山行記録にもどるホームにもどる



石楠花谷、道が細くなり心細いぞ



スポンサード リンク




平成20年1月3日(木)  メンバー 私だけ

大池バス停〜石楠花谷〜ダイヤモンドポイント〜摩耶山掬星台・星の駅

2万5千分の1地形図「有馬」を参照しても、分からないと思う。


三度目になる大池から

平成20年初のハイキングはどこへ登ろうかと、去年やり残したことを思い起こすと、あの悪夢の六甲全山縦走など数々あるが「あっ石楠花谷だ」。でも石楠花谷がどこにあるのか知っている人は、去年の私と同じで少ないだろうな。

一ヶ月前に石楠花谷の核心部だけを、靴底さえも濡らすことなく完全遡行を成し遂げたが(水量の少なさと日頃の行いのよさが味方してくれた)、石楠花谷本体はまだ歩いていない。初ハイキングとしては余りぱっとしないような気もするが、まあいいか。

9:30
三ノ宮発有馬温泉行きの神姫バスを、大池バス停で下車。いつもならほぼ満席なのだが、今日は乗車率25%ほどのバスは有馬温泉を目指し走り去っていった。本当はもっと早い時間に来たいのだが、神姫バスなら三宮からワンコイン100円(普通に払えば610円)なので選択の余地はない。

神鉄大池駅近くの大池バス停で下車

地獄谷・石楠花谷への行き方は「大池地獄谷道+六甲山のカレーライス14皿目」と「石楠花谷核心部を遡行する」や、詳細な地図があるサイトを参照してもらうとして今回は詳述しない。

9:50
途中の三叉路に神戸登山会が表示するコース案内図があり、石楠花谷へは簡単に行けそうに見える。しかし石楠花谷入口には関所のような、ハイカーの通行を拒むテニスコートがあり、迂回するのがややこしい。

消されている部分が石楠花谷の核心部

9:53
コース案内図のある三叉路を右に、神港学園神港高等学校の野球場とグランドの間を下っていくと阪神高速北神戸線の2連アーチ橋「水晶山橋」が見えてくる。右側径間下が石楠花谷と大池地獄谷との出合だ。

グランドの入口で服を一枚脱ぎ、靴紐を締めなおし準備をする。

神港高等学校のグランドの間を下る

10:02
デュポーム六甲テニス倶楽部の進入路まで来た。このままテニス倶楽部の中を通り抜ければ簡単なのだが、倶楽部の敷地内に入らないように時計回りに回り込んでいく。途中にパウチした「ハイキングコース」と書かれた指導票もあり正しい道を進んでいるのがわかる。

でも、なんでこんなめんどくさい踏み跡を辿らなくてはならないかと、テニス倶楽部に腹が立ってくるが、私が倶楽部経営者の立場なら同じことをするに違いないと、思う。

テニス倶楽部を巻く


どこまで続く石楠花谷林道

10:09
最後の最後はテニス倶楽部の敷地内道路を通り、案内もマーキングも何もない踏み跡から河原に下りると、そこが地蔵谷と石楠花谷の出合だ。前回はテニス倶楽部からここまでの間で30分間も彷徨ってしまったが、その経験で地蔵谷と石楠花谷の位置関係も分かり土地勘もばっちりついてしまった。

河原をそのまま進むと、とても面白い石楠花谷の核心部へ突き進むが、今回はパス。流れを横切るように角材が置かれていて、その左岸側が石楠花谷初級コースへの入口だ。ただし角材は細く、ぐらぐらしていて、おまけによく滑り渡渉の役には立たず単なる目印だが、固定されているわけでもないのに流されずにこの位置を保っていることを見ると、石楠花谷の水量の少なさが分かる。

足元の角材に導かれ
石楠花谷初級コースへ

10:18
阪神高速下の細道を行くと古いかすれた「しゃくなげ谷」と書かれた木板がさがり、その先で石楠花谷沿いの太い林道が分岐している。細道はさらに西へと延びていているがどこに続くのか。

林道脇には、おにぎり型の石に「石楠花谷入口」と書かれている。でもこの林道、唐突に狭い道から始まったが、阪神高速北神戸線の工事によって進入路が分断されてしまったのだろう。

石楠花谷初級コースの林道

10:21
進むこと数分で「石楠花谷第二砂防ダム(高さ16m、長さ78m、昭和52年完成)」がある。このダムの下流側が石楠花谷の核心部で、夏場に水遊びがてらに遡行するなら楽しいだろうが、今の時期は止めておいた方が賢明だと今は思っている。ボチャンと滝壺にはまったら、寒空の下で何でこんなことをしているのかなと、人生の無常さを感じることだろう。

石楠花谷第二砂防ダム
この先にもたくさんの堰堤がある

林道は驚くほど広く、今でもダンプカーでもコンクリートミキサー車でも何でも通れそうだ。きっと奥にあるだろう砂防ダム工事のときは賑やかな往来があったのだろうが、今は轍もなく落ち葉に覆われた路面には人の通った跡も感じられない。

広々とした林道だ

10:28
林道が左右に分かれている。同じような幅だが左は枯れ木が塞ぐように置かれ、右側にはマーキングが付けられている。きっと左に行くと砂防ダム(おそらく石楠花谷第一砂防ダムだろう)に突き当たるのだと思うが確かめることなく、右に進む。

林道は分岐したり合流したりで結構複雑

10:38
右手から簡易水道用のエンビ管2本とともに、どこから来たのか少し狭いが道が合流してきてから5分も進むと、ついに林道はお終いになり行く手にコンクリの防波堤が現れた。

広い谷幅いっぱいに造られた「石楠花谷第三砂防ダム(高さ10m、長さ89m、昭和58年完成)」で高さは低いのに長く、まるで防波堤か刑務所の高い塀のように見える。また左岸側の端がへの字型に少し曲がっているのが変わっている。

行く手を塞ぐ石楠花谷第三砂防ダム

ほとんどの砂防ダムはガードレールとフェンスで二重に守られているが、ここはガードレールしかない。立入禁止警告板が「ねえ、入ってもいいわよ」と誘うように思えガードレールを跨ぎついふらふらと入ってしまった。入って分かったのだが、中央の越流部脇は階段状になっていて反対側まで簡単に行くことが出来るようになっていた。

石楠花谷第三砂防ダムの上


いよいよ始まるか石楠花谷の遡行

10:46
砂防ダムの上流で右岸へと渡渉するのだが、流れはほとんどない。

水は少ないが渡渉には違いないと思う

道端に公設の「石楠花谷」道標が半分ほどに欠けながらも置かれている。この後にも数枚同じものがあったが、この石楠花谷も一般ハイキング道だった時代があるのだろうか。この道標以外にもテープや赤ペンキの「赤点三つ」マーキングがたくさんあり迷うことはないのだが、六甲山の全ての尾根と全ての谷にはマーキングがあると思うので、参考する程度にして妄信はしないのが賢明だ。

公設道標も少しだけある

右岸側に渡渉して数分後、左岸側へと再び渡る。暖かい時期ならそのまま川床をバシャバシャと行っても面白いだろうが、本日は道や踏み後があれば忠実に辿り靴底を濡らさずに済まそうと思っている。流れから離れるがそれなりの明確な道が続いている。

写真では分かりにくいが
明確な道を進んでいる

10:59
二重になった砂防ダムが行く手を塞いでいる。下流側が「石楠花谷第四副砂防ダム(高さ9m、長さ53m、平成6年完成)」で、上流側が「石楠花谷第四砂防ダム(高さ20m、長さ81m、平成6年完成)」で、両方を合わせて石楠花谷第四砂防ダムだ。なぜ二重になっているかというと、洪水時に高いダムから流下する土石流が川床を浸食しないようにするために、副ダムでさらに勢いを弱めるためのようだ。

地形図の石楠花谷の流れが分かれ、砂防ダムが二重に描かれているところで、ここがほぼ中間地点になる。

石楠花谷第四砂防ダム

右岸側にダムを巻く擬木の階段道が付けられている。副ダムは高さ9mなのでたいしたことはないが、主ダムの20mを登る階段は結構な急勾配で、段差も大きく一気に登ったら息が切れてしまった。

巻き道は右岸側

主堰堤のフェンスには「←ダイヤモンドポイント 大池→」の手作り道標が下げられている。


ようやく少し面白くなってきたかな

堰堤から擬木の階段を下ると、狭い道から広いゴロゴロ石の河原へ誘導するかのようにマーキングが付けられているが、無視してそのまま右岸側の狭い道を行く。もし河原に下りたら大きく右俣と左俣に二股に別れる谷を確認できたことだろう。右俣は黒岩谷と呼ぶらしい。

私は左俣を進むのだが、右岸と左岸は上流側から見た右左、右俣と左俣は下流側から見た右左と、いまだに「箸を持つのは右手」と唱えながら横断歩道を渡る私には理解しがたい。

おまけに方向感覚もかなり怪しく、北と南は明確に区別できるのだが、東と西の見分け方が私にとっては難題だ。毎回、頭の中に地球と太陽を思い浮かべてから、おもむろに地球を自転させ始め太陽が昇ってくる方向を東だと確認するのが常だが、普通の人はどうやって東と西を判別しているのかいまだに謎だ。まあ、方向感覚皆無の私だがいまだに大迷いもせずに山歩きができることが自体が、自分でも最大の謎だが。

11:11
右岸を行く道は足元10mほど下に流れを見ながら進み、遡行の雰囲気はまだ全く感じられない。こんな道でダイヤモンドポイントまで行くのでは詰まらないなと思い始めるが、渓流際まで下りて進もうとも思わない。

歩きやすいが、遡行ではないな

11:15
足元の渓流を見ながら行くと、ナメになり、その上流側には落差は小さいが二段になった小滝が現れた。道から下りて見に行くと、滝壺の水はまあまあ綺麗で夏場だったら絶対に服を脱いで飛び込みたくなる雰囲気だが、源流部には別荘もあるし「六甲のおいしい水」というわけにはいかない。

石楠花谷の小滝

11:25
しばらくは渓流を下に見ながらの道は行く。ここまではまだ靴底すら濡らすこともなく、詰まらないと言えば詰まらないが、道も明確で何も悩み心配することもなく精神的には楽だった。ただ誰にも会わず、最近ハイカーが通った雰囲気も全くないのが少し気になり始めてきた。

渓流を見下ろしながら快適な道をさらに進む

11:31
ようやく、あまり踏まれてはいない踏み跡は渓流沿いを進み始めたが長続きしない。

見えてる先で左へ枝谷に入ってしまう

11:35
左側の枝谷へと道は続き公設の道標やマーキングが付けられていて、直進する本谷方向には踏み跡もなさそうだ。地形図の「ダイヤモンドポイント」の「ダイヤ」の文字が書かれた谷へと入って行くようだ。

よく分からない写真だが
私の頭の左に公設道標が下がっている

11:41
支谷脇を登っていくと、本谷には砂防ダムがありその上流側へ下る狭いマーキングも何もないが明確な分岐があるが無視して進むと、その先で今度は二手に分かれている。左は「しゃくなげ谷」、右は「尾根道→」の表示がある。どちらに進むかなと迷ったが、左手の方には派手なマーキングがたくさんあるし「赤点三つ」もあるしで、「しゃくなげ谷」方向へと進む。

三つに分かれた左の道を進む

水量が多い方が本谷なら、こちらは支谷になり「石楠花谷」源流部とここからは勝手に呼ぶが、こっちの谷にも砂防ダムがある。


石楠花谷源流部へ

11:47
石楠花谷源流部支谷の左岸を登っているが、写真だとどこが道だか分かりづらい。でも実際に歩くと踏み跡はないのだが、木々の間に隙間が続きマーキングもあり道を歩いているのが明確に分かる。

人跡かすかなこんなところで何か厄介な事象が発生したら大変だなと思いながら歩いていると、突然、妻その1から安否確認の電話が入ってきた。携帯の電波など絶対に届かないと思っていたが、意外なところで通じるんだと驚いた。

自分では道を歩いているつもり

11:59
右岸側に道は変わり5分も行くと、道端に小ぶりの炭焼窯跡が残っている。一人が入ればいっぱいになってしまう小さなものだが、ずいぶんと山奥にある窯跡だ。この窯跡の前には「←ダイヤモンドポイント 大池→」の公設道標の成れの果てがあり、正しい道を進んできたことが確認できる。

窯跡の中でピース

12:04
踏み跡はほとんど分からないが、マーキングを辿りながら進んでいくと、今度は左岸へとほとんど水のない沢を渡る。写真の足元に赤い杭が写っていて、頭にはなにやら数字が書き込まれている。その数字の増減具合を考察すれば後どれくらいなのか判断できそうだが、あえて数字を読むことはせず遡行をより楽しむことにした。

水のない沢を渡り左岸へ

12:08
そろそろ現れなくてはならない、地獄谷西尾根への登り口はどこなんだろうと、通り過ぎてしまったかと心配しながら河原を登っていく。人が通った跡はどこにもなく、マーキングもなくなり心細くなってきた。

六甲山のメインルートとは大違いの
石楠花谷源流部

12:10
待望の地獄谷西尾根への登り口かとその時は信じた。「↑ダイヤモンドポイント 新・北摂山の会」の表示があり、ロープが張られ谷から抜け出せそうだ。

さあもうすぐ地獄谷西尾根だ??

でも残念、難所を高巻くためのもので谷からは離れなれなかった。それでも道は明確になってきたので一安心。

さらに右岸を登る

12:24
左岸へ渡り、ガレガレへの登り口に薄汚れた「←至 シャクナゲコース」のプラスチック板が置いてあり、ミヤコザサの間に案内がなければ見落としそうな道が上流へと続いている。

この小さな案内板がなければ
ガレガレを登りどこに行ってしまうのか

12:29
明確な左岸道を行くと、素麺のような細い流れが落ちる滝があり下りてみた。飛び散った雫で枯れ木にツララが下がり、滝身の左側にも少々。もっと寒くなればこの滝全体が凍りつき、規模は小さいが氷瀑となるかもしれない。

おそらく名前を付ければ
そうめん滝だろうな

12:46
そうめん滝の左岸に下がる緑ロープにすがり乗り越えて進むと、小滝が次々と現れる。石楠花谷源流の核心部だ。どの滝も岩肌に黒々としたものがへばり付き、どんなに目を細めてみても清流からは程遠いのが少しだけ残念だが、どれも身の危険は全く感じることなく越せるのが、私にとって幸いなことだ。

下の写真の斜瀑は、立ち木の赤矢印に従い滝身の右側をなんなく登ることが出来る。

これが最後の小滝だったりして

12:57
流れはなくなり、谷は次第に勢いをなくしていく。地獄谷西尾根へは斜面を登っていくものとばかり思っていたが、谷の形を保ったまま水晶山の南東の鞍部を目指し登っていく。

地獄谷西尾根ももうすぐだ

いろいろなマーキングが付けられているが、下の写真の木に付けられた「赤点三つ」印も途切れることなく続いていた。ただし登り方向からしか見えないのが玉に瑕だ。

石楠花谷を代表する赤点三つマーキング

13:01
テニス倶楽部から遡行を始めてからほぼ3時間、ようやく地獄谷西尾根の水晶山南東の鞍部に到着。写真撮影のために登ったり下りたりした時間を除けば2時間ほどか。

ダイヤモンドポイントから逆に石楠花谷へと下っても、薄れた「地獄谷西尾根コース→」公設道標、「土砂流失防備保安林」標識などがあり、水晶山南東の明確な鞍部から南東へと明確な道が下っているので間違いようがないと思う。

地獄谷西尾根に到着

13:11
地獄谷西尾根のザレザレのピークを一つ乗り越えると、後は階段道を登りダイヤモンドポイントに到着。下山は摩耶山掬星台からロープウェイ・ケーブル利用を予定しているため、本日の実質的な山行はこれにて終了。

ダイヤモンドポイントに到着


六甲山上散策

13:28
まずは、何度も近くに来ているのに一度も行ったことのない三国岩へ。摂津と播磨と淡路が見渡せるはずだが、見えるかどうかは登った人にしかわからない。

三国岩でシェー

13:40
一度行ったことのある三国池はパスして、車道脇の東屋で一休み。出発しよとしたらハイカーではなく、うら若きトレイルランナーのお姉さんに声をかけられた。「あのー、ホームページを創っていませんか?」と。このサイトの愛読者だそうで、参考にして六甲山をいろいろ歩いているそうな。

頻繁に六甲山の情報を求めてウェブを彷徨っていると感じるのだが、神戸市という人口の多い都会の背後に位置する山なのに、情報を発信するサイトが少なすぎると思う。得意そうに六甲山を歩いた記録を公開したらどんな目で見られるのか心配だ、誰もが知っている山だから間違ったことを書いたら恥ずかしい、六甲山のことを何も知らない私に出来るわけない、ホームページなんか創っても誰も見に来るはずはない、などなど思わずにどうか六甲山の今を、六甲山で感じたことを、みんなに伝えて欲しい。

でも、今日はジャケットを着ていて最近の私とは雰囲気が違うはずなに、あっ、坊主頭にヘッドバンドで分かったのかな。

14:30
思いのほか遠かった摩耶山掬星台にたどり着き、ようやくお昼御飯を食べる。下山は予定通り「摩耶ゆめ散歩」のロープウェイ・ケーブルに決定。

15:07
ロープウェイからケーブルに乗り換えて発車を待っていると、今度はご夫婦ハイカーのご主人から声をかけられてしまった。今度は毛糸の帽子を被っていたのになんで分かったのだろうか。きっと私のホームページを見すぎて、私の姿が頭に焼き付いているのだろうか。

そして、私の安楽ハイキングに影響されて「摩耶ゆめ散歩」の年間パスポートまで買っているではないか。でもご夫婦での山歩きは、いつも単独の孤独な私と違い十倍、いや百倍は楽しいことと、羨ましく思う。

ほぼ満席の摩耶ケーブルカー



スポンサード リンク



山行記録にもどるホームにもどる本ページのトップ