一番楽そうだ。
滝が凍っていなければこんもんだよ紅葉谷道
9:45
JR三ノ宮駅南側の三宮バスターミナル(ミント神戸4番)を9時に出発した神姫バスは、定刻通りに有馬温泉に到着した。以前は有馬温泉観光総合案内所前まで乗り入れ、引き返すための方向転換はさらに奥の阪急バスターミナルまで突入していた。連休や紅葉時期は渋滞する有馬街道での遅延と、さらに有馬温泉内のでの停滞に巻き込まれ1時間近くの大幅な遅れは当たり前になっていた。
自らが車道を長時間塞ぎ、渋滞の一因となっていた有馬温泉総合案内所前のバス停は昨年暮れの12月5日に廃止され、神姫バス・阪急バス共同運航の三宮有馬線のバス停は太閤橋を渡った先に変わった。こんなことを今頃書いているということは、私は1年以上有馬温泉へ行ってなかったことになるな。
三宮バスターミナルから有馬温泉までの料金は680円だが、神姫バスの通勤定期券を持っていれば、神姫バス運行便は土日祝と指定日は「環境(エコ)定期券制度」を利用して100円(同伴家族は300円)に、阪急バスの通勤定期券を持っていれば同じく阪急バス便のみ100円(同伴家族も100円)になる。
また神戸市の敬老パスを利用して、三宮から有馬温泉へと行ける唯一の路線(100円)で非常に高齢者率が高くいつも混雑するが、さすがに年も押し詰まってきた12月23日では、のんびりと温泉気分にはなれないのか車内には空席が目立った。
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10:00
温泉街の中の道を登り、六甲有馬ロープウェイの有馬温泉駅に着いた。ここで山支度を整え、トイレを借り、「あっ飲み物を忘れていた」と自販機でいつものアクエリアス500mlを購入。しかし汗をかくこともなく昼食の水分で事足り、結局自宅まで持ち帰ることになってしまった。
10:08
有馬温泉駅を出発。七曲滝や百間滝が凍結していたらハイカーの列が途切れることはないが、今日はハイカーの姿は見かけない。
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ハイカーは居ないが、駅舎外に見たことがないものがある。よくある「この杖をご自由にお使いください」ではなく、不要になった杖の回収箱だ。ゴミのような枝切れしか入っていないが、たまにはカーボンのトレッキングポールが入っていたりして。
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杖捨て箱
Dampinng stick box杖に感謝しながら捨ててください。
(社)有馬温泉観光協会
由来
昔、有馬温泉へ杖をついて来湯した湯治客は、有馬に来ると、みるみる元気になり、帰りには杖がいらないくらいに元気になったそうです。
有馬温泉にある六甲川にかかる杖捨橋の名前の由来ともなっています。
有馬温泉では、年に一度役目を終えた杖を供養する杖捨法要が開催されています。
10:16
紅葉谷道へと誘う林道(砂防工事のために通されたのかな、一般車は通行できない)は、真ん中をほじくり通信回線(砂防ダム監視用)を通す工事がなされたようで、その工事の残渣が道端に積まれていたりして「猪の足湯」跡は跡形もなくなっていた。
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10:20
六甲最高峰へ至る魚屋道へと登る、有馬温泉癒しの森「炭屋道」の登り口だ。『急な炭屋道を登り、有馬温泉の紅葉の名所たる瑞宝寺公園へと筆屋道を下り、そして山登りで疲れた体を温泉につかり癒す』なんてのも良さそうだ。でも有馬温泉には何回も訪れているのに一度も温泉に入ったことがない、お風呂嫌いな私には実現困難なプランだな。
この先ではいつ終わるとも知れない砂防工事の、索道積み込み基地が店を広げている。
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10:27
「左:紅葉谷道、右:湯槽谷」の分岐点だ。湯槽谷はすぐに砂防ダムに塞がれているが、紅葉谷道も見えていないだけで、これまたすぐに無粋な砂防ダムで塞がれ、上流にも沢山控えている。
積雪時にまだアイゼンは要らないと思っても、この先の狭い登山道で装着するよりは、この分岐点広場で着けてしまうのが格好よいと思う。何十人もの団体が登山道に入ってから、ああでもないこうでもないと手間取りながら、道を塞ぎながら装着する風景をしばしば見かける。
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10:30
紅葉谷道に入ってすぐの砂防ダムは、かの有名な国土交通省六甲砂防事務所のものではなく、兵庫県神戸県民局六甲治山事務所の平成20年度治山事業によるもの。固有の名はなさそうだが、堤体上部の名板によると「20Y第1号」という連番が振られている。また堤体下部には「管理番号200807」というのもある。
六甲砂防事務所による白石砂防ダム(昭和36年1月完成、高さ21.5m、長さ72.0m)が隣接しているが、国交省と兵庫県の受け持ち区分はどのようになっているのだろうか。
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10:38
せせらぎを渡るところに丸太橋があるが、新しそうな方が外れて古そうのが架かっている。今は丸太橋も要らないような流れだが、荒れたときは凄いんだろう。
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10:42
前半部分は急なところもあり結構路面は荒れているが、浮石があるわけでもなく危険なところはない。但しどこでも、町中でも家の中でも同じだが、つまずき転んで運が悪かったら怪我をする。なんでもない水平道でも、気を抜くと最悪谷底へ滑落し天に召されてしまう。かえってこんなところの方が安全だ。
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10:46
七曲滝への分岐点。ここで今日初めてのハイカー二人が下りて来た。どこから登ったのか知らないが、山登りはかくあるべきという下山時刻だ。そして極楽茶屋跡へ登りつくまでに10人ほどのハイカーに出会ったが皆ロープウェイで登ったような感じだった。
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10:57
続いて百間滝への分岐点。七曲滝への道は危険なところがあり巻き道があるが、百間滝へは高低差はあるものの至って安全な道が続いている。でも狭い道を大勢のハイカーが行き交い、道端のササに積もった雪を踏み抜いたりしての滑落騒ぎが毎年起こっている。
今日は七曲滝も百間滝も素通りし、六甲山上へ直行する。
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11:05
砂防ダムがなかったころの紅葉谷道はこんな風景だったのかなと思うような、渓流沿いの道がちょっとだけある。
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11:13
紅葉谷道を歩くのは今日で何回目なのだろう。大きく蛇行するこの場所で自分撮りをすると、いつも前後方向からではなく横向きに撮れるの面白い。
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11:29
紅葉谷の有名なブナの木だが、それほどの巨木ではなく、幹にコケは生えてなく若木といった風情だ。
このブナが現われると六甲山上の極楽茶屋跡は近い。
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幹をよく見ると至るところに鉈目というかナイフで刻まれた落書きが残っている。成長したのか、今はもう手の届かないところにまである。
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11:39
番匠屋畑尾根からの道と合流し、六甲山上ドライブウェイ・極楽茶屋跡に着いた。有馬温泉でバスを降りてから2時間弱かかっている。
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グラニットカフェはハイカー向きではないな
11:41
極楽茶屋前の展望所からの眺めは、ウーン残念。薄っすらと神戸の町が見えるだけだった。
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11:54
車道を行く方が楽だろうが、あえて無線中継所が林立するアンテナ山を越えて、六甲ガーデンテラスへと行くと、天気のよい休日にもかかわらず観光客の姿は疎らだ。
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11:58
いつかは行ってみたい一人ジンギスカンパレスの道向い、回る十国展望台の跡地にこの夏オープンした「自然体感展望台 六甲枝垂れ(しだれ)」だ。訳の分からない形をした施設で入館料は300円。もちろん入りはしなかったが、樹氷みたいなものが付着しキラキラときれいに輝くころに再訪したいものだ。
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12:01
さて、本日のメインイベント六甲山カレー巡礼第二十二番札所「六甲ガーデンテラス・グラニットカフェ」前に到着。曇りガラスの窓、固く閉ざされた入口から内部をうかがい知ることはできず、どんな雰囲気なのか客層なのか分からない。
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どこからかハイカーの入るべき店ではないような雰囲気が漂ってくるが、シンプルなクリスマスの飾り付けがされたツリーの間の階段を上っていく。
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玄関脇にメニュー板が置かれランチメニューは「季節のガーデンランチ」、「和健康グラニットランチ」と、そして目的の「カフェ・カレーランチ」もある。いよいよ六甲山22皿目のカレーとの対面の時は来た。
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店内西側は大阪湾に面したカウンター席と4人掛けのテーブル席がある。先客は1組のカップルだけで私一人でテーブル席を占領したが、次々とカップルがやってきて席は埋まっていった。やはりカップルで六甲山に車でやって来た人たちを対象にした店で、どた靴をはいたハイカーは端から相手にしていないな。
けれども、店員の応対は誠に礼儀正しく、何も問題はなく楽しく過ごすことができた。
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注文したのは当然ながら「カフェ・カレーランチ(1,365円)」。八穀米のブラックキーマカレーに茄子のちょんまげ付き、そしてスープとサラダと食後のコーヒーが付いての値段なので、観光地価格というほどのもではない。
大塚食品のボンカレーを100点満点として、そこから右でも左でも上でも下でも前でも後ろでも、方向を問わずに離れるに従って減点対象とする、私独自の主観的カレーライス評価基準に照らすと合格点には達しなかった。ボンカレーよりもずっと辛いし、ボンカレーに茄子なんか入っていないし、でも十分美味しかった。
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12:36
いつもなら生ビールも頼み、下山はバスかケーブルカーにするところだが、今日は石切道を下ると決めているのでぐっと我慢した。
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石切道を下る……
12:40
ガーデンテラスから西へ六甲全山縦走路を進むと、すぐに石切道分岐が現われる。今日はどこの主催か知らないが、息せき切らした集団ハイキングの行列とすれ違ったが、どの辺が楽しいのかいつも一人法師の私には理解できない。
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12:44
石切道を下るのは平成18年以来4年ぶりの2回目で、いまだに登りに使ったことはない。麓側は住吉道の途中から入るのだが、石切道最下部の延々と続くゴロゴロの丸石が敷き詰められた歩き難き道の記憶が消えずに、いつも住吉道をそのまま進むか五助尾根を目指してしまう。
今回はそのゴロゴロ道を通らずに住吉霊園の中を下ろうと計画しているが、あまり面白いルートではないと思う。
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12:49
六甲山から切り出した石は石切道で運び降ろされ、御影の浜から各地に出荷したので「御影石」と呼ばれている。わざわざ重い石を六甲山上に運び上げるわけはなく、この辺りは単なる狭い山道にしかすぎない。本当の石切道の醍醐味はもうしばらく下らなければ味わえない。
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12:54
このぐにゃぐにゃの木はアセビかな。アセビ(馬酔木)は有毒で鹿は絶対に食べないため、鹿が多い山ではアセビだけが残り、アセビの純林という風変わりな風景が見られる。
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13:01
急な坂道の途中に塩ビパイプから水がしたたる水場があるが、山上が観光地の六甲山の水は安全なのだろうか。深い井戸やトンネルからの湧き水ならいざ知らず、この水を生のまま飲む勇気は私にはない。
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13:07
道幅が山道にはあるまじきじき幅に広がり、石切り場跡らしき広場もあり、この辺から本当の石切道に入ったようだ。
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13:09
真っ直ぐな石段だ。今はときどきハイカーが通るぐらいだが、かつてはここを仕事の場として大勢の男達が汗を流しながら働いていたんだ。現在は建築用石材の100%近くは輸入に頼っているが、昭和11年に竣工した国会議事堂では内外装に用いられた石材は全て国産のものだ。
議事堂の外装には花崗岩が使用されているが、本家本元の六甲山産本御影石の切り出しは大正・昭和期には減衰していて、瀬戸内海に浮かぶ倉橋島産の「議院石(別名“桜みかげ石”」や黒髪島産の花崗岩が使われている。
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13:11
道端に大きな岩が取り残されていて、丸い穴が開けられている。江戸時代には石に穴を開けられるドリルなどあるわけはなく、ノミで矢穴を穿ちくさびで石割していので、近世に加工されたものだろう。
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13:12
東側の展望が広がり、五助尾根が見えてきた。遠望は利かないが、気分がよい。
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13:14
ミヤコザサの生える東側急斜面へ誘うように黄黒の虎縞マーキングが付けられている。五助尾根との間の五助谷に存在する幻の(私にとって)五助滝への下り口なのだろうか。覗き込むと下りられないこともなさそうだが、予定外の行動は遭難のもと。こんなところで滑り落ちて怪我をしても誰も助けてくれないし、次回の課題にとって置こう。
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13:16
前半部分は急だが、この辺は緩やか。緩やか過ぎて高度が下がらない。いつになったら妻その1の待つマイスイートホームに帰れるのか心配になるほどだ。
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13:20
これぐらいの道幅があれば自動車でも入れるのではないかと思うし、実際に入っていたときもありそう。
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13:23
御影石を運び降ろすのに牛車を使った絵が残されているが、その当時もこんなにも整備された道があったのだろうか。
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13:25
丸太ベンチのある休憩展望所。まだまだ高度は高いが、ここまで下りてくれば石切道も終わったよなもので、後は林道歩きが待っているだけ。
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13:28
展望休憩所からの最後の石段の道を下る。天気もよく冬枯れの林の中を歩いてきたこともあるが、明るい道で、22皿目の六甲山カレーを食せたし、平成22年を締め括るよい山歩きができたな。
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石段下の左カーブを曲がると、普通車でも登ってこれそうな地道の林道になってしまった。轍がないのが不思議だが、車だと住吉霊園内の私道を通り抜けなければならない。
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コンクリ簡易舗装の跡が残り、石材の切り出しが最近まで続いていたようだ。だが、今はもう静まりかえり石を割る音も、石を満載した荷車を引く牛の呻き声も聞こえてこない。
山歩きとしては面白味がなくなってしまったが、六甲山へ自らの足で登る楽なルートの一つと言えよう。
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舗装林道との出合。ここを右に進むとすぐに広場になって行き止まりだが、そこからも五助谷へ下りることができ、五助滝まで行けると聞く。
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山上の全山縦走路側入口にもあったが、ここにも御影石製の立派な道標が鎮座している。木や金属の道標なら100年もしたら消滅してしまうだろうがこれなら千年、いや一万年先にも存在しているかもしれないな。
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道脇に石が山積みになっているが、もう御影石の切り出しは行われていないので、輸入した石の集積場所かな。
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石山の反対側に置かれた石だが、青い御影石なんてのは存在し得ないので、この切断面が青色した石は御影石ではなく、間違いなく輸入石材だろう。でもこんな何の変哲もない外観をした石を切ると、中が青いなんて、そして写真をよく見ると切断面の左上に人の顔が浮かびあがって見えるのも、もうすぐ住吉霊園があるためか。
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石山をぐるっと巻いて下ると道標があり、左へ分かれていく山道方向は「住吉川(石切道)」、舗装林道は「西谷橋」となっている。前回はこの道標に惑わされ、ここから住吉道まで丸石が敷き詰められたわざと歩きにくくしている道を30分ほど歩かされた。今日はこのま舗装林道を住吉霊園を通り抜け西山橋まで行こう。
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舗装林道から神戸の町並みがよく見えるが、あい変わらす霞んでいる。
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ここが神戸市内とは思えない、いかした林道だ。どこか山奥の人里はなれた山中にある林道みたいだ。でもなあ、この先が住吉霊園だもんな。
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ついに住吉霊園に入ってしまった。日当たり良好・風光明媚・面積1.04u・永代使用料・墓石工事一式込みで百万円ほどからで分譲中。
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霊園の中の急な道を下ること約10分で、住吉台へと登る道に出合う。写真右手に写っているのが西谷川に架かる西谷橋で、角を左に曲がると神戸市営バス「渦森橋バス停」が近くに見える。
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雪のない、紅葉もない紅葉谷道もあっけなかったが、住吉霊園に下ってしまった石切道もなんか物足りなさが残る山行だった。さて次なる六甲山カレー巡礼はどこへ登ろうかな。
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