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黍田富士から天下台山へ(2)



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平成21年2月7日(土)  メンバー 私だけ

竜野駅〜黍田富士〜亀岩展望台〜黒屎池〜天下台山〜とんび岩〜相生駅



黍田富士から天下台山へ(1)へ戻る。



黍田富士と天下台をつなぐルート

山行概念図(2万5千分の1地形図 相生、網干)


亀岩展望台からひどい名前の黒屎池へ下る

亀岩展望台のすぐ西側で道が分かれている。ヤッホのこみちが開設されたときにはなかったと思われる分岐で、公設道標は存在せず、写真の巣箱を上に載せた変わった形式の道標が立っている。

黒屎池へと案内する道標

10:07
どんぐり広場へ戻る周回路は右側へ曲がる広い道なのだが、その方向には道標はない。新道開設者にとっては分かりきったことだが、初めて訪れたハイカーにとっては、明確な道標のない分岐点が一番厄介だ。おまけに事前調査で調べきれていない地名が道標に現われたら、さらに混乱してしまう。

この道標は木製の自立式で、デザインも凝っていて、文字も明確で、文句のつけようがないものだが、全般的にハイカーに対しての優しさにかけている。道標を立てるなら全ての方向を明確にするようにしてもらわないと困る。

ヤッホのこみちから離れる

10:10
狭い草が生い茂る道を想像していたが、以外にも広い立派な道で変な感じ。昔からの杣道にしても広すぎるし不思議だ。

でも険阻な藪道よりも、緩やかな広い尾根に続く明確な歩きやすい道の方がハイキングにとっては好ましい。でも、どんぐり広場への道だと勘違いして入ってしまったハイカーに引き返すきっかけを与えずに、深入りさせてしまいそうな遊歩道的な道でもある。

黒屎池へ続く道は広い

10:14
いくら緩やかな尾根だとしても、広い道は直線部分が多過ぎる。

この道の謎はもうすぐ解ける

10:18
30cm程の段差を下りて、すぐにまた30cm程の段差を登る。不自然な人の手の入った地形で、場所は213m標高点近く。現在の地形図では213m標高点しか記載されていないが、少し古い地形図では高圧送電線が通り鉄塔が立っていたと想定される地点。

そんなことは、送電線が記載されている平成13年の地形図を見ながら「送電線鉄塔はどこかな」と歩いているときには全く気付かず、この山行記録を書きながら「送電線…送電線…」とつぶやきつつ、ウェブ上の最新版の地形図に黍田富士の遊歩道が記載されていることを見つけ、同時に送電線が消えうせていることを見つけたときに理解した。つまり、この歩きやすい広い道は送電線巡視路だったのだ。

その元鉄塔敷地の段差を登ると左手に分岐道があったが、何一つ案内板がないので道なりに進んでしまった。

どこへ行く道なんだろう

10:20
広かった道が両側から草がおい被り狭くなってきた。少しおかしいなと思いながらも、道はまだはっきりしているしさらに進んでいく。

急に道は狭苦しくなってきた

10:23
例のハイカーに優しくない道標が現われたが、なんと指し示す矢印は歩いてきた方を示している。最初は矢印が間違っているのではと思ったが、コンパスで方向を確かめると、このまま進むとヤッホのこみちに舞い戻ってしまうことが確実になった。

途中に分岐はなかったし、どうやら鉄塔敷地跡近くの分岐道が黒屎池へ下る道なのだと決断を下すまでに少々の時間を要した。

←馬場・黒屎池 原・大正池
矢印が逆向きだ!!

10:27
鉄塔敷地跡まで戻り分岐道にはいる。テープのマーキングはあるが、どう見ても案内板の類はない。肝心な分岐点に何もないとは全く困ったものだ。でも地形図を精読すれば、このピークで90度方向を変えて南へ転進するのは誰にでも分かりそうではある。

ここを曲がるのが正解(左が鉄塔敷地跡)


さらに続く快適な送電線巡視路跡を下る

10:29
正しいルートに復帰すると、広く快適な道が続いている。広い尾根のため外界は見えず、同じような雰囲気の変化の少ない道が延々と続いている。

所々にマーキングが付けられているが必要性は感じない。

所々にマーキングが

10:33
緩やかな登り下りが続く尾根だが、一部に少しだけ急な斜面がある。下の写真の先がそうだが、斜めに下るので結局急なところはなかった。こんな道を3年前のM氏やS氏のようにMTBで下ったらさぞかし楽しかろうが、そのためにはMTBを押して担いで一度は登らなければならず、私にはできそうもない。

この先は少し急そうだな

10:37
同じような写真が続き、どのようにコメントを付けようかと悩みつつ山行記録を綴っている。そのときになぜこの場面の写真を撮りたくなったのか、メモでもしなければと思うが、そうしたら余計に時間がかかるし。常に持ち歩いているボイスレコーダーに記録してもよいが、舗装路歩きの友のミュージックプレーヤーになっていてメモリーは一杯だし困ったものだ。

てなことを書いていたら思い出してきた。この場面は急斜面を斜めに緩やかに下っている場面だった。

送電線巡視路は急なところは斜めに下る

10:40
道がよすぎて楽しいような詰まらないような、微妙な心理状態になってきた。こんな平坦で歩きやすい、かつ雰囲気も抜群な雑木林の中を行く快適な道なのに、どこが不満なのだと言われたら困ってしまうが、なんかモチベーションが下がってきた。

もう天下台山まで登らずに、溜池の間の道を北に抜けて帰ろうかなとも思い始めてしまった。山登りは快適さも重要だが、ピリッとした辛さがなくてはならないな。

この快適な道はいつまで続くのだろう

10:45
前方の風景が変化し、見通しがよくなってワクワクしてきた。もうすぐこの緩やかだった尾根の終わりが近づいてきたのだろうか。

向うの山が少し見えてきた

10:51
一気に展望が広がった。天下台山が見えていてもよさそうな距離だが、左奥のピークがそうなのだろうか。

天下台山頂上はどこかな

長らく現われなかった巣箱付「馬場・黒屎池 原・大正池→」案内板が少し離れて2枚立っている。どういう感覚で、いやどういう間隔で立てようとしたのか理解に苦しむ。

10:57
展望のよさそうな突き出した岩場の先端に行ってみると、すぐ下に地形図と同じ形をした、名前通りの色の黒屎池が下に見える。

地形図と同じ形の黒屎池が下に見える

11:00
送電線巡視路らしく最後まで緩やかさを保ちながら下っていくこの道は、自然らしく見せかけた人工の風景の中を行くヤッホのこみちでは満足できないハイカーの、ステップアップに最適なルートと思える。但し調子に乗ってこのまま天下台山まで足を延ばそうとはせず、溜池の峠道を北へ下り出発地に戻るのが賢明かも。

もうすぐ馬場、原の峠道だ

11:02
馬場と原を結ぶ道の峠に下り立った。下ってきた道方向に巣箱付「亀岩大展望台→」の案内板が立っている。でも次の原や馬場や天下台山の方向を示すものはない。

この案内板は最後までハイカーには少々不親切なものではあった。でも設置方法を見ると、設置した人または団体の自然に対する愛情の深さを、十分に読み取ることができるものだ。立ち木に釘打ち、木ねじ止め、針金締め、果てはドリルで穴を開けたりとやりたい放題の案内板が多いが、もう少しだけ表示内容・設置位置に気を配っていたら百点満点だったのにと惜しかった。

馬場と原を結ぶ山道


天下台山東尾根までの苦難のルート

11:03
もっと真剣に、方々の貴重な山行記録を熟読するべきだったかもしれないが、それでは初めて歩くルートの面白味が少なくなると、斜めにおまけにページも飛ばすようにしてチラッと見ただけだった。そして、次なる天下台山東尾根への取付が峠の北側にあると思い込んでいたのだ。

なんの疑いもなく北に進み、近頃は利用されてなさそう池底に草の生えた古池横まで進み、「あれ変だな」とようやく気付き引き返した。

峠から北のほうを見ている

11:21
峠まで戻り南へほんの少し下ると、当然の事ながら天下台山東尾根の取付があり、その先には黒屎池が見えている。

なんで黒屎(くろくそ)池などというひどい名前を付けられたのかと、行ってみた。写真ではよく分からないが、水の色は真っ黒、透明度もほとんど零で、出来たときからこんな色をしていたのだろうか。神秘的なエメラルドグリーンの池はたくさんあるが、この黒さはより神秘的に感じるが、これまで私が見てきた池の中では一番変な色だ。

黒っぽい黒屎池

11:22
黒屎池の手前の天下台山東尾根への登り口には「相生の天下台山へ至る」とマジック書きされた木板が木に括られている。そして、それが指し示すルートは道というよりは木々の隙間といった感じで、ここまでの遊歩道や送電線巡視路跡とは一線を画し野性味が溢れ返っている。

黒屎池手前に天下台山への登り口がある

11:26
始めは黒屎池を左下に見ながら登っていく。ルート上には落ち葉が積もり最近ハイカーが歩いた形跡は全くないが、要所要所にマーキングが下がりルートを見失う恐れはない。

歩く幅を確保するために最小限の整備がされているだけで、背丈を越すような木々はそのまま残され、その間を縫うようにルートが設定されている。

人通りはすくなさそう

11:29
膝ほどのシダの間を進むところもある。写真は強引にシダを掻き分けながら歩いているわけではなく、明確な踏み跡を辿っている。

こんな所を一人で歩くのは寂しすぎるのではと思う人もいるだろうが、行き先がどこかは知っているし、私ににとっては黍田富士の完璧に整備された遊歩道を歩くのと心理的にはさほど変わらない。

シダシダの道も多い

11:32
ほぼ全てが道なき道を行くのだが、一部だけ盛り土をした低い堰堤状の道があり、人工的な地形で緩やかな平坦な尾根を二つに分けているように見える。

歩くだけの道ならわざわざ盛り土をする必要はないし、おそらく溜池の集水域を明確にすることを目的に水争いの解決のために設けられたもののような気がする。

低い堰堤のようだ

11:36
明確な尾根なら私でもルートを見出すことは簡単だ。しかし、この緩やかで平坦な、でも微妙に複雑な地形の中に、このルートをどうやって見出したかに興味がある。何度も何度も歩いて試行錯誤の結果なのだろうか、それとも地図上で最良と思われるルートを定めてから切り開いたのだろうか。それとも私には思いつきそうもない秘術があるのだろうか。

ルートは非常に明確で迷いようがない

11:43
緩い尾根でも微小的にはきつい部分もあり、そんなところに限って登りづらかったりもする。でも、ほんの一部分で、木につかまりながら登る下の写真はこの尾根をけして代表するものではない。

こんなところもあるが、ほとんどが緩やか

11:48
また人工的な堰堤状の地形だ。ここも含めてルート上の所々にコンクリ杭が打たれているので、何もないところを開いたというよりは、古い界の切り開きを再利用した部分もありそうだ。

また尾根を分ける人工的な低い堰堤だ

11:52
260mほどの広いピークへの登りと思うが、緩やかな斜面はシダの植生に適しているのか、よく茂っている。

これまでに天下台山や御津山脈を何度も歩いてきたが、鹿を見たのは一度どしかない。シダが多くてササが少ないためなのだろうか。芽生えたばかりのシダは柔らかそうで美味しそうに見えるが、鹿はシダが嫌いなのかな。

もうすぐお昼か お腹が空いてきたな

12:00
260mピークを歩いている時、遠くからサイレンの音が聞こえてきた。時計を見るとちょうど12時で、南にあるダイセルの播磨工場からのようだ。火薬類を扱うため広大な敷地(322万平方km)を持つ播磨工場の敷地境界は、崖だろうと何だろうとお構いなしに有刺鉄線柵を巡らしているが、北側の境界線はこの尾根ではなさそうだ。

260mピークを行く

12:05
ようやく天下台山東尾根が見えてきた。30mほど下り50mほど登り返さなくてはならないが、一度歩いたことのある東尾根が見えてきて、少しほっとした。

見えるは天下台山東尾根
286mピークだ

12:12
東尾根への登りも、足元にはシダが茂っている。枝葉が茂る季節になったら見通しが効かなくなり、このような藪っぽい低山歩きは冬に限る。

もうすぐ天下台山東尾根だ

12:16
天下台山東尾根286mピークに到着。「→馬場の黒糞池→ヤッホの小径、原の大正池」「揖保川町へ」「▲286m」「←天下台山 東尾根→」の案内板と、たくさんのマーキングが付けられて賑やかな分岐点になっている。

東尾根コースに合流

このまま東尾根を下っては、黍田富士と天下台山を結ぶという本日のメインテーマを貫徹できない。「よしお昼ごはんは天下台山頂上だ」。



黍田富士から天下台山へ(3)へ進む。



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