シェー!!だけでテレビに出た男
NHKBSプレミアム 熱中スタジアム
集え赤塚不二夫ファン出演記
スポンサード リンク
平成23年4月30日(土) メンバー 私と熱烈な赤塚不二夫ファンの皆様
NHK渋谷放送センター
その物語は4月6日に届いた一通のメールから始まった
4月6日にNHKBSプレミアム「熱中スタジアム」という番組の制作会社から、出演依頼としか思えないようなメールが舞い込んだ。BS放送はもちろんテレビも見ない私にテレビに出ろという。一生のうちに一度くらいはテレビに出演するのも面白かろうとメールを返すと、あれよあれよと言う間に、渋谷のNHK放送センターのスタジオに座っている私がいた。
この「熱中スタジアム」はテーマを公募し、そのテーマに強い関心を持つ、あるいは飛びぬけた知識を持つ人々を全国から30人集め、ゲストと共に熱いトークを交わすという番組だ。私は視聴者参加番組とは一般公募で行われているものと信じていたが、「熱中スタジアム」は番組制作会社の人がインターネットをそのテーマで検索し、引っかかってきた出たがりを一本釣りしていくものだった。
のあるき様
初めまして。
私、NHKBSプレミアム「熱中スタジアム」という番組を制作しております、
株式会社○○○の○○○と申します。
突然のご連絡申し訳ございません。
現在、私どもが制作しております「熱中スタジアム」は「BS熱中夜話」という番組がリニューアルし、昨年4月より新たにNHKBS2にて放送がスタートした番組です。
「熱中スタジアム」は毎回ひとつのテーマを取り上げ、そのテーマの愛好家の方々約30名にお集まりいただいて、そのテーマの魅力を存分に語り合う、という趣旨の番組です。
別途、番組概要を添付いたしますので、ご高覧くださいませ。
そして今回「赤塚不二夫」というテーマで番組を制作する運びとなり、“赤塚不二夫先生のファン、赤塚不二夫作品が大好きな方、赤塚先生の生みだしたキャラクターにハマってしまった方”など様々な方々を探しております。
そこで、のあるき様が青梅赤塚不二夫会館に行かれたとホームページで拝見しまして、是非赤塚不二夫愛好家の一人として、番組にご協力いただけないかと思い、ご連絡いたしました。
詳細はご返信いただければ、番組企画書等を交えながらご説明、番組参加のご相談等をさせていただければ幸いです。
突然の長文のメール、失礼致しました。
お忙しいなか大変恐縮ですが、どうぞ宜しくお願い致します。
ご返信お待ちしております。
「熱中スタジアム」ホームページ
http://www.nhk.or.jp/n-stadium/index.html
○○○
株式会社 ○○○
http://www.XXX.co.jp/
〒XXX-XXXX 東京都渋谷区○○○
TEL:03-XXXX-XXXXX/FAX:03-XXXX-XXXXX
MAIL:XXX@XXX.co.jp
MP:090-XXXX-XXXX
これまでのテーマは、お江戸・K-POP・恐竜・特撮ソング・ワールドカップ・ラスベガス・マリンダイビング・ブルースリー・宇宙ロマン・ハイウェイドライブ・奈良・お米・学園祭・タワー・空港・クリスマスソング・絵本・引っ越し・忌野清志郎・自転車ときて、今回は「赤塚不二夫」大先生。人物の場合は故人しか取り上げない傾向があるように思える。
確かに私は2年前の11月7日に東京都青梅市の赤塚不二夫会館を訪れ、その訪問記を播州野歩記に掲載している。そして赤塚不二夫大先生をしてギャグ漫画家の確固たる人気を確立せしめた「おそ松くん」の連載が週間少年サンデーでスタートした昭和37年(1962年)、私はすでに小学生であり、リアル赤塚不二夫世代であるのは間違いない。
10通ほどのメールのやり取り、番組制作の参考にするための2通のアンケートの提出、そしてディレクターとの数度の電話で、私が赤塚不二夫大先生のファンではないことを理解してもらえた上で、それでも番組に出演して欲しいという。その唯一の理由は、私が所かまわず山行中に撮りためた6年分の「シェー!!」写真の存在の重さだ。まさに赤塚不二夫大先生曰く「まじめにバカをやる」を、私なりに続けた成果が現われたものと嬉しく思った。
これまでの人生で一分一秒たりとも赤塚不二夫ファンであったことはないし、今現在も赤塚不二夫ファンではないと断言できる。だが、知らぬ間に赤塚不二夫精神が体や心の奥底まで染み込み、ぽたぽたと滲み出ていたのだろうか。
NHK渋谷放送センターでの収録は4月30日、そして最終的に出演が決まったのは10日前の4月20日、衣装はイヤミ卿のスーツに赤い蝶ネクタイにするか、バカボンのパパルックか、はたまたバカボンの和服にするか迷いに迷った末、時間切れでいつもの普段着に。いくらなんでも何も知らず収録に臨むのもなんだかなあと、小学館文庫赤塚不二夫名作選4冊と赤塚不二夫関連の書籍2冊を入手し付け焼刃の知識を仕入れるも、妻その1に「いつもの英二さんでいいんじゃない」と言われ、「それもそうだな、知ったかぶりはせず、ありのままの自分を出そう」と思う私だった。
始発の新幹線で東京へ
集合はNHK渋谷放送センターに10時30分。もっと遅い新幹線でもよかったが遅れてはならじと、姫路駅を6時ちょうどの「のぞみ102号」で私は私はあなたから旅立ちます♪♪。いや、帰ってくるって、あずさ2号じゃないし。
5:40
妻その1に送ってもらい姫路駅に着いたが、少し早すぎたかな。でもホームに一晩留置されていた?姫路駅始発の「のぞみ102号」は発車の20分前に扉を開け私を迎え入れてくれた。
新神戸、新大阪、京都、名古屋と乗客は増えていったが、二人掛けが埋まるばかりで、三人掛けはがらがらのまま。
8:15
東海道新幹線におけるメインイベント、富士山タイム。写真を撮るのは私だけではなく、そこかしこからパシャパシャと聞こえてきて、「ワーみんなおのぼりさんだ」と連帯感をひしひしと感じるひと時だった。
10:14
品川駅で山手線に乗り換え渋谷駅に到着し、関西の野外彫刻に載せるため、渋谷駅前の「忠犬八公」像を撮って時間をつぶしたりして、NHK放送センターに到着。なお誰でも入れるNHKスタジオパーク(リニューアル工事のため平成23年4月1日から9月30日まで休館中)は東側で、私がこれから入ろうとする西側玄関はガードマンに守られ一般人が立入ることは許されていない。
まだ集合時刻まで間があるし、今日一日が楽しい日とならんことを願うと共に、日本にも世界にもこれ以上悲しいことが起きないよう願いを込めてシェー!!を執り行う。「シェー!!」。でもこんな町中でシェー!!するのは初めてだな。
収録開始まで
全国より参集した熱き赤塚不二夫ファンと一緒に、スタッフより受け取った熱中スタジアム出演者パス(最初から最後まで首から下げていたので写真を撮ることを失念しまった)を首から下げて、玄関内の警備員が目を光らせる自動改札機のようなゲートを通過。本物のパスはICカードなんだろうが、私達が受け取ったのはただの紙製で、開けてもらったゲートを通っただけではあったが、いよいよ番組出演者としての気分が盛り上がってきた。
案内された出演者控え室は、長らく使われてなさそうなスタジオだった。そこに折り畳みテーブルと椅子が並べられ、テーブルの上には大きな名札とスケッチブックと各種筆記用具が用意されていた。
最初に簡単に説明があり、まず名札の作成を始める。よく分かるように大きなもので、これは首から下げた「熱中スタジアム出演者パス」の上に付けることになる。私の場合は本名でもまったく無問題なのだが、HPがきっかけのNHK熱中スタジアム出演なので、ハンドルネームの「のあるき」とする。なお名札の(55)は私の年齢なのだが、番組中にその括弧付き数字については触れられていない。「わっ、この人若く見えるけどもう○○才なんだ」などと楽しむのも一興だろう。
このスケッチブックの表紙に貼られたマスコットキャラクターはネッチューリップといい、なんか由来を聞いたようなような気もするが忘れてしまった。このネッチューリップに事前に質問の答えを書いておき、司会者の質問に対して全員が掲げ、指名された赤塚不二夫ファンが答えるという仕組みなのだが、台本というものが存在し、指名される人は事前に決まっているのはここだけの秘密だ。
ちなみに質問は5問あり、私は指名されることなど無いので適当に書いておいた。
- 天才バカボンにはバカボン一家だけでなく、たくさんのサブキャラクターが登場しています。そんな天才バカボンのサブキャラクターの中であなたの一番好きなキャラクターは誰ですか?
事前アンケートでお答えいただいた内容に沿って、そのキャラクターの名前とイラストをお書き下さい。- バカボンのパパは「これでいいのだ!」など、たくさんの名言を作品中に残しています。あなたの心に残っているバカボンのパパの名言はなんですか?
事前アンケートでお答えいただいた内容に沿って、名言をお書き下さい。- 「おそ松くん」に登場するフランス帰りのキザな男、イヤミ。驚いたときの「シェー!!!」のポーズはとても有名ですが、そんなイヤミのどんなところが魅力ですか?
事前アンケートでお答えいただいた内容に沿って、イヤミの魅力を分かりやすくお書き下さい。- 「もーれつア太郎」に登場する二足歩行で女の子が大好きなしゃべるノラネコ、ニャロメ。そんなニャロメはどんなところが魅力ですか?
事前アンケートでお答えいただいた内容に沿って、ニャロメの魅力をを分かりやすくお書き下さい。- 赤塚作品には数多くのキャラクターがいますが、上記のイヤミやニャロメ以外であなたが好きなキャラクターは誰ですか?
事前アンケートでお答えいただいた内容に沿って、天才バカボン、イヤミ、ニャロメ以外のキャラクターの名前とイラストをお書き下さい。
どの設問も、40年以上赤塚作品を読んだことも、テレビで見たこともない私にとっては答えることなどできない難問ばかりだ。ただ、事前に質問内容をメールで教えてもらっていたので、付け焼刃の「小学館文庫赤塚不二夫名作選」4冊で得た知識から、回答を考えてきていた。ただし、私が指名されることは絶対にないので、当たり障りのない適当な回答と、小学生でももっと上手いぞと百人が百人とも言うだろうイラストを描いてみた。
ちなみに設問1の天才バカボンの一番好きなサブキャラクターは「レレレのおじさん」にしたかったが、描くのが難しいので、彼の得物の竹ぼうき「マホーツカイマタガール」にしてみた。
やっとこさネッチューリップを書き終え、最後のページに事前にCDに焼いて提出していた「頂上でシェー!!」写真の中の一枚を大きく引き伸ばした写真を貼り付け、事前準備は終了。
スタッフが用意してくれていた、お弁当を食べ(3種類用意された内の崎陽軒シュウマイ弁当を食べたが、調製してから大分時間が経っていたのか、ご飯は固くシュウマイも味気なく、がっかり。可能なら次回からは電子レンジを用意して欲しいな。)、トイレに行ったりしているうちに収録スタジオへ行く時間になってしまった。
第1夜「天才バカボンナイト」収録編
11:40ころ
広い広い迷路のような放送センターの中で迷子にならないように整列し、スタッフに誘導され収録スタジオへと進むが、放送センターの中は「きたないゾーン」と「きれいゾーン」に明確に区別でき、その境界には出入りを監視するスタッフ2名が、幸運にもここまで紛れ込んだ部外者を絶対に阻止するぞと笑顔でにらみを利かしていた。
そして「きれいゾーン」には熱中スタジアム有料出演者の方々の控え室が並び、我々「きたないゾーン」控え室出身の無料出演者とは各が違うんだぞと無言の圧力をかけ、我々の緊張を益々高めようと画策しているように感じた。なんかあまりの場違いの場所に来て、被害妄想気味になっていたのかもしれない。
12:45ころ
生まれて始めてのテレビ収録スタジオに入り、ディレクターよりこれからの収録方針を聞いたり、決まりの動作や皆で合唱するオープニングソングの練習をしたりしていくうちに収録の時間となってしまった。
放映1日目の「天才バカボンナイト」編の放送時間は45分なのに、収録は3時間弱もかけ、いいとこ取りをして編集され放映される。
オープニングは、皆で学帽をかぶり「バカ田大学校歌」の合唱から始まる。
みやこの西北 ワセダのとなり
のさばる校舎は われらが母校
われらのノーミソ タリラリランよ
先生もドアホで 授業はパアでも
社会はまねくよ われらが頭脳
かがやくわれらの バカぶりみろよ
バカ田 バカ田 バカ田 バカ田
バカ田 バカ田 バカ田
正式なバカ田大学校歌は上記のもののはずだが、NHK的には3から6行目までの赤字部分に放送不可の歌詞があるようでカットされた。
なお私の席は、全国から参集した30人の熱烈な赤塚不二夫ファンが、左右の3段の雛壇に分かれて座るうちの、向かって右側の最上段の一番右側。第1夜では画面の片隅にチラチラと映るだけ。もちろん赤塚不二夫漫画作品に対する造詣の浅さは、誰にも負けないと自負している私に発言の機会などあるわけがない。ちなみに天才バカボンにはイヤミ卿は御登場なさらないので「シェー!!だけでテレビに出た男」たる私は、第1夜はたんなる観客にしか過ぎない。
司会はオリエンタルラジオ(オリラジ)の中田敦彦氏と、いつもの中越典子嬢は舞台の仕事で出られず、福田萌嬢。特別解説員として漫画界に造詣が深く、“シェーの時代「おそ松くん」と昭和こども社会”の著者でもあるコラムニストの泉麻人氏が、司会者席の隣の席。三氏と向かい合う赤塚不二夫ファン雛壇席の前がゲスト席で、ますだおかだの増田英彦氏と映画監督の山本信也氏。
30分ほど予定を超過したが、滞りなく収録は進み、我々無料出演者は控え室へと列を組み戻る。
実放送場面で我々赤塚不二夫ファンの人数を数えてみると、なんと26人しかいない。現場でもなんか少ないなと薄々感じてはいたのだが、こんなことなら妻その1を「世にもまれなほど赤塚不二夫大先生に傾注し氏の作品のみならず、氏の全てに誰にも負けないほど造詣が深いので一緒に出演したいな」と、NHKを騙まくらかすのだったと後悔。私みたいな似非赤塚不二夫ファンをもかき集めなければならないほどに、NHKも人集めに苦労したんだろうな。
なんたって、赤塚不二夫趣味のブログやHPを開設しようとしても、漫画の画像や動画をそのまま使うことは当然ながら著作権法に抵触するし、自分で描いた似せた絵を掲載するのもだめ、台詞をそのまま使うのもだめ。おそらく「シェー!!」や「これでいいのだ」や「青島幸男が国会で決めたのだ」とかの、きめ台詞を引用するぐらいが関の山ではなかろうか。個人で赤塚不二夫の魅力を紹介するファンサイトを構築するのは、ほぼ不可能と私は思う。
第2夜「素晴らしき赤塚キャラたち」収録編
1時間ほどの予定だった休憩時間は、第1夜収録が延びたため30分に減らされ、収録スタジオとの行き来・トイレ・お茶だけでゆっくり休む間もなく、第2夜収録へとスタジオに引き返す。
それでは61秒間にも及んだ第2夜の私の登場シーンから。放送画面をそのもの掲載するのは問題がありすぎるので、私だけを切り出すことによって肖像権をクリアし、私に著作権がありNHKに放送を許可した『頂上でシェー!!』写真のみを掲載することにする。
中田敦彦 のあるきさんの写真も凄いですよ。
これ山頂ですか?私 山頂です。 中田敦彦 山頂でシェー!?。
私 山登りが好きで、頂上でどんな格好をして写真を撮ろうかなと、6年前から始めたんです。
それから病み付きになりまして。
中田敦彦 山登るたびにシェー!!をしてるんですか? 私 いや、シェー!!をするために山登ってるんです。 中田敦彦 シェー!!をするために山登ってんだ。
増田英彦 これ右上の写真なんて、これ足踏み外したらやばいんじゃないの。
私 城跡なんですが、ものすごい風が吹いていましてね。 山本信也 城壁だね、これ。
福田萌 山頂でシェー!!をすると何か違うのですか? 私 やっぱ、ココロが清くなるんですよ。
増田英彦 いや、今日せっかく雛壇の一番上の一番高い所に。 中田敦彦 今日も登っていますね。 増田英彦 やってもらってもいいじゃないですか。 一同 拍手 私 シェー!!!。 一同 爆笑、拍手。
まあ、NHKが私に求めた出演者像を演じきったわけで、私の本性という正体とかいうものではないことに留意願いたい。実際問題、頂上でシェー!!をするときは無言で行っており、シェー!!と発声しながらシェー!!をしたのは、このNHK放送センターの本番中のスタジオが生まれて初めてだ。
18:56
第2夜収録も30分ほど延びて、ようやく長かったスタジオ収録が終わった。ほとんど座っているだけだったが疲れきってしまった。でも、赤塚不二夫大先生と氏の作品に関する知識が得られ、これで少しは語れるようになったかもしれない。
熱中スタジアム出演記念品として「熱中スタジアムストラップ」を頂き解散し、一生に一度の経験だろうスタジオ収録が終わった。近郷近在からの出演者はストラップだけのようだが、私のような遠距離(大阪・長野・滋賀からも来られていた)出演者は交通費も出た。
スポンサード リンク